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    かけはし2015.年7月20日号

トロイカとの決定的戦闘の号砲


ギリシャ国民投票

「ノー」の鮮明な勝利

第四インターナショナル執行ビューロー(二〇一五・七・五)

支配階級の圧力
ははね返された


 ギリシャの「ノー」は、その第一列に欧州の保守勢力と社会民主主義勢力の政治指導者たちが陣取るトロイカの指導部に対する、高く鳴り響く顔面平手打ちだ。
「ノー」の票は六一%を超えたが、そこでは、こうした投票と闘うために一週間以上の間考えられ得るあらゆる手段が使われた。
たとえば欧州においては、欧州指導者すべてによる「イエス」に向けた直接のキャンペーンと共に、国際大メディアによる報道キャンペーンやECBによる脅迫が行われた。
ギリシャでは、新聞全体と私有テレビ局によるキャンペーンがあり、この週全体を通して、「イエス」の勝利を予測する世論調査がばらまかれた。また雇用主による脅迫があり、彼らの従業員は「イエス」のデモに参加するよう圧力をかけられ、「ノー」が勝利することがもしあるのならば首にすると脅された。そしてそれと平行して、PASOK(全ギリシャ社会主義運動)に結びついた労組官僚の国民投票反対の立場があり、これには欧州労組連合(ETUC)指導部による支援があった……。
しかしながら結果は明々白々だ。「ノー」の票は労働者、失業者、田舎と町の民衆居住地区、若者の票だった。対して「イエス」は、社会の中でもっとも特権的な層とアテネのもっとも高級な居住区の票だった。この票は、六五歳以上グループの中でのみ多数だった。
欧州の指導者たちは、二〇一一年に行ったようには、そしてその時はパパンドレウが国民投票をあきらめたのだが、民主的な投票を妨げることはできなかった。そこで選択の問題となったのは、銀行と大企業が命令した緊縮諸政策をどの党が実施に移すことになるのかではなく、これらの政策に反対か賛成かの明確な立場をとるという選択の問題だった。こうした投票は欧州では前例のないものだ。

欧州指導層の政
治的敗北も歴然

 シリザは一月に二二〇万票を勝ち取ったが、「ノー」は、一月よりも一%低い投票率の下で、三五〇万票を集めた。ANEL(右派の連立与党である独立ギリシャ人:訳者)支持者とファシストの黄金の夜明け(「ノー」投票を呼びかけた)の部分を加えてさえ、シリザを軸とした分極化は六〇万票以上を引き寄せ、トロイカのギリシャ代表である新民主主義党(ND)、PASOK、ポタミ(川)の危機を引き立たせた。PASOKとNDの危機は、各自の二、三日経たないうちの指導者辞任によって目立つものとなり、象徴化された。「ちゃんとした」政府がすぐさま引き継ぐのを見るという、すべてのメディアによってオウム返しにされたトロイカの希望は、煙となって消えた。
欧州の指導者たちはギリシャの第二ラウンドでまさしく敗北した。彼らは、ギリシャ民衆にかけられた絶えがたい圧力によって五年にわたって伝統的な諸政党をすっかり消耗させながら、一月のシリザ到来は、ギリシャを率いるために「まじめな人びと」が復帰するまでの、二、三週間という短い幕間喜劇となる、と期待したのだ。二月の合意時点でのチプラスによる後退後彼らは、すぐさまの降伏に賭け、六月末には、「イエス」の勝利を当てにした。メルケルとオランドは、銀行締め付けを力として、国民投票はチプラスを屈服させるものとなり、彼を辞任ないしは服従に追い込むものと計算した。

問題の本質は
経済ではない


第三ラウンドが始まる中でも、その論理は同じままだ。敗北のショックの後、欧州の指導者たちはいつも通りの横柄さをもって立ち直りつつある。彼らはギリシャ民衆の投票を「尊重する」と語っているが、その一方それを考慮はしないと公表している。彼らはいかなる形でもその政策を変える気はなく、彼らにとっては、債務の帳消し、あるいは債務の軽減すら討論の主題ではない。
資本の指導者陣営内部には、少なくとも債務の部分的放棄受け入れを支持する声がある。たとえばIMF自身は、経済を絞め殺し、諸機構に弁済するために債務を積み上げるようギリシャに求める不条理を認識している。米国政府もまた、ユーロ圏からのギリシャ押し出しが、全体としてのEUの危機と欧州境界における地政学的移行の危険という双方を生み出す可能性がある、と懸念している。
しかしアンゲラ・メルケルと欧州の指導者たちは、ギリシャ民衆と彼らの政府に政治的敗北を押しつけたがっているのだ。債務三〇〇〇億ユーロの帳消しに同意するという問題は、はっきりと経済問題ではない。何しろ欧州中央銀行(ECB)は、デフレへの対抗として、二〇一六年末までに一兆一〇〇〇億ユーロを生み出しそれを欧州経済に注入しようとしているのだ。
それは政治的選択である。なぜならば彼らにとって、主権的選択によって一国民が欧州諸機構の決定実行を拒否できる、などということを受け入れることは問題外であるからだ。
EUとその諸機構は中立的な場や枠組みではないという証明が、すべての人にまさに与えられることになった。それらは、資本家によってその利益の充足にあたってどのような民衆的統制からも逃れるという目的のために組織された、政治的構築物なのだ。この構築物に改良はないだろう。これらの独裁的諸機構の主権を受け入れつつ、代わりとなる政策を行うことは幻想となる。

ギリシャ民衆が
主権得る道必要


それゆえ新しい力関係を伴った来る日々、ギリシャ政府にとってのオルタナティブは以前の週におけるとおなじものとなるだろう。つまり、民衆への攻撃を継続しそれをさらにひどくする協定の受け入れか、それとも別の道、抜本的な決裂の道を取り入れるか、だ。
チプラスはさらなる譲歩の用意ができていた。しかしトロイカが目標としていたものは、シリザの経験の一掃だった。降伏のない協定はあり得ないものとなった。これこそが、国民投票組織化へと、トロイカの絶対命令に対決するためのギリシャ民衆結集へとチプラスを導いたものだ。そしてこの日曜日、「国際諸機構」の政策は圧倒的に拒絶された。結果としてギリシャ民衆からの権限付与は曖昧さのないものになっている。つまりそれは、失業、貧困、社会的諸権利や公共サービスの解体を引き延ばす協定に対する根本的な拒絶を表している。
この権限付与は、あくどく正統性のない債務の返済を終わらせること、銀行システムの国有化とその統制を手段として、政治的、経済的さらに社会的選択に関する主権をギリシャ民衆に与える道を必要としている。そしてこれらは、ギリシャの左翼によって、「ノー」の勝利に貢献した、主にはシリザ左翼とアンタルシアの活動家たちによって表現されている選択だ。
ギリシャ共産党(KKE)は、棄権を呼びかけることによって、トロイカに対する「ノー」と国際諸機構に対する「イエス」の間で選択することを拒絶した。これは受け入れがたいセクト的政策だ。

緊縮政策の全面
的否認全欧州で


「ノー」の成功はギリシャの外では明白に、「欧州に対するノー」として提示されているが、その目的は、欧州の民衆に対してその政治的重要性を、つまりそれが緊縮諸政策に対する「ノー」であることを、覆い隠すことだ。
そうであるにもかかわらず、欧州を覆う形でギリシャ民衆支援の数知れないデモが起きた。街頭にくりだした人びとは、ただ一つのことを表現していた。公的なプロパガンダが吹き込もうと追い求めたこととは逆に、欧州の搾取された階級の利益はEUを運営する諸政府の背後にあるのではなく、緊縮と今戦闘中のギリシャ民衆並びにシリザの側にある、ということだ。
緊縮への抵抗は可能だ。シリザの勝利は、スペインでのポデモスの前進と同じく、欧州諸国すべてでとるべき道を示している。すなわち、資本の絶対命令に対決する、搾取された者の政治的代表の建設、という道だ。
われわれはEU中で、ギリシャの民衆を絞め殺そうとしている正統性のない債務の帳消しを要求し、犯罪的な緊縮諸政策に対し正統性を全面的に否認しなければならない。
戦闘は今始まったばかりだ。なぜならばそこに含まれているものは、ギリシャ民衆、潜在的には欧州の全民衆と、トロイカの諸機構との間の衝突だからだ。この戦闘においては、緊縮反対で決起したギリシャ人には、トロイカ並びに欧州の指導者たちの攻勢に反対する彼らの全勢力が統一することが必要になるだろう。同じ政策によって打撃を受けつつある欧州の労働者は、緊縮に反対するギリシャの社会運動と政治運動と歩を並べて、トロイカの絶対命令に抵抗するためにとる可能性のある方策すべてにおいてギリシャ政府と共に、決起しなければならないだろう。(「インターナショナルビューポイント」二〇一五年七月号)


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