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                           かけはし2009.4.13号

七生養護「こころとからだの学習」裁判で画期的勝利判決

都教委・右翼都議・産経の教育介入は不当


石原都政に痛打
を浴びせる闘い


 三月十二日、東京地裁民事第24部は、二〇〇三年七月、古賀俊昭、田代博嗣、土屋敬之の三都議、都教育委員会、産経新聞社が一体となって東京都立七生養護学校(現・都立七生特別支援学校)の性教育への不当な介入・支配を強行したことに対し、二十九人の教員と二人の保護者が原告となった七生養護学校「こころとからだの学習」裁判で都と都議三人に計二百十万円の賠償を命じた。
 この勝利判決は、石原都知事、都教委への大きな痛打を与えた。さらに、石原別働隊であり、「都議会三羽烏」と自慢しジェンダーフリー攻撃と家父長制強化、「日の丸・君が代」強制、天皇制と侵略戦争賛美の「新しい歴史をつくる会」教科書採用圧力、治安弾圧煽動などを先頭になって展開してきた古賀(自民党。日本の家庭を守る議員連盟会長、日本会議地方議員副会長)、田代(自民党。古賀とのコンビで石原都政のサポート役などと自認)、土屋(民主党。西村修平の主宰する「主権回復をめざす会」と共同行動。「教育再生地方議員百人と市民の会」東京支部理事。板橋高校卒業式でっち上げ事件首謀者)に対する大きな打撃を与えた。

性教育への理解
を欠いた誹謗

 判決は、以下のように三都議と都教委を批判している。
 第一は、三都議が二〇〇三年七月に七生養護学校を訪れ、七生性教育を「不適切」と決め付け、養護教諭らを「感覚がまひしてる」などと非難したことを「政治家である被告都議らがその政治的な主義、信条に基づき、本件養護学校の性教育に介入・干渉するものであり、本件養護学校における教育の自主性を阻害しこれを歪める危険のある行為として、旧教基法10条1項の『不当な支配』に当たる」と認定した。
 同校では知的障がいのある子どもたちに向けた「性教育」を保護者も含めた論議、研究、そして子どもたちと真正面から向き合いながら粘り強く授業を積み上げていた。その成果としてさまざまな性教育教材を生みだしてきたのである。また、子どもたちが理解しやすいようにと体の呼び名を歌にして学習を深めていた。
 ところが三都議は、教諭たちが「障がいがある子どもは具体的にイメージできる教材でなければ理解できない」との訴えをしていたにもかかわらず、高圧的に「こういう教材を使うのは、おかしいとは思わないのか」などと人格否定と罵倒を繰り返したあげく、百点以上の教材を「没収」と称して強奪してしまった。
 都教委は都議らのどう喝が強行される前までは、七生性教育をなんら問題化することはなかった。それよりも七生性教育を共有化するための研究会も行っていた。判決も指摘しているように「授業を評価していた」のである。裁判では被告らの身勝手でいいかげんな教育方針、性教育に関する無知識が明らかとなり、判決で「授業は子どもの発達段階に応じていない」と主張した被告側主張を退けたことは当然であった。
 さらに判決は、被告らを諭すがごとく性教育に対する姿勢論を展開している。性教育は、「教授法に関する歴史も浅く、創意工夫を重ねながら、実践実例が蓄積されて教授法が発展していくという面があり、教育内容の適否を短期間のうちに判定するのは、容易ではない。しかも、いったん、性教育の内容が不適切であるとして教員に対する制裁的扱いがされれば、それらの教員を萎縮させ、創意工夫による教育実践の開発がされなくなり、性教育の発展が阻害されることにもなりかねない。性教育の内容の不適切を理由に教員に制裁的取扱をする場合には、このような点についての配慮が求められる」と述べ、三都議、都教委の希薄な性教育理解と人権破壊行為を厳しく批判したのである。
 そのうえで原告らに対して行った都教委の「厳重注意」に対して「一種の制裁的行為である」と批判し、「教育内容を理由として制裁的扱いをするには、事前の研修や助言・指導を行うなど慎重な手続きを行うべきもの」と結論づけたのである。
 第二は、都教委に対しては、「被告都議らの視察に同行した被告都教委の職員らには、このような被告都議らによる『不当な支配』から本件養護学校の個々の教員を保護する義務があった」。すなわち都議の「不当な支配」から「本件養護学校の個々の教員を保護する義務があった」と認定したのである。それを「保護義務違反」と明記し、「被告都教委の行為は、社会通念上著しく妥当性を欠き、裁量権を濫用したものとして、国家賠償法上違法」と断罪したのである。

居直り続ける
被告とメディア

 判決に対して、古賀、田代、土屋都議は連名で「なんら違法性はないものと、確信している。私たちの視察と指摘によって、東京都の過激性教育が大きく改善された意義は大きい」などと居直り、強がりポーズが精一杯だ。大原正行教育長は「原告の一部の主張が認められたのは、大変遺憾なこと。判決内容を確認して、対応を検討していく」などと苦しい官僚答弁で逃げ切ろうとしている。被告らは、判決を真摯に受け止め、猛省していくこと、そして不当な控訴をやめることが教育に関与する者の姿勢ではないか。しかし、判決に対するコメントだけでも、そのような姿勢はまったくみられない。
 これだけではない。次々と応援団が公然と現れだしたのだ。七生裁判の第二ステージを支援・連帯していくためにも、以下のような反動勢力の存在と主張を掌握し、反撃していかなければならない。
 石原慎太郎知事は、七生性教育教材に対して「グロテスク。それを障害者の人たちに教えて何の性教育になるのか。独善だと思う」などとむき出しの差別主義を前面に押し出し地裁判決を批判した。
 塩谷立文科相は、「いろいろ不当な行為などと言われているが、もう少し実態を把握していかなければならない。実際にどのような性教育が行われていたか。基本的には保護者や関係者の了解の下に行われることになっているので、そういったこと(了解)があったかどうか。また、都議会側が個人の立場なのか、議会としてそういった意見を踏まえてそういう行為に至ったのか、そのへんはっきり把握してない。控訴するのかどうか、そういったことも含め、実態を踏まえた上で何かすべきことがあれば、そこで検討したい」と中立的ポーズをとりながらも被告らを防衛する本音がみえみえだ。
 読売新聞は、「過激な授業は放置できない」(3月16日)という見出しで「性器の付いた人形の使用まで必要なのか、首をかしげる人は多いのではないか」と主張。
 同様に産経新聞も「性教育 過激な内容正すのは当然」(3月14日)などという応援見出しで「同校の当時の性教育には保護者の一部からも批判が寄せられていた。学校の授業は外部の目に触れにくく、独りよがりの授業がなかなか改善されない。保護者や地域の人々が教育内容を知り、不適切な内容に改善を求めるのは『不当介入』ではない」とトーンを高めている。
 世界日報は、「性教育判決/過激な授業は一掃すべきだ」(3月18日)という攻撃煽動の見出しを掲げ、以下のように三都議など反動勢力の主張を代弁している。
 「大人の男女の裸の人形や注射器付き射精キットなど同校 の性教育教材は、一般常識から 言って破廉恥なものである。『こういう教材を使うのはおかしいと思わないのか』、『感覚が麻痺している』といった発言を政治的な主義、信条と判断するのは不自然である」。
 「『人間と性』教育研究協議会(性教協)など過激な性教育を進める団体は、九〇年代半ば頃から同校でこうした性教育教材を次々に備えてきた。過激な性教育を進める重要拠点校の役割を果たしており、都教委によるそうした指導を聞き入れるような状況になかったと言われる」。
 「子供たちは、『からだうた』という身体部位の名称が露骨に使われている歌を歌わせられてきた。保護者からも疑問の声が上がっていた。知的障害児が過激な性教育の実験台となっていたと言える。ちぐはぐな同判決の問題を認識し、過激な性教育一掃の動きを後退させてはならない」。
 世界日報は、世界基督教統一神霊教会系列の広報紙だ。家族主義と家父長制の強化、ジェンダーフリー攻撃をキャンペーンしている。

執拗な攻撃に
反撃し支援を

 このように反動勢力の主張は、いずれも権威主義的に性教育を見下し、保護者、子どもたちと誠実に対話しながら積み上げていくやり方とは程遠い。七生養護学校が協同作業で生みだしてきた「こころとからだの学習」を理解することはできないだろう。だからといって反動勢力の執拗な攻撃を過小評価せず、警戒しつつ反論していく必要がある。そのためにも七生養護学校「こころとからだの学習」裁判に連帯し、支援を強めていくことが求められている。
 なお都は三月二十三日、都議三人は二十五日、判決を不服として東京高裁に控訴した。   (遠山裕樹)


右翼の敵対をはねのけよう
「ミサイル迎撃」臨戦態勢に反対し防衛省へ抗議行動

  四月一日午後六時過ぎ、麻生政権が北朝鮮の「人工衛星」発射通告に対して発令した「弾道ミサイル破壊措置命令」という臨戦態勢に抗議して、PAC3部隊が配備された東京・市ヶ谷の防衛省前で緊急行動が行われた。呼びかけたのは、「『迎撃』名目のミサイル防衛発動を許すな!4・1防衛省行動実行委員会」で、埼玉、千葉、東京、そして浜松からも七十人が駆けつけた。
 仲間たちが集まった防衛省前では、「大日本愛国党」が黒塗りの大型宣伝カーを横付けし、自衛隊を「激励」し、「反日左翼」を罵倒して大音声でがなりたてる。仲間たちのアピールもほとんど聞きとれないほどだ。このような妨害をはねのけ、次々とこのMD(ミサイル防衛)実戦発動への抗議の訴えが行われた。
 パトリオットミサイルはいらない!習志野基地行動実行委員会の吉沢弘志さんの司会で、首都圏の運動から、山下修子さん(平和の声・行動ネットワーク[入間])、川元幸立さん(千葉県議)、池田五律さん(反安保・反自衛隊・反基地を闘う東京北部実)、杉原浩司さん(核とミサイル防衛にNO!キャンペーン)が、それぞれの地元の取り組みについて報告した。
 浜松から駆けつけたNO!AWACSの会の竹内康人さんは、怒りをこめて浜松基地から行われた東北への移送・配備を糾弾した。また辺野古実の木村雅夫さん、許すな!憲法改悪・市民連絡会の高田健さんもグアム移転協定反対、ソマリア「海賊派兵」反対の角度から、「米軍再編」の下で進行する改憲・戦争国家体制への動きと闘うよう呼びかけた。
 実行委員会の要請や、各地・各団体からの抗議・申し入れ文が防衛省の係官に手渡され、「MD臨戦態勢」への抗議のシュプレヒコールが響きわたった。今後、各地でも様々な抗議の取り組みが企画されている。(K)


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