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    かけはし2011.7.18号

仏NPA、大統領選に突入

 

【編集部解説】

「左翼戦線」をめぐる論争再燃

 今号に紹介するのは、来年の大統領選挙と総選挙に向けた取組みを決定するためのNPA全国協議会についての報告である。本紙次号ではさらにNPAの新たな大統領候補、フィリップ・プトゥーのプロフィールを紹介する。
 NPAは今日、危機にある。選挙に向けた全国協議会の討論でも、内部の意見の相違が明らかになった。選挙方針をめぐって大きな意見の対立は、「左翼戦線」(社会党左派と共産党の連合)に対する対応をめぐってである。「左翼戦線」は、社会党を出た社会党左派が共産党との間でブロックを組み、結成した連合組織である。左翼主流である社会党が新自由主義に屈服し、資本主義の危機のツケを支払わされる人々の不満を代弁することができなくなっている中で、この社会党に対する漠然とした不満を代弁する形で、一定程度、支持を拡大してきた。本来、NPAが獲得すべきこうした支持基盤の一部を「左翼戦線」がこの間、吸収してきたのであり、その結果、NPAは最初の党員の期待に反して伸び悩むことになった。このことがNPAの危機を生み出してきたのである。
 周知のようにフランスの大統領選挙はきわめて既存大政党に有利な非民主的な制度であり、大統領選に立候補するには、全国で五〇〇人の議員の推薦を得ることができなければ、出馬資格を得ることができない。これは小さな政党やグループにとっては余りにも巨大な負担であることは明白である。来年の大統領選挙に打って出るには、現時点で候補者を決定して五〇〇人の推薦人の獲得活動に今から入らなければ、物理的に不可能である。この観点から、今回の全国協議会の討論の中で、NPAの多数派(立場A)は、来年の大統領選に向けてNPAの独自候補擁立を決定してただちに選挙戦の準備を開始すべきだと主張した。
 これに対して得票で四〇%を占めた少数派(立場B)は、多数派のそのような立場は、「左翼戦線」に対してセクト主義であり、「左翼戦線」との話合いを継続すべきである、とする立場を主張した。ここで、本紙の読者やNPAに関心を寄せてきた人々から、当然にも、そのような議論は、すでにLCR(革命的共産主義者同盟)時代の二〇〇七年の大統領選挙をめぐってもなされ、すでに決着済みではないかとする疑問が生まれるであろう。確かに、二〇〇七年のLCRの討論では、そうした少数派の立場は極小の数パーセントの支持にとどまった。しかも、二〇〇七年の大統領選挙は「オリビエ・ブサンスノー旋風」が巻き起こり、LCRの多数派の立場の正しさが立証された。この多数派の基本的立場は、NPAにも基本的に継承された。「左翼戦線」は、「ブザンスノー旋風」に押されて危機に立った「社会党左派」と「共産党」の対抗策であった。
 「左翼戦線」は、その「左翼的」ポーズにもかかわらず、社会党との連立政府を否定していないので、「左翼戦線」との「話合い」は否定されるべきではないが、すぐに政府権力問題で社会党と手を切るというレベルで「左翼戦線」との合意ができるような情勢にはないのであり、その意味でこの問題は二〇〇七年と本質的に変わっていないのであり、すでに「決着済み」の問題と言えるかもしれない。しかし、この「左翼戦線」がある程度、支持を拡大し、それと対照的にNPAが伸び悩むと、NPAの中に「左翼戦線」との「連携」を求める傾向が増大してきたのである。これが、今回のNPAの危機の背景である。
 NPAは、問題を戦略的にたて外に向けて党を再編、再生することが求められている。しかしながら、その展望は、来るべきこの困難な大統領選挙を何としても闘い抜かなければ、その展望は切り開かれないであろう。

 

反資本主義新党(NPA)全国協議会の宣言

被抑圧諸階層、緊縮策の犠牲者
の思いをこそわれわれは発信する

問題は資本主義と手を切る綱領

 ギリシア、スペイン、アラブ世界全域で、巨万の人々が、危機のツケを労働者と人民に支払わせようとしている支配階級や国家に反対して、デモを展開している。フランスでは、経営者とサルコジとその政府が、労働者やすべての女性、若者、移民に対する激しい反動的攻撃を展開している。NPA(反資本主義新党)は、結成以来たえず、これらの攻撃に反対するための最大限の広範な統一を提案し、それを促進し、この方向に役立ち得るすべての統一的枠組みに参加してきた。
 来るべき大統領選挙と総選挙に際して、われわれは、搾取された者、抑圧された者、働く人々、移民、女性、銀行、そして経営者に従属した国家によって実施されている緊縮政策のすべての犠牲者の声を発信することによって、こうした日常の闘いをさらに継続する。国家は、われわれを分断するために人種差別主義と排外主義を利用している。結成以来、わが党によって討論され、採択されてきた立場から出発して、われわれは、資本主義と手を切る綱領を擁護し、もうひとつの富の分配のあり方を支持し、賃金労働者と民衆全体が危機のツケを支払うことがないようにすることを要求する。
 これは闘争のための、闘いを全般化するための綱領である。これが、社会的、政治的、エコロジー的な危機に直面する中での唯一の解決の道であり、この危機は、制度を次々と取り替えたり、私有財産を尊重したりするといった体制の枠内での改革では解決できないだろう。その綱領は、労働者の政府によってのみ担うことができるであろう綱領である。なぜなら、労働者の直接的な統制と介入だけが体制を打倒し、世界を変革することができるからである。

社会党から完全に独立した闘い


 この脈絡のもとで、NPAの全国協議会は、自動車産業の国際的な主要グループのひとつに属する企業閉鎖に反対して数年来闘いを展開してきた、NPAの活動家であり、労働組合に所属する労働者であるフィリップ・プトゥー候補を大統領選挙に擁立した。彼は、反資本主義の、フェミニストの、エコロジーの、反人種差別主義の、国際主義の立場に立つ候補者である。
 この選挙戦において、NPAは、それが右翼によって実施されていようと、あるいはギリシアやスペインのように左翼によって実施されていようと、現在実施されつつある緊縮政策を曖昧さの余地なく非難する声を発信するだろう。この声は、社会党とその同盟者から完全に独立したものである。NPAは、債務の帳消しを、銀行の没収と動員された住民と労働者の管理下におかれた金融公共サービスとしてのその社会化を要求する。公共サービスは、赤字を口実に今日攻撃の的となっている。NPAは、公共サービスの防衛と改善を要求する。党は、大衆動員に依拠しながら、労働者の利益を防衛する声を発信したいと考えており、雇用抑止に反対し、大量解雇禁止、労働時間のワークシェアリング、賃上げ(一律三〇〇ユーロの正味の引上げ、一六〇〇ユーロ以下の賃金を認めないこと、賃金の物価スライド制)を支持し、労働の苦難に終止符を打つことを望んでいる。
 フクシマの悲惨な事故から数ヶ月経った今、われわれは脱原発を要求し、EDF(フランス電力公社)、GDF(フランスガス公社)、アレバ、トタルなどの企業を没収しそれらを公共サービスのもとにおいてエネルギーの計画化を可能にするようにすべきである。
 権利の平等を求め、滞在許可証をもたないすべての移民に正式の滞在許可を与えるべきでり、人種差別的ないっさいの法律や言動、とりわけ、ロマやイスラム教徒に対する差別的なレッテルはりに反対する。
 (極右)国民戦線は、資本主義的攻撃であればそのすべてを支持するという自らの本質をえせ社会的言動の背後に覆い隠している。この国民戦線と闘うべきである。
 女性に対する抑圧を否定し、それに反対して断固として闘い、公的領域と私的領域の両方で女性が受けている差別と暴力に反対して闘争すべきである。レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、インターセックスの人々が受けている差別に反対して闘う。
 経営者と銀行のいっさいの権力を拒否し、マドリードのプエルタ・デ・ソル広場の現地の人々やギリシアのシンタグマ広場のデモの人々やアラブ世界の革命的な人々が要求しているような真の民主主義のために闘う。パレスチナ人民をはじめとして、抑圧された人々のいっさいの闘争への連帯を表明する。競争ではなく連帯にもとづくもうひとつのヨーロッパの建設を目指す。労働者と人民のヨーロッパを。
 フランス帝国主義の軍事的、経済的介入に反対する。
われわれの前には困難な闘いと多くの障害が横たわっている。まず最初に、われわれはみんないっしょに力を合わせて、反民主主義的な法がわれわれに強制している、五百人の議員からなる推薦人という柵を乗り越えることに成功しなければならない。全国協議会の準備の過程と大会中に、多くの意見の違いが表明された。われわれの党は今や、われわれを結びつけている根本的諸要求のもとに結集しなければならない。
 われわれの選挙戦は、集団的指導部と選挙戦のスポークスパーソンである二人の全国的スポークスパーソンやオリビエ・ブザンスノーとを結びつけるであろう。この選挙戦は、党全体に支えられる形で展開されるであろう。われわれは、われわれの集団的闘いの中でその一端を担いたいと望むすべての人々に訴えるものである。
ナンテール 六月二六日 『トゥテタヌー』紙(六月二六日号)

NPA全国協議会討論

資本主義体制の危機に全面
的に応える攻勢的選挙戦へ

ジャン・フランソワ・カブラル、サンドラ・デマルク

三つの立場を
めぐって討論


 NPA全国協議会は、九二地区の総会に結集した三一〇〇人の党員によって選出された二四〇人の代議員を結集して開かれた。来るべき大統領選挙と総選挙に向けたNPAの活動の進め方を定めることがこの全国協議会の課題であった。協議会では採択によって、われわれが差し当たり立候補しないというようなことをせずにわれわれの選挙戦を開始するということが決定された。この立場を主張する「動議A」が五〇・四%の支持を得たのである。
 六月二五日、最初の討論は、この選挙の進め方をめぐって開始された。「立場A」の代議員と「立場B」(代議員の四〇%)の間の主要な意見の相違は、「左翼戦線」(社会党を出た左派と共産党との連合)に対するNPAの戦略にかかわるものであった。「立場C」(代議員の五・八%)は、「立場A」によって提案されているアプローチが十分に革命的でないとみなす立場であった。

危機との正面対
決に広範な合意


 二五日午後のの討論は、われわれの選挙戦の概要とその一大基軸をめぐってなされた。こうした討論の結果、われわれの選挙戦が資本主義体制の危機ならびに民衆と労働者へのその影響に応えるものでなければならないという考えをめぐって広範な合意が形成された。この危機は、経済、財政、社会、環境、エネルギー、食糧の同時的な危機なのだが、悲惨な影響をもたらしている。支配階級に奉仕する緊縮計画をいっせいに組織している右翼政府や左翼政府に直面して、それに反撃するためにはわれわれの社会陣営に再び自信を取り戻させる必要があるという点がわれわの共通の関心事である。
 だが、この選挙戦の展開方法をめぐって意見の違いが生まれた。「立場B」の一部の同志たちは、選挙戦が「労働者主義的」、「セクト主義的」になるのではないかという危惧を抱いており、「立場C」の同志たちは選挙戦が資本主義と手を切る政策に十分言及していないのではないかとみなしている。二五日の夜、われわれの同志フィリップ・プトゥーが、賛成一二二票、反対五〇、保留一一、棄権四七でNPAの大統領候補に指名された。
 一部の同志たちは、われわれのこの候補者が、とりわけわれわれの二人のスポークス・パーソンのうちの一人が、女性でないので、それに反対した。だが、多数派は、フィリップ・プトゥー候補の社会的、政治的横顔が、資本主義の危機のこの時期におけるわれわれの組織のプロジェクトをよりよく説明でき、党の結集を可能にするだろう、と評価している。

公職者五〇〇人
の推薦人獲得へ

 二六日、労働条件、ワークシェアリング、職と不安定雇用、賃金、エコロジー、差別、債務帳消し、青年、などの分科会別の討論によって、われわれの選挙戦の基軸となるさまざまな問題の内容をさらに深めることができた。反資本主義の組織として、われわれは、資本家の利益とは異なるもうひとつの利益に沿って社会を組織するために、民衆の日常生活の要求の防衛と労働者の大衆動員を通じてそれらを実現していく方法についての討論とを結びつけたいと考えている。
 しかし、大統領選に打って出るには、全員が力を合わせて法によって強制されている五〇〇人の議員の推薦人を集めるという障壁の突破に成功することが当面、すべてのメンバーにとっての緊急を要する任務となっている。二六日の朝の最初に、この緊急の課題をめぐる討論が行われた。
 全国協議会の最後に、この選挙戦のもとに全組織を結集するための宣言が六二%の賛成で採択された。「立場B」は、基本的な不一致を公然と宣言することを望んでおり、一〇月に向けて公然潮流の結成を呼びかけている。
 全国協議会後に決定的に求められる挑戦課題は、今や内部討論をひとまず背後に置いて、NPAを統一して、党を外部に、闘争に、この選挙戦に向かわせることである。この選挙戦は、われわれのさまざまな介入をわれわれの社会的プロジェクトと結びつけることによって、われわれの介入に首尾一貫性を与えるものとならなければならない。




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