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    かけはし2015.年8月10日号

衆院の強行採決はクーデター


7.29講演会「戦争法をあばく!PARTU」

立憲国家の大転換をねらっている



 【大阪】七月二九日、エルおおさかで「戦争法をあばく!PARTU」が集団的自衛権違憲訴訟の会の主催で行われた。集団的自衛権違憲訴訟の会は、今年に入ってからの準備期間を経て、戦争法案が今国会に上程された時期につくられた。今回の講演会は第二弾。
 冠木克彦さん(弁護士、違憲訴訟の会共同代表)は、あいさつをかねて、「私たちは、現在の戦争法廃案の闘いと連続する闘いをめざしている。残念な結果として法案が成立すれば、直ちに訴訟提起が可能かという問題がある。訴訟として成立させるには、国民個人が被害を受け、その損害を賠償せよという訴訟形態となる。
 私たちには、どのような権利が侵害されるのか。イラク派遣違憲訴訟の名古屋高裁判決では、憲法前文にある『平和的生存権』が裁判実務上初めて認められた。しかし、具体的な戦争につらなる行動を要求された場合に拒否する権利とか、かなり限定された内容となっている。日本国家が、武力行使を行う路線に転換し、国民一般の平和的生存権が侵害させる危険が発生すること、東アジアでの軍事的緊張が高まり、平和的生存権への危険が生じる可能性もある。国家賠償訴訟における不法行為として構成する必要があるが、この材料は充分ある。安倍政権の不法行為を暴き批判することも一つの目的だ」と述べた。
続いて、高作正博さん(関西大学教授)が、「戦争法をあばく!立憲国家の大転換」と題して講演をした(別掲)。質疑応答のあと、松岡さん(とめよう改憲!おおさかネットワーク)から、総がかり行動で街頭に出よう!との訴えがあった。         (T・T)

高作正博さんの講演

集団的自衛権は違憲

 戦争法の上程と衆議院可決という事態はクーデターだ。クーデターとは、国民のみが持っている権限を国民から奪い取り、違憲の法律をつくるということだ。今まで憲法学者は政治的な発言をしないできたが、ここにきて多くの学者が発言している。その理由は、安倍政権のやり方が、異なる立場の一方的消去であるからだ。
安保法制の問題点は、@外国軍隊の武力行使へ関与すること A日本の安全を目的として武力行使をする点だ。

戦争に巻き込ま
れる構造が拡大
@について具体的には、「日本が直接武力を行使しなくても、他国が行う武力行使と一体とみなされる場合は違憲」として歯止めとなっていた「一体化論」を閣議決定で見直したことだ。現に戦闘行為が行われている場所」以外の場所に派遣し、戦闘地域になったら支援活動を休止・中断するとした。もうひとつ見直したのが、武器の使用権限の拡大だ。 相手が国家の場合が武力の行使、相手が強盗団やテロ集団の場合は武器の使用に該当するとなっている。
従来、武器の使用として認められていたのは、自己保存型の武器使用つまり、組織的・計画的でない武器使用(自己防衛)で、治安出動・海上警備行動・PKO・後方地域支援だ。自衛隊自身の武器等防護も、自己防衛の延長として認められてきた。しかし、閣議決定で、武器等防護に米軍やオーストラリア軍の武器も含めた。さらに、海賊対処法や治安出動だけに認められていた武器の使用を、PKOや人道復興支援、治安維持活動にも拡大した。
さらにまた、駆け付け警護は武力行使として禁止されていたがこれを合法とし、他国部隊の保護、民間人の保護にまで拡大した。こうなると、自衛隊は戦争に巻き込まれていく。後方支援活動の場所が戦闘地域になったら、支援を中止・中断するというが、そんなことできるのか。日本国民と他国民をどう区別するのか、民間人と民間人に扮した兵士は区別できるのか。現地の国民が襲撃されたらどうするのか。他国部隊が救援を求めたら警護するのは当然、なのか? 相手が国家なのかそうでないかをどのようにして判断するのか。 感情論では済まされない困難な問題に直面する。これらのことを現場の指揮官が判断してやるとなっているが、それは無理だ。現場だけでは済まなくなる。
領域国の同意に基づく邦人救出等の治安維持活動や警察活動(海外の日本企業や法人の保護を名目に自衛隊が出かけていく)を認めることになると、警察活動を口実に武力行使が行われる恐れがある。実際、日本にはその歴史がある。

砂川判決を政治
利用する自民党
A集団的自衛権は憲法で禁じられている。それを、個別的自衛権行使の三要件である『日本に対する急迫不正の侵害(違法性)・これを排除する手段が他にない(必要性)・必要最小限度の実力を行使する(均衡性)』のうちの違法性を、『日本に対し武力攻撃が発生し、我が国との密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、我が国の存立が脅かされ、国民の生命・自由・幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある』(新三要件)に変更するという閣議決定を行った。しかし、そもそもなぜ集団的自衛権が必要なのか。「尖閣」を守るため?米国に日本を防衛してもらうことの保障のため?邦人をのせた米艦を防護するため?ホルムズ海峡での機雷除去のため?どれも今では説得力がなくなっている。
また、事態が新三要件に当てはまるかどうかの判断も、時の権力者にフリーハンドを与えることになる。米国の戦争に巻き込まれることは「絶対にあり得ない」(安倍首相)なんて絶対にいえない。国会による歯止めがあるから安心?ヤジに見られるように、国会を軽視している政権にとって国会は歯止めにならないし、秘密保護法の下では、判断に必要な情報が国会に提出されない恐れがある。自民党議員の中に反対意見が全く出ない状態では国会には期待できない。歴代の政権が維持してきた集団的自衛権行使違憲の立場を、一時の政権が変更することは許されない。それに、集団的自衛権の必要性もない。
根拠として自民党があげた砂川最高裁判決は、日本の司法権が踏みにじられた結果であり、当時は集団的自由権は想定すらされていなかった。一九七二年の政府見解も結論は、集団的自衛権は違憲となっている。

ウソを見抜き
運動の拡大を
司法権の違憲審査制原則は、当事者間の権利義務ないし法律関係の紛争であって、法令の適用により終局的に解決することができるものに限られる。したがって、このルートでは阻止は難しい。裁判所に判断をゆだねても、結論が出るまでに社会状況が落ち着いてしまっているだろう。
自衛隊員に命令が出され、命令に違反すれば、七年以下の懲役又は禁固の刑事罰か、懲戒処分となる。だから、命令が出る前に、命令の違憲確認訴訟をすることが考えられる。これについては、外国在住の日本人の選挙権の行使について勝訴した経験がある。しかし、集団的自衛権の行使については、いつそれが行われるかわからないので、必ず一定期間ごとに行われる国政選挙とは状況が違う。
そのような意味で、すぐにでも取りかかることができるのは、民主主義のルートだ。「もう隷従はしないと決意せよ」(エティエンヌ・ド・ラ・ボエシ、西谷修監修「自発的隷従論」参照)、「非暴力行動一九八の方法」(ジーン・シャープ「独裁体制から民主主義へ」)が参考になる。非暴力、社会的非協力、対案型政治の忌避……。これらを多くの人が一斉にすることが重要だ(例えば、「早く質問しろよ!」という言葉を、携帯やスマートフォンの着信音として使う)。権力者はウソをつく。米国人の少女にイラク兵の残虐さを米連邦議会下院で証言させた(ナイラの証言)。これは全くの嘘で、この少女はクエートに行ったこともなかったが、この証言で、米国の参戦が確定した。湾岸戦争時日本は一三〇億ドルをクエートに支出しただけで、血を流さないと批判された(湾岸戦争のトラウマ)。しかし、クエートに払われたのは、わずかの六億円。一兆円以上のお金は米国の戦費に支出されたことを知らない人が多い。ウソを見抜きさらなる運動の拡大を!(講演要旨、文責編集部)

7.26

「戦後レジーム」の70年を問う!

村山談話「天皇の戦争責任」に触れず

8・6ヒロシマ集会に結集を


象徴天皇制と
戦後の平和運動
 七月二六日、「『戦後レジーム』の70年を問う!7・8月行動」は、全水道会館で講演集会を行い、五六人が参加した。
 講演集会は、敗戦後七〇年を検証し、八・一五反「靖国」行動とセットで設定した。安倍政権は戦争国家に向けて戦争法案を衆院で強行採決し、参院でも強引な審議を行い制定をねらつている。安倍政権の暴走を許さず、同時に天皇制国家の植民地支配・戦争責任と象徴天皇制の戦後責任を追求し、国家による「戦没者」の慰霊・追悼を批判していく取り組みだ。
 集会は主催者の基調報告から始まり、「一九八五年の中曽根首相による靖国公式参拝に抗議してから、毎年抗議デモを行い三〇年。ここ一〇年は、街宣右翼、在特会などによる暴力的攻撃が激しくなってきた。今年も八・一五反『靖国』行動を取り組む。戦後国家そのものが象徴天皇制として作られた問題を解き明かし、平和主義・人権などを右から潰すことをねらう安倍の『戦後レジーム』への攻撃を跳ね返していこう。かつて村山首相は、村山談話を発表した記者会見で『天皇に戦争責任はない』と発言した。天皇の戦争責任を問わないまま引き継いでいることを示した。この現実と格闘し反天皇制、安倍を打ち倒そう」とアピールした。

「終戦の詔勅」の
再検討が必要だ
田中利幸さん(「8・6ヒロシマ平和のつどい201
5」代表)は、「米国の世界戦略と象徴天皇制国家」というテーマで講演した。
田中さんは、「敗戦七〇周年を迎えるにあたって〜戦争責任の本質問題を考える」という切り口から@明仁の「慰霊の旅」A裕仁の戦争責任B裕仁の戦後責任と天皇制について批判した。 
そのうえで「安倍政権打倒の必要性」について、次のように強調した。
「原爆と大量の焼夷爆弾を使った無差別大量殺戮という由々しい『人道に対する罪』を犯した国家責任が問われることがなかった米国は、戦後も、朝鮮戦争、ベトナム戦争、アフガン戦争、イラク戦争などで繰り返し無差別爆撃を続け、世界各地で多くの市民を殺傷してきた。にもかかわらず、その犯罪性が追求されることがなく、したがってなんらの国家責任も問われないままこの七〇年を米国はおくってきた。そのような正義に反する戦争をするたびに、いつも『正義の戦争』であると主張してきた無責任国家である米国の支配に完全に従属し、独立国でありながら米国の植民地のごとく自立性と自律性を失った政策を七〇年間も続け、国民への真の責任を回避してきた日本政府の無責任さにも大きな原因がある。同時にまた、そのような状況に『断乎抵抗できる個々人の自立と、それを支えかつ自己批判をも可能にする普遍的原理の内なる確立』をしてこなかった我々市民自身の責任も、ここで再確認する必要がある」。
「戦後七〇年を経たいま、安倍政権を打倒し、日本を本当の意味で人道的、平和的な社会にするような方向にその進むべき進路を矯正するためには、もう一度、戦後の様々な問題の発生源である『終戦の詔勅』を厳しく再検討・批判し、いろいろな局面での日米両国の国家責任を厳しく問い直すことが、必要不可欠であると私は信じる。つまり、『過去の克服』を国民的レベルで成功させない限り、安倍政権打倒は困難であり、日本社会の破滅を避けることも非常に難しいと私は考える」。
集約として田中さんは、「8・6ヒロシマ平和へのつどい2015集会」への参加を呼びかけた。

8・15反「靖国」
行動に参加を!
連帯アピールが、「201
5 平和の灯を!ヤスクニの闇へ キャンドル行動」、つくばの「戦時下の現在を考える講座」、安倍靖国参拝違憲訴訟の会から行われた。
最後に主催者から「8・15反靖国デモ」(八月一五日/15:00集合/16:00デモ出発/事前打ち合わせ会場:スペースたんぽぽ(水道橋駅5分・たんぽぽ舎4F)/主催:「戦後レジーム」の70年を問う!7・8月行動)への参加を訴えた。          (Y)

コラム

ギャンブル依存症

 先月の三連休に八ヶ岳山麓の別荘住人のところを訪れた。目的はもちろん「薪割り」である。GWに山屋仲間ら数人で運んでおいた丸太を割り、梅雨明けの太陽にさらしてよく乾かす必要があったからだ。
 別荘住人はこちらに来てから大病で手術・入院し、このところも入退院を繰り返している。体力は著しく低下しており、私の手助けなしでは薪割りもままならない状態であった。
 雨が降ったり止んだりの天候ではあったが、「E=mc2 」と叫びながら振り下ろす私のオノと別荘住人の自動薪割り機のパワー炸裂で、二日間で何とか七割ほどを割ることができた。残りは住人だけで何とかなるだろう……。
 今回滞在してふと気になったことがあった。住人は大の競馬ファンである。と言うよりも完全な競馬依存症だ。日曜日の午後になると薪割りに汗する私を尻目に、居間で専用テレビ回線の競馬中継を見ながらパソコンに向かって目の色を変えて競馬に没頭する人だ。それがこの日曜の午後は競馬をしていなかったのである。
 私はカマをかけるように聞いた。「これからも治療費がかかるのだろうし、一〇〇万くらいの貯えはあるんでしょう」。それに住人が答えた。「貯えなんか無いよ」。
 四年前に退職してから一〇〇〇万は下らない退職金が出ていたはずであった。その他にも十数万円の年金もあるはずだ。日常の生活費は年金でやりくりしていたとして、一〇〇〇万円の退職金はどこに行ってしまったのか。
 私は瞬時に頭の中で計算した。「別荘の修理、修繕で二〇〇万、入院・手術・治療で二〇〇万、車で一〇〇万。残りの五〇〇万は馬のエサに消えたということか……」。絶句!この会話はこれで終わった。
 厚生労働省が集計した資料によると、日本人のギャンブル依存症率は五・六%(男九・六%、女一・六%)だ。これは数値の高いマカオ、香港の一・八%と比較しても飛びぬけて高いことがわかる。米国をはじめ他の国はこぞって一%以下である。「カジノ法案」などもっての他であるということがよくわかる。
 やはり最大の要因は駅前や主要幹線道路にくまなく点在するパチンコ店の存在のようだ。症状が悪化するとサラ金はもとより、親族・友人・知人などから適当な理由をつけて借金をしたり、会社の金を横領したりもする。もちろん家庭は崩壊する。 連休の最終日は午前中の「あずさ」で帰京する予定だった。しかし、わが別荘住人のことを気にかけてくれている近所の先輩別荘住人が朝やってきて「倒木があるので軽トラで運びましょう」と声をかけてきた。それは中程度の榛の木と二〇mはありそうな赤松だった。太い赤松は長さ四〇cmで切り出して道路まで転がして軽トラに積み上げる。別荘まで三往復の大仕事になってしまった。
 おかげで丸太のかさは二日前に来たとき以上になってしまった。そんな訳で盆休みにまた薪割りをすることになった。わが別荘住人はその後また入院している。  (星)


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