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フランス地域圏選挙                  かけはし2010.4.12号

危機の中の混迷―サルコジは
拒絶されたがNPAも不振

 三月に行われたフランスの地域圏選挙ではサルコジ政権与党のUMPが惨敗し、フランス政治が不安定化を始めた。経済危機のツケを民衆に払わせる政策が拒絶されたのだ。しかし次の方向が鮮明となったわけでもない。それを表すようにこの選挙でのNPAの結果はかんばしくなかった。以下にこの選挙に対するNPAの総括と分析を紹介する。(「かけはし」編集部)

NPAの開票直後の宣言
確固としたサルコジ路線拒絶へ
次に社会的第3回投票の準備を

 今回の地域圏選挙の第一回投票から出て来る二つの主要な教訓は次のようなものである。

 ◆歴代の政権をにない、われわれの生活条件の悪化に責任を追わなければならない既成政党に対して、自分たちの否認をはっかりと伝えたいと青年、労働者、失業者の多くの部分は望んだが、これらの多数の人々が選択した棄権の広がりは広範なものであった。
 ◆大株主や最富裕層と結託している与党の右翼とサルコジは、危機のツケを多数の民衆に支払わせ、公共サービスと社会的既得権を破壊してきた。そのために、これらの勢力に対する有権者の拒絶の意識は強固であった。この拒絶は社会党とヨーロッパ・エコロジーの躍進を促進することになった。

 右翼に対するこの拒否があったために、二〇〇四年以来二十の地域圏を統治してきた社会党ならびにそれと同盟する勢力がその統治の総括について有権者からの制裁的投票を免れることができた。
 しかも、終わったばかりの第一回投票の選挙キャンペーンは、懸念されるような人種差別主義の噴出にむしばまれたものとなり、そこから極右のFN(国民戦線)が大きな利益を引き出すこととなった。
 われわれは、NPA(反資本主義新党)が擁立した候補者名簿あるいはNPAが参加した統一候補者名簿への支持を表明してくれた有権者に感謝する。たとえ一部の候補者名簿が有望な得票を獲得したように思われるとしても、全体としてのわれわれの得票は、期待はずれのものであった。われわれは、今後、これらの各地域の結果とその選挙結果の原因をより詳細に分析するつもりである。
 来週の日曜日の第二回投票に向けて、われわれは有権者に対して訴える。サルコジとUMP(国民運動連合)の候補者名簿に対して可能な最大限の敗北を与えることによって、第一回投票の結果を確固たるものにし、さらにそれをよりいっそう深めるようにすべきである、と。たとえわれわれが、将来多数派になる可能性がある左翼がこの間続けられてきたサルコジの政策に反対する砦にはもはやならないとみなしているとしても、右翼に制裁を与えることは絶対に必要である。しかしながら、それは、サルコジの政策を阻止するには十分ではないだろう。
 社会党政権下でのギリシャで現在進行している事態を想起すると、来るべき数週間以内に、事態が悪化しかねないだろう。危機のツケを払うなどというのは問題外だ! ギリシャの青年、労働者、失業者、定年退職者がしているように、社会的な第三回(投票)を準備しなければならない。
 三月二十三日は、定年退職、賃金、解雇禁止のための闘いの結集として、その第一段階にしなければならない。そして、右翼、経営者、銀行家に反対してわれわれが建設したいと望んでいる最も広範な統一とは、まさにこうした要求のもとにおいてなのである。
 2010年3月14日20時15分、パリ


地域圏選挙 政党別得票結果

社会党            29.5%
国民運動連合         26.3%
ヨーロッパ・エコロジー     12.5%
国民戦線           11.6%
左翼戦線(共産党+社会党左派) 6.1%
民主運動            4.3%
NPA             3.4%
労働者の闘争派         1.1%


左翼戦線とヨーロッパ・エコロジー
エコロジーと社会問題に背を向ける社会党への批判を表現

政治刷新願望
と環境的懸念

 地域圏選挙の第一回投票で、ヨーロッパ・エコロジーは、第二位の左翼政治勢力としての地位を確保し、左翼戦線(共産党と社会党左派の選挙ブロック)はようやく共産党の衰退を食い止めることができた。
 社会党の躍進が明白であるとしても、この点が左翼にとって地域圏選挙の唯一の教訓ではない。有権者は、ヨーロッパ・エコロジーに一二・四七%の得票を、左翼戦線には十七の地域圏で六・九五%の得票を与えた。左翼の有権者は、エコロジーや社会問題への不安に耳を傾けようとしない社会党に対して、この二つの政治勢力に票を投じることによって、エコロジーと社会問題への自らの関心を示したいと考えたのであった。ヨーロッパ・エコロジーへの票は欧州議会選挙で獲得した票よりも少なかったけれども、この勢力は選挙の面では第二位の左翼政治勢力としての位置を占めることとなった。
 この成功の原因はいくつか考えられる。まず第一には、それは、気候の危機から来る人類の未来に対する不安と本質的に結びついた、民衆の間のエコロジー問題への強い懸念である。たとえエコロジストとその同盟者たちの綱領が資本主義的生産モデルとの決別が賭けられているというレベルにおいて解答を持っていないとしても、それでもやはり、このグループは同時にどの勢力よりもエコロジーを体現していることに変りはないのである。
 エコロジー派は、同時に政界の刷新の願望をも結集している。もっとも、この点は現実とは合致してはいない。なぜなら、この政治潮流の主要指導者たちは、これまでの地域圏議会や一九九七年から二〇〇二年までの間の政権の中で、社会党と同盟して、体制内のゲームにどっぷりと浸かってきたからである。

対社会党関係
が結局難問に

 左翼戦線については、今回の選挙結果はこの間の情況からするとむしろ良好なものであった。前回の選挙と今回の選挙とを比較するのは困難である。なぜなら、二〇〇四年の選挙では、共産党は七つの地域圏で独自候補を擁立したのに対して、今回の選挙では共産党と社会党左派の選挙ブロックである左翼戦線が十七の地域圏で立候補したからである。だが、比較可能な二つの例を取り上げると、共産党は、イル・ドゥ・フランス(首都圏)で、オーヴェルニュで、そして(NPAにまで及ぶ広範な同盟が成立したにもかかわらず)リムーザンで票を失ったが、アキテンヌでは票を伸ばした。
 今回の地域圏選挙では、左翼戦線は平均で、欧州議会選挙の六・四五%に対して、六・九五%を獲得したが、選挙結果は大きなばらつきがあり、共産党の伝統的な拠点ではよい選挙結果を得ることができた。実は、下降曲線を覆して本当の力強い発展の力学を再び取り戻すことができていないながらも、社会党左派と同盟することによって、共産党はこれら二つの選挙で、一九八〇年代に続いていた衰退傾向を食い止めたのである。
 「(左翼戦線)の当選議員たちは、地域圏が与党の反社会的政策に対する盾となり、自由主義に対するオールターナティブの政策のための刷新の場となるようにするためにたえず活動するだろう」と三月十六日の共産党の『リュマニテ』紙は指摘した。このような主張は、共産党が社会党と同盟して、地域圏の圧倒的多数派の指導権を握った二〇〇四年にもすでに聞いた内容であるが、これは事実とはならなかったのであった。
 左翼戦線はさまざまな厄介な問題に直面している。ひとつは、社会党左派のジャン・リュック・メランションと共産党の指導者たちの間の指導権争いが大統領選挙に向けて次第に激化していくという問題である。さらには、社会党との関係の問題がある。装いを新たにした左翼連合政府に入ることによって、民衆の希望をしぼませてしまうリスクが非常に高いのである。
 そうであるにもかかわらず、われわれには、政治的展望について左翼戦線との討論を追求すると同時に、サルコジの政策をただちにやめさせるための共同の行動を行う用意があり、そうすることによって、まず何よりも定年退職者を防衛するための大衆動員の成功の道を切り拓いていくつもりである。(フレッド・ボラ)

NPAが引き出すべき総括
資本家の攻撃への有効な闘
いの提示が求められている

 後退の理由は大
量棄権ではない

 率直に言おう。NPA(反資本主義新党)が今回の選挙で得た結果はかんばしいものではない。われわれが候補者を擁立した二十一地域圏全部の平均得票率は三・四%である。NPAが左翼戦線と同盟を結んだ三つの地域圏を計算に入れなければ、得票率は、欧州議会選挙の時の四・九八%に対して、二・八五%である。
 これは、非常に大きな正味の減少である。バス・ノルマンディーでは五%に数十票足りなくて四・九九%であったとしても、われわれはこれら十八の地域圏で五%の壁を突破できなかった。左翼戦線と共同候補者リストを作成した三つの地域圏では得票結果は少しましである。とりわけ一三・一三%を獲得したリムーザンではそれが当てはまる。この地域では、社会党が受け入れがたい立場を取ったために、第二回投票でもこの共同候補リストが維持されることになろう。反対に、ペイ・ドゥ・ロワールでは、あと数十票が足りずに、五%に到達できなかったが、ここでも欧州議会選挙で得た得票率に比べるとかなりの減少であった。
 棄権は五三・六%のレベルにまでのぼり、とりわけ再び郊外の庶民地域に棄権が広がり、こうした地区では投票率の数値は三〇%を超えることはなかったし、多くの都市ではときとして投票率はそれよりもさらに低かった。しかしながら、二〇〇九年の欧州議会選挙では、棄権率は五九・三七%に達していたのである。前回の選挙から今回の選挙までで、たとえ二つの選挙で性格が異なるとはいえ、投票率は五・八%以上上昇しているのである。
 したがって、棄権によってわれわれの得票率の減少を説明することはできないだろう。NPAを筆頭とする十八地域圏の候補者名簿で、われわれは二十五万八千票を、すなわち二〇〇九年六月の得票のうちの三五%を、失ったのである。有権者の構成と構造に関する調査によって最初の教訓を導き出すことができる(とりわけCSAの調査を参照にすること)。今回の選挙では、NPAへの投票は革命派の古典的な有権者からのものであったように思われる。言いかえれば、われわれが地歩を失ったのはとりわけ労働者と勤め人たちであった。

NPAへの投票
の有益さ示せず

 これまでの選挙と比べてもうひとつの大きな変化は、われわれの有権者の男女の割合の大きな非対称であった。前回の選挙では完全に同じ割合であったのが、今回の地域圏選挙では、男六十五対女三十五であった。今回の女性のNPAへの投票のこの割合とNPAの候補者名簿の中にイスラム系のベールを被った女性が立候補し、彼女をメディアが集中的に報道したこととが関連していることは否定しがたい事実である。
 だが、以上の説明は、たとえそれが実際のものであるとしても、われわれの選挙結果の今回の弱さを説明したことにはならないだろう。それに、全体として、期待はずれになったのは社会党の左に位置する勢力の選挙結果全体なのである。革命派は全体としてとりわけ打撃を受けた。この秋の社会的な大衆動員の弱さがもちろん重くのしかかっている。根本的には、危機の過酷さとサルコジ政権の政策の激しさに直面する中で、われわれはわれわれに投票することが有益であることを十分に示すことができなかったのである。
 しかしながら、危機の結果を引き受けることを拒否するという意識はこの国ではいぜんとして根強いものである。右翼ならびに社会を破壊するその政策に対して、体制と手を切った政策が、反資本主義的な、従って社会党から独立した政策が、緊急に必要とされている。われわれのプロジェクトをより広範な人々に伝わるようにすることがわれわれの今後の課題である。


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