| 解放連帯「綱領草案」に対する評価(1) かけはし2010.8.23号 |
社会主義革命綱領はいかに
―プロレタリアート独裁― |
解説
5月9日、3組織で社労委を結成
以下の文書は、韓国の社会主義労働者連合(以下、社労連)の理論誌『社会主義者』(第4号、2009年夏号)に掲載された論文中の1つである。他に、同様に政治路線にかかわる論文として「現在の南韓における移行綱領論争―労政協の批判に答えて/ヤン・ヒョシク」などが含まれている。
社労連は08年2月、オ・セチョル元・延世大教授を中心に未来連帯など3つのサークルの統合によって結成された。また同年9月には旧「労働者の力」を中心に社会主義労働者政党建設準備会(以下、社労準)が結成された。この両組織を中心に09年、各地で全国共同討論会が進められてきた。10年1月、労働者闘争連帯を加えた3組織などで社会主義労働者政党建設共同実践委員会(社労委)についての提案書に合意。
それに基づき社労準は四月十六日に総会を開催し、社労委建設に進むことを決議した。逆に四月十九日に社労連多数派が第三回総会を開き社労委建設の中断を決議したが、翌二十日にオ・セチョル教授など社労連内の二十三人が第三回総会をサークル主義・離脱者と批判し社労委建設を進める立場を表明した。
五月一日、社労委全員会議が約八十人の参加で開催され、五月九日にはソウルで社労委出帆式が開かれ、「出帆宣言」と「政治原則」が発表された。
一方、以下の論文で言及されている「解放連帯」は08年3月に民主労働党が分裂し、民主労働党と進歩新党に分かれたのを契機に、それまで民主労働党内に「加入」していた「解放連帯」グループが独立し、独自的な革命党建設に踏み切り、結集を呼びかけてきた。(「かけはし」編集部)
もくじ
1、 評価に先立って
2、 革命戦略(今号)
3、 ロシア10月革命の教訓とスターリン主義国家に対する態度
4、 革命の教訓を綱領に実践的に盛りこむこと
5、 官僚主義の問題
6、 綱領の組織的側面―現場分会の思想
7、 移行綱領の問題
8、 綱領論議の道
1、 評価に先立って
社労連(社会主義労働者連合)は主観的、客観的いずれの側面からも綱領論議の活性化が必要だ、と積極的に主張してきた。客観的に見る時、革命綱領を中心として革命党創建闘争を本格化させるべき条件が成熟している。資本主義恐慌の展開は資本主義を革命的に打倒する必要性を闘士たちに力強く語っている。民主労働党と進歩新党は労働者階級の運命がかかったこのような問題の前に、その限界を赤裸々にさらけ出している。
主体的に見たとしても、韓国の社会主義運動が17年間に成し遂げた諸成果は綱領論議を日程に上らせるに充分な段階に既に到着している。理論的にも実践的にも綱領論議が可能な諸条件を社会主義諸勢力は具備している。
社労連、解放連帯など社会主義諸組織が綱領を提起している状況は、決して偶然なことではない。社会主義革命政党建設闘争のための主観的・客観的条件が次第に形成されている状況が根底に横たわっている。革命政党建設闘争と関連して、我々は以下のように綱領論議の必要性を定式化した経緯がある。
「(1)旧東欧の没落以降、約17年間、進められた思想的模索を集約させなければならない。(2)その間の実践的経験と成果を集約させなければならない。(3)党建設闘争において共に進むことができるのか、できないのかを分かつ基準を立てなければならない。(4)党建設のための宣伝・煽動政治活動の基準線を建設しなければならない」。(チェ・ヨンイク、「社会主義党建設運動全面化のための全国共同討論会」第3次「綱領」問題提起文より)
最近、労働解放実践連帯(以下、略称・解放連帯)は「(仮称)韓国社会主義・労働者党綱領草案」(以下、「綱領草案」)を提出した。また綱領論議を触発するために〈社会主義綱領を討論しよう!〉という綱領機関誌を主導的に発刊している。革命政党建設のために必須な綱領論議を触発しよう、というこのような試みに対して社労連は全国的な支持を送り、協力を尽くすことを約束する。さまざまな所から批判的な評価が開陳されているものの、解放連帯「綱領草案」に対する評価は、この協力の1つの形態であることを明らかにする。ただし党建設闘争と連動する綱領論議のための方法論において解放連帯と我々との間に差異点がある。この差異点については後半の部分で言及することになるだろう。
次に、解放連帯の歴史的足跡の中で「綱領草案」が持っている意義について話そうと思う。解放連帯の判断と評価はどうなのか知らないが、民主労働党への合流を拒否していた大多数の社会主義諸勢力にとっては、解放連帯との社会主義的協力において最も大きな障害は民主党問題だった。もちろん解放連帯は民主労働党の主流改良主義諸勢力に批判的な態度を堅持したし、政治的独立性を維持しようと努力してきた。けれども「民主労働党の社会主義政党化」というのは最初から実現不可能な目標だった。事実を語るならば、革命政党の創党は民主労働党との確実な「断絶」を通じてのみ、その第1歩を踏み出すことができた。このような状況にあって、民主労働党内で活動していた解放連帯と社会主義革命党を創建するための共同の活動というのは事実上、不可能だった。
私が思うに、解放連帯の民主労働党からの脱党は、このような足鎖を解く大事な行為だった。こうして社会主義勢力間の革命政党創建のための模索において、解放連帯と共に歩むことのできる道が実際に開かれた。これは解放連帯が提出した「綱領草案」にも刻印されている。
この「綱領草案」には民主労働党内部の意見グループとして存在しなければならなかったがゆえに、そう盛り込まざるをえなかった「政治的不明瞭さ」が相当部分、解消された。そして一層重要なのは、解放連帯が民主労働党内の革命的活動の道を克服し、民主労働党・進歩新党のような改良主義諸政党から独立的な革命的活動の道を採択した、という点だ。
ただ、このような意義は綱領により明確な形態で盛らなければならない。けれども解放連帯の「綱領草案」では改良主義勢力に対する規定があるだけで、それが具体的形態で盛られてはいない。抽象的な改良主義勢力は、韓国ではまさにこの改良主義諸政党によって具体化されており、現時期の革命政党創建闘争の綱領は、この諸政党に対する明確な態度を盛り込んでこそ当然なのだ。
特に民主労働党に相当期間、参加していた解放連帯が提出する綱領であるならば、それはなおのこと避けては通れないことだろう! これはこれまでの足鎖を断ち切り、韓国の革命的社会主義者たちと民主労働党、進歩新党の外で独立的な革命党を建設するために協働していくという一層明確な宣言となっただろう。そうして革命政党創建のための協力を推進したことだろう。
これは解放連帯の過去をあばいてケチをつけようとする意図ではない。むしろ革命的諸グループ間の相互協力を促進するという意図から提起しているものだ。また解放連帯が自らの経験を土台として民主労働党に対する明確な規定を下すのであれば、そして民主労働党への参加についての自己評価を提出するのであれば、さらにはそれを綱領または綱領開設に集約的に反映することとができるのならば、これは革命政党創建という死活の課題を投じることによって我々すべてに極めて大切な財産になるだろうと信じる。なぜならば、民主労働党の分党の事態以降、民主労働党から自生的(自主的)に離れて出てきた相当数の闘士たちに極めて大事な案内書となりえたであろうと信じているからだ。
このようなもどかしさとは別に、改良主義政党内で提起する意見グループの綱領ではなく、改良主義政党を乗りこえて独立的な革命政党を創建するという決意を基にして提起された綱領だという点で、解放連帯が提出した「綱領草案」の意義を私は歓迎する。この文章で私は解放連帯のそのような断絶がさらに明確化されるならばと思い、またそのような決断がさらに確実な結果を生みだしたならばと思うがゆえに、様々な所で批判的かつ論争的なアプローチを試みるであろう。
2、革命戦略
解放連帯が「綱領草案」で提出した革命戦略は「ソビエト型の労働者権力の思想」と定義することができる。これを解放連帯は「労働者国家」という概念によって整理した後、この労働者国家は「プロレタリアート民主主義=プロレタリアート独裁であることを叙述している。またこの労働者国家はパリ・コミューンやロシア・ソビエト型の労働者民主主義の諸機構を基にして形成され、労働者国家が作動する具体的諸項目(例えば、立法、行政、司法の統一、官吏に対するリコール権、官吏に対する労働者の平均賃金の支給、労働者民兵隊など)を示している。これは疑いようもなく革命的社会主義の綱領だ。
けれども労働者国家の思想は、これだけでは充分には盛られがたい。このような労働者国家を、どのような「手段」によって闘いとることができるのか、すなわち「プロレタリアート独裁」がどのような「手段」によって獲得できるのかをハッキリと提示しなければならない。この手段はプロレタリアート独裁が有している核心的思想―資本国家権力との正面対決思想―に反しないものでなければならない。
より具体的な方式によって問題を設定しようとするならば、「コミューンやソビエト型の労働者民主主義の諸機構」がいかに浮上することができるのか、いかにブルジョア国家諸機構を撤廃することのできる力を持つことができるのかを明らかにしなければならない。このような戦略的判断は、以後「移行綱領」の問題、そして「党組織の組織的基礎」などの問題と連結する。
「革命的(?)議
会主義」の矛盾
まず明確に整理しなければならない、問題は「議会主義」に対する態度だ。通常の議会主義は、もちろん労働者国家の思想を拒否する。彼らは資本主義国家を温存したまま、若干の改良主義修繕に執着する。彼らにとって「執権」というのは資本家国家の「顔」を改良主義政党の指導者たちが相当すること、それ以上でも以下でもない。
これらとは明白に異なるけれども、それにもかかわらず、議会主義の限界を脱け出せない革命的議会主義もある。この「革命的(?)議会主義」は2つのやり方で、その姿を現す。1つはブルジョア選挙を通じて執権することを労働者国家樹立の重要な経路のうちの1つと仮定するものだ。これは主観的な意図とは無関係に、客観的にはブルジョア国家機構を温存させたまま、またはそれの間接的な支援を得て労働者国家を樹立できるという幻想を助長する。そうすることによって、プロレタリアート独裁の思想を侵害する。
プロレタリアート独裁の思想はソビエト型の労働者大衆闘争の諸機構が資本家国家の機構と対決し、それを撤廃する過程でのみ労働者国家が誕生することができるということを核心としている。ブルジョア選挙や国会議員職を革命的に活用することと、選挙を通じた執権を通してある種の寄与をすることができるというのは全く別のことだ。前者は革命的闘士たちの妥協だけれども、後者はブルジョア国家機構に対する幻想に陥るものだ。
反面、革命的議会主義は「労働者国家の樹立と資本家国家の撤廃」を語るけれども、それが選挙を通じた執権という方式によって、資本家国家の機構を活用することによって実現できる可能性を開くということによって、プロレタリアート独裁の思想を侵害する。ここで、「ソビエト型の大衆自治権力」を通じてのみ労働者国家が樹立できるし、従って選挙を通じた執権は上からそれ促進し支援する手段として服務するだけなのだから労働者国家の思想を侵害しはしないという点を付け加えるとしても、その本質は変わらない。上から資本家国家機構を活用する可能性を依然として開いているからだ。
そのような意図が全くないならば「労働者権力は資本家階級ならびに資本家国家の機構に立ち向かう労働者階級の大衆的闘争の過程で、資本家国家機構の外で形成されざるをえない。選挙への参加や議会の活用はただただこのような階級闘争を促進し発展させるという限度内でのみなされることだ」と簡単明瞭に語ることで充分だろう。
「ブルジョア国家機構を活用した革命」という「革命的議会主義」を反映する立場は、「ベネズエラ・チャベス政権」に対して明解な態度をとることができない。それどころか、支持するということにまで行き着き得る。ベネズエラ・チャベス政権が言葉でハッキリと語っている路線が、まさに「革命的議会主義」路線だからだ。それの客観的意味は、すでに満天下に明らかになっている。チャベス政府は社会主義と労働者権力樹立のために寄与するのではなく、それに向けた前進を阻むとともに、ブルジョア国家機構を温存させている。このチャベス政府に対しても、解放連帯の明確な立場が提示されることを希望する。それが必ずしも綱領に盛り込まれる必要はないだろう。だがチャベス政府に対する立場は解放連帯がプロレタリアート独裁の思想にどのぐらい忠実なのかを評価することのできる重要なリトマス試験紙のうちの1つだと考えるからだ。
革命的議会主義のもう1つのパターンは、革命的立場を支持するものの客観的実践においては選挙ならびに議会の革命的活用に焦点を合わせつつ、議会外の革命的大衆闘争の高揚と発展を軽視するというものだ。これまた議会主義の残りかすを拭い去れないものだ。なぜならば、プロレタリアート独裁の思想は、本物の階級闘争は議会外の、現場と街頭で展開されるというものであり、これを通じてのみ労働者権力の樹立と資本家権力の撤廃に向けた力が育ち行くことができると主張しているからだ。
このような立場は革命政党の組織的、実践的基礎をどこに置くのかと緊密に結びついている。現場を中心として繰り広げられる労働者の階級闘争と緊密に呼吸し、これを全国的階級闘争の連帯網へと発展させることに実践を集中させないならば、そしてこの実践にふさわしい組織的路線を執行しないならば、いかなる水路も議会主義のワナから自由たりえないだろう。
その点において私は、解放連帯が提出した「綱領草案」が「プロレタリアート独裁」という表現を用いなかったという点をとらえて便乗しながら論争するという考えは全くない。その意図そのままに尊重する。だが綱領であれ、綱領解説であれ、どこかでは「手段」の問題を厳格に定義しなければならないし、あらゆる議会主義とは明白に異なる革命的戦略を鮮明に語らなければならない。特に、過去の解放連帯の立場が、この「手段の領域」においてあいまいな側面が存在したという点を考慮する時、このような要請は決して行き過ぎではないと信じる。私は、この地点を明確にすることによって解放連帯の「綱領草案」が1ミリの疑いもなくプロレタリアート独裁の思想に立脚した綱領であることが証明されることを希望する。(つづく)
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