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    かけはし2015.年6月29日号

市民が「悪い政府」を不安定化させた


スペイン

統一地方選後のアンダルシア州の動き

テレサ・ロドリゲスへのインタビュー


 スペインの政治情勢が大きく揺れていることはこの間繰り返し伝えてきたが、以下に紹介するのは、統一地方選後のアンダルシア州の動き。ここでは三月の州議会選で初挑戦のポデモスが一五議席を獲得すると共に、PP(国民党)が初めて敗北した。一方五月の統一地方選では、この州のカディス市で、「アンティカピタリスタス」メンバーが率いるリストが八人の市議を誕生させ、PP多数を突き崩した。州政やカディス市政がどのような枠組みとなるのか、ポデモスに重要な選択が突き付けられている。(「かけはし」編集部)

PP、PSOEは
諸機関から排除


テレサ・ロドリゲスはアンダルシアのポデモス書記長だ。彼女は、二〇一五年五月三〇日付け「エル・ムンド」紙掲載のためにカルメン・トレスのインタビューを受けた。列車でカディス市(スペイン南西部、大西洋に面する港町)に向かうためセビリアのフンタ駅行きバスに急いでいたこの書記長、州議会議員団スポークスパーソンは、公用車の使用をやめている。「あなたが住宅団地に暮らし、議会に公用車で行き来しているとすれば、私が想像するにあなたは、街頭からの圧力を感じることはないだろう」、彼女はこう説明する。
彼女は、職務(EU議会議員、並びにアンダルシア州議会議員)に支払われる四二五四ユーロのうち一七三〇ユーロしか受け取っていず、それは彼女が教員として受け取っていた俸給額だ。残りは社会運動に寄付されている。議会の絨毯は、「制度の魅力」がポデモスをとらえないように注意深く踏まれている。

――ポデモスはカディス市を統治するのだろうか?

 推測するに、今回のような選挙の大動乱の後で、また市中に変革の希望が現れている時に、さらに四年テオフィラ・マルチネス(これまでのPP市長)に統治させることを地元住民に説明することはまったく困難だ、とPSOE(社会労働党)は考えていると思われる。われわれが見たいと思っていることは、選択の余地がないための首班指名投票ということを超えた、ある種の安定した委任を得るための合意という、優先的なレベルが現れるのでは、ということだ。そこでわれわれには、ある時は合意し、別の時には一致がないという形で、しかしこの市の統治可能性を追求しつつ、政府の行動に影響力を行使する可能性が生まれる。

――それが意味していることは、PSOEは市政府に入るだろう、ということか?

 それは違う。カディス市で同志たちは、二つの政治勢力と討論しようとしている。PSOEおよび「ガナル・カディス・エン・コム」とだ。われわれがテオフィラ・マルチネスに対するオルタナティブを提出している以上は、PPとは討論を行わない。またシウダダノス(市民党)とも行わない。その経済綱領がPPのそれに似すぎているからだ。先にあげた二党とわれわれがどれほど違おうと、行動での一致や合流はある、とわれわれは理解している。
PSOEは彼らが展開してきた諸政策から、また彼らと共に統治する勢力(PP)がどのように振る舞うかを知っているがゆえに、重すぎる荷物を抱えている。われわれはそれをアンダルシアでこの三年見てきたのだ……。

――市政機関に対するポデモスの目標は何か? 例えばIU(統一左翼)は、PPを可能な限り最大限排除したいと思っている。あなたたちは同じことを求めているのか?

 各々の立候補は独自の決定となり、自律的なものだ。われわれは、以下にあげる三点を基礎にした立候補登録に向け共同歩調を取ることが可能だ。まず諸機関からのPP排除。その理由は、この国で過去二、三年行われてきたことにこの党が特別な責任を負っているからであり、そしてそれが多くの人々の苦しみになったからだ。
そして、PSOEもまた不幸なことだが、長い間その戦略の部分となってきた以上、われわれは、彼らの政府の一部になるつもりはない。
つまりわれわれが中心に置こうとしているものは、マドリードやバルセロナ、またスペイン議会におけると同じく、腐敗と透明性、住宅追い立てや公共サービスに関係している緊急方策、とわれわれが理解しているものだ。われわれが交渉のテーブルに置こうとしているものはそれであり、権力機構のあれこれの取引ではない。

 

安定した閣議が
過酷な生活を強制


――それでは実際上、三者間の取引は除外ということか?

 それがわれわれの立場だ。しかし各々の立候補者はそれぞれ決定するだろう。われわれは手っ取り早いやり方には反対を続けるだろう。そして行政庁との関係で主権を回復させるために、議会の潜在的可能性を全面的に汲み尽くすことを目標とするだろう。

――そうした情勢は制度の危険に満ちた不安定性を作り出す、と警告する政党がいくつもあるが。

 われわれがこれまで見てきたことは、政府の安定性が増せばそれだけ、日々の暮らしで市民が不安定性に苦しめられる、ということだ。閣議における絶対多数は、民衆に対するもっとも過酷な方策を毎週末承認した。スペイン人の半数は毎週木曜日、翌日にはどのような決定が行われるのか、と思案した。あったものは、制度における安定性と、民衆内部での不安定性だ。
雇用改革、社会的切り下げ、学校や医療センターにおける条件悪化……。もし不安定性が公的代表性という場に移ったということが今明らかであるのならば、おそらくわれわれは、市民にとっての安定性を得ることができる。つまり政府は、社会的諸権利や雇用の諸権利を切り下げることと引き換えにしてのみ安定してきたのだ。
彼らが欧州における社会的諸権利に関する彼らの計画を遂行し続けることに対する国内的抵抗に今対処せざるを得ないのであれば、そこから利益を引き出す者は市民、ということになるだろう。
ベルギーにおいて市民は一年半の間政府なしで過ごしてきた。そしてあらゆる指標は改善した。なぜならば、賃金を切り下げ、人びとを消費できないままに放置するような緊縮策を実行するための政府がまったくなかったからだ。それゆえ彼らは一年半の間二、三の最低基準を維持できた。そして私は、政府がまったくなかったと言うつもりはない。付け加えれば、地方政府は動いているのだ。

――ポデモスはどの程度総選挙に期待をかけているのか? あなた方は自治体や州レベルでの協定という形の投票に影響力を行使できるか?

 われわれの場合はノーだ。アンダルシアのわれわれには、州議会選挙後に行われたサン・テルモでの会合以後、極めてはっきりした条件がつけられた。われわれは今われわれの言葉に縛られている。われわれは今われわれのやり方を変えることはできない。中でも、われわれができることとできないことを誰も告げなかったからだ。われわれは、われわれの社会主義者の対話相手をも、軍事独裁政権の銀行口座のいくつかを閉鎖できるかどうかに関して、返答するよう説得することができていない。

住民900万人の
ために闘い続ける


――PSOEは議会をさらってしまっている、とあなたは考えているか?

 議会が機能しないことへの切望が一定程度ある。しかしそれにもかかわらず、私がここで日々見ていることから、そうしたものが特に力を発揮したことは一度もなかったという印象をもっている。諸々の委員会が設立されるならば、それらが密度の高い仕事の場となるだろうということをわれわれは期待している。われわれが第一級のレベルの任務に高い専念性を示したいと思うメンバーであることは、九〇〇万人の住民のために立法することと同じく、これまでほとんど経験がないことなのだ。
私は中味のない議会を、また全員出席の審議に尊重されるべき基本的規則がないことを見て驚かされた。一般的に議会に対する敬意はほとんどない、と私は思う。われわれはまさに今、アンダルシアの独裁と抗争している諸グループと出会いつつある。

――あなたは議会に入る前、「諸制度の誘惑」に対処することが必要、と語ってきた。それで何を意味しているのか?

 そうすることは非常に重要だ――何よりも、人びとがそうすることを私に要求しているのだから――。通りで、バスや列車で彼らが私に注目する時、彼らが私に強く求めていることは、ものごとをアンダルシアのために行い始めることであり、われわれが情勢を解決し、努力し続けることだ。 この場に腰を落ち着けることはたやすい。それはこの場が承認を意味する場だからだ。あなたは突然、ステキなところで働く「高貴なメンバー」となり、街頭の民衆はメディアに登場するためにあなたを知るのだ……。ここでわれわれがやろうとしていることは市民の場合は異例となるということを理解せず、腰を落ち着けることは、相対的にたやすい、と私は思う。共同の生活を切り盛りすることは、われわれに与えられることになった極めて特別な機会だ。

――あなたは、彼の着任を支持しないのであれば新たな選挙を呼びかけるという、スサンナ・ディアス(州の最大勢力となったPSOEのアンダルシア州における指導者、PPはその下で州を共同統治することを期待している:訳者)の脅迫を気にかけているか?

 ノーだ。しかしわれわれは、話し合いを続けたいと思っている。しかしPSOEがそう思っていないことはわれわれには驚きだ。対話の再開は真剣であり、筋道が通り機も熟している。それ以外はまさにゲーム的勝負事でしかない。

▼テレサ・ロドリゲスは、スペイン「反資本主義左翼」の指導的メンバー。二〇一四年五月、ポデモスリストとしてEU議会議員に選出された。(「インターナショナルビューポイント」六月号)   


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