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第四インターナショナル国際委員会決議          かけはし2005.4.25号

国際的民衆運動が直面する課題は何か


解説
PTの左翼的強化か新党か
ルラ政権への態度をめぐる論議と分岐の深化

DSの政権参加は
正しい選択なのか

 二〇〇三年一月、南米の大国ブラジルで、PT(労働者党)主導のルラ政権が出発したことは、軍事独裁体制に対する労働者・農民の大衆的な闘いの中から一九八〇年に結成された新しい民主主義的社会主義政党であるPTの勝利であり、ブラジル民衆の勝利であった。ルラ政権の誕生はまた、ポルトアレグレで開催された世界社会フォーラムに示される新自由主義的グローバリゼーションに対する世界的な民衆運動の発展に基礎を置いたものであった。
 しかしルラ政権のとった政策は、多くの点で前任のカルドゾ政権の新自由主義政策を継承し、巨額の債務の圧力の中でIMF・世界銀行の決定した枠組みに忠実なものとなっていった。この点は、大統領選挙でのブルジョア勢力との接近、PT主流派の右傾化によってすでにかなりの程度明らかになっていたことだった。PT内の有力な左派潮流である第四インターナショナル勢力(DS=社会主義的民主主義潮流)は、こうしたPT主流派の新自由主義的路線への批判を明確にしつつも、PTと自らを切断することを否定し、社会運動と結びついてルラ政権を下から統制し、PT自身の左翼的転換を有効に進めていくという観点から、ルラ政権の農業改革相としてミゲル・ロセット同志(前リオグランデドスル州副知事)を閣内に送り込んだ。
 DSのルラ政権への入閣は、同政権発足直後に開催された第四インターナショナル十五回大会でも大きな論争点となった。しかし、この時点で第四インターナショナルはDSの決定を尊重し、ロセット同志の入閣問題についての態度を問う特別の決議を採択しなかった(世界大会でのブラジルをめぐる論議については本紙03年10月13日号の平井純一「第四インター第15回世界大会の成果と日本における挑戦課題」(2)を参照)。

国際的に普遍的
性格をもつ論争

 しかしPT内の左右対立は、早くも二〇〇三年十二月にPT全国指導部がルラ政権の新自由主義政策に反対投票を行った三人の上院議員を除名処分に付したことによって激化した。除名された三人の中にはDSの同志であるエロイザ・エレナがふくまれていた(本紙04年新年号参照)。
 この状況の中で、エロイザ・エレナ同志をはじめとするDSの一部のメンバーは、PT内外の左派活動家とともに、PTにかわる新しい左翼社会主義政党の結成に踏み出した。それはPSoL(社会主義と自由党)に結晶化した。しかしこのエロイザ・エレナ同志らの新党結成路線はPTの左翼的強化を主張するDSの決議と対立するものであり、DS全国調整委員会は二〇〇四年二月七日の決議で、「PTを離党したすべての同志に再加盟を呼びかけ」た。
 二〇〇四年二月に開催された第四インターナショナル国際委員会は、DS多数派とエロイザ・エレナ同志の双方の出席の下で、ブラジル問題について論議し、国際討論ブレチンを発行して討論を継続することを決定した。この間のブラジルをめぐるPTならびにDS内論争の経過は本紙04年5月31日号、04年11月1日号を参照されたい。
 今年になってベンサイド、レヴィ、ルカの三同志は、DS指導部に閣僚引き上げを求める書簡を送っていた。
 今回の国際委員会決議も、DSがルラ政権から引き上げることを勧告する内容となっており、DS指導部はこの決定に反対している。新自由主義的グローバリゼーションに対する抵抗の拡大と、ラテンアメリカをはじめとした左派政権の相次ぐ誕生の中で、グローバル資本主義の枠組みを突破しようとする左翼オルタナティブを構想する上で、ブラジルの組織問題は普遍的性格を持っており、われわれはこの討論に主体的に関与していかなければならない。      (純)  


ブラジル情勢についての決議
ルラ政権内にとどまることは対抗的左派形成と両立しない

(1)ルラ政権の二年間の経験は、この政権の方向性とそれが遂行している政策をはっきりと明らかにしている。これは、議会内右派に依存した資本の代表者との連合政府である。それは、新自由主義経済・金融政策を実施し、したがってブラジルにおける貧困と社会的排除や、帝国主義との対立といった本質的問題に応えることができないのである。またこの二年間は、その政策の内的力学が変化しえないことをも示している。

(2)ルラ政権の主要な経済的・社会的措置は、金融市場と国際機関、ならびにそのお仲間であるブラジル金融資本によって設定された枠組みに適応している。すなわち、債務支払いのための予算黒字の増加と金利の引き上げ、社会的プログラムの制限、農業改革目標の未達成、まともな水準への最低賃金引き上げの拒否、公務員年金の掘り崩し、私有化への道を切り開く大学の反動的改革、労組官僚制を強化し、労働者の諸権利の制限という展望と労働の権利の反動的改革の展望に道を開く、労組組織の反動的改革である。

(3)このような諸条件の中で、民衆的諸階級の要求と必要に合致した政策――賃金の引き上げ、数百万の職の創出、公共サービスの防衛、土地改革の加速化、金融市場ではなく社会的優先性に奉仕する予算・金融政策――が、ルラ政権の政策に反対する形で提示されている。

(4)ルラ政権の一般的方針は、左派の閣僚の存在を、たんなる「保険」とする政策、あるいは左派自らのものではない全体的諸政策の人質に変えている。この二年間の経験は、反新自由主義・反資本主義の社会経済的労働者ブロックの建設が、現政権への支持と参加とは矛盾することをはっきりと示している。

(5)ルラ政権の成立以来、DS(PT内社会主義的民主主義潮流――第四インターナショナル・ブラジル支部)の政権参加とこの参加形式(社会運動の中での役割)という課題について、インターナショナルの中では保留、疑問、不同意が存在してきた。しかし、DSが決定を行った以上、ブラジルの同志の多数派が提起した主張を考慮して、インターナショナルはこのプロセスの開始にあたっていかなる決議も行わず、この経験をともにすることを決定した。
 前回の国際委員会(二〇〇四年二月)において、われわれはブラジルの政治情勢に関して討論のプロセスを開始した(国際討論ブレチンを使って)。インターナショナルは、ルラ政権への参加問題の提起について、ブラジルの特徴やPTの歴史、その社会運動・労働組合運動との連携を考慮しない教条的言辞の使用を避けてきた。
 この二年間の経験を経て、さらに(1)から(4)で提出されたことを考慮すれば、閣僚レベルであれ、政治的責任にかかわる他のポストであれ、ルラ政権内に地位を占めることと、われわれの綱領的立場と一致したブラジルにおけるオルタナティブの構築とが矛盾することに、もはやいかなる疑問もありえない。

(6)現在進行している再組織化は、ブラジル左翼の政治的再編の複雑な時期が開始したことを示している。このプロセスは、大衆的な社会主義政治オルタナティブが確立する時まで、多かれ少なかれ長期間にわたって継続しうる。各部門の再編成の特殊なテンポと形態を見越した上で、今日、すべての反資本主義的諸要素の収斂に向けて活動することが決定的に重要である。

(7)国際委員会は、戦略に関するDS内部の討論と分岐、ならびにその諸潮流の一つがPSoL(社会主義と自由党)結成に参加したこと(訳注:本紙04年11月1日号「PT内部での闘いか、新たな左派社会主義党の建設か」参照。PSoLは、PT執行部から二〇〇三年十二月に除名されたDS所属のエロイザ・エレナ上院議員が委員長となって、PTにかわる新しい社会主義政党をめざして結成された)に留意する。この分岐といっそうの細分化の危険という情勢の中で、国際委員会は、ルラ政権に対する政治的オルタナティブを創出する展望においてすべての諸要素が対話、関係、行動における統一を促進する目的を持って、ブラジルにおける第四インターナショナルのすべての構成要素との関係を維持すること――すべての諸要素は全権利を持ったインターナショナルのメンバーであり続ける――ことを決定する。(05年2月27日)  


 ベネズエラについての決議
発展する革命プロセスに貢献する連帯運動の強化を
                          

 ベネズエラは前体制との政治的・経済的・社会的側面における部分的決裂、ならびに帝国主義との部分的決裂によって特徴つけられる革命的プロセスを経験している。ベネズエラは、ラテンアメリカ全体における他の変革とこの構想を結びつける希望を育みつつ、社会的変革への途上にある。
 ここ数年になされた公共保健プロジェクトや識字・入学キャンペーンのきわめて顕著な発展、生活協同組合の形成、農業改革、商業的漁業システムの改革の優先的遂行は、このプロセスを引っ張っている社会的優先性の重要な現れである。
 ベネズエラは国際的領域において、米帝国主義との対決(プラン・コロンビア〔訳注:コロンビア内戦への米軍介入を通じて反政府武装勢力を壊滅し、アンデス地域の新自由主義への統合を図ろうとする米帝国主義の戦略〕の拒絶、FTAA〔米州自由貿易協定〕の拒絶、国内における米兵駐留の拒絶、キューバとの密接な関係、帝国主義戦争の非難)を決定した。ベネズエラはますますグローバル・ジャスティス運動の参照点となっている。
 二〇〇二年四月のクーデターとの企図と闘った際にも、すべての社会的プログラム(教育、保健、住居、水など)を可能にした地域コミュニティーの組織化推進の際にも、こうした政治的決裂をもたらした決定的要因は、民衆の動員である。
 このプロセスは、ブルジョア民主主義的制度の枠内で展開されている。政府が決定した政策にとって障害となっている、いまだ利害関係者優先と腐敗にいろどられた国家と諸制度を、変革しようとする努力にもかかわらずである。
 革命的プロセスは、いまだ被抑圧諸階級の勝利とはなっていない。抵抗運動はベネズエラ右派からのものであるが、「チャベス支持」多数派の一定の部分からもなされている。このプロセスは、いまなお革命的力学と資本主義の管理に忠実な諸傾向との闘いとなっている。
――ベネズエラの革命的プロセスの情報を伝え、連帯するキャンペーンを確認する。われわれのFIサイトにベネズエラにあてられたウェブページを開設する。政治的、労働組合レベルでの交流。社会的変革の面での積極的成果の宣伝。社会自由主義的選択と区別できるベネズエラの経験の重要性。支配階級と対決しようとする際の民衆動員の根本的重要性。
――ボリバール主義革命(訳注:シモン・ボリバールは植民地支配に対する一九世紀の南米独立運動の指導者。ベネズエラのチャベス支持派はベネズエラ革命を「ボリバール主義」にもとづいた民衆的反帝国主義革命運動と特徴づけている)との連帯という文脈の中で、革命の急進化を政治的介入の中心軸にしている部分をわれわれは支持する。われわれは、政治的協力を計画し、われわれの国際会議に招待し、党建設とインターナショナルの役割に関するわれわれの認識について討論するために、こうした部分とのコンタクトをとる。
――その一部が二〇〇六年一月にベネズエラで開催される二〇〇六年の世界社会フォーラム(ラテンアメリカ社会フォーラム)は、グローバル・ジャスティス運動がベネズエラの民衆組織との連携を強化し、連帯を表明する重要な時となるだろう。
――われわれの同志たちは、ピープルズパワー会議と世界青年フェスティバル(二〇〇五年八月)といったボリバール主義プロセスに結びつく活動に参加すべきである。
――われわれは労働組合の中で、新しい労働組合連合であるUNTを支援し、可能な場合は労働組合活動家を連帯活動に招待するなど、労働組合レベルでの連帯活動を促進するための活動に関与する。
――われわれは、とりわけブラジルの同志たちとの協同を通じて、われわれの参加民主主義の最良の経験をベネズエラのプロセスに貢献させるよう提案する。(05年3月1日)


暗殺の脅しを受けているフィリピン左翼に連帯を
                第四インターナショナル国際委員会

 独立した進歩的・革命的左翼のすべての部分は、現在、フィリピン共産党(CPP)ならびにその武装組織であるNPA(新人民軍)の軍事的脅しを受けている。ここ数年でますます深刻になってきた情勢に直面する中で、二〇〇五年一月の第五回世界社会フォーラムで重要な国際連帯運動が登場した(訳注:ウォールデン・ベロに対するCPP│NPAによる暗殺の脅し〔本紙05年1月24日号参照〕を糾弾し、ベロを防衛する共同声明が、全世界の多くの団体、個人の署名で発せられたことをさす)。第四インターナショナルはこのキャンペーンをさらに拡大することを呼びかける。数えきれないほどの活動家の生命が危険にさらされ、フィリピンの民衆勢力の未来が危機にあり、われわれの共通の闘争の基礎となる原則そのものが問われている時、われわれは受動的でいることはできない。
 すでに数十人の活動家が殺された。数百人以上が、いかなる時でもNPAのターゲットになるかもしれないことを知っている。CPPに支配されていないすべての主要な進歩的・革命的諸政党はすでにその被害をこうむっており(第四インターナショナル・フィリピン支部のRPM―M〔ミンダナオ革命的労働者党〕をふくめて)、あるいは現在、特別の脅しを受けている。大衆組織、とりわけ農民組織の指導的活動家が殺された。
 資本主義的グローバリゼーションとの闘い、第三世界の債務帳消しを求める闘い、反戦運動の指導的人格は、「反革命」あるいは「帝国主義の手先」として選びだされた。最近の経験は、こうした非難の直後に、CPP指導部が指令した「人民法廷」というでっちあげ裁判によって、対象となった人びとへの非難がなされることを示している。
 フィリピン共産党は、左翼活動家に対するこの暗殺政策によって、フィリピン国軍と警察の手先が挑発と策謀を張りめぐらすのに有利な状況を作りだしている。それは民衆勢力を分裂、マヒさせ、闘争の遂行をいっそう困難にさせている。それは、われわれがそのために闘っている革命的構想と社会主義的オルタナティブの信用を、いちじるしく傷つけている。したがってそれは、帝国主義と右翼の思うつぼとなっているのだ。
 CPPは、フィリピンにおける複数主義的な民衆運動と政治的左翼の発展に寛容な態度をとることはできない。彼らは、もし必要ならば武力によって、自らの独占を押しつけようとしている。この複数主義的左翼を支持し、防衛するために、そしてその存在の権利を主張するために、国際的にあらゆる可能なことがなされなければならない。われわれの責任は明確である。
 CPPは、もう一つの世界のための闘い、連帯と平等と自由にもとづく社会主義世界をめざす闘いの、最も基本的な原則を踏みにじっている。労働者と民衆の運動内部の原則をふみにじる行為に寛容であることはできない。われわれは、革命的と自称する党がその武力を進歩的活動家組織に向けるのを受け入れることはできない。これは、われわれが立脚するすべてのことと完全に相反するものである。(05年3月2日)          


                                        

第5回世界社会フォーラムによせて

ルラは「アメリカのお仲間」か
失望とミックスされた「新しい挑戦」への感覚
                            ウォールデン・ベロ

 いま五周年となる世界社会フォーラムは、インド・ムンバイでの大きな成功の後、ブラジル・ポルトアレグレに戻ってきた。開催国で変化する国内事情への期待ばかりでなく、数千人の参加者の気持ちは、南アジアでの津波惨事に心痛んでいることと思う。二〇〇三年一月、前回のポルトアレグレでのイベントでは、その数カ月前の大統領選挙における労働者党候補ルラ(ルイス・イナーシオ・ルラ)の勝利によって、フォーラムは大きく活気づけられていた。ポルトアレグレ・プロセスの中軸となったブラジルの進歩的運動団体は今日、ルラ政府によって採用された財政保守主義政策│それは高い失業と低成長しか生み出して来なかったが│によって落胆させられている。国際通貨基金(IMF)が提案する方策に完全に従っているために、ルラは、ブラジル一般大衆の希望となることから離れ、ワシントンやウォールストリートのお仲間となってきた。

WTOを復活さ
せたのは誰だ?

 この「ルラの問題」は、ブラジル人だけでなく、ポルトアレグレにやってきた幾千の人々が、世界貿易機関(WTO)の復活におけるブラジルの役割にうろたえさせられた。WTOは、二〇〇三年九月、メキシコ・カンクンでの第五回閣僚会議の破局の時に取り返しのできない危機に突入したと思われてきた。この機関を復活させるためにアメリカとEUは、インドと共にブラジルを農業での新しい合意の交渉枠組み形成のためのパートナーとして選択した。その結果は、WTOを立ち直らせた二〇〇四年七月枠組み合意と呼ばれたものだった。ほとんどすべての側面で、七月枠組みは、南側にとって悪い取り決めだったが、ブラジルとインドによるこの是認は、ほとんどの途上国がWTO一般理事会採択に抵抗することを困難にさせている。
 WTOに関する論議ばかりでなく、企業主導のグローバリゼーションという現象が、十一のテーマ領域を横断する中心的関心事としていかに論議され得るだろうか。グローバリゼーションの影響に関する論争では、自由市場政策と国内外で増大する不公正との関連や貧困層の増大との関連、そして脆弱で持続できない成長との関連を証明する重大さをうわまわる内容が、長い間批評家による関心の的であった。
 いまはまだ、スピードを上げる列車のスロットルに載せられた死んだ機関士の手ということわざに述べられているように、ほとんどの途上国において、新自由主義政策の支配が継続し、それはしばしば、世界銀行が出資するマクロ経済学的戦略(貧困削減戦略文書=PRSPs)を装っている。そしてそれは、表向きは貧困削減を優先する目的でありながら、実際は、お飾りのセーフティ・ネットを付け加えた古き自由市場計画でしかない。

ベネズエラ、アル
ゼンチンの進路

 にもかかわらず、物事は変化している。新自由主義への幻滅は、ラテン・アメリカにおいて最も進行している。そこでは、ある新自由主義的政府が別の政府に、投票によって追い出されているか、あるいは、ボリビアのゴンザロ・サンチェス・デ・ロサダ政権のごとく、民衆によって転覆させられている。
 ブラジルが圧力に屈服する一方で、ベネズエラやアルゼンチンのような他の政府は、ほかの道を先導している。たとえばアルゼンチンは、私的投資家への支払いをほぼ凍結し、二年連続して八%という経済成長を見せた。どうやってこれを達成したか│「経済的政治的通説を拒否するか無視することによってである」と、ニューヨーク・タイムスが記したように、これはフォーラム参加者の中で、熱い討論の題目になりそうだ。
 昨年ムンバイでは、イラク戦争が会議の中心的関心事となった。WSFに関連するイベントである欧州社会フォーラム(WEF)が、二〇〇二年十一月フィレンツェで開催され、結局二〇〇三年二月十五日、世界中で数千万人が動員された世界反戦行動への呼びかけが発せられた。
 しかし、ルラに関するブラジルの興奮のように、平和のための本当の世界的運動の出現を伴った幸福感は、それ以来、アメリカのイラク侵略を止めることができず、米軍撤退を強いることができないという失望の途上におかれたままである。これは、二〇〇四年十一月二日、アメリカにおける選挙(共和党右派に基礎づけられた選挙人の力の強化は、思い通りの未来を左右できる)でのメッセージに対して、多くの人々が感じる怒りやショックにも関連づけられる。
 それでも、その失望は多くの人にとって、挑戦する感覚とミックスされているだろう。国境を越えて、より効果的にどのように協調できるだろう? どうしたら戦争への抵抗をデモンストレーションから大衆的市民不服従へ転化できるだろう? どう世界的平和運動が、中東での市民社会│これは来る数年間の戦略的戦場であると見込まれている│とより有機的に関係づけられるだろう? どうイラク・パレスチナにおける広範な闘いと地方的闘争とが提携できるだろう?
 これらの疑問は反戦総会、その他の現場において吟味されるだろう。そして、多数の人の希望は、平和運動が自然発生的でなく、より組織的にポルトアレグレから出現するだろうということだ。

より水平的なス
ペースを作ろう

 これがWSFが生き残ってきたことであり、世界的市民社会のエネルギーの巨大な宝庫として利用されてきた事実を証明する機関となっている。WSFは相異なる運動の間の論争・討論の開かれたスペースであることを誇ってきた。しかし多数の人は、WSFの強さの源がその弱さであると感じ、硬化してしまうのを防ぐために、イラク、パレスチナ、WTOといった情勢の重要課題に対してより戦闘的な立場を担う機関である必要があり、これらの立場を行動計画に立案すべきだと感じている。この論議は、以前の年よりも今年、より激烈になりそうであるが、しかし、解決されるか、課題が残されるかどちらが近いのだろうか。
 ともかく、今年のフォーラムは、参加者による完全な自己組織型であり、主催委員会によって組織された中心的パネルはない。そこには、政治的、分野的、地政学的、文化的、言語的障壁を超える横断的受粉を奨励し、水平的で開かれたスペースを作ろうとする意識的努力が反映されている。今年のポルトアレグレでは驚きはないであろう。多数が言うように、この予測はますます、かつてとてもエキサイティングな場所としなったことへの責務となってくるだろう。
【今世界社会フォーラム開催中に配布された独立メディア機関=インター・プレス・サービス発行「テラ・ヴィヴァ」1月28日号より】



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中国の反日デモをどう考えるべきか
                      K・S

 四月二日からはじまった中国の反日デモは、四月十七日の町村訪中を焦点にさらに拡大し、広東省東莞市では日系企業での大規模ストにまで発展しています。
 『かけはし』4月18日号の一面と二面に、中国の反日デモについて、平井氏と早野氏が、それぞれ論文を書いています。
 ふたつの論文は、中国の反日デモの拡大の原因を、何よりもアジア侵略の歴史を正当化し、排外主義的愛国主義を煽って憲法改悪と国連常任理事国入りを策動し、海外で「戦争をする国家」に突き進む日本帝国主義にあるとしています。そして、日本人民の国際主義的な、あるいは階級的な連帯行動を呼びかけています。日本プロレタリアートの基本的な立場が提起されていると思います。
 その上で、中国の反日行動の性格については、もう少し、積極的に評価すべきではないかと考えました。
 早野氏は、「いま中国で台頭しつつある民族主義や愛国主義は、帝国主義諸国に対する被抑圧民族のそれでもなく、周辺国のそれでもない。それは一党独裁と資本主義国家という党と国家の正統性を保証するためのものでしかない」と断じていますが、やや、一面的ではないでしょうか?
 平井氏は、「中国政府が反日闘争を社会的不満をそらす安全弁として利用している側面があることは否定できないが、われわれは日本の帝国主義的ナショナリズムと、中国や韓国のナショナリズムを同一線上に並べて批判することはできない」としています。まさにそう思います。
 中国政府が民衆の反日デモを外交内政上利用している側面や、民衆のイデオロギーに愛国主義的弱点があったとしても、中国民衆の大衆行動総体には帝国主義による過去と現在の侵略と搾取に対する怒りが渦巻いている感じます。TVニュースを見ても、三月の日本での国際反戦行動などとはケタ違いの民衆が参加しているようです。
 中国政府は、この間、日本へ戦後補償を求める民間の運動を弾圧さえしてきました。「いまや反日は反国家だ」とさえ言われていました。四月九日の北京デモは、中国政府が単純に弾圧しなかったというのではなく、政府権力はデモの天安門広場への流入を阻止し、反政府闘争に発展させないことで一杯一杯だったということではないでしょうか。
 『かけはし』3月21日号に、先駆社の劉宇凡氏が、「中国は帝国主義国家に程遠いが、純粋に従属国・半植民地になったわけでもない。経済的に見れば帝国主義に従属的な発展を脱しきれないが、中国は他の第三世界諸国にはない強力で集中した国家機構をもっている」と中国の現在の特徴を鋭く抉っています。この両方の側面を見る必要があるのです。中国民衆の反日デモには、反帝国主義闘争という側面が明白にあると思います。
 中国のプロレタリアートのたたかいは、帝国主義に対する愛国的要素を包摂しながら、次第に現在の「官僚とブルジョアジーの政府」に対するたたかいへと不可避に発展するのではないでしょうか? 反日デモの大衆行動は、中国の階級闘争の再興の端緒になっていくのでは、と期待します。日本における階級的な、国際連帯行動が求められていると思います。(4月17日)


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