もどる

「尖閣」中国漁船衝突事件と海保ビデオ流出       かけはし2010.11.22号

追跡・逮捕の全過程を公表せよ

逮捕正当化のための編集ビデオではなく全情報の開示が必要だ


あわてふためく
菅政権の反動化

 菅政権は、グローバル派兵大国建設の一環として横浜APEC警備と称して警察・自衛隊など二万四千人以上を配備し「戒厳態勢」を繰り広げた。その一方で釣魚諸島付近での海上保安庁巡視船による中国漁船拿捕事件ビデオが保安官による動画投稿サイト「ユーチューブ」流出問題、公安政治警察外事三課の人権侵害に満ちた対テロ捜査デッチアゲ書類のインターネット流出問題が次々と発生し、ドタバタを繰り返している。しかも大阪地検特捜部による村木えん罪事件でインチキな検察機構の実態が満天下に明らかとなり、証拠ねつ造の実行犯・前田元検事ともみ消しを図った上司らを「トカゲの尻尾切り」逮捕をすることによって、最高検を先頭に組織防衛を貫徹し強引に終息へと着手している真っ最中に起こってしまったのである。
 横浜APECを前にして日本統治機構の脆弱性が世界的に露呈してしまい菅首相は大慌てだ。仙石官房長官にいたっては、拿捕事件ビデオ流出に対して秘密保全法制の検討、国家公務員の守秘義務の罰則強化まで言い出している。日米核持ち込み疑惑、沖縄返還財政密約等々、民衆を欺いてきた自民党政治と同じ手法を繰り返しているのである。民衆への全情報の開示は、民主主義と公正社会の最低条件だ。菅政権による情報操作と隠蔽工作、強権化を許してはならない。

「44分」ではなく
「10時間」検証を

 ビデオ流出の第一の問題点は、九月七日、巡視船「よなくに」が釣魚諸島付近で操業していた中国漁船を発見してから領海からの退去警告、漁船の逃走、さらに四隻の巡視船で追跡し追い込み挟み撃ち、巡視船「みずき」が漁船に強制接舷し保安官が乗り込み、エンジン停止させ拿捕、船長逮捕などの全過程の映像約十時間分が明らかになっていないことだ。
 そもそも保安官がユーチューブに投稿した映像(11月4日)は、九月下旬、海保内ネットシステムで海上保安大学校(広島県呉市)に保管されていた共有フォルダから研修用に切り貼りされたビデオデータ(44分)だった。何件かのアクセスが確認されており、誰でも入手できる状態だった。
 保安官は、中国政府を「刺激」したくない菅内閣が十一月一日に衆参両院の予算委員会理事らに限定して六分五十秒に編集したビデオを公開することで逃げ切ろうとした浅はかな意図がみえみえであったため、その策動を破綻させ、隠されている部分があるという意味で「改ざん」した編集ビデオを配信して海保防衛をはかったのである。政府の拿捕事件情報操作に対して保安官は、「この映像は、国民の誰もがみるべきだ」と事前に大阪読売テレビに持ち込み、取材にも応じ、同時に神戸市のネットカフェからユーチューブに投稿し、映像を公開(11月4日)したのであった。しかし、これも編集されたものである。切り取った映像を一人歩きさせるのではなく、十時間にわたる全ビデオ映像の検証を含め、そこに至るまでの全真実を明らかにすべきだ。
 さらに、メディアは繰り返し漁船が巡視船に「衝突」するシーンを垂れ流し、ナショナリズムを煽っているのが現状なのである。これでは拿捕事件の全貌を掌握することはできない。中国政府との極度に緊張した事態に発展した中国漁船拿捕事件の真実を民衆が「知る権利」があるのだ。

「操作・統制」の
強化を許さない

 政府は、拿捕ビデオ流出が国家公務員の守秘義務違反だとして海保に被疑者不詳のまま東京地検と警視庁に刑事告発(11・8)。保安官は、送信したネットカフェが特定された段階で十一月十日に自首。国家公務員の守秘義務違反容疑で事実上の「逮捕」監禁状態で事情聴取中だ(神戸・第5管区海上保安本部庁舎内)。
 ところが検察内で保安官のビデオ流出が国家公務員違反か否かで割れているそうだ。法務省主流派は、映像が捜査資料として提供を受けたものだから(刑事訴訟法)47条の『訴訟に関する書類』に該当し、訴訟書類を公判前に公開することを禁じている規定に違反。さらに海保の人間でなければ見られない映像で職務上知りえた秘密だと判断している。反主流派は、映像は誰でも見られる状態だったのであり、拿捕事件について誰でも知っている事実だから逮捕せず、起訴猶予なのではないかと吐露している。極め付けが「あまりにも国民の声を考慮しすぎると、国家公務員法が成り立たない」とボヤク法務官僚もいるほどだ。このように菅政権の統治能力の危機が始まっているということなのだ。
 菅政権の稚拙な統治能力の現れはこれだけではない。報道によれば、拿捕後、海保が船長逮捕の判断を政府に打診したところ海保所管の前原国交相(当時)が逮捕指示の電話をしたと言う。つまり領土主義ナショナリスト前原の対中国強硬路線の延長のうえで、これまでは中国漁船の違法操業に対して外国人漁業規制違反で対応してきたが、漁船の「接触」「衝突」事態によって船長逮捕に踏み込んでしまったのである。事件発生から十二時間もかかって政府は船長逮捕の指示を行ったのたが、逮捕後の中国政府の猛烈な反発を想定していなかったらしい。結局、中国の猛反発に菅政権は耐えきれず、船長を処分保留で釈放し、無責任な後始末で逃げ切ろうというのが実態だ。
 これ以上の菅政権の反民衆的政治手法を排し、拿捕事件ビデオを全面開示させ、この事件の全容を解明せよ。都合よく切り取った映像を最大限利用しようとする各勢力の思惑を許さない。
 なお今回の事件で権力は、保安官の本人確認をしていなかったネットカフェ店をクローズアップし「犯罪の温床」「ネットカフェ法整備必要」などとキャンペーンも行っている。東京都が七月、ネットカフェ規制条例施行強行を「全国に先駆けて」プライバシー侵害を行っていることに触れず持ち上げている。拿捕ビデオ流出問題に便乗した人権侵害の強化を阻止しよう。    (遠山裕樹)



「持たざる者」の国際連帯行動
宮下公園の「ナイキ化」反対
あらゆる排除と差別NO!



 十一月三日、千駄ヶ谷区民会館ホールで「持たざる者」の国際連帯行動が行われ、集会とデモに多くの人々が集まった。
 午後一時半より始まった集会は三部構成、第一部はフリートークということで会場から参加者が自由に発言。渋谷のじれん(野宿者の生活と居住をかちとる自由連合)、在特会による京都朝鮮第一初級学校に対する襲撃を契機に作られた、差別排外主義に反対する連絡会、夜廻り三鷹、江東区竪川河川敷公園のテントの仲間、新宿ど真ん中デモの実行委の仲間、など多くの仲間が発言した。
 のじれんの仲間は宮下公園のナイキ化との闘いを報告した。多くの人々の反対の闘いの広がりによってナイキ化を阻止してきたが、九月十五日早朝に強制排除され、公園は封鎖された。その後行政代執行が行われ、ナイキ化のための工事が進んでいる。
 しかしこの強引なやり方に対する批判の声の広がりによってナイキ社は当初「宮下ナイキパーク」とするとしていた名前を「宮下公園」のままにするというプレスリリースを発表した。
 渋谷区とナイキ社との契約は十年間一億七千万円でネーミングライツ(命名権)を売る、というもので、公園にナイキのスポーツ施設を作るというのはそれを拡大解釈して強引に進めたものである。名前を変えないのであれば、ネーミングライツ契約も必要なくなるはずだが工事は進んでいる。
 このことによってむしろ区長と一部の取り巻き区議が公共の公園を多国籍企業に売り飛ばすという問題の本質が明らかになってしまったというべきだろう。
 第二部はビデオ上映、今年三月に行われたNO―VOX国際連帯フォーラムの記録映像である。山谷や渋谷、釜ヶ崎など参加者の活動現場だが全編フランス語なのでなんだか変な感じ。知り合いが映るたびに歓声が上がる。
 続いて第三部は各運動課題からの発言。十月にパレスチナを訪れた仲間、外国人労働者の支援を行うAPSF労組、「いらない!APEC」神奈川の会、地域共闘交流会、隅田川、竪川の野宿の仲間、自由と生存の野菜市実行委員会の各団体が発言。
 原宿、渋谷の町を通ってデモ行進し宮下公園側の美竹公園で解散した。(板)



辺野古実が首相官邸に署名提出
日米共同声明を撤回せよ
辺野古に新基地を作るな



新たに8089筆
の署名を集めた

 沖縄民衆の度重なる「普天間基地即時撤去、辺野古への新基地建設を許さない」という意思表示を無視して、五月二十八日、鳩山政権は日米共同声明による辺野古への新基地建設を決定した。こうした事態の中で、沖縄民衆の基地撤去の闘いに連帯し、本土における闘いを作り出そうと、辺野古に基地を作らせない実行委員会は署名運動を再開した。十一月五日、今回八千八十九筆の署名(累計1万1319筆)を首相に提出する官邸前行動に、四十数人が参加した。
 署名提出前にシュプレヒコールとアピールを行った。鎌倉で活動する無防備市民の会は藤本監督の映画の上映を行ったことを報告した。大阪からやってきた「リブインピース大阪9+25」の小林さんは「街頭署名でとった五百筆を持ってやってきた。中学・高校生の反応がよかった。交付金を使って基地移設を容認させようとする菅政権のやりかたは自民党政権と同じだ。ただちに普天間基地を閉鎖しろ」と訴えた。
 沖縄からヘリ基地反対協の安次富浩さんが十一月二十八日に投票が迫る沖縄県知事選について携帯電話を通して報告した。
 「第三極で動こうとしていた人たちは沖縄民衆の怒りで消えた。これで二極対決がはっきりした。伊波県知事誕生のためにまい進するだけだ。仲井真知事は県内移設に反対の意思表示をしていない。普天間基地の固定化のようなことをにおわしてもいる。辺野古でのアセスの評価、埋め立て問題について妥協する姿勢を顕わにしている。名護市議選では基地推進派を推した。彼は信用できない。十四年間、辺野古に基地を作らせないと闘ってきた経験からして、県知事選も必ず勝てる。インターネットが大きな力を発揮するのでうまく利用して大きな支持を広めてほしい」。

与那国島にも
自衛隊送るな

 さらに安次富さんは「民主党政権は尖閣諸島に対して、自衛隊の配備や海兵隊の創設を言い始めている。自公でもやれなかったことをやろうとしている。これを突破するのは県知事選だ」と知事選の意義を訴えた。
 次に、辺野古のテント村で座り込みを行っている田中さんが「沖縄の民意はハッキリしている。海にも陸にも基地は作らせないということだ。それは稲嶺市長の誕生、市議選での多数派の獲得でも表れた。知事選は必ず勝つ。四月の沖縄県民大会の参加者はイエローをつけた。仲井真陣営も今回イエローを使っている。イエローカード二枚でレッドカードだ。沖縄の民衆は後に引くことはない。この間、観光客がたくさん来るようになったり、ピース・ミュージック大会が二日間開かれるなど、辺野古が注目されている。辺野古に来れば海を埋めるのがおかしいと気づく。これらも闘いを強めよう。ガンバロー」と報告した。
 ピースニュース、リブインピース大阪、「沖縄の自衛隊強化と陸上自衛隊増員に反対する市民の共同声明」緊急メール署名を呼びかける個人の集まりの人たちの三団体が官邸前に移動し、申し入れ書を読み上げ、署名とともに手渡した。
 反安保実の国富さんが十一月十三・十四日に開かれる横浜AEPC反対行動への参加を訴えた。沖縄一坪反戦地主・関東ブロックが十二月十六日、午後六時半から防衛省に「与那国島への自衛隊派遣反対」の申し入れ行動への参加を呼びかけた。日本山妙法寺の木津さんが「じんぶん企画から『辺野古不合意』のDVDが出版された。名護市政が政府の補助金により、どのように借金漬けになったか明らかにしている」と紹介した。新宿ど真ん中デモの園さんが第六回目のデモを十二月五日午後二時から新宿アルタ前に集まり行うことを報告した。最後に再度官邸に向けて、基地撤去のシュプレヒコールを行った。今回で一旦署名は終わりにすることが辺野古実より明らかにされた。(M)


もどる

Back