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    かけはし2012.年11月5日号

「仮の町」構想をどう考えるか

10.21第2回ふくしまフォーラム

避難者と避難先住民が共に討論


 【いわき】シンポジウム「仮の町構想をどう考えるか」が一〇月二一日、福島県いわき市の東日本国際大学で一時半から開かれ、一〇〇人が参加し討論を行った。
 この企画は今年六月三〇日から二日間にわたって行われた第一回ふくしまフォーラム「震災・放射能汚染後をどう生きるのか」に続く第二回として行われた。
 第二回フォーラムでは冒頭実行委員会代表の長谷川秀雄さんのあいさつを受け、同代表を進行役に二人のシンポジストが問題の提起をした。提起は、丹波史紀さん(福島大学行政政策学類准教授・福島大学災害復興研究所)が最初に避難の問題について行い、続いて水田建さん(東日本国際大学経済情報学部教授)が経済の観点から行った。報告後、進行係が会場からの発言を求め九人が発言を行った。
 長谷川代表のあいさつは、シンポジウムの目的を市民に討論の場を提供することとし、第一回目の参加者は一三〇人と報告。「当初の想定は半年一回だったが既定のペースでは事態の後追いにしかならない、と急きょ今回の開催に至った。そこには『仮の町』構想の存在等がある。自分たちが次に住む町についてのこと、行政サービスなど実態が不明。待っているだけでなく、自分たちの声を上げて行くことが必要」と第二回目の意義と経過を提起した後、労働者被曝の問題について「福島原発の収束作業に就いた労働者があったから現在がある。高線量放射能に曝されながら福島原発の収束作業に就いている労働者や除染作業に携わる労働者の被曝の問題について考える必要がある」と一月二五日に開催が予定されている相談会=「放射能汚染下で働き暮らすこと」を紹介した。

これからの
コミュニティ
 丹波史紀さんの発言のテーマは「東日本大震災とこれからのコミュニティ形成」だった。
 このことについて以下の六つの観点、「@原発災害の特徴A区域見直し」の問題点と住民の「帰還」B一人ひとりの生活再建と「ふるさと」の再生Cコミュニティ」(仮の町)に関わる課題D生活再建とコミュニティ再生を見据えて、から発言した。
 第一項の原発災害の特徴については、避難の多様化と孤立化、期限の定まらない避難生活、賠償制度や雇用問題等の諸要因の存在が生活再建の障害となっていることを指摘した。そして原発災害の避難状況を「ディアスポラ状態=(離散し各地に移住した状態)」と規定し自然災害と異なる復興過程を描かざるを得ないと指摘した。
 第二の項=「区域見直し」の問題点と住民の「帰還」=では、問題点を「区域の設定が放射線量だけによって決められている。仕事・学校等住民の日常的移動を考慮していない。区域見直しと賠償がセットで議論されている。賠償額が生活再建に結びつかない」等と指摘し、また「賠償額が住宅再建可能額に決まると、帰還をためらわせる」と矛盾の存在を指摘した。
 三の項=一人ひとりの生活再建と「ふるさと」の再生=では「警戒区域解除が帰還に直結しない」として浪江町小高区を例に挙げ、区域解除前に復旧工事の施工が必要であることを指摘し、また「仮設住宅は木杭の上に建っており長期の生活を想定していない」と災害救助法の問題点を挙げ「一人ひとりの生活再生を優先させるべき」と提言した。
 四項の「町外コミュニティ「仮の町」に関わる課題」では、大きなテーマとして、長期にわたる避難生活の中で住民の「帰還」までにどのように住民のコミュニティを保つか。それは「仮の町」などに実現出来るのか。及び制度上の課題を提起した。
 第一のテーマについては、「帰ることの選択に関係なく、それぞれの場所で生活再建できるようにしなければならない」とし、課題としては、住民が待つことの出来る時間軸の設定、長期の避難生活は苦痛、帰還選択しない住民への手立てを挙げ、第二のテーマ、制度上の課題については、ゴミ収集や選挙―帰属をどうするか、住宅の資金は誰が負担するのか、県営か住民の自己負担か、等の諸点を指摘した。
 そして二大テーマを踏まえ、「待つことのできる時間は三年以内が一番多かった。長期の避難生活は苦痛。大きな町建設は完成まで長い期間を要し不可能。仮設住宅には五年、一〇年住めない。スーパー仮設は意味がない」等の諸点から、仮の町の目的をコミュニティの再生に措定するよう提言した。
 五項の生活再建とコミュニティ再生を見据えてでは、「自立した生活を送ることの出来る仕事づくりを含む対応。いつかふるさとを次の世代に引き継ぐ責任を放棄しない。高齢者世代の帰還が先行する事態を想定し介護の人材確保が必要。スープの冷めない距離感で若い人たちが住むことの可能な環境整備」等の諸点を課題として提示し、新たなコミュニティ形成における問題点として、賠償額の格差解消を訴えた。
 それは「いわき」に存在する多数の津波避難者と立地町避難者の賠償格差が住民同士の軋轢の原因になっているためであるとした。
 六項の「復興に向けたコミュニティ形成に向けて」では「単に帰還だけでなく避難先での『再定住』や『再統合』も必要でありコミュニティの作り直しが必要である。そのためにも今回のようなとり組み―避難元避難先住民が一緒に議論する―は重要である」と今回のフォーラム開催の意義を述べた。

人口流出と
復興を考える
 水田健さん(東日本国際大学経済情報学教授)の話は、「福島県で継続している人口流出をどう捉えるか。震災からの復興に必要な諸点について経済的側面から考える」の二点からなされた。
 人口減少については、人口減少には様々な要因があるが、現在の人口減少は、社会減であり、震災前より大きな規模である。原発事故による人口流出は継続しており特に若年層の流出が著しい。若年層の流出は出産数の減少になり人口の減少の危機につながっている」。
 「しかしそれは一様ではなく、アンバランス状態が存在し、いわき市では、人口流入現象が存在する。この増加をマイナス要因に考えないことが必要である。避難者の永住化は地域での所得創出という課題を伴う。短期的には復興需要が存在するが、長期的には安定的雇用の創出が必要である。現在製造業は人手が余っており建設業は人手不足といったアンバランス状態が存在している」。
 「安定雇用には産業の育成が必要であり、その候補には再生可能エネルギー、医療分野、原発に関わる産業等が存在する。これを実現するには、ファンドと金融支援、付加価値の地域での創出が必要であり、また付加価値の流出を防ぐ手立てとして、地元企業の立ち上げもまた課題として存在する」と話した。
 参加者からの発言はその一部について要旨のみ紹介する。
 賠償が済んだら出て行きたい。移住を望む者が多数である。移住希望者のために予算投入してほしい。立地町では原発マネーによりキズナや連帯が、壊れていた。また一人ひとりの孤立情況も存在しそれは震災後より酷くなっている。
 現在施工中の居住地域除染の不当性についての告発=投入金額が三カ月で一一億。半分以上が元請け清水建設の収入。除染労働者の過酷な情況(日当一万円から食費住居費引かれて収入は五五〇〇円、生活できない。国から特殊勤務手当一万円が支出されているが労働者は受け取っていない)。作業している労働者は、除染後雨が降れば線量が戻ると言っている。清水建設関係者も一年後には線量が戻ると言っている。そこに帰れと言っている―。
 第一原発は事故が収束していない。住民が成果をチェックできる仕組みができないと帰る気になれない。自分の親族の中で戻る人はいない。
 保障三年後には打ち切りになる。これらのことを考えながらも「仮の町」との議論してほしい。建築の立場から見たら、仮設住宅は基礎も打っていない。建設会社の完成後保障期間は一〇年。除染は保障するのか。
 福島はより一層の支援と注目を必要としている。復興に名を借りた原発事故の風化を許してはならない、などの声が上がった。 (浜中)

石原東京都知事辞任と新党構想

改憲めざす極右「第三極」結集

労働者・市民の政治潮流形成めざそう


むき出しの
差別主義者

 石原慎太郎・東京都知事は四期目の任期半ばも経たない一〇月二五日、記者会見を開き、東京都知事を辞任し、新党を結成して衆院選挙に立候補すると発表した。記者会見で石原は、政府の官僚支配体制への批判を延々と展開し、自ら「応援団長」を務める平沼赳夫ら「たちあがれ日本」とともに新党を作り、橋下大阪市長の「日本維新の会」などとともに「第三極」をめざすという構想をぶち上げた。
 労働者・市民は、石原のむき出しのエリート主義、極右排外主義と差別主義にまみれた言辞に怒りを燃やし、彼の思惑を粉砕することが必要である。
 思い起こそう。石原は四期一三年の都政において、障がい者差別(「ああいう人たちに人格はあるのかね」発言、一九九九年)、女性差別(「文明がもたらした最悪なものは、生殖能力を失った『ババァ』が生きていること」、二〇〇二年)、外国人差別(不法在留の『シナ人』が、地震などを利用して暴動を起こす、二〇〇〇年)など、数え切れないほど、人間の尊厳を意識的に踏みにじってきた差別の扇動家であることを。
 現憲法の「廃棄」を言明し、「日の丸・君が代」を教育現場に押し付け、内心の自由と民主主義のために闘ってきた教職員の大量処分を強行し、さらに「尖閣諸島」の東京都による購入を宣言して、中国や韓国に対する「領土ナショナリズム」の横行に点火したのが、石原慎太郎都知事の一三年間だった。彼の思想はまさに「ファシスト」と言って過言ではない! 石原は都知事として日本の政治の右傾化への先陣を切ってきたのである。
 マスメディアは、石原都知事の辞任にあたって「新銀行東京」の破綻、「二〇一六年東京五輪招致」失敗を、彼のマイナスとしておずおずと挙げている。しかし彼の政治家としての発言のファシスト的な本質には切りこもうとしない。労働者・市民は彼の「国政への再転進」・新党構想を瓦解させようではないか!

維新・みんな
の党と連携


 「第三極」をめざす石原の新党構想は、橋下大阪市長の「日本維新の会」、渡辺喜美の「みんなの党」と連動している。維新の会やみんなの党と石原新党の立場は、理念・政策の面でズレがあることも確かである。しかし石原は「官僚政治の打破」という大きな目標からすれば「消費税増税や原発」は二義的な政策上の違いであって、「第三極」の形成という国政選挙での目標が優先するべきと主張する。「維新の会」や「みんなの党」も、自民・民主に対する「もう一つの選択肢」となりうるためには、石原新党との連携が欠かせないと判断しているようだ。
 そして、「大飯原発再稼働」問題で橋下が最終的に容認に転じたことに見られるように、「維新の会」の政策はきわめて機会主義的なものである。ここで「第三極」連合が、石原新党・維新の会・みんなの党の間で成立することになれば、選挙結果次第では「キャスチングボート」を握ることになる「第三極」が、安倍自民党と連立し、改憲・原発推進連合の一翼を担う可能性も生じるだろう。安倍・石原・橋下という極右ブロックのイニシアティブの形成は、憲法改悪・強権反動政治への決定的ステップとなる。
 それは東日本大震災・福島原発事故の被災者を切り捨て、オスプレイ配備撤回。米軍基地撤去を求める沖縄の人びとを孤立化させる政権である。われわれはこうしたシナリオを許してはならない。

石原に「出番」
を与えるな!


 石原都知事の辞任により一二月一六日に東京都知事選が行われる予定であり、それに応じて「年内解散・総選挙」という可能性は遠のいたと報じられている。石原は都知事辞任の記者会見で、猪瀬直樹副知事を後継者に指名した。猪瀬自身の去就はいまだ本人から明らかにされてはいないが、労働者・市民は共同した候補の擁立の可能性を見出すために最大限の努力をはらう必要がある。
 そして石原が出馬する総選挙において、われわれは脱原発・オスプレイ配備撤回と沖縄基地撤去・消費増税反対・改憲阻止を鮮明にした政党・候補への投票を呼びかける。民主・自民、そして維新の会、石原新党、みんなの党の「第三極」に対抗する労働者・市民の政治勢力のための闘いを強めていくことを訴える。
 一一月、一二月、反原発・沖縄闘争と選挙闘争の結合で、石原の「国政復帰」を阻止しよう。
   (一〇月二九日、純)


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