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    かけはし2012.年10月29日号

日韓中台市民の声が共鳴

10.18「領土問題」の悪循環を止めよう

民衆交流で東アジアの平和を

排外主義的ナショナリズム反対



歴史問題を
直視しよう
 一〇月一八日、衆議院第一議員会館前で、「領土問題」の悪循環を止めよう―日本の市民アピール世話人呼びかけ、平和のための国会前行動が行われた。ローソクを灯しながらアピールが行われ七〇人が参加した。
 高田健さんが「九月二八日、市民アピールを発表したが今日まで賛同が一九二一人にのぼった。日本全国から期待が寄せられるとともに、韓国・中国・台湾に連帯の動きが広がっている」と報告し、集会が始められた。
 最初に、岡本厚さん(『世界』前編集長)が経過報告を行った。
 「今年の夏から九月にかけて、日韓、日中の争いが繰り広げられ、中国で反日運動が暴動に発展した。政府間で意思疎通がなく、武力衝突も考えられないわけではない。日本のメディアは中国をやっつけろと煽った。何とかこれを止めなければならない。日本国憲法九条で武力の行使・威嚇はできないとしている。こうした状況を打開するためにいっしょになって声明をつくった」。
 「領土問題といってもそれは歴史問題だ。日本の侵略によって起きた問題だ。尖閣問題は石原都知事が火をつけ、日本政府が国有化した。中国から見れば現状を変えたことだ。固有の領土なんてありえない。日本政府は領土問題は存在しないというがこれでは対話さえできない。市民アピールは、大きな反響を呼び起こした。一〇月四日、中国で理性を取り戻そうとアピールが出され七〇〇人が賛同している。一〇月六日、台湾で上海、北京、ソウル、沖縄、そして日本からスカイプで参加した国際会議が開かれた。そこでは平和的、対話で解決をしようと話し合われた」。
 「今後、民間交流やシンポジウムを開きたい。解決のために不戦・互恵の流れを広げていきたい。相互不信があるから領土紛争がある。東アジアを平和で豊かにするためにがんばろう」。

アジアに信頼
される日本へ
 世話人の内田雅敏弁護士が北京からのアピール(@領土問題の悪循環を断とうについて、理解するA理性を持って解決をB偏狭なナショナリズム反対C民間ルートの発展を。子々孫々のために平和的未来を築こう)を代読し発言した。
 「中国人強制連行、西松建設問題で和解が成立し殉難の碑が建てられた。それは日中友好のあかしだ。五回目になるが今年も三〇人が中国から参加する予定だった。しかし、十数人は日本が恐いなどと来られなくなり、一八人が広島にやってくる。その中国人たちを広島の原爆資料館に案内する。強制連行して作られた中国電力水力発電所は今も使われている。中国人たちは末永く使って欲しいと言い、中国電力側は大事に使いたいと述べた。殉難碑が友好の碑に変わる。運動の正しさを確信している」。
 橋本勉さん(民主党、衆議院議員)が「山口外務副大臣は尖閣の国有化をやってはいけないと外務大臣に進言していたがこれを無視して野田内閣は国有化を決めた。この結果、中国の日本企業や日本人の生命が危うくされた。慎重にことを進めなければならない。他の国の国民が平和に生きられるように考えて行動しなければならない」とアピールに賛同する立場を語った。
 服部良一さん(社民党、衆議院議員)は「今回の領土問題は日本の帝国主義・植民地支配に端を発しており、歴史認識の問題だ。日中国交回復の時、棚上げにされ、後世のわれわれに託された。侵略の歴史を教えてこなかったわれわれも反省すべきだ。鳩山政権時は東アジア共同体を呼びかけた。その後の政治が悪い。盧溝橋事件勃発の七月七日に国有化を決めた。中国人の歴史認識をまったく理解しようとしないのが今の政府のやり方だ。今回の勇気ある市民アピール行動は平和構築に大きな力になる。国会は国益に流されているが日本がアジアに信頼されることが国益だ」と述べた。

軍事的緊張を
加速させるな
 在韓被爆者問題を長年にわたって取り組んできた小田川興さんが韓国の五九六人が署名したアピールを読み上げた。このアピールでは、中国・台湾の声明に深く共感し、日本の市民アピールに熱い支持をすると表明している。また、小田川さんは日韓の学生交流事業の経験を通して「正義と信義」が大切であり、それが平和の源泉になると訴えた。福島みずほ社民党首は「領土問題を口実に、オスプレイの配備や沖縄の基地の強化、そして憲法を変え、戦争のできる国をつくろうとする動きに危惧を感じる。中国・台湾・韓国でもキャンドルが行われていると聞いている。人と人のつながりをつくりだそう」と発言した。この他、瑞慶覧長敏衆院議員が連帯のメッセージを寄せた。
 コメディアンの松本ヒロさんほか数人の参加者がそれぞれ熱い思いを語った。最後に高田さんが、世界各国にいる日本人が賛同していること、沖縄からの賛同が多いことを紹介し、@一〇月二五日に内閣府にアピールを提出する。A賛同個人署名を一〇月二四日まで行う、と行動提起した。そして、「米軍と自衛隊が尖閣諸島のすぐ近くで、島の奪還・上陸訓練を行おうとしている。また、中国人民解放軍も同様の訓練をやろうとしている」と、軍事行動のエスカレートを批判し、アピール運動の重要性を再度確認した。  (M)

中国市民のアピール

中日関係に理性を取り戻そう

――私たちの訴え


以下に掲載するのは、日本の市民アピールに触発されて中国の作家、崔衛平さんがインターネットで発表した声明の全文。この声明への賛同は、中国国内で反響を呼び、賛同者は七〇〇人以上に達している。崔さんは、日中市民間の相互交流を発展させることで、相互理解と平和への道を開くよう訴えている。
                             (本紙編集部)

 この間、釣魚島をめぐる日中関係の危機、とりわけ中国社会を揺るがしたことは極めて憂慮すべきことである。そのような折、日本市民が呼びかけた「領土問題の悪循環を止めよう」の署名アピールを読み、日本の人々の善意を感じることができた。この声明は、かつての日本による植民地化の歴史と釣魚島騒動の発端を回避することなく取り上げており、長年来の両国の間で発展してきた友好関係や協力関係に立脚したものである。とくに平和共存の未来に着目しており、これは危機を処理する契機となる良い方法である。私たちは以下の呼びかけを行う。

1、釣魚島の領土問題は、歴史が積み残した問題であるが、先達たちはすでに後々の私たちに堅実な思考を提供している。一九七二年、周恩来先生は「争いを棚上げする」意向を示し、一九七八年にはケ小平先生はこの考えを継承する方針を明確に示した。釣魚島問題が両国の正常な交流の障害にならないようにするためである。今日から振り返ると、この方針は賢明であったといえるだろう。現状においては、一方的な解決案は、どのようなものであっても、武力衝突ないしは東アジアの平和を崩壊させることにしかならない。いったん釣魚島の問題が適された場合、良好な対話や協議の可能性がない状況においては、まずはこのような立場(棚上げ)に立ち返る必要がある。

2、釣魚島の帰属について、最近の日本政府による一連の論証は、人々を納得させるには、こと欠いていると考える。戦後の日本は歴史に対する責任において、周辺諸国の人々を真に納得させることはできていない。中国の社会には一貫して積み重なった不満が存在している。まず、この積み重なった不満を直視しなければならない。そして、それを解消するすべを探らなければならない。そのためには、過去の戦争に対する十分な認識が必要であり、徳をもって人を説得すべきである。かねてより存在する遺恨を煽って新たな争いの発端を作りだしてはならない。

3、中国大陸では、ここ三〇年の急速な経済発展によって、人々の生活レベルは向上した。これは平和の発展の道筋を堅持することと密接な関係がある。達成された成果、そして周辺諸国との安定調和の友好関係を大切にしなければならない。現在の緊張した情況において、可能な一切の方法を通じて対話と協力を実現し、日本及び周辺諸国との平和安定関係を維持し続けなければならない。国家も市民も、平和のなかでしか繁栄することはできない。

4、戦後日本の政治、経済、文化の発展は目を見張るものがある。日本の社会と人々は大きく変化し、多くの日本の人々が戦争に謝罪し、平和の建設に貴重な努力を積み上げてきた。日本は中国の平和的発展に対しても効果的な支援を行った。歴史を正視し記憶するとともに、現在の日本の現実に即した新たな認識と判断を持つ必要がある。

5、私たちは、いかなる利益集団あるいは政治党派が、自らの目的と利益のために領土紛争を引き起こし、民意を弄び、狭隘な民族主義感情を扇動することにも警戒し反対する。領土紛争を解決し、和解を実現することについて、政府は誰よりも大きな責任を有している。いったん危機が発生したら、人々が理性的に認識し行動するよう誘導する責任を政府は有している。

6、二〇一二年九月中旬、中国のいくつかの都市で釣魚島紛争に端を発する破壊行為や放火が激しさを増したことは、私たちにとっても非常に心苦しいことであり、特にここで非難するものである。このような行為が国際社会の誤解を招き、経済面での後退や他の方面での一層の後退を招くことのないように願うものである。

7、この間、日中の文化交流が制限され、日本関連の書籍の出版と発行が一部の都市で影響を受けているが、これは賢明なことではなく、極めて残念な事態である。日中の文化交流の長い歴史には、十分な説得力を持った豊富な成果がある。領土あるいは政治における争いが無制限に他の領域に拡大されてはならない。善隣関係諸国においては、人々のあいだの関係が重要な役割を果たすのであり、ここにこそ深遠な意義がある。現在の状況からすると、双方の民間レベルの経済、文化、生活などで協力や交流を速やかに回復させ、この間の争いによって発生した損失を可能な限り補い、長期的視点を欠いたすべての臨時的措置をすぐに撤回しなければならない。

8、誰もが自らの生まれた故郷で生活し、働き、次の世代を育て、社会活動や国家事業に参与し、国家に対する主権を有し、国家の主権に対する発言権を有している。政府が主権問題を処理するにあたっては、民衆の意見をないがしろにするのではなく、耳を傾けなければならない。

9、中国、台湾、香港、マカオと日本の教科書に、日中両国の全面的で真実の近代史を記載する必要がある。中国の教科書においても、次の世代が思考し、外国やその国の人々を開放的な気持ちで理解できるよう育成するために、そして日中の民衆の間で相互に尊重し、若者が協力関係と友好的観点のなかで育成できるように、異なる民族の協力や融合についての教育に一層ちからを入れなければならない。

10、領土や国家主権等の国際問題については単に両国の政府だけの問題ではない。さらに多くの民間交流のパイプを発展させ、相互理解を深め、子子孫孫のために平和の未来を創造しなければならない。

さらに多くの友人たちが署名に賛同することを歓迎します。 署名用アドレス:
huiguilixing@gmail.com

 


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