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    かけはし2015.年8月24日号

EUとユーロは破壊されなければならない


ギリシャ/EU

第四インターナショナル声明

EU諸機構との決裂に向けて
欧州貫く労働者民衆の反抗を

(2015年8月12日、ビューロー―採択)

欧州資本主義諸勢力の勝利


 トロイカが要求した合意に対するチプラス政権の署名、並びにギリシャにおける第三次メモランダムの導入は、欧州の資本主義諸勢力の否定しがたい勝利を意味している。
この署名は、七月五日の国民投票における大規模なノーを通してギリシャ民衆が与えた委任に対する拒絶だ。この国民投票では、いわば階級的投票が、トロイカの要求になる協定構想を曖昧さのない形で拒絶した。この投票は、保守派と社会民主主義諸政党によって最初の二つのメモランダムを基に実施されてきた、緊縮と貧困の諸政策に対する拒絶、一月におけるシリザの勝利に結果したそのような拒絶の強力な表現だった。
今回の回れ右は、国民投票直後に明らかとなった。チプラスは、欧州の交渉相手の要求に従って、国民投票では否認されたばかりであったトロイカにへつらった諸政党(新民主主義、PASOK、そしてポタミ)との国民的団結、という一つの宣言を起草した。
その二、三日後に受け入れられた合意は、七月五日に拒否されたものよりもさらにひどく、ギリシャ民衆にとって破滅的なものだった。EU、ECB、さらに欧州の保守派と社会民主派の諸政権は、社会的諸権利で残っていたものを解体し、ギリシャの国民的諸機構からすべての決定策定主権を取り上げることで、本物の植民地監督の仕組みを確立する、そうした協定を押しつけた。債権者団の直接支配下に置かれたギリシャの公共財私有化機関の創設は、国民的遺産のバラバラの売却を促進しようとするものだ。
このような降伏に対する抵抗は、シリザ左翼プラットフォーム、同中央委員会多数、そしてノーの戦闘を闘った他の左翼諸勢力――アンタルシアの活動家、また数多くの労組の反応を含む――によって、協定案公表後に表現された。この抗議行動はまた、諸々の街頭デモをも含んでいた。そしてそれらのデモは政権によって暴力的に弾圧され、何人かの活動家は機動隊から襲撃を受け殴打され、民衆的決定の尊重を要求したというそれだけの理由で訴追され、法廷で有罪宣告を受けた。サマラスの時代に匹敵するこれらの警察の強権手法が、チプラスによって、また彼の新しい政府によって支持されることになった。

反緊縮貫徹と決裂の用意は一体


EU指導者たちが乗り出した攻撃の暴力性は、賭けられているものに比例したものだ。つまりそれは、ギリシャ民衆の民主的な選択におかまいなく、欧州の支配階級が定めた緊縮計画に代わるものは欧州内部には一つもない、ということを明らかにしている。ひとつのことが今、以前にはたとえ明確ではなかったとしても、はっきりしている。それは、ユーロからの離脱、あるいはそこからの排除に対して用意がなければ、ある急進左翼の政府が今日の欧州内部で緊縮に反対することは不可能、ということだ。
ギリシャがEUのメンバー国であることとその絶対命令の尊重とを結び付けることで、この連合の真の性格が照らし出されている。つまりEUは、民衆の統制の外に置かれた反民主的な構築物であり、欧州住民の経済的かつ社会的状況の上方平準化などはまったく目的としていない、ということだ。
二〇〇二年以後の諸国経済の展開によって確証されたその単一の目的は、北の諸国の輸出経済に対する市場と通貨上の支えの確立だ。それらは、あらゆる諸国の空間で勝ち取られた社会的諸権利の破壊並びに終わりのない緊縮によって具体化されている。通貨の安定は賃金切り下げを伴ってきた。「石に刻まれた」変えようのないマーストリヒト条約とリスボン条約によって拘束されたEU建設は、いかなる民衆の選択によっても異議の突き付けを受け入れることが不可能な枠組みとして現れている。
二〇一五年一月に切り開かれた展望は、ギリシャ民衆が欧州の他の諸国民から自身を切り離す決定を行うというものではなく、EUの諸規則を疑問に付し、それとの決裂を呼びかけたものだった。ここには、欧州の住民全体の決起以外では打ち倒す可能性のない一つの構造に向けた、強力なハンマーの一撃となる可能性があった。
資本主義欧州の指導者たちは、保守派と社会民主派両者とも、その綱領が緊縮諸政策とメモランダムを終わらせることである一政府の確立を認めたことなど一度もなかった。シリザは、サマラスのND、並びにそれ以前のPASOKが遂行した諸政策に対する鮮明なオルタナティブだった。その選挙綱領は明確に、トロイカの諸指令に対する異議突き付けの意志を明らかにしていた。その点でこの政治的経験は、ギリシャにおいてまた欧州中で、労働者にとっての一つの好機を表現した。つまり、反緊縮綱領を基礎とした一つの政党が強力に登場し、反動的諸政党と対決して自身を押しつけ、欧州資本の要求と決裂する道をたどる、という可能性をはっきり示す好機ということだ。
しかし過ぎ去ったばかりの数カ月が示したことは、そうした政府がそのような挑戦を満たすためには、ギリシャ内部での階級対階級の衝突に、また正統性のない債務、諸機構、EU諸条約に異議を突き付けることによって、欧州の支配階級、その原型的な国家、さらに銀行との衝突にも準備ができていなければならない、ということだ。

合理的交渉の路線は成立しない


チプラスのチームは、成立しようのない賭けで勝とうと願った。つまり、EUの諸規則にしたがい、債務返済期限にしたがいつつ、ギリシャにおける緊縮に終止符を打とうとしたのだ。
この六ヵ月間ECBとIMFに対し七〇億ユーロ以上の返済を続けながら、以前の諸政権が負った債務に対する責任を引き受け、緊急援助制度(ELA)からの資金注入を受け入れることによってギリシャ政府は、トロイカがギリシャ民衆の首に巻き付けた締め付け縄を緩めることがなかった。それでも議会が求めた監査は、そのあくどく正統性のない債務を暴き出し、数多くの議員による返済停止の要求を引き出した。
しかしチプラスは債務返済停止を拒否し、資本逃避の阻止を拒否し、銀行システムを真に支配下に置く唯一の方法である諸々の銀行とギリシャ中央銀行の国有化を拒否した。
こうした政策および結局は今の降伏を受け入れたことに向けられた主張は、ギリシャの銀行の資金途絶とこの国の破綻を回避するための、グレグジット(ギリシャのユーロ圏離脱を意味する造語:訳者)回避のための唯一の道が先の道、というものだ。そうした選択に代わるものはまったくない、とチプラスは語った。彼はここ何週間か左翼の反対派に対して、次のような流行の議論を変わることなく押し出した。つまり、諸々の指令と屈服の拒絶は、彼にしたがえば、ギリシャをユーロ圏の外部に、さらにはEUの外部にさえも押しやっただろう、と。しかし議会選挙期間中シリザはスローガンとして、「ユーロのために犠牲にするものは何一つない」を掲げたのだ。
債務と共にマーストリヒト条約のユーロとECBの諸規則が、ギリシャ民衆を絞め殺す第二の首縄として利用された。EU全政権によるギリシャに対する脅迫として利用されたグレグジット回避は、チプラス政府の絶対的優先となり、債務問題とシリザの反緊縮綱領実行に関する攻勢的政策すべてを脇に置くよう、この政府を強制した。ユーロ圏離脱に対する拒否が一つの絶対的要請となった。
それでも何ヵ月間か、特に国民投票でのノーキャンペーンを通じて、シリザ左翼プラットフォームを含むギリシャの左翼は、もう一つの政策に向けた鮮明な提案、EU指導部とその諸規則との衝突と決裂からなる路線をいくつか前進させている。
これらのオルタナティブな選択肢は、銀行システムの国有化、債務返済の一方的な凍結、資本逃避の阻止、私有化の終結、テッサロニキ宣言によって規定された社会的諸方策の即時実施を通した、社会的統制を強調している。ギリシャの寡頭支配層とその諸特権との戦闘を求めるこれらの諸方策を遂行する枠組みの中で、EU諸機構と決裂する歩みが、そしてトロイカの諸指令を前提とすれば、ユーロ圏からの離脱が準備されなければならない。
意識的にたどられるそうした政策は、労働者階級に向けられた社会的諸方策の即時実施によって可能とされた、国内の決起と大衆的な支えに依拠できると思われる。ユーロ圏残留を通り抜け不可能な境界とすることは、もっぱら、緊急の経済的かつ社会的諸方策の欠落に対する口実として機能するにすぎない。結論としてチプラスの選択は、ギリシャの民衆がユーロ圏離脱で直面すると思われる状況よりもはるかに劇的な社会状況に彼らを導いている。

社民勢力は保守勢力と完全同調


シリザ左翼プラットフォームは来る数週間、この党とその蓄積された諸経験の破壊によってトロイカがもう一つの勝利を得ることを阻止するために闘うだろう。そして反資本主義派のギリシャ人すべては、シリザ内外を問わず、オヒ(ノー)のための統一戦線諸委員会の経験を基礎とした、反攻の道筋を見出さなければならないだろう。
これは何よりもまず、チプラスがとった道に反対するシリザ諸勢力とアンタルシアの諸勢力に関わっている。これはまた、先の方向で活動してきた社会運動の全体、並びに全労働組合運動諸勢力にも関係している。KKE(ギリシャ共産党)は一月の政府設立時点から、反緊縮諸勢力の共同行動すべてを正面切って妨害した。ギリシャ左翼の他の勢力は、昨日と同じく今日も緊縮と闘う単一の戦線創出に対する一つの障害を表現しているこの状況を受け入れていない。
ギリシャ情勢のこうした展開は、欧州の資本主義諸勢力に反対したいと思っている者たちすべてに、一つの挑戦状を発している。伝えられていることは鮮明だ。すなわち、対決なしには、EU諸機構と決裂する歩みなしには、そして労働者と民衆に奉仕する欧州という展望なしには、労働者が耐乏させられている緊縮政策に対する挑戦は決してあり得ない、ということだ。
諸機構との理詰めの合意を交渉することができると期待しつつ、諸条約が規定した枠組みに同意することは、ECB並びにEU委員会の要求に対する降伏と同義だ。社会民主主義諸政党からのあり得る支持、あるいは少なくとも彼らはもっとも反動的な政策からは距離をとるだろうとの期待、これらを基礎としたこのレベルでの術策の余地に関してはいかなる幻想もあり得ない。ここ二、三週間が示したことは、社会民主主義派の指導者たちが、彼らの保守派同僚と同じくギリシャ民衆の選択を無視した、ということだ。この点でこれらの政治勢力すべてが一致するにいたったのだ。さらに悪いことに、欧州労組連合の公式指導部もまた、その内部に代わりとなる声がまったくないままに、ギリシャの「債権者団」と並んで列を作った。

欧州規模の反EU決起に全力を

 ギリシャの経験はその最初に、スペインの左翼にとっての挑戦となる。そこでは、ポデモスの台頭がシリザの台頭に平行し、またそこから刺激を受けたのだ。しかしこの経験は、欧州の労働運動全体に対しても訴えるものをもっている。
欧州における資本の設定課題がより進んだ緊縮、より少ない職、より少ない賃金、より僅かの社会的権利であることは、すべての者が理解している。決定的なことは、ギリシャで終わりを迎えたばかりの敗北という局面が、いかなるものであれ緊縮政策に対する根底的な挑戦という政治的展望の放棄に、あるいは少なくとも正統性のない債務の帳消しという主張の拒否に、障害をかいくぐるいわゆる「リアルポリティーク」に導かないことだ。そのように導かれた場合は、保守派と社会民主派の諸政策に対するオルタナティブとしては、ただ一つ、社会的権利にとってはまさに同じく破壊的な、民族主義の、排外主義の、極右の回答のみが残ることになるだろう。
ECBとユーログループは、ギリシャ民衆の民主的な選択を無視するために、民衆のために行動すると称する欧州政府に自らを就けた。これは単に、EU諸機構の民主主義と正統性の全面的な欠如を暴露したにすぎない。ジャック・ドロール(フランス社会党の経済学者・政治家、市場主義経済路線を推進し、一九八五年から一九九五年まで、EC/EUの執行機関であった欧州委員会の委員長:訳者)やフランソワ・オランドを例とした何人かは、この明らかな〔弱みをはらんだ〕力づくの乗っ取りを認識した上で、EUの現存諸機構を下手にいじくり回しつつ、ユーロ圏政府あるいはその議会の創出を提案している。しかしそれは、それらの同じ諸機構が既に、諸条約によってこの通貨に関連したものであるからには、むしろ笑うべきものにすぎない。
ここ何週間かが確証済としたことは、この非民主的かつ欧州支配階級の利益に沿った特定の目的に捧げられた体系は、民衆主権を押しつけるために取り壊されなければならない、ということだ。
民衆的な決起、EUの諸規則とその機構との対決並びにそことの決裂という路線がない限り、反緊縮の綱領に存在の余地はまったくないだろう。
民衆が押しつける力関係は、ユーロの諸規則を完全に変えることによってそうした政策の実行に余地を与えるだろう、ないしはわれわれは、ユーロ圏離脱に向け準備しなければならない。過去二、三週間が示したことは、EU諸国におけるそうした政策の基本的な部分は、共通の目標を設定する協調された国際的行動の確立となる、ということだ。この何カ月ギリシャの民衆は、ただ一人悲劇の中にとどめられてきたのだ。
この挑戦に見合うように立ち上がり、その結果として次の社会的衝突が障害に打ち勝つことを可能にする力関係を築き上げ、欧州の労働者運動がその政治的形態や労働組合形態、また社会的形態において緊縮に対決する欧州規模の反攻に必要となる結びつきをつくり出すこと、それはまさに欧州の反資本主義派の義務だ。(「インターナショナルビューポイント」二〇一五年八月号)  



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