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きっぱりした脱原発・脱炭素へ
原発廃止に伴う雇用創出は可能
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日本を含む世界の原子力マフィアにとって、原発大国フランスの動向は死活を制する意味をもっている。そのフランスでは、東電福島原発事故が、多くの人々に初めて原発をどうするかを真剣に考えさせ始めた。そして現在行われている大統領選でも重要争点の一つとなっている。以下に、大統領選における各候補の主張との対比も含めたフランスNPAの考え方を紹介する。(゜かけはし」編集部)
フクシマが根本的転機に 福島の原発災害から一年がたった。原子力発電の廃止を求める大規模な動員が組織されている。
原子力エネルギーの歴史においては、フクシマ以前・以後が区切られることになるだろう。チェルノブイリ事故の後、西側の原子力ロビーは防衛線を見いだした。事故はソ連邦システムに典型的な、不十分で非効率な官僚的運営がもたらしたものだ、という理由付けだ。「そんな事故はわれわれの国々では起こりえない」というのだ。
日本の民間産業の技術の粋をつくした原発で事故が起きた今、こうした主張はどのようになっているのだろうか。今年一月末以後、日本で運転中の原発はわずか三基になっているが、電力不足など起きてはいない。この「擬似脱原発」的モデルは(津波の結果だという点はさておいても)望ましいことではない。なぜならその急速な供給回復には大規模な化石燃料への依存が必要だったからだ。しかしそれは、フランスがその最前線に立っている一部の諸国で見られるような原子力エネルギー中毒が、まさに不治の病であることをも示しているのだ。
この状況は、エネルギー部門の多国籍企業がわれわれに押し付けているウソと危険なジレンマを、明らかにしている。「最も汚染のひどい」化石燃料(石炭、沖合油田、タールサンド、シェールガス)への大規模な依存は、原子力エネルギー放棄の代わりとなる解決策ではないのであり、「きれいな」放射能による死か、地球温暖化によるゆるやかな窒息死かの二者択一的選択をする必要など、われわれにはないのだ。
あいまいさ許さない破局の可能性
一年前、メディアは、安全よりも利益に関心を持つ東京電力(TEPCO)の無責任、事故への備えのなさ、ウソについて、原子力産業の統制に責任のある諸機関や政府当局・地方自治体の積極的な共謀と合わせて、焦点化していった。こうした事実は論議の余地なく本当のことだ。しかしこの側面についてのみ強調しすぎれば、もっと重要なことを見落とすことになりそうだ。危険は、原子力エネルギーにとって固有のものなのである。
「ヒューマン・エラー」、内部的機能不全、地震、飛行機事故、爆弾攻撃、あるいは予見しえない事件が引き起こすもう一つのチェルノブイリやフクシマは、遅かれ早かれ起きるだろう。ジャン・ジョーレス(訳注一)の言い方を借りれば、雲が嵐を伴うように原子力は破局を伴う、と言うことができる。われわれは、仏大統領選挙の主要候補がこの問題を取り扱うやり方の中で、そのことにいっそうの不快感をおぼえるのだ。
欧州エコロジー―緑の党と社会党との破滅的な合意は、原子力の廃絶に関して緑の党がその目的のためにあいまいな形であっても交渉しえずに屈服し、二〇二五年までに原発の比率を七五%から五〇%に減らすだけに終わったことを明らかにした。したがって、緑の党の大統領選候補エヴァ・ジョリーが、支持の反響を得られなかったことに誰が驚くだろうか。フランス共産党においても現状維持の立場が支配的である。かれらの逆行的立場は、左翼戦線(訳注二)の意思表明をマヒさせるものになっている。
サルコジ(大統領)とベッソン(エネルギー担当相)のUMP(国民運動連合)やその同僚たちは、原子力産業に働く労働者たちをおじけづかせるために、社会党が多くの原発を閉鎖したいと思っている、と信じるふりをしている。実際のところこれは、社会党の立場についての、そして原子力産業労働者の状況との関係での、二重のごまかしなのだ。
原子力産業の労働者は、他の労働者と同様に、不安定な下請雇用であり、職業病に苦しんでいる。原発の廃止に伴う新たな雇用創出については、この問題に関するさまざまな報告についてサルコジやオランド(社会党の大統領選候補者)が何も言わないにもかかわらず、可能なのである。われわれが見ていることは、それとは全く逆に、そもそも当初、耐用期限三〇年で設計された原子炉の耐用年数を四〇年に延長しようという無謀な試みである。 21の原子炉をただちに廃炉へ
原発の耐用年数の問題は今や最重要の課題になっており、われわれの要求は、すでに三〇年間運転してきた原子炉の廃炉である。現在なお運転し続けているが即座に廃炉にすべき原発は二一基あり、それ以外の二一基も二〇一七年には耐用期限年数に到達する。こうした要求は、原発を一〇年で廃止せよというNPA(反資本主義新党)の提案、ならびに現在進行中の原発プロジェクトを中止せよという提案との完全な一貫性を持っている。
こうした要求は、反核運動の中で広範な支持を得る必要がある。三月一一日にリヨンとアヴィニョンの間で組織される人間の鎖は、この理由から言っても失敗させてはならない。それは、フランスで最も原発の多い地域で数万人を組織することを意味している。しかし日本での原発災害から一年後の日になされる一日行動だけでは、原子力ロビーを退却させるには不十分であり、われわれは、人間の鎖、デモ、核廃棄物を運搬する列車の阻止などさらなる行動について検討しておくべきである。原子力を止めるために、ともに原発を阻止する行動に立ちあがろう。
二〇一二年三月六日
(訳注一)二〇世紀初頭のフランス社会党の指導者。第二インターナショナルの中では「修正主義」の立場に立っていたが、第一次大戦に反対し右翼によって暗殺された。
(訳注二)共産党と仏社会党から分かれた左翼党との選挙ブロック。左翼党のメランションが左翼戦線の大統領候補になっている。
▼ミシェル・レヴィはブラジル出身の哲学者・社会学者であり、フランスの反資本主義新党(NPA)ならびに第四インターナショナルのメンバー。彼はアムステルダムのIIREの特別研究員であり、フランス国立科学研究センター(CNRS)の前主任研究員である。彼には『チェ・ゲバラのマルクス主義』、『マルクス主義と解放の神学』、『父なる祖国か母なる大地か』、『ラテンアメリカにおける宗教と政治』など多数の著書がある。邦訳書に『若きマルクスの革命理論』(山内昶訳 福村出版、一九七四年)、『世界変革の政治哲学』(山本博史訳、つげ書房新社、一九九九年)がある。彼は「国際エコ社会主義宣言」の共同起草者であり(ジョエル・コーヴェルとともに)、二〇〇七年にパリで開かれた「第一回国際エコ社会主義会議」の組織者の一人でもある。ヴァンサン・ゲイは仏NPAのメンバー。
(「インターナショナル・ビューポイント」二〇一二年四月号)
コラム
悪徳東電解体
構造不況業種の会社に勤めているということもあり、業績不振のために昨年から基本給と役職手当がカットされて、手取り分の給料は四〇%近くの削減となってしまった。夏冬のボーナスなどはもう何年も出ていない。また管理職という立場上、夜遅くまで残業しても残業代も出ない。
おまけに、十数年かけてコツコツと蓄えてきた貯金を、会社の運転資金に融資するというはめになってしまった。そうしたお金の動きに合わせるように、従業員の二五%が職場を去っていった。
いまやどこの中小企業も、同じようなギリギリの企業経営に追い込まれているに違いない。消費税の値上げなどされようものなら、追い打ちを越えてダメ押しになりかねない。
そんななか、悪徳殺人極悪企業である東京電力が、電気料金大幅値上げの攻撃をしかけてきた。四月一日以降の値上げ対象となっているのは、契約電力が五〇キロワット以上の企業や自治体で、その数は約二三万七〇〇〇件だ。平均一七%もの値上げに対して「一方的だ」「独禁法違反ではないのか」などと当然にも反発の声が上がり、値上げに同意したのは全体の一・四%に過ぎない。
安全神話でたぶらかし、自らが招いた原発事故という不祥事の後始末までも、電力利用者に押しつけようとするのは勘弁してほしい。重大事故を引き起こした「企業責任」のいろはも分かっていない。それどころか「電力独占」という立場から「値上げに応じなければ電気を止めるぞ」と脅しをかける始末。これではもう「殿様商売」を越えて「悪徳暴力団商売」ではないか。
それにしても不当で一方的な今回の値上げに対して、政府がなぜそれを認可したのか。電気事業法によれば、電気料金は「能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものであること」とされている。
しかし実態は「地域独占という立場から札束の力による経営の下に、原発建設と事故で原価をつり上げて、総資産一三兆円の世界最大の民間電力会社になるほどの暴利をむさぼるもの」なのだ。
すでに三兆五〇〇〇億円の血税をつぎ込んでいる政府は、七月にも東京電力を救済するために、実質国有化しようとしている。それは東電に四兆円以上の債権をもつ三井住友などのメガバンク三行と、その三行および第一生命、日本生命の東電大株主を救済することをも意味している。
悪徳殺人極悪企業は倒産させて解体し、電力、送電、配電などもそれぞれ細かく分割し、自治体を受け皿の中心に据えて、「電力民主化」のための実験場にしなければならない。政府は脱原発政策の下、福島事故の処理と原発廃炉に全責任を負わなければならない。 (星)
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