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    かけはし2011.3.14号

労働・生活の場から反対の声を

TPPでは生きられない 座談会





雇用破壊・賃金
押し下げは必至
 二月二六日、明治大学リバティータワーで、農民を中心とした「TPPに反対する人々の運動実行委員会」主催で「あたり前に生きたい、ムラでも、マチでも TPPでは生きられない!座談会」が開催され、会場は立見がでる四〇〇人を超える全国から集まった農民、市民、消費者で溢れた。
 座談会は、中野剛志さん(京都大学大学院工学研究科助教授)、郭吉子さん(韓国・全国農民会総連盟政策局長)の特別報告をはさんでTPPに対して参加者の三分間リレートークという形でもたれた。
 中野剛志さんは、「グローバル化は、企業が国を選ぶ時代で、企業と国民の利益が一致しない時代であり、グローバル化したなかでの国際競争力とは、低賃金の労働者の国と競争することであるから、当然、労働者の賃金は下がり続けることになる」として、TPPについて、「政府は自由貿易のルールをつくるために参加すると言っているが、アメリカはそのつもりもないし、力もない。失業率一〇%を超える状況のなかで、輸出の拡大をはかり、他国の雇用を奪いアメリカに雇用を確保するための仕掛けとしてTPPがある。日本に有利なルールができるわけがない」と述べた。そして、農業分野の問題だとしてTPPで痛手をこうむる農業は政府から補助で救ってもらえばいいと労働組合(連合はTPP参加に理解を示す事務局長談話を公表している)や労働者がTPP参加に反対しないことに「労働力移動の自由化で低賃金労働者が流入してくることや関税撤廃で安い製品が入ってくればデフレがさらに進み、賃金が低下し失業が増大するのは明らかであり、次は労働者なのだ」と警鐘をならした。政府、財界、大手メディアが推し進めるなかで統一地方選で反TPPの声を上げながら頑張っていこうと結んだ。
 郭吉子さんは、韓国国内でのFTAに関する問題と闘いについて報告。アメリカ、EUとFTAを締結しており、現在七カ国と協議、九カ国と研究を進めている。日本の間でも協議再開が合意され、それらの国と無差別、同時多発的に行われている。
 韓国のFTAの特徴は新自由主義的なグローバル化を進めていくこと、あらゆる関税、非関税障壁をなくしていくこと、農業や公共的なものを犠牲にして輸出企業を支えていく協定として進められている。韓米FTAでは、アメリカの一方的な要求を呑まされ、製造の制限や農業破壊、史上最大規模の関税撤廃が押し付けられる状況であることが報告され、生きるための基盤である農業を破壊するFTAに対して全国的な食料主権を守る闘いやすべてのFTA、WTOに反対する闘いが展開されていることが報告された。

三〇人以上の
リレートーク
 リレートークは、三〇数人の参加者から発言があった。菅政権は昨年一〇月一日の所信表明でTPPへの参加検討を表明し、それを受けて財界は歓迎し、大手マスコミは「TPPに乗り遅れるな」とばかり応援団に化しているなか、農業・生活・労働が破壊されることへの怒りと闘う声が多く発せられた。
 農民からは、生活しているところを基点にTPPを考えていくことが重要であり、地域、地方を切り捨ててきた政治こそ問題。TPPをつぶす前に菅政権を引きずり降ろしたい。農業は、生産するだけではない。人間の生存を支えていく文化、社会をつくる土台的な産業であり、国際競争力や効率性や合理性を求めているが農業の総合性が忘れ去られている。また、ある農民は、「反対、反対だけでいいのか。これからどうするのか。このTPP問題を絶好の機会として国民を交えた論議をしていく必要がある」と述べていた。
 労働者からは雇用破壊の観点から、雇用の実態や非正規労働者の生活実態が話された。TPPで労働力が移動し、非関税障壁の撤廃で労働基本法などが規制緩和の対象として改悪されることになっていく。雇用破壊、社会保障の破壊、地域経済破壊に対して闘っていくことが訴えられた。
 自然食の自営業者からは、自然、農に準じた仕事を求めている若者が増えていること、環境危機、経済危機、心の危機を作り出す企業社会のグローバリゼーションを、TPP反対を通して、循環型社会、地域が繋がるローカリゼーションに変えていくことが必要であると話された。
 消費者の立場から、非関税障壁として食の安全基準がアメリカ基準として引き下げられること、BSEまみれの牛肉や遺伝子組替え食品表示の撤廃などが要求されることや医療の自由産業化が進められなど消費者もTPPに反対していることが報告された。
 市民からは、GDPの数値を追いかけるだけの経済や沖縄を犠牲にした政治を変えていく運動としてTPP反対運動が必要という意見も。また、人間は大地を使わさせてもらっているということで責任をもって使うことが大切であり、自然と結びついた地域社会が必要であることも主張された。
 農学部の教授は、全世界的に農業に追い風が吹いているとして食料問題やエネルギー問題、環境問題等、農村は、それらの供給源になっていることを見ていない政治家が多すぎると農業の重要性を訴えた。
 北海道から来た町長は、集約し大規模化やブランド化が叫ばれているが、食料主権が置き去りにされている。TPPはそれを破壊すると訴えた。
 医療問題については、公共財としての医療を守る運動をしている参加者は、過酷な労働を強いられている医師の実態や効率的でなく硬直した医療について国際競争力をつけろといわれている。地場産業としての医療の破壊が進んでいることを報告し、TPPはそれをもさらに促進していくことになる。ともに反対していくと発言。
 太田昌国さんは、「植民地と侵略で人道に対して罪を犯してきた欧米列強や日本がG8だとか言って経済力を支えに世界を支配する秩序を作ってきたことは欺瞞的で許されない。ソ連の崩壊でグローバル化した現代資本主義を実現させたが同時に弱点も露呈した。自由貿易は生き延びるための手段であり、大国が文化や民族といった多様性を無視して市場経済という基準で世界を支配しようとしているが、そのようなもので世界をひとつの色に染めるな」と発言。食料主権についても、ナショナリズムに足元をすくわれない主張が大切と訴えた。

人びとに伝える
作業が大事だ
 まとめで菅野芳秀さん(共同代表)は、「農業はビジネスではなく生活があるからやってこれた。TPPは、農業だけではなく、医療、労働、金融、公共サービスなどに影響を与える。TPPは、アメリカとのFTAそのものであり、内政もTPPゆえに歪められいくことになる。食料と経済面でもアメリカの属国になってしまう。この闘いに勝利しなければならない。菅政権はこの問題だけでも解散して国民に真意を問うくらい重要なものなのにその内容すら開示していないで、財界、多国籍企業、マスコミを使って六月に決定しようとしている。国民にTPPとは何かを伝える作業が必要だ」と語り、一滴の雨水を集め、大河にしてTPPを阻止していこうと呼びかけた。
 参加者は、座談会終了後、経団連ビルまでキャンドルデモを行い、TPP反対を訴え、経団連にはTPP推進を止めるよう求める要請行動を行ったが参加者の切実な要請を拒み受け取りすらしなかった。
 同日、政府主催の「開国フォーラム」も開催されたが、明確な政府回答が示されない内容だったとメディアは報じている。民主党内部のTPP反対派の集会も持たれており、反TPPの運動の拡大が求められている。        (H)

郵政労働者が本社前行動
非正規労働者の雇い止め
――郵政リストラ阻止へ


すべての責任は
経営側にある
 三月三日、午前一一時四五分から「11春闘勝利! 非正規雇用労働者の正社員化と均等待遇を求める本社前要請行動」が東京・霞が関の日本郵政本社前で行われた。主催は郵政産業労働組合、郵政労働者ユニオン、郵政倉敷労働組合で構成する「郵政労働運動の発展をめざす全国共同会議」。
 郵便事業会社は、二〇一
一年度事業見通しで一〇〇
〇億円を超える営業赤字が見込まれるという理由で、人件費の大幅な削減、すなわち非正規労働者の雇い止め、正社員化のストップ、賃下げの攻撃をかけようとしている。しかし「大幅赤字」の主要原因は宅配便事業統合を無理に推進してきたことにあり、その責任はあげて経営陣の側にある。そうした経営責任を取ろうともせず、大リストラで労働者に犠牲を押し付けようとすることなど許せるものではない。
 日本郵政グループは全国で二一万人以上の非正規労働者を抱えている。その六四%は年収二〇〇万円以下のワーキングプアである。昨年の国会では「希望する人全員を正社員にすべき」との答弁もあり、亀井静香郵政改革担当相(当時)は「非正規一〇万人正社員化」を打ちだした。昨年一二月一日には登用試験を通った非正規社員八四三八人が正規社員となったが、その“一歩前進”もつかの間の非正規の仲間に集中する大リストラの嵐である。
 こうした攻撃の中で闘われたこの日の行動には三労組から一五〇人の労働者が参加した。

岡山で逆転勝訴
成果を広げよう
 寒風の中、林立する組合旗をなびかせて始まった集会では、郵産労本部の広岡委員長が基調を提起した。「事業会社の中期決算六六〇億円の赤字のうち四二〇億円はJPEX統合(ぺりかん便との宅配便統合)の失敗によるものだ。総務省も赤字の大半八〇〇億円は会社の責任であることを認めている。労働者に犠牲を押し付けなくても赤字は解消できる」と訴えた。郵政労働者ユニオンの松岡委員長は「三二〇億円の人件費カットという攻撃がかけられている。赤字ならば非正規切りをしていいのか」と語気を強めた。
 全労連の根本副議長、全労協の金沢議長が連帯あいさつを行った後、経過報告につづき郵産労、郵政ユニオンの四人の非正規の仲間が発言した。その中でとりわけ注目の的になったのは、二月一七日に広島高裁岡山支部で二〇〇八年の「雇い止め」無効と「控訴人が被控訴人に対し雇用契約上の権利を有する」との逆転勝訴判決を勝ち取った郵政ユニオン岡山支部の萩原和也さん(三〇歳)の発言だった。
 萩原さんは「三年分の未払い給与が支払われることになる。不当な行為で労働者の権利を奪って、結局泣きを見るのは会社側だということを見せつけた」と喜びを語った。また郵政ユニオン佐野支部の丹羽さんは、二月二五日に一〇月以降雇い止めの通告があった。撤回させるために闘う」と決意を語った。
 最後に「希望する非正規社員の正社員化を行うこと」「正社員化にあたっては公正・公平な正社員登用を行うこと」「非正規社員の時給を最低でも一二〇〇円以上に引き上げること」「勤務時間や出勤日数削減をやめ生活できる賃金を保障すること」「年次有給休暇、育児休暇、夏季及び冬季休暇等、正規社員並みの待遇を保障すること」などの要求を含んだアピールを確認し、郵政本社前でこぶしを突き上げてシュプレヒコールを行った。
 なお午後からは議員会館での院内集会も行われた。
          (K)


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