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    かけはし2012.年4月16日号

あまりにもひどすぎる「暫定安全基準」

大飯3・4号炉「再稼働」を許すな

今こそ稼働原発ゼロ実現へ
野田政権の暴走を止めよう


何の根拠もない「安全性」


 五月五日、北海道電力泊3号機が定期検査のために運転を停止し、ついに日本の五四基の原発は稼働ゼロになる。この局面で、野田政権はついに福井県おおい町の大飯原発3・4号機の再稼働に向けて恥も外聞もなく暴走しはじめた。
 四月三日、関係閣僚会議(野田首相、枝野経産相、細野原発担当相、藤村官房長官の四閣僚が出席)を開いた野田政権は、「福島原発事故の原因を踏まえた暫定基準を整備して提示」することを確認し、四月五日、六日の関係閣僚会議で再稼働のための安全対策の「暫定基準案」なるものを了承した。
 しかし予定通りならば原子力規制庁の発足によって四月一日にはなくなるはずだったが、規制庁の発足の遅れによってずるずる延命した経産省安全・保安院が、わずか二日でまとめた「暫定安全基準」なるものはインチキの極みというべきものだ。ここで挙げられた三つの基準とは@「地震・津波による全電源喪失を防止するための安全対策がすでに講じられていること」A「東電福島第一原発事故を襲ったような地震・津波が到来しても、炉心及び使用済み燃料プールの冷却を継続し、同原発事故のような燃料損傷には至らないこと」を国が確認していることB「原子力安全・保安院によるストレステスト(一次評価)で一層の取り組みを求められた事項、福島事故の技術的知見に関する意見聴取会で示された三〇の安全対策について、事業者により更なる安全性・信頼向上のための対策の実施計画が明らかにされ、今後も事業者が安全確保のための措置を不断に見いだし、実施していく事業姿勢が明確化されていること」(要旨)である。
 しかしこの「暫定基準」なるものは昨年三月末、まさに事故の直後にとった電力会社への指示に基づくものであり、福島第一原発事故の原因究明、事故を起こした原子炉、燃料の現状についての検証も全くと言っていいほど手がつけられていない中では、下手な作文以上のものではない。福島第一原発は、「収束」にはほど遠く、事故を起こしてから一年以上を経た現在でも、放射能を垂れ流し続けているではないか。
 関西電力側は四月八日以後にも「実施計画」を提出し、それを受けて関係閣僚会議で大飯原発の「安全」を確認し、地元自治体の「理解」を得て、再稼働を決定するスケジュールになっている、と報じられている。
 野田政権の、こうしたお手軽な「再稼働」強行を絶対に阻止しよう。

二転、三転する枝野発言


 枝野経産相は四月二日の国会答弁で「現時点では私も再稼働に反対」と明確に述べていた。彼は「夏の電力需給逼迫をどう考えるか」との質問に対し「あくまでも二次的なもの。安全性が確認できるかが重要で、電力需給の観点で安全評価に影響を及ぼすつもりは全くない」と答えていた(「週刊ダイヤモンド」三月三一日号)。
 しかし「地元の同意」を再稼働の条件にしていたはずの野田政権は、ここにいたって「同意と理解は違う」(藤村官房長官)、「私は一貫して地元の『理解』と言っており、『同意』とは言っていない」(枝野経産相)と、ことさらに強調しはじめている。それは五月五日の「泊停止」以後の「稼働原発ゼロ」状況をなんとしても阻止しなければ「再稼働」はおぼつかなくなる、という電力業界をはじめとする総資本、経産省をはじめとする官僚の強力な圧力によるものだ。
 原発への依存度の最も高い関西電力は、「再稼働が間に合わなければ夏の電力供給に一三・九%の不足が生じる」と主張している。この冬にも関電は、二月には自社の管内で一〇%の電力不足が生じると述べていた。しかし実際には最大電力需要は供給を下回った。電力は「十分に足りていた」のである。
 資本家たちは、原油価格の高騰で火力発電のコストが大幅に上昇し、企業経営にとって深刻な打撃となる、と危機感を煽っている。しかし電力資本による「電気が足りない」とのキャンペーンは、原発延命のために電力供給を過小に見積もり、需要を過大評価する意図的な「試算」の上に成り立つデマゴギーである。さらにわれわれは核廃棄物最終処理問題や、事故処理費用、賠償、原発立地自治体への「交付金」などを覆い隠した「原発は安価」という悪宣伝に反対するとともに、エネルギー多消費型産業・社会構造をそのままにした再生エネルギーや化石燃料の「コスト高」論をも明確に批判しなければならない。
 故右島一朗(高島義一)は、事故隠し・データ隠しによって東電の全原発が停止を余儀なくさせられた二〇〇三年四月、「電力不足キャンペーン」を批判して「原発なしでも停電にはならない――脱原発は今すぐ可能だ」(本紙二〇〇三年四月二八日号)を書いた。また同年夏の「電力危機」宣伝に対して「破綻した電力危機キャンペーン」(本紙二〇〇三年八月一一日号)を発表した――いずれも本紙ウェブサイト掲載。その中で右島同志は、原発推進を必然化したエネルギー多消費構造を特徴とする現代資本主義を批判し、労働時間の大幅削減、超長時間労働を強制する非正規・不安定・低賃金労働の抜本的是正と結び付けた脱原発への闘いを強調した。
 「東北で連続して発生した大地震は、阪神淡路大震災以来、日本列島が大地震活動期に入っていることを改めて示した。マグニチュード8クラスの東海大地震、中南海大地震が日程にのぼり、巨大地震がヒビ割れた原発を直撃し、人類未曾有の原発大震災が発生する可能性がますます高まっていることを、多くの地震学者が切迫感を込めて警告している。/労働者人民は、原発と心中することを拒否する。原発が有害無益で不必要な過去の技術であることは、すでに議論の余地なくはっきりした。幸運にも、重大事故による原発大震災が起きなかったとしても、原発を動かせば処理不能の核廃棄物を大量に作り出し、天文学的な税金を飲みこんで未来を食いつぶし続けるだけだ」(前掲「破綻した電力危機キャンペーン」 本紙二〇〇三年八月一一日号)。
 この予測は不幸にも的中した。われわれは未曾有の原発事故にもかかわらず、「再稼働」を通じて脱原発の流れを食い止めようとする政府・資本のあがきに断を下さなければならない。

今ここで「脱原発」を

 野田政権の大飯原発再稼働へのゴーサインは、余りにも見え透いた、その場限りで無理押しの原発延命策であり、また枝野発言に示されるような二転三転する、言っている本人にも正当化できないような混乱に満ちたものであるために、大飯原発隣接府県である滋賀県の嘉田知事、京都府の山田知事、さらには関西電力の筆頭株主である大阪市の橋下市長も大飯再稼働の見切り発車に反対の意思を明らかにした。
 福井県の西川知事は「閣僚自らが国民に原発の意義や再稼働の必要性について考えを明らかにし、理解を得る努力が先」と、政府の「説明」を受けて再稼働にOKを出す可能性を示している。地元おおい町の時岡町長は「住民が納得できるよう、早く説明をいただきたい」と再稼働に前向きである、と報じられている。
 全国的な世論調査では六割近い人びとが再稼働に反対(朝日新聞の三月の調査では再稼働反対が五七%、賛成二七%)だが、交付金・法人税収入、雇用などでがんじがらめにされてきた地元立地自治体ではなかなか反対の声が上げられない、ということも事実だ。しかし福島第一原発事故で家・農地、漁場、雇用の場や学校を奪われ、地域・家族をバラバラに分断された住民の姿は、原発立地の住民にも焼き付いている。
 住民の訴えに聞き入り、自治体に働きかけ、この悲劇を二度と繰り返さず原発ゼロから脱原発の完全な実現に向かって進むために、大飯原発3・4号機の「再稼働」阻止、五月以降の「原発稼働完全ストップ」のために全力を振り絞ろう。
 大飯3・4号機で「再稼働」が強行されるならば、次に愛媛県伊方原発3号炉の「再稼働」となる可能性が大きい。四月一五日には愛媛県松山市で「伊方原発再稼働に反対する中国・四国・九州市民緊急合同集会」(午後一時半、愛媛県美術館講堂)も予定されている。
 そして再稼働の「政治判断」を下すのは政府である。野田政権の再稼働強行へのやけっぱち的動きを阻止し、政府・国会・電力企業に向けた連続的な行動を成功させよう! 「脱原発」は一〇年先、二〇年先の話ではなく、まさに今現在の課題なのである。
    (四月九日、純)

 


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