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    かけはし2015.年6月15日号

刑訴法の改悪を許さない!


5.26国会議員と弁護士・市民のつどい

戦争法案と連動した治安弾圧

えん罪なくせ司法取引導入反対



刑訴法改悪
を許さない
 五月二六日、「えん罪をなくせ!盗聴法の拡大と司法取引の導入に反対する国会議員と弁護士・市民の集い」(主催/盗聴・密告・えん罪NO! 実行委員会)が星陵会館で行われ、二〇〇人が参加した。
 グローバル派兵国家にむけた戦争法案の国会審議が始まると同時に、セットである刑訴法改悪も審議入りした。改悪法案は、@部分「可視化」(捜査員の恣意的な判断で、取調べの録画・録音を「いいとこ録り」できる)A盗聴法対象の拡大B「司法取引」(自分の罪を逃れるために他人の密告を奨励する)などを柱にしており、えん罪を生み出してきたシステムへの反省もなく警察・検察に新たな力を与えるものでしかない。えん罪の大量生産、なんでもありの人権侵害、監視社会にむけた刑訴法改悪を阻止するために集会が行われた。
 総合司会が米倉洋子さん(弁護士)、セクション司会が山本太郎参議院議員(生活の党と山本太郎となかまたち)、小池振一郎さん(弁護士)で行われた。

日弁連会長声明
への厳しい批判
主催者あいさつが今井恭平さん(ジャーナリスト、なくせえん罪!市民評議会理事)から行われ、刑訴法改悪を厳しく批判し、「改悪法案は、日本の刑事司法を崩壊させかねない。ただ警察・検察が焼け太ることにしかならず、それは安倍政権が進めている戦争する国づくりと改憲への道と一体のものである。法案の廃止にむけて国会議員、市民、各団体で共に奮闘していこう」と発言した。
岩村智文さん(弁護士・日弁連刑事法制委員会刑事手続対策部会部会長)は、「刑訴法等の一部を改正する法案」を徹底批判した。
とりわけ村越進日本弁護士連合会会長が「取調べの可視化の義務付け等を含む『刑事訴訟法等の一部を改正する法律案』の早期成立を求める会長声明」に対して全国の弁護士から批判が殺到していることや、千葉県弁護士会会長の刑訴法改悪反対声明、「通信傍受法の対象犯罪拡大に反対する一八弁護士会会長共同声明」が上がっていることを紹介し、日弁連会長派を糾弾した(別掲解説参照)。
足立昌勝さん(関東学院大学名誉教授)は、「盗聴法拡大をめぐる問題について」の報告、刑訴法賛成派へと踏み出した日弁連執行部派を批判する「日弁連はどこの味方か、執行部の変節」を提起した。
緒方靖夫さん(盗聴被害者・元共産党国際部長)は、「盗聴被害者の立場から」盗聴法改悪を批判し、「一九八六年一一月に自宅の電話が公安警察によって盗聴されていたことが発覚した。しかし、いまだに警察はそれを認めず、謝罪もしていない。それにもかかわらず今度は、盗聴法を改悪し盗聴対象を広げ、市民一人一人を監視し、必要に応じて事件化、脅迫、プライバシーの侵害のやりたい放題を獲得しようとしている。こんなことを許してはならない。緒方盗聴事件を知らない国会議員、世代にも伝え、与党の国会議員も盗聴対象にあることを明らかにし、反対勢力を広げていこう」と強調した。
さらに発言が新屋達之さん(前大宮法科大学院教授)が「司法取引の導入について」、辻恵さん(弁護士・元衆議院議員)が「実務から見た司法取引の問題 」、鈴木宗男さん(元衆議院議員)が「検察での取調べを体験して 」、桜井昌司さん(布川事件国賠原告)が「えん罪被害者の立場から 」行われた。
国会議員からの発言は、玉城 デニー衆議院議員(生活の党と山本太郎となかまたち)、共産党から清水ただし衆院議員、畑野君枝衆院議員、仁比聡平参議院議員、福島みずほ参議院議員(社民党)から行われた。
最後に集会宣言を採択し、刑訴法改悪法案廃止にむけて奮闘していくことを確認した。     (Y)

解説

欠陥を認めながら成立
求める日弁連会長声明

直ちに撤回を


五月二二日、村越進日本弁護士連合会会長と執行部は、安倍政権の「戦争ができる国づくり」攻撃に屈服して戦争法案とセットである対テロ治安弾圧強化にむけて「武器」となる刑訴法改悪に対して市民の人権を防衛しぬく弁護士の基本任務を投げ捨て、「『取調べの可視化の義務付け等を含む『刑事訴訟法等の一部を改正する法律案』の早期成立を求める会長声明」を出した。会長と執行部の態度は、多くのえん罪被害者、人権侵害と闘う仲間たち、市民運動、労働団体に対する裏切りであり、厳しく糾弾する。全国の弁護士から抗議が殺到し、千葉県弁護士会会長声明、通信傍受法の対象犯罪拡大に反対する一八弁護士会会長共同声明に対して真摯に受け止め、ただちに撤回し、刑訴法改悪阻止の闘いに参加せよ。

どこが一歩
前進なのか
日弁連会長声明は、これでもかと刑訴法改悪の悪質な文言をも次々と追認する。
一部可視化について、「被疑者取調べの録画の対象範囲が裁判員裁判対象事件及び検察独自捜査事件に限定されているものの、対象事件については全過程の録画を義務付けるものである」と容認だ。
「通信傍受の拡大、捜査・公判協力型協議・合意制度のいわゆる司法取引制度の導入など、証拠収集手段の多様化も盛り込まれた。当連合会は、通信傍受制度の安易な拡大に反対してきたところであるが、補充性・組織性の要件が厳格に解釈運用されているかどうかを厳しく注視し、人権侵害や制度の濫用がないように対処していく。いわゆる司法取引についても、引き込みの危険等に留意しつつ、新たな制度が誤判原因とならないように慎重に対応する」。
だから「反対」するのが論理的整合性を持った結論であるにもかかわらず、「本法律案については、多くの制度がひとつの法案に盛り込まれていることに批判もあるが、答申にも述べられているとおり、複数の制度が一体となって新たな刑事司法制度として作り上げられているものである」から欠陥を多分に含まれているにもかかわらず、「全体として刑事司法改革が確実に一歩前進するものと評価している。本法律案が、充実した審議の上、国会の総意で早期に成立することを強く希望する」などと断言するのだ。
いったいどこが「一歩前進」なのだ。えん罪多発の一部可視化と司法取引、秘密保護体制下において必須のツールである盗聴法拡大によって公安警察などによる市民監視が強化され、プライバシー・人権が侵害されていくのが必至ではないか。そのような反論さえも日弁連会長声明には触れようともしない堕落した姿勢を満天下に明らかにしているのが実態だ。

千葉県弁護士
会長からの批判
ならば「同僚」である千葉県弁護士会・山本宏会長声明が明快に改悪法案を批判しているが、熟読し、日弁連会長声明を撤回せよ。
(声明要旨)@取調べの録音・録画制度―対象事件が著しく限定されている。広範な例外事由が設けられている。A証拠開示制度―全面的証拠開示制度の実現が不可欠である。証拠一覧表には証拠の要旨の記載を義務付けるべきである。B通信傍受の拡大―通信傍受の範囲を拡大すべきではない。通信傍受時の立会いを不要とすべきではない。C司法取引制度の導入―裁判員対象外事件は、取調べは録音・録画の対象外となる。そのため、協議に入る前の段階で、取調官の働きかけによって虚偽供述が誘発され、えん罪が生み出される危険を防ぐことができない。したがって、全面的な取調べの録音・録画がなされていない現状において、かかる制度を導入することは容認できない。
山本声明は、「本法案の内容では、従来型の糾問的な捜査手法の抜本的な改革に至らず、えん罪の防止や適正手続きの保障を徹底することはできない。よって、国会においては、上記特別部会設置の趣旨に立ち返って本法案の内容を抜本的に見直されるよう強く要望する」と結論づけている。日弁連会長と執行部は、山本声明にどのように答えるのか。これまでの刑訴法改悪反対の主張と、どのように整合性があるというのか。「一歩前進」の刑訴法改悪だと居直り続けるのか。日弁連の闘いの成果を投げ棄てることをやめろ。全戦線にわたって混乱と分断、対立を持ち込む日弁連会長声明を撤回せよ!(遠山裕樹)

声明

大阪府警による同志の
逮捕に抗議する

JRCL関西地方委員会

 大阪府警は六月四日、「道路運送法違反」(いわゆる「白バス」行為)なる容疑で、京都・大阪の反戦・市民運動の活動家の自宅・事務所など十数箇所の家宅捜索を行い、わが同盟の同志一人を含む三人を令状逮捕した。
経過については別掲の「6・4不当弾圧に抗議し、早期仲間の釈放を求め、共に闘う会(仮称)」の声明に書かれている通りである。
翌日(五日)には関西新時代社や労働組合の事務所にも家宅捜索が行われた。
今回の弾圧は、関西における米軍Xバンドレーダー基地に反対する闘いへの弾圧であるだけでなく、集団的自衛権と戦争法案に対する労働者・市民の闘い、辺野古基地建設に反対する沖縄の人々の闘いが日々拡大し、重要な局面に入っているタイミングで仕組まれたものであり、わが同盟はこの弾圧を京都・大阪の市民運動や労働組合運動の仲間と共にはね返し、三人の即時釈放と不当弾圧の責任追及を求めていく決意を明らかにする。
われわれはまた、別掲の声明に指摘されているように、警察がマスコミを使って、あたかもわが同盟や他の「極左団体」が市民運動を使って資金稼ぎをしているかのような悪質なフレームアップを行っていることを看過できない。これは市民運動のイメージダウンを直接の狙いとし、また、市民運動に分断を持ち込むことを意図した悪質な企てであり、それに積極的に加担したメディアの責任は重大である。
さらに、不当逮捕されたわが同盟の同志を「関西共同行動の代表」として表記したABCニュースの報道は単なる誤報ではなく、意図的なものであると考えられる。関西共同行動は、さまざまな分野で継続的な活動を行っている無党派市民活動家を中心とするネットワークとして、三〇年余にわたる活動の実績を持ち、そのようなネットワークとして常に関西の大衆運動に不可欠の存在となっている。そのことはメディア関係者も知っているはずである。わが同盟は、多くの政治党派によるセクト主義や利用主義、引き回しの否定的な教訓から、そのようなネットワークが必要とされてきた経過にふまえ、この運動に個人の資格で、個人の責任において参加しながら、常にこの運動の大衆性を尊重してきた。わが同盟の同志が「関西共同行動の代表」であったことはない。それは報道の前に取材すればわかることである。
大阪府警による今回の弾圧が京都・大阪の反戦・市民運動への恫喝と運動の分断を意図していたとすれば、その意図は完全に粉砕されている。ごく短時間の間に広範な救援体制ができ、6日に緊急に呼びかけられた西警察暑への抗議行動に市民団体やユニオンネットなどの百数十人の仲間が、活動分野や党派の違いを超えて集まったことがそのことを示している。
弾圧をはねのけて集団的自衛権と戦争法案に対する闘い、辺野古基地建設反対の運動に連帯する行動をさらに拡大しよう! 全国で続いている一連の弾圧に抗議の声を! そして、三人の仲間の即時釈放を!

二〇一五年六月六日


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