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    かけはし2015.年6月8日号

メッセージは鮮明 PPノー


統一地方選、PPと2大政党制の敗北

民衆のツール打ち固め前進

マヌエル・ガリ


 五月二四日、スペインで統一地方選が行われ、ポデモスが支えた民衆統一リストが大躍進を果たし、PP、PSOEの二大政党による政治支配に重大な異議を突きつけた。欧州支配層が強要してきた緊縮への明白な拒絶であるが、それはギリシャに続いて政治の変革に直結しようとしている。この選挙についての現地からの速報的評価を以下には紹介する。(「かけはし」編集部)

ポデモス系民衆
統一勢力大躍進

 スペインと一三の自治州(アンダルシア、ガリシア、カタルーニャ、バスク国を除き)の九〇〇〇の自治体で、各議会、カナリア諸島(モロッコ沖合にある:訳者)地域議会、バレアス諸島(地中海にある:訳者)の三つの島の議会に対する選挙が五月二四日行われた。
 この日の核心的要素は、国民党(PP)が、六〇〇万票以上を獲得した(得票の点ではこうして最大政党となった)とはいえ、前回地方選比で二五〇万票を失った、ということだ。これは社会党(PSOE)を四〇万票上回ったにすぎない。PSOEそれ自身について言えば、投票率のかなりの上昇にもかかわらず、前回比で七七万五〇〇〇票を失った。
 第二の要素は、一九七八年に確立された政治体制が基礎を置く二大政党制が大後退に見舞われた、ということだ。つまりこれら二党は、得票総数の五〇%を僅か上回るものしか得られなかった(対して前回は、二党合計がほぼ八〇%)。
 第三の要素は、ポデモスによって支えられた「民衆統一」での立候補(カンディダトゥラス・デ・ウニダード・ポプラー―CUP)の強力な爆発であり、彼らは、バルセロナ、マドリードで、またカディスやその他のいくつかの都市でもすばらしい結果を得た。ガリシアのマラス・リストに関しても、ガリシアの様々な地区で同じようなことが進んでいる。
 これらの成功は、主要都市の市政における右翼保守派の専有――バルセロナにおけるCiU(民主と集中)あるいは他のところのPP――に異議を突き付けている。
 第四の要素は、地域議会と同様自治体選挙でもポデモスの結果が良好だった、ということだ。とはいえ、その結果は左翼の重要な部分が期待したものからはなお下回っている。この勢力は最良の場合でも、第三勢力になったにすぎない。
 これとの関係では、一定の大企業経営層から立ち上げられたシステムの再生に向けた選択肢であるシウダダノスは、彼らが期待した結果には達しなかった。
 最後に、統一左翼(IU)は、アストリアスとアラゴンを除き全自治州議会でそれを代表する議員を失った。その選挙基盤はポデモスに吸収されてしまったが、それはIUにとっては前例のない失態となっている。

自治州と大都市
でPP少数派へ


制度上の政治権力という点で、PPの崩壊は得票の側面よりさらに大きい。PPはカンタブリア州、カスティーリャ・ラ・マンチャ州、そしてバレンシア州の諸自治体とマドリードで絶対多数を失った。それはまた、アラゴン州、エストレマドゥラ州、バレアレス諸島で政府も失った。さしあたり権力を保持しているのは、リオハ州とムルシア州にすぎず、カスティーリャ・イ・レオン州での保持は確実とは言えない。
バルセロナの市議会選挙では、アダ・コラウ率いるリスト(ポデモスが支持)が一一人の市議を当選させ、CiU(民族主義右翼)は一〇人、シウダダノスは五人、PSC(カタルーニャ社会党)は、史上最悪の結果として四人の当選となった。マドリードでの当選者は、マヌエラ・カルメナのリスト(ポデモスが支持)の二〇人に対して、エスペランサ・アギーレ(PP)率いるリストが二一人、PSOEが九人。左翼議員総数が右翼のそれを超えるため、PPが市政を統括することはないだろう。
カディスでは、「アンティカピタリスタス」メンバーであるキチ・ゴンザレスが、PPのテオフィラ・マルティネス率いるリストの一〇人に対して八人の市議を誕生させたリストを率いた。そしてこのことでPPはその絶対多数を失った。これが意味することは、全体としての左翼がこの二〇年で初めて、右翼よりも多くの議員を確保している、ということだ。
同じように、ラ・コルナとサンチャゴ・デ・コムポステラで、マレアス・アトランティカスが、PP党首としてラホイ(現スペイン首相:訳者)の後継者となる可能性のあるフェイホに異議を突き付けた。

人々が拒絶し
たものは緊縮


PSOE指導者のペドロ・サンチェスは、部分的な分析を行おうと試みる中で、この結果は「首相としてのマリアノ・ラホイには終わりの始まりとなる」、と語った。ここでサンチェスが語らなかったことは、この国が進もうとしている方向だ。彼の構想は、社会自由主義のそれにしっかりととどまっている。ラホイを取り除くとして王位を狙う社会主義者が同じく憲法一三五条の改訂に賛成投票したことは、まったく驚くに値しない。その改訂は、社会支出よりも債務の返済を優先しているのだ。
今回の回答が王朝諸政党間での交替の新版だともし彼が考えているのだとすれば、サンチェスは誤っている。PPの敗北は、社会的切り下げと人権や民主主義に対する挑戦といった政策に対する拒絶だ。すなわち、勤労階級多数と民衆多数を継続的日干しの状況へと導き、他方で富裕層がなお豊かになる、という政策、スペイン社会がEU内でもっとも不平等という結果を伴った政策、に対する拒絶なのだ。

変革の高波を
広げる論争へ


これらの選挙でポデモス並びにそこにポデモスが加わったCUPは、民衆と労働者階級に自らを表現することを可能にするツールとして、打ち固められることとなった。変化は前進を続けている。この選挙のメッセージは鮮明だ。つまり、あらゆる制度からPPは出ていけ、だ。
しかし、ポデモスとCUPにとっての挑戦は、民主的絶縁を成し遂げるためにこの変化を深め、PSOEが旧体制の化粧直し的再生の実行に取りかかることを阻止することだ。この目的を達成するためにポデモスとCUPはまず、PPが確実に統治できないようにしなければならない。しかしそこでは特に、諸々の社会組織と歩を並べて民衆的動員を発展させること、そして地方レベルでのまた自治体レベルでの民衆的決定作成の新しい諸形態を創造することにより、公的諸問題への精力的な市民参加を促進し、未来を明確にする目標に基づく綱領的かつ戦略的思考を深めること、が必要だ。
この結果に対する「アンティカピタリスタス」潮流の声明は、その主な任務をはっきり説明している。すなわち「今や、来る総選挙を勝ち取るために民衆運動内部の大衆的かつ民主的な論争を始める時だ。われわれは、この国のあらゆる隅々での公開総会をもって、変革の高波を組織しそれを広げ続ける必要がある。民衆の統一、緊縮管理という論理との抜本的な絶縁、諸国際協定に関する政策を含んで今後到来するはずのあらゆる決定に対する民衆の関与への明確な約束、これらが勝利への道だ」(今回の結果に対する五月二五日付け声明)と。

▼筆者は労働組合活動家であると共に、第四インターナショナルスペイン支部指導者、およびビエント・スル誌編集委員。(「インターナショナルビューポイント」二〇一五年五月号) 

チリ

LGBTの権利求め

首都で5万人が行進

社会的差別克服が今後の課題

 

 チリ大統領のミチェレ・バチェレは四月一三日、同性カップル間の結婚を認める法案に署名した。同性婚に関するもう一つの立法措置が現在、LGBT運動代表者と様々な閣僚との間で討論されている。
 五月一六日、五万人の人びとが首都での毎年行われる「平等のための行進」に合流した。「統合と性的解放運動」(Movilh)並びに「性的多様性を求める運動」(Mums)が組織したこの行進は、様々な活動家と政治指導者による発言を受けつつ、ラ・マネダ大統領宮で終了した。
 チリのLGBT運動は近年大きな前進を遂げてきた。彼らは今、雇用に範囲を広げる反差別法によって保護されている。ゲイであることを明らかにしたまま軍務につくこともでき、ゲイの男性は献血を認められ、レズビアンのカップルは体外受精処置を利用できる。
 しかしながら発言者たちは、今も続く差別を問題にした。「トランスの人びとを苦しめている主な問題は、無知と偏見だ」、Movilhの活動家であるパウラ・ディナマルカは報道にこう語った。他の人たちも、ゲイとレズビアンの子どもたちに対する学校における差別に関する教育省庁の無関心が彼らの確信する問題だ、と提起した。
 デモ参加者たちは、現在上院で討論中の「ジェンダー・アイデンティティ法」の実行を政府にせかした。彼らはまたデモの中での短い追悼式典をもって、性的志向のゆえに二〇一四年に五人の人びとが殺害されたことを思い起こさせた。
(テレスールより)(訳注)
(「インターナショナルビューポイント」二〇一五年五月号)

訳注)テレスールは、カラカスに本社を置く中南米対象のテレビ局。CNNなど既成エリート支配のメディアに対抗するものとして、ウーゴ・チャベスが設立し二〇〇五年七月二四日に放送開始。


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