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「学校に自由の風を」と1900人            かけはし2005.1.24号

憲法・教基法の改悪を許すな! 闘いの裾野の拡大を

管理強化と処分乱発はね返し子どもが主役の卒入学式を


 一月十日、東京・日比谷公会堂で「変えよう!強制の教育 学校に自由の風を!」集会(主催・実行委員)が行われ、千九百人が集まった。
 この集会を呼びかけた「学校に自由の風を」ネットワークは、二〇〇三年十月二十三日に東京都教育委員会が「日の丸・君が代」強制にむけた「卒業式・入学式に関連する通達・実施指針」後、反対する教員たちを次々と処分していったことに対して抗議するとともに、通達の撤回と石原都知事の教育破壊を許さない取り組み、教育基本法改悪に反対する行動を開始してきた。
 ネットワーク運動は、集会やデモなど積み上げ、その成果として今回、市民団体や労働組合など百三十団体、多数の賛同を得て実行委を作り、多くの参加者数を実現することができた。すでにこの集会の成功をバネにして、都立学校の卒業生、保護者、保護者OB・OGによるネットワークを作りながら、〇五年卒業式、入学式時での「日の丸・君が代」強制反対の申し入れを各学校長に行う準備を進めている。
おとなが安心したい
ための押しつけだ

 集会は主催者の開会あいさつから始まり、ネットワーク運動の経過を報告し、「二カ月後には、卒業式、入学式があります。私たち親たちが体験してきた卒業式、入学式は、国歌も国旗もありませんでした。自主・自立・自由だった。子どもたちが自由で主役の卒入学式を取り戻していこう」と訴えた。
 石原教育破壊がどのように強行されているかを各現場から批判していくリレートーク。
 「しゃべり場」のパート1では長澤彰さん(弁護士)が、「学校と警察」の協力体制について報告し、「昨年から警察と学校との相互連絡協定という制度が一挙に進んだ。校長は、生徒への監視を強め、言うことを聞かない生徒に対しては問題行動として警察に報告していく。教育委員会は、問題行動報告を出させようと強めていく。報告件数が多い校長が評価される。このような監視社会強化を許さない」と批判した。
 続いて、私学助成に反対するPTAに対して強権的に止めさせようとするある私立学校のケース、江東区枝川の朝鮮学校に対する追い出しと教育権破壊に抗議する師岡庸子さん(弁護士)、予算削減や統廃合を前提とした特別支援教育を厳しく批判する肢体不自由養護学校保護者からの発言が行われた。
 「しゃべり場」のパート2では、品川区の保護者が教育改革の名の下で新自由主義的教育改革と国家主義教育が押し進められていることを批判した。
 さらに、定時制高校の統廃合と予算削減が進められていることに抗議する定時制を守る連絡会、「日の丸・君が代」強制に反対する都立高校卒業生、都教委によって管理強化が進められていることに抗議する都立高校二年生が発言した。
 次に青木悦さん(教育ジャーナリスト)は、「これ以上子どもたちを追い込まないで」というテーマで、@あるPTAの会議での警察の生活安全課による講演を紹介して学校と警察の協力体制を批判し、A学校授業に奉仕科を設置する管理教育化の意図B学力低下を利用した差別選別教育システム批判C大人が安心したいがための子どもへの押しつけを止めよう、などと問題提起した。

「つくる会」教科書
を使った寸劇も

 集会は、中盤に入ってから、教員の想いを訴えた朗読劇、反戦トランペット、李政美さんの歌、実行委メンバーたちによる「危ない学校『扶桑社版・新しい歴史教科書』を使っての寸劇」が演じられた。
 高橋哲哉さん(東大教授)は、「いまこそ教育に自由を!」という観点から教育基本法改悪と都教委、さらに埼玉県上田知事が新しい歴史教科書を作る会副会長の高橋史郎を教育委員として任命したことを批判した。
 アピールに入り、柴田健さん(教育基本法改悪反対!1・22神奈川大集会事務局長)、谷森櫻子さん(12・12教育基本法改悪を許さない埼玉のつどい」実行委員)、乾彰夫さんが都立四大学問題について、福岡庸子さん(小学校教師)がピアノ裁判最高裁提訴について、予防訴訟弁護団事務局長の加藤文也弁護士が裁判闘争の意義についてそれぞれ発言した。
 最後に、自由の風ネットワークが集約発言し、今後もネットワーク運動を拡げていこうと呼びかけた。(Y)  


「九条の会」憲法学習会
自民党改憲草案は平和と人権を根本から破壊する

 一月十日、東京の日本教育会館で「九条の会」が主催する憲法学習会「自民党・憲法改正草案大綱(たたき台)の批判的検討」が行われ、会場いっぱいの三百人以上が参加した。
 昨年六月、東京での集会を皮切りに、大阪、京都、那覇、仙台、札幌と各地で「九条の会」の講演集会が数千人の規模で開催され、各地で運動は大きく広がっている。今年もすでに、横浜、広島、福岡で集会が予定されている。この日の学習会は、多くの市民からの要望に応えて昨年十一月に発表された自民党改憲草案大綱(結局、党内での詰めの不足によって廃棄されたが)を検討・批判する学習集会として開かれることになった。

憲法の基本原理に
なった象徴天皇制

 講師は静岡大教授の小沢隆一さんと九条の会事務局長で東大教授の小森陽一さん。小沢さんは、「十一月の自民党改憲草案は廃棄されたものの、そこには自民党がやりたいことがすべて盛り込まれており、改憲大綱の基本となるものだろう」と説明し、逐条的に自民党改憲案を批判した。
 改憲草案第1章の「総則」では、日本を「天皇を象徴とする自由で民主的な国家」としている。これは「国民主権」などと並行して「象徴天皇制」を憲法の基本原理に格上げするものだ。また「国民は主権者として、自立と共生の精神にのっとり、その権限を行使」としているが、これは国民の主権性の矮小化である。そもそも「権利」と「権限」は峻別されるもので、権限とは「これ以外にやってはいけないもの」という制限規定である。国民主権を言うときに「権限」という概念はまったくふさわしくない。冒頭から、この憲法草案は平和、人権、民主主義全体への重大な挑戦だ――小沢さんは、明快にこう批判した。
 「個人主義」を批判し「共生の原理」を主張する改憲草案の主張に対して、「本来『個人主義』とはフランス人権宣言で明記されているように他人の権利の尊重ぬきには存立しえない。あたかも『個人主義』を『他人を無視した自分勝手』のように歪曲して権利を制限する口実にしようとするのは、近代憲法のイロハを捨て去るものだ」と小沢さんは強調した。
 また小沢さんは、第2章の「象徴天皇制」において「天皇の地位」が「元首」であるとともに「日本国の歴史、伝統、文化、日本国民統合の象徴」と規定している問題を厳しく指摘した。
 「『元首』とは国王とか大統領のように行政権力の最高地位にある存在を意味する。元首であるとともに政治権力を持たない『歴史、伝統、文化、国民統合』の『象徴』であるというのは『元首』概念の新説であり、いずれにせよ天皇の地位は現状よりもさらに強化されることになる」。
 さらに小沢さんは、自民党改憲案に見られる基本的な権利・自由の制限と「責務」の強調、社会や国家を構成する最小単位としての「家族」の保護、「個別的・集団的自衛権」を行使するための戦力」としての「自衛軍」の設置などにふれて、改憲案全体が海外での軍事行動への憲法的規制の撤廃と、新自由主義的改革の推進、「象徴天皇制=国柄」という国家主義イデオロギーに貫かれているこことを体系的に批判した。

運動を作るプロ
セスこそが大切

 小森陽一さんは、「他の何ものによっても侵されてはならない統治権としての主権、一人一人の国民が持っているこの主権が制限されるのは、アメリカが行う戦争にいつでもどこでも参加するためであり、それはこの戦争に参加することによって利益を得る財界の意向に沿うものだ」と訴えた。
 「戦争と軍隊を永久に放棄した九条の存在が、十条から四十条までの『国民の権利及び義務』を支えている。九条が改悪されると、国民の自由と権利が危機にさらされるという構造になっている」。「戦争をしないためにも、二十五条の国による生活保障の義務が規定されている。いま一年間で三万人以上が自殺する社会とは、戦争につながっていく社会だ。国民の『痛み』を強制する小泉内閣の構造改革とは、戦争政策とストレートにつながっている」。
 このように述べた小森さんは、「今の争点は自衛隊が違憲か合憲かというところにあるのではない。九条の会の結成は大きな意義があるが、いまだ確固たる護憲の人しか集まってはいない。いま必要なのは国民の過半数と対話をし、組織するかつて経験したことのない運動であり、護憲の人たちだけではなく大多数の『中間派』をどのように獲得するかが要だ」と、問題点を指摘した。
 討論の中では、国立市長の上原さんなども質問した。憲法24条キャンペーンの活動を訴えて、ふぇみん婦人民主クラブの設楽さんも発言した。
 討論を集約して、小森さんは「九条の会を拙速に身近なところで各地で作ろうとするのではなく、むしろいますぐ会を結成しようとせず各地で会を作るプロセスを重視して、できるだけ多くの人びとと時間をかけて進めていくことが大事」と強調した。
 今国会で、政府・与党は憲法改悪のための国会法改悪案、改憲国民投票法案を上程し、成立させようとしている。衆参両院の憲法調査会の最終報告も四月末から六月にかけて、それぞれ発表され、自民党の改憲草案も四月中の作成が予定されている。憲法改悪阻止の闘いを、急速に拡大していかなければならない。(K)               


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