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構造改革の現場から(2) 電通労組首都圏支部に聞く    かけはし2006.3.13号

労働者を地元に戻せ 単身赴任をやめろ
賃金・手当・年金の切り下げを許すな

NTT反リストラ裁判に勝利しよう

11万人を犠牲にしてNTTは1兆円もの「利益」をあげた

 NTTはトヨタ自動車とともに一兆円を超える経常利益を出している。この利益を生み出した根本にあるのが、規制緩和政策と一体となったリストラ合理化である。電電公社の民営化によってなされた十一万人リストラ、そしてそれに続く首都圏への広域強制配転など想像を超える労働者への攻撃がなされている。この大リストラ・合理化攻撃に対して裁判闘争を始め、真っ向から闘っている電通労組首都圏支部の六人の組合員にインタビューした。(編集部)

賃金カットか
広域強制配転か

――電電公社からNTTに民営化されたことによって何が起こりましたか。流れを教えてください。

A まずNTTが一九八五年に民営化になった時のスタイルは、完全民営化ではなかった。民営化によって何を始めたかと言えば、「意識改革」攻撃だ。アスク活動、QC活動等小集団活動が全職場で展開され「業務より小集団活動が優先」とばかりに連日行われた。「縄のれん」商売として接客・ワークトレーニング……当時民間でやってたものが次から次へと持ち込まれた。
 その後、事業部による収支の明確化ということで採算部門と不採算部門に分け、不採算部門であった情報案内104とか電報が切り捨てられた。そこから、労働者の振り分けが始まった。毎年と言っていいほど組織整備・再編を繰り返し「余剰人員」のあぶり出し・配置転換が広範にやられた。希望退職が何度も募集され、多くの労働者が職場を去っていった。
 NTTにとって完全民営化に向けて準備をするということは、時代的背景で言えば国際競争化時代であり、通信事業を国際競争の中で勝ち抜く体制とシステムを作ることであった。そのために旧来の大量採用時代の労働者を切り捨てた。
 一九九九年に日本で戦後始めて、純粋持ち株制度の会社ができ、NTTを四分割した。NTT持ち株会社、東日本、西日本の地域会社、長距離会社のNTTコミュニケーション。会社のグループ運営の中で、株主としての純粋持ち株会社と事業体という相互関係のもとで、それぞれの会社が作られてきた。
 そこで大規模な攻撃が始まり、その第一波が十一万人リストラの問題だ。

B その対象は五十歳以上の労働者で、電電公社の大量採用時代の労働者だ。成長しない部門=固定電話部門に働く圧倒的に多くの中高年労働者に攻撃を加えたことであった。非常に手が込んでいるというのは整理解雇とかはせずに、労働条件を切り下げていく、しかもこれを法の網の目をかいくぐって周到に計画した。
 当時五十一歳以上のすべての労働者が最大賃金を三割カットされて、新たな子会社に再雇用されるのか、就業規則には六十歳定年制があるが、そうではない新たな概念として「満了型」を作り出した。市場性の高いところで自分の業績を上げるために働くと言う「全国流動型」で、どこでも配転させられてもいいという概念だ。退職再雇用の人たちは賃金は最大三割カットされるけれども、いままでやった仕事をそのまま続け地元に残れる。

F 十一万リストラ反対で闘ったのが電通労組などの少数組合だ。多数組合は「このままいったらNTTは赤字倒産の危機だ」と言って労働者に選択をせまりリストラを認めた。第一次では約千人くらいの労働者が退職再雇用を拒否した。翌年に、リファイン攻撃があって、そのとき持ち出したのが「満了型選択者に再選択の機会を与える」ということをやって切り崩し攻撃をかけてきた。広域配転・単身赴任で独身寮に押し込め、今までやってこなかった仕事につけて責任を押しつける。精神的に参らせることだな。それで東京に不当配転された人が大分落ちてしまった。すでに今年で四回目の雇用選択だ。

――なぜ、NTTは「満了型」を選んだ労働者を東京・神奈川へ強制広域配転したのですか。移ってきた東京・神奈川の職場ではどんな状況ですか。

A 同じ職場の中に、賃金を三割カットされた労働者とこれまで通り賃金をもらっている労働者の存在があれば、賃金をカットされた労働者にはものすごい不満が生まれる。その怒りは当然それを合意したNTTとNTT労組に向かう。だから、六十歳定年まで働くことを選択した労働者については、いままでいた職場からはずさなければならなかった。はずすために、会社がとった手段が東京において、光IPプロジェクト(PT)なり情報システム体系化推進PTというのを作った。それを作って職場から引き離さない限り、次の年、労働者に選択をせまった時に、「なんだ満了型を選んでも今までどうりじゃないか!」となって退職再雇用攻撃が頓挫するので、会社はどうにかして構造改革の正当性を裏付けるために、全国配転を実施した。これが東京センターの問題だ。
 第一期東京センターは、当初四十代はいなかった。満了型の選択をした労働者と労務管理部門というへんてこな職場構造だった。職場の中に、五十一歳以上の人しかいない。後は管理する人間だけだ。

C それは正確ではない。北千住には、第一グループといって、セットマーケティングをやる部門があった。そこが、五十歳以下の人たちの職場だった。これが二十人ぐらいいた。セットマーケティングだから業績もあがらない。その結果、去年の春に初台に移った。

A PT(プロジェクトチーム)には、東日本から満了型を選択した人が集められた。成増、北千住、金町だ。そこに来ている人たちは電通労組だったり通信労組だったり、N関労の組合員だったり、NTT労組の人だったりする。NTT労組であってもこの攻撃を許せない人や、三割カットされたら生活が成り立たない人などいろんな事情をみんな抱えている。

B 営業系の職場は成増と北千住にくくられた。また設備系は社内システムが全国に三百くらいあるのを、百なりに統廃合してコスト削減をはかる職場という形で金町につくられた。
 去年の七月にきた人たちは会社の統廃合問題の結果はじき飛ばされた。かつて会社は退職再雇用制度を導入するために、アウトソーシングのための会社を作った。その子会社は設備会社、営業の会社、総務系の会社というかたちで三つに分けた。だが三つの会社を作ったがやってみると採算が合わないとして今度はそれを統合した。かつ本体に残っていた業務も九〇%をアウトソーシングした。介護とか育児の問題とか抱えていたから、地元に残った人たちも全部アウトソーシングするから仕事がなくなる。その結果、その人たちを仕事ないんだからといって去年の七月に関東に配転した。

退職に追い込む
ための東京転勤

――配転先の職場は「隔離され、いじめの職場」のようになっているのですか。

C まずほとんどの人間が、営業経験者ではないということだ。しかも電話関係の「正式」の営業グループが固定電話三回線以上の会社には全部張りついている。私の営業というのは実は、NTTがいままで営業をやったことがなかった個人宅と小さい事業所をやれということなのです。リストもないから、当然業績が上がらないわけですよ。ただひたすら訪問、「こんちわ、こんちわ」、後はチラシを郵便受けに入れてくる。これだけの汗と根性の営業にたたきこまれた。
 これに対して本当の営業、企業相手の経験者は「こんな営業では業績は絶対上がらないから、これはやめるべきだ」と意見書を提出した。この人もD評価を受ける仕末だった。その人はもう会社の言うことは聞かない、おれは自分の範囲でやるからと頭にきていた。

A なぜ全国各地から集まって、個別訪問という押売りみたいなことを、やらせるのかには背景がある。こういう職場にいる人たちも含めて、みんな成果主義賃金だ。それが売上げ高によって、評価をされる。いまCさんが言ったように、いままでやったことがない人が一軒一軒歩いても、砂漠の中から一本の釘を捜すような世界だ。それくらい東京はいろんな業者が入りこんでいる。
 結局、隔離されたセンターの中で、最もD評価が出ている。しかも満了型を選択した人が集められている職場では、多いところでは四割ぐらいでた。D評価は「NTTが期待した要求を下回る」ということが基準にされている。D評価はボーナスが四分の一カットされる。いままで経験したことのない仕事をやって、半年過ぎれば評価が下される。その結果、どんどんD評価が生み出されてくる。この仕事は自分が地べたをはいつくばるようにいくらがんばろうが、そんなに簡単に売れるものではない。インターホーンを鳴らして怒鳴られたり、挙動不審で警察を呼ばれたりいろんなことが起きている。
 長期病休者とか、かなりの人数がいる勁腕障害の罹病者で満了型を選択した人、そういう人たちは、健康管理区分というもがあって「外に出れない」ということなっていた。しかし今は医者の診断書を出しても産業医はGOサインを出す。それで会社は「あなたの仕事は外販活動だ」と。外販に出ないと何で出ないとつめられる。それでも出なければ、業務用パソコンだって立ち上げさせない。完全無視する。精神的に追い詰めていくと言うことだな。
 私は寮からセンターまで一時間かかり、センターから片道一時間三十分かかって担当エリアに到着する。東京の端から端まで行っている。一日一万歩から二万歩歩く。そのエリアは電話局がどんとあって、もうすでにJコム(ケーブル会社)のケーブルが町中に張り巡らされている。そこへ行ってポストに宣伝チラシを入れても、戸別訪問してもまず申し込みはない。

C うちの組合員にも攻撃があったな。パソコンを立ち上げると後ろに管理者が回って監視する。「ばかやろう!」などの暴言や携帯に電話が来るとそばによってきて話を盗み聞きしようとする。いわゆるパワハラだ。団交やストライキなどいろんな闘いをやってパワハラ管理者追放の闘いをやってふっとばした。一番喜んだのは一緒に働いていた労働者だったな!

B 入りこむ余地がないという問題でいえば、NTTの中に本体の営業部門もあるし、OS(外注会社)でも営業をやっているし、NTTのグループの中でも営業をやっている。Bフレッツというものを買ってもらうためにこのような狭間でPTの人たちは営業させられている。そこで成果が上がらなければ、D評価だというかたちでやられている。

D 受注の確立は〇・一%といわれている。千人にあたれば一人取れると言う確立。Bフレッツと光電話を売って、お客様から戸立てだと月七千円くらいとれる。マンションだったら三千五百円くらい。費用対効果から言えば全くあわない。実質営業できる時間なんて三時間もない。
 二十三区に配転されたら、都市手当が二万六千円でて、帰郷実費といって一年で十四回帰郷するための旅費が出る。北海道は飛行機代が出る。それぐらいカネ払う。単身手当といって月三万円、そういうカネをかけて、Bフレッツなどを売らせるのだから、ものすごい損を承知の上でやらせている。地元でも同じような仕事があるのに!
B 「満了型を選んだ人には、高収入を得るエリアでがんばってもらって会社のために働いてもらう」と言いながら、単身赴任手当、帰郷実費、都市手当とものすごい人件費を使っている。しかし、やっていることは隔離して、退職再雇用を選んだ労働者と分断する。それがねらいなのだ。それがいやならやめろということだ。

契約の受注率は
〇・一%ぐらい

D 担当させられるエリアだって、しぼられた残り粕だ。住民が増えていくという町でもない。一人一人の目標数値が出されるがとてもじゃないが上回ってとることはむずかしい。

A さっき言ったような背景に成果主義があって、ものすごい精神的プレッシャーになる。私が前にいた機械屋の職場では、人為故障さえ起こさなければDなんて絶対になかった。ところが営業と言うのは数値で見られる。一日四十件以上インターホンを押して、話ができるのは数人。何人と商品説明を行ったのか、受注が何件という具合になにからなにまで管理されている。管理された上に、どれだけ売ったかで評価が決まってくる。評価はブラックボックスの要素が濃く恣意的部分が相当ある。
 D評価を受けることは精神的に非常に痛めつけられる。あなたは六カ月働いたけれども、何も会社の業績に貢献しない労働者だとレッテル張られる。努力は絶対見ず、結果だけでやられるからな。

D 一般的に営業職というものが、一人前になるには、三年かかると教えられてきた。営業を知らない人も研修センターで一カ月の研修期間だけで配置される。おれが一番ひどいと思ったのは言葉が分かっても、営業の専門用語がバタバタ出てくるし、それが客と会社でどう処理していいのか分からない。できないのは当たり前だという開き直りとやってみようかというやけっぱちがあれば、スムーズに入っていけるだろうが、自分のプライドがじゃまして覚えるのがたいへんだ。

A 私のいる職場では、D評価を受けて血圧が上がりそれ以降下がらない人がいる。病院にいって降下剤を飲んでも二百から落ちていかない。D評価を出し、それを口実に会社が(JR西日本の)日勤教育みたいなものをやる。課長とか主査があれやこれやと指導する。自分で外に出るかそれとも何やられてもいいからと耐えるしかない。そうすると人間は明るさがなくなる。皆が「NTTですって」と言った場合、友好的に来るかは別だ。ピンポン(インターホーンの音)二回やって、玄関に出てきてくそみそに叱られる。「なんだこらっー。うるせえぞ」と言うのがあるわけだ。そういうのを含めて隔離・いじめが陰湿になっている。

B おれんとこの職場は設備系の職場だけど、ちょっと営業系と違ったやり方がされている。前に社内システムを統合するという話をしましたけれど、業務上必要なので全国からスキルのあるやつを集めたんだと後付けて、適当なことを会社は裁判の中で言っている。例えば、専用線で開通したのに故障したりすると使うシステムを五十歳前まで扱っていた人をグループに入れて、あたかもシステムを知っているからこの人を仙台から持ってきたんだと。〇三年の四月に集めて三週間だけの訓練をやってそれでやれと。行ってみたら何も仕事がなくて、みんな手さぐりで一年間やった。
 だから、何も成果もあがらなかった。今年で四年目になるんですが、営業職場と違うのは裁判対策だと思うが若い人たちを適当に配置されている。二十代後半から四十代とある程度システムを知っている連中を集めて、これは隔離職場ではないよという感じの形で、コア部分と外に満了型を選択した人を集めて、あたかも不当労働行為で配転させた職場ではないよ、業務上必要だと体面をとっている。いまはほとんど仕事がなくて、次の仕事を捜している状態だ。でも一年は維持するということだ。

D Bフレッツは平均五回線を営業目標にしている。一と二回線の分かれ目がDとCか。

F いや、違う。十五回線とる人がいれば、七回線とってもD評価になってしまう。おれらはそういう評価はおかしいといっている。

E 三割カットなのに退職に応じるのは、私のように田舎の長男だったり、親の面倒をみなければならないため、離れられない人たちが勤めを続けるために選択する人が多い。えらくなる人は定期的に移動しないとえらくなれない。われわれみたいに一個所に落ち着いてるということはえらくなるという意識がないというか、離れられない人がいて、転勤強制となってくると早期退職に応じざるを得ないという背景がある。
 残った人たちを会社は遊ばせておけるような人数になったからだ。BフレッツはNTTでは戸建ての家で六千円から七千円くらいかかる。野村総研を使って調べたのがあって、四〜五千円くらいが値ごろ感であることが分かっている。六〜七千円とったんでは商売にはならないというのは分かってはいる。
 経験の伝達が全然ないにもかかわらず、それをやらせる。半分以上は留守、残りはほとんどピンポンで断られる。一軒ぐらいが話になればいいほうだ。八軒か九軒はきたというあかしに何か入れるべきかなと思った。ようするにポスティングなんです。
 受注は〇・一%ぐらいしかとれない。そうすると、ひたすら数をまく。マンションでいいところだと一%ぐらいの受注率だ。戸建ての家千軒をピンポンやって回るのと、マンションポストティングだと百軒回って一軒の受注がある。売れないのは自分に責任があるのではなくて、値段が問題ではないのかと課長に言ったら、課長も「そうです」と言っていた。

――単身赴任の問題点はなんですか。

B 一週間くらい前に、三十八歳の労働者がくも膜下出血で寮の中で死ぬという事件が起きた。大手町に全国のNTTのネットワークを監視しているオペレーションセンターがあるが、それが埼玉副都心に移転した。彼は横浜から大手町に通っていたのだけれども、通えないということで大宮の一つ先の宮原の寮に家族を横浜に残し、単身赴任という形で入った。頭が痛いと前から言っていて、病院にもいったが分からないということで、MRIなどできちっと検査した方がいいといわれた。だがなかなか検査もできずに、亡くなる前々日に仙台に一泊二日で出張に行っている。仕事が忙しく過労になっていた。
 朝、寮の中で見たという人がいる。会社としては朝来ないんでどうしたんだろうということで、夜になって管理者と寮管が部屋に入るとうつ伏せになって亡くなっていたと。彼が横浜から通っていればこの事態は防ぐことができた。単身赴任の怖さを表わす事件だった。自分らの組合の組合員ではないけれど、会社の管理責任の問題とか労働者の健康管理の問題も含めて申し入れをしてこの問題について会社の責任を追及する。若い人たちだけでなくて、単身赴任とか独身寮に入っているすべての人たちにかかわる問題としてあるので見捨てて置けない。

裁判の中で主張
を変えるNTT

――強制配転に対する裁判を起こしていますが、何が争点で、どのように進んでいますか。

A 全国流動型という定義づけをされて市場のあるところに、会社は人事権を使って配転した。一番の大きな問題は業務上必要があるのかどうかだ。満了型選択者だけが業務上の必要性が生み出されるわけではない。東京に会社でやる仕事があれば、満了型だけを全国から集める必要はない。それがまずおかしい。労働者はそれぞれの地域にいて、ずっと同じ仕事をしてきた。そういう仕事がないかといえばある。三割カットに応じればそうした仕事を続けさせているということは仕事はあるということだ。選択すれば業務上の必要性が生まれるというのが問題。
 だから強制配転に対する裁判を起こした。労働者にとってみれば、仕事が変わる、しかも不慣れなやったこともない営業にもっていかれるという不安感と自分がまったく経験のない東京の中で、営業活動をやるという問題。
 あともう一つは、自分たちの家族の問題。組合員の中には、面倒を見なければならない家族がいる。そういうことはまったく配慮されない。それに対して、業務上の必要性の問題といいながら、裁判では原告団が持っている一人一人の家庭状況とかをつき出してくる。

B 会社は光回線を二〇一三年までに三千万回線を獲得する目標を立てて、そのためには活動する人が必要だいう。一方、設備系の職場ではコスト削減をすると。人が必要だということで当初は余人に変え難い人たちを集めた。裁判でわれわれが矛盾点を突いていくなかで、会社は基本的なコアの作業については、システム経験者とかを中心にやってきたので、われわれ五十歳以上の部分に対しては、それを手伝いする程度の能力でいいとか、業務力があればいいんだと裁判の中で言い換え始めている。そうであれば業務上必要なのは前にいた職場ではないかと三月八日の原告の証人尋問では追及していきたい。
 二つ目は単身赴任をほとんど強制させられているわけだけれども、われわれが働いているのは生活を維持するために働いている。職業生活と家庭生活が一体でなければならないのが基本だ。会社は単身赴任はありうるし当然なんだ、そうしたことを経験してもらって収益に貢献してもらうと主張する。いまの社会のなかで、単身赴任と転職はキャリアをつませて幹部候補を育てていくということをいう。
 われわれは五十歳まで三十年間、同じ地域で同じ職場でまっとうしてきた組合員が圧倒的だ。それをわざわざ転勤させること自体が不当なことだ。東和ペイントの裁判では労働者側が負けている。それを変えるような判決を引きだそうと裁判を展開している。
 三つ目に、五十歳の退職再雇用制度そのものが、違法な形でやられている。就業規則には六十歳定年というのがある。それにもかかわらず雇用選択をさせるのに、社長が部長とか支店長とかに出す社長達(たつ)という命令があるがそれで出す。それで就業規則で決められたものを変更するのは違法だ。一回退職をさせて、自分で選択したんだと、会社責任ではないという形で労働者に押しつけるやり方。会社が変わったら労働条件もいっしょについていくというのが本来の姿だ。それをいったん退職をさせ、三割カットで雇うというのは脱法だ。こういうやり方の違法性を裁判の中できちんと訴えていく。
 四つ目としては、公共サービスの問題として、きちんとしたとらえ方を持たなければならない。究極的なことを言えば、公共サービスの問題は国営化の問題、民営化・規制緩和の問題、公務労働の問題。全員を地元に戻すための闘いと同時にやっていきたい。大内委員長が総括的なところを、去年の夏にやった。その後、いま設備系の職場の会社側の証人尋問をやった。三月八日に原告側四人の証人尋問がある。この後、営業部門の四人の会社側と原告側をやって、最終陳述をやって結審になる。今年には裁判は終わる。

D 正確に言えば、三割カットは東北の場合であって、一五〜三〇%だ。県によって違う。

B 今年も千葉であった。こういう状態だったらみんなで満了型を選ぼうと言い出しついに百人ぐらいの人が満了型を選んだ。会社はそれを一カ月かけてつぶしにかかった。一月三十一日までにどっちを選ぶか提出する期限になっている。十二月から一月末にかけてつぶしにかかる。その百人に対して、前は東京とかに働く場所を作ったけど、今度は北海道・東北に作るよ、それでもいいのか、とおどしていく。百人くらいのところが三十人くらいに減った。N関労といっしょに闘っている五十歳以下の労働者がけっこういて、満了型でもがんばろうとやっている。しかし、NTTも執拗につぶしにかかっている。

賃金体系見直し
と会社のねらい


――「成果・業績重視の処遇体系見直し」最終案が提案されているようですが、その中味はどんなものですか。

A NTTで「成果・業績重視の処遇体系見直し」が導入されて、今回最終案というのは何を意図しているかいうと、賃金の中の年齢賃金は名前の通り、会社に入り年齢が積み重なるように上がる。従来の年功序列型賃金のさえたるものだと会社の定義付けがある。今回の見直しは年齢賃金の八分の三を手当化してしまう。手当にすることによって何が起きるかと言えば、特別手当の算出根拠から八分の三がはずされる。退職金の積み立てのところからもはずされる。しかも手当というのはあくまでも基準外だから会社の都合によってこの手当を削減するとできる。例えば北海道・東北では寒冷地手当がなくなった。全国の政令指定都市にローカル指定手当が支給されていた。それもなくなった。
 もう一つ導入してきているのが、評価期間の短縮。六カ月ごとに評価する。あとは降給。D評価をとれば半年ごとに賃金が減っていく。D評価されると一回につき二千六百五十円下がる。年間の総合評価でDであれば当然さがる。これも今回の処遇体系の見直しでだされてきた。
 あとは扶養手当。扶養手当は基準内賃金だ。ボーナスの算出根拠に含まれる。それを基準外にしてしまう。そのことによって何が見えるかというと、OS会社の賃金体系の中にはNTTの基準外は入っていない。それに合ってくる。扶養手当は基準外にしているから、基準内賃金の構造は同じくなる。NTTの賃金構造は手当ベースがふくらんでいる。実際的にそのへんを計算してみると、会社が意図しているのは将来的には成果主義を徹底化させるということだ。
 この成果主義の問題は労働者の賃金が会社の評価によって変動することだ。労働者は計画的に生活を立てることができない。いままでは、四十歳ではいくらもらえるか見えるんだけれども、見えない。長期病気になったらどんどん下がっていくのだから、生活設計ができなくなるようになっている。扶養手当は基準外化しながら存続はする。多少ふくらんではいるけれども、ボーナスになると減ってしまう。一万八千の手当円だとボーナス四・四カ月で一万八千円かける四・四カ月の七万九千円が減ってしまう。そういう仕組みになっている。

通信労組や他
労組との関係


――NTTは企業年金改悪をやろうとしているようですが。

A まず、なんといっても反リストラ裁判、成果主義賃金の問題などあるが、企業年金問題が浮かび上がっている。NTTを退職して企業年金をもらっている人たちにも攻撃がかけられている。年金受給者に対して、「NTTは赤字に転落するから、安心・安定した制度に変えなければならない」という主張のもとに、NTT労使が年金自給権者(年金を受ける権利はあるがまだもらっていない人)に対してかけている攻撃だ。その人たちの年金受給額を八五%に減額する。先日、このNTTの方針を厚生労働省が却下した。
 財界はこういう規制があるのはおかしいと騒いでいる。年金についても企業と労働組合が合意した内容についてはやっていいのではないか。国は関係ないと。
 NTT労組は「将来の企業年金財政にリスクを残さないための取り組みを無視するもので不当だ」と会社に申し入れするという。裏を返せば行政訴訟を起こせということだ。年金受給権者で裁判起こした人たちがいるが、これに対抗してNTTが行政訴訟を起こすというような動きになっている。
 これに対しても反対したのは、通信労組をはじめとする反対派の労働組合だ。後は年金に同意しない人たち。これは勝てる闘いだと思っている。
 NTTは労働者に分配をしてきたものを全て削減しようとする。福利厚生からはじまって、四十五歳になったら社宅を出なければいけない。五十一歳で退職再雇用があってという企業独自の世界を作り始めている。もっとえげつない攻撃がOS労働者にくるのではないかと当然予想される。そこにNTT労使の経営協議会のすさまじい攻撃の姿がある。

――通信労組、NTT関連合同労組との関係はどうなっていますか。また、NTT労組をどう見ていますか。

A 少数派組合はNTT内に五つある。一番大きいところからいくと通信労組、三年前にできたのがNTT関連合同労組(N関労)、これは東会社と西会社にあり協議体をつくっている。電通労組と大阪電通合同労組、四国電通合同労組、この三者で電通労組全国協議会を結成している。この間やってきているのは、通信労組との関係では二〇〇〇年の十一月二日に、人間の鎖行動をいっしょに闘った。全労連・通信労組と全労協・電通労組が現場共闘をやって全体で千二百人が集まった。人間の鎖行動で電通労組は全国結集すると、そのことがきっかけでN関労に結集する部分も集まった。
 通信労組とは友好的な関係ができている。厚生年金の代議員選挙があったが、全国の反対派五グループが通信労組の統一候補を推し当選させた。それが非常に「えーっ」という感じでみんなビックリした。その後も年金の代議員選挙で通信労組を推して、これもおしいことに千五百票差まで肉薄した。
 N関労とは共同行動を摘み重ねていこうと思っている。NTT内の少数組合が共同闘争を積み重ね大きな反リストラ、成果主義反対闘争など作り出していけるのかは重要である。今度の春闘の中でも、できる所ではエールの交換なり、集会ができるなら集会をやるというふうにチャレンジをしたい。不当配転された職場の中では、通信労組、N関労、われわれとの関係は非常に友好だ。NTT労組をやめた人もかなりいる。この人たちとも仲はいい。

B 去年、五十歳選択にからむ問題でNTT労組が全然相談にのってくれないということで、青森の電通労組に二人のNTT労組の組合員が相談に来た。それに対してNTT労組から除名処分が出された。それでいま裁判をやっている。二〇〇二年七月、NTT労組の脱退届けを出した人に調査委員会で「やめるな」と査問され、最終的には大会で除名された。それに対して「おかしい。脱退というのは自由でしょ」と宮城で裁判をやって勝った。その後、うちの組合に入った。この裁判で勝ったので「未加入でもがんばれるんだ、やれるんだ」とNTT労組を脱退する人に影響を与えた。

A NTT組合処分裁判は労働組合とは何なのかを問うている。規約的にどうのこうのではなくて、ふたりとも雇用選択をせまられた。ひとりは満了型、もうひとりは退職再雇用を選んだけれども、そうした選択を強制される彼氏、彼女らの苦しみがある。そこで労働組合を脱退すると除名処分がくる。それは人格権を傷つけるものだ。労使一体となって攻撃してくるのに、なぜ労働者は組合脱退ができないのか。それは後ろに会社がいるからですよ。つまり企業は解雇までできるわけでしょ。NTT労組は会社の先兵になっている。ごく当たり前に労働組合を選ぶ権利があると訴えながらこの問題に取り組んでいる。

――電通労組はNTT問題だけでなく、昨年郵政民営化反対闘争や反グローバリゼーションの闘いでのATTACへの参加、反戦活動などを積極的に担っていますが、その点での取り組みについてはどうですか。また、首都圏に出てきて、宮城や福島の運動との違いはありますか。

B 企業の中での活動は限界がある。地域、社会、市民運動とつながって運動を展開していかなければ、社会も変わらないし労働組合もかわらない。おれら自身の運動も広がっていかない。
 電通労組はこの二十五年間ずっとそうして運動をやってきた。その延長線として首都圏でもやっているのであって、ここにきたから闘いをやっているのではなくて、宮城にいる人も福島にいる人もみんなそうした立場をもって組合運動をやってきている。争議を抱えた闘いに対する支援にしても、当然自分たちの問題としてとらえて展開している。
 ATTACの運動を含めて新自由主義グローバリゼーションがNTTのリストラを含めて問題があるという認識からWTOの問題でも対抗行動に参加してきた。世界の運動、グローバルな運動とローカルの運動をつなぎながら、グローバルな運動から学んでローカルな闘いを展開していく。ローカルな闘いを今度はグローバルな運動につなげていく闘いとして自分たちは運動している。

――長いあいだ、ありがとうございました。ともにがんばりましょう。(発言要旨、文責編集部)


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