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    かけはし2011.2.21号

新しい世代の期待をどう受
け止めるか、試練は連続的

学習会「フランスの新たな階級闘争とNPA」




 【大阪】大阪市淀川区の協同会館アソシエで一月二七日、昨年一一月のシンポジウムを受けた学習会が開かれ、杉村昌昭さん(龍谷大教授、フランス文学・思想)が「フランスの新たな階級闘争とNPA」と題した講演をした。連帯ユニオン関西地区生コン支部と関西新時代社が呼びかけ、三〇人が参加した。以下講演要旨。

同心円的拡大と
の偏見もったが
 NPAは二〇〇九年に創立大会を開いているが、私は関心がなかった。というのは、第四インターナショナルフランス支部LCRが、行きづまり打破のため再編した、つまり、同心円的拡大をしたのだと思っていた。
 LCRは〇二年の大統領選にオリビエ・ブザンスノーをたて、四%を獲得した。彼は〇七年の大統領選にも再び立候補し、一五〇万票とほぼ同じ得票率を獲得し、マスメディアの脚光を浴びた。テレビにもたくさん登場した。でも、これはメディアの戦略によって出ていた面もあった。

ビニャールが寄
せる期待と批判
 私は年に二回ほどフランスに行く時は、友達のホテルに泊まるのだが、その近くに第四インターナショナルの書店と書記局がある。そこの店員(もちろん党員)が私にこれはいい本だといって、一冊持ってきた。ガタリ(一九六〇年代以降世界中に影響を与えたフランスの思想家)の手法で、著者がLCR時代の自分史を述べながらNPAのことを書いている本だ。原題は「今日の反資本主義」という本で、副題としてNPAのことがついている。著者は、フィリップ・ピニャール。ピニャールは八〇年代まではLCRのメンバーで、LCRの機関紙「ルージュ」の編集もやったことのあるインテリだが、八〇年代にLCRからひっそりと離れた。LCRはそれを黙認した。LCRの作風はそのようなものだった。LCRは八〇年代に活動が行きづまり、大企業に労働者として入社し、拠点をつくるという加入戦術をとったことがある。ピニャールは製薬会社に入った。そして、会社のカネで出版社をつくった。そして、左翼のスポンサーとして有名なマスペロの出版社を引き継いだ。
 LCRの前身は戦後の国際主義共産党で、その後名称を共産主義者同盟に変え、さらに一九六九年に革命的共産主義者同盟(LCR)となった。この組織には多くの優れた人材がいたが、メンバーの出入りはあった。ピニャールはNPAの結成を準備する時期に再び帰ってきた。彼には、NPAへの期待と批判がある。

 新しい若者
 による刺激
 LCRは、〇七年の大統領選の後からNPA結成に向けた準備を始めたようだ。LCRを解散しNPAを創立する。NPAの結成にとって、オルターグローバリゼーション運動と、その運動を経験する中でLCRに入ってきた新しい世代の若者がNPA結成への刺激になったと、ピニャールは書いている。党の運動の行きづまりを打破するために、大衆運動との結合を構想したということだ。新しい党の名称をどうするのか。そのことを巡っても論争があり、いくつかの候補があったが、最後は、反資本主義新党と革命的反資本主義党がのこり、前者が五〇%、後者が三〇%ぐらいの賛成で決着した。ピニャールに言わせると、新党というのがいい、ここに可能性があるとのこと。何らかの意味で、反資本主義運動をやっているグループはいっぱいいる。これが入ってくる。

 動物愛護を綱
 領に入れよ! 
 NPA創立大会に参加した若者グループは、動物愛護を綱領に入れろと要求した。ピニャールは製薬会社勤務の経験で、製薬企業がいかにひどいことをやっているかをしっているから、要求には当然賛成したが、LCRの古いメンバーの意見は二つに分かれた。鼻で笑うものもいた。LCRには、少数派もいるが、それとは別のグループもある。フランスの全県に委員会をつくり、そこで論議をして中央大会に反映させるのだが、NPAには、LCRにいて一度離れ舞いもどってきたグループ、新しく入ってきたグループ、はじめからLCRだったグループの三つのグループがある。NPAは一時ブームのようになった。メンバーは結成時九〇〇〇人、その後一万人まで増え、現在は五〜六〇〇〇人だ。今後どんどん減っていくのでは? ピニャールは、一時期の熱狂で参加したものは離れ、ちょうどいい規模になった、これでもLCRの時の二倍だという。

予見不能のもの
に向けての活動
 NPAは〇九年のヨーロッパ議会選挙に候補者を立て三%を獲得したし、その後の地方議会選挙で数名の議員を持った。NPAは大衆的な社会運動と連動した党だ。きちんとした綱領はまだ持っていないが、それでもプラットホームはある。基軸は資本主義の転覆だ。そのほか、インターナショナリズム、自主管理民主主義、フェミニズム、マイノリティの擁護、二一世紀のエコロジー社会主義などだ。とにかく、他に類を見ない党をつくるということだ。若者の運動を阻害しないで、新旧の結合を作り上げれば、可能性はあると思う。「新しい」と「反資本主義」と「党」と三つの結合だ。トロツキズムはレーニン主義の修正と継承だが、NPAはトロツキズムの修正だ。ガタリの立場では、予見できないものが革命だ。NPAはその予見できないもののために日々活動をする。党の内部で対立したものは統合する。対立のまま組織を作動させる。

これからの
一年目に注目
 NPAはまだできて二年しか経っていない。これからの一年が注目される。二〇一二年五月には大統領選挙がある。これに対してはどうするか。LCRからNPAへの過程で、社会党との間に一線を引き、社会党から自立・独立した。確かに社会党はどうしようもない党になっているが、次期大統領選ではサルコジの人気が低いから社会党が大統領になる可能性もある。その場合はどういう態度をとるのか。可能性は非常に低いが、NPAが大統領になったらどうするか。年金闘争は大ゼネストまでやった巨大な闘争だった。でも、年金法改悪を撤廃させることはできなかった。これについてNPAは楽観的に総括しているが、私(杉村)は不満だ。議会主義を超える道を模索すべきだと思う。
 そのほか二、三NPAの見識を問われる問題があった。NPAには、LCR以外にアナーキズムオルタナティブや第四インターナショナル系の労働者の力の一部や、その他小さなグループが入っている。その中で、@アクションディレクトのグループが入りたいと言ってきた。これをどうするか。A二一歳のイスラムの女性がスカーフをかぶって選挙で立候補した。この評価を巡って、NPAの内部では賛否両論意見が分かれた。NPAは現在のところ、全体的にはいい対応をしている。内部の矛盾はいろいろあるが、今後に注目したい。

質疑応答
移民労働者は、方針決定は、……


 @NPAとサンジカリストの違いは?
A:NPAはトロツキズムの変種であり、綱領を持っている。古典的なアナーキストも入っている。反資本主義運動や若者のグループも入っている。
A新しいグループの参加が重要だとのことだが、移民労働者は参加しているのか。
A:移民労働者も入っている。
B方針はどのようにして決定するのか。
A:多数決だ。しかし、少数意見は残す。少数派の活動の自由は認められている。
C動物愛護の件は綱領に入ったのか。
 A:事実関係が今はわからない。フランスに行ったときに聞いてくる。提案した若者は、自分らを支持してくれた人が多くて感激したそうだ。
Dマニュフェストや規約はあるのか。脱成長の立場が必要だと思うが。
A:暫定規約はあるが、正式のものは今後決めていくということだ。反生産主義はうたっている。(規約は見たことがない。組織運営は民主集中性だが、レーニン主義ではない。運営はLCRと同じようだ。)
E日本は、どの点を学ぶべきか。
A:NPAをつくる受け皿がフランスにはあった。日本にはLCRのような大きな組織はない。日本の場合、反資本主義運動とは何か、そのイメージはどのようなものか、どういうことが可能か、といった交通整理が必要だ。
Fサルコジのような人物がなぜ大統領になったのか。そのことはNPAとは関係があるのか。
A:サルコジは右も左も取り込む政略家だ。選挙では対抗馬がつまらなかったからだ、サルコジには演劇性がある。だがサルコジの支持率は今三〇%ぐらいしかないから、次回は通らないだろう。時期大統領選にはブザンスノーが出るだろう。
G年金闘争で登場した高校生たちはNPAとつながっているのか。
 A:フランスはものすごくグループが多いので、どこがどういう役割をしていたのか、よくわからない。それほどNPAが目立っていたとは思えないが。二年後に年金法見直しを約束させたこと、政治的にパワフルになったことは、ポジティブに総括してもいいかもしれない。事実関係はフランスに行ってきいてくる。
H全県に委員会をつくり、NPAの結成に至ったとのことだが、委員会をつくる統一した方針はあったのか。地方ごとにバラバラだったのか。
A:LCRは大きな組織だから、各県ごとにNPAをつくる基礎を持っていた。
INPAをつくったということは、小異を捨てて大同につくということだと思うが、幅広ということがどこで結びあうのか。
A:結成して二年、今後どうなるか。新しいということだけではなく、フランス社会にとっても非常に注目される事柄だ。

 最後に、次回の学習会は、フランス・メディアとの交流が深い小山帥人さん(元NHK職員、市民メディアネット)を講師に計画しているとの連絡があった。
        (T・T)


NPA、レオン・クレミューさんとの意見交換
全員参加方式の具体的あり方
政府危機と制憲議会選挙要求


 昨年一一月二八日、国際シンポジウムに参加したNPAのレオン・クレミューさんとシンポジウムで報告しきれなかったいくつかの点について意見交換する機会があった。印象に残った質疑を報告する。(「かけはし」編集部)
反失業要求の
全体化は進展
――フランスの失業問題はどうなっているのか。

 第二次世界大戦後のフランスは成長の時代であった。労働力の需要が高く、失業率が低かった。一九五〇年代から一九七五年まで、企業と労組が妥協して、経済的な理由での解雇に対して一年から二年間、給与の八〇〜九〇%が保障された。七〇年代後半に経済危機に陥り八〇年代半ばで失業者は二〇〇万人になった。九〇年代から現在、失業への給付は減らされていった。失業基金は企業と労働者が出している。企業は基金へカネを出さなくなり、基金がもらえない失業者が一〇〇万人いる。二〇〇万人は基金からカネが出ている。失業の圧力が不安定なパートや低賃金の職に就くことを強制されている。
 経済危機に対する対応をどう考えるか。資本主義の条件の下で良くなることはない。資本家は利益を上げなければならない。そのような状況下で公正な社会が成り立つことはありえない。
 さまざまな要求を出している。雇用の保障、賃金の引き上げなど。フランス共産党は資本主義に反対してきたが現在、搾取のシステムを変革する要求を出していない。なぜなら資本主義システムに組み込まれている社民との連立政権の立場であるからだ。
 反失業闘争について。九〇年代、AC!反失業運動が失業者組織、SUDなどの労組、ラディカル左翼によって大きく発展した(CGTは支持しなかった)。LCRも大きく関与した。しかし、現在AC!は弱体化している。労組活動家の関わりが少なくなっている。失業者の組織化が中心になっている。年一回の行動を行っているが人々を結集しなくなっている。失業問題、雇用と賃金の保障。不安定雇用の労働者二〇〇〜三〇〇万人の要求を共通の目標としてあらゆる労組が掲げるようになった。仕事のある労働者もない労働者も賃金を得ることができるというスローガンを掲げている。

ピラミッド型組
織の否定の上で
――民主集中制をどう考えるか、モデルはあるのか。

 NPAは活動家の党だ。決定の過程に参加する民主主義的な決定を重視している。全国的レベル、地域レベルで問われている。国際的連帯キャンペーンは全国的に決定する。地方選の候補者は地域の組織が責任を持ち決定する。スターリニズムの総括の上に立ち、ピラミッド型の組織ではなく、関係しているすべての人々が決定をする。

――全国的運営はどうなっているのか。

 三〇人の執行委員会がある。一週間に一回開く。その下に一八〇人の全国政治評議会がある。年に四回開く。そしていくつもの委員会がある。職場・雇用、国際、女性、エコロジー、経済、レズビアン・ゲイ・バイセクシャル、青年など。また地区委員会がある。情報を相互に送り討論していく。九〇以上の県がある。県ごとの調整委員会がある。討論への参加は上下ではなく水平型である。
 一九六八年世代からの交代を行っている。LCRからNPAの過程でLCRの六八年世代の政治局のメンバーは降りていて、NPAもそれを引き継いだ。ただし女性指導部の場合は継続性の問題もありこの限りではない。
 退いたメンバーたちは日常的指導からは引いているが、雇用・職場、国際委員会に関わっている。党員教育活動を担っている。指導部の男女比は一対一である。
 機関紙について。週刊機関紙、月刊雑誌を出している。四〜五人の執行委員が関わっているが、コントロールしているわけではない。さまざまな見解が分かれることがあるが、それは新聞に掲載される。


政府打倒後をど
う展望するか?
――第四インターとフランスの組織との関係は。

 第四インターフランス支部・LCRを解散して、NPAに参加した。旧メンバーは第四インターのアイデンティティを持って、第四インターメンバーとしていたいという思いはある。しかし、NPAの党内フラクションをつくらないとした。それは裏指導部と見られるからだ。LCRとNPAは過渡的な関係だ。第四インターフランス支部を再組織しなければならないと思っている。ゆっくり時間をかけていずれ第四インター支持のアソシエーション(協会)をつくる。第四インターを支持するボランティア的な活動家グループをつくる。

――年金改悪反対闘争の中で、ゼネストでサルコジを打倒しようとNPAは呼びかけていたが、もしサルコジが退陣するようなことになった場合は、政府スローガンは革命政府をめざすようなものになるのか。
 そうした問題で議論してきたわけではないので個人的意見だが、左翼政権(社・共・NPAの政府)のスローガンは出せない。国会解散・総選挙でスト運動を代表する人々を押し立て闘う。われわれは新しい憲法をつくるための制憲議会選挙を要求する。現憲法の少数派に不利な小選挙区制などを変える必要があるからだ。スト委員会と選挙を結びつけて組織する。ソビエトのような二重権力機関が出来ていない以上矛盾だがそこから始める。


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