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    かけはし2015.年8月24日号

ユーロのための犠牲を拒否する


ポルトガル

金融植民地主義と対決する民主主義

EUとの対決が全欧州での回答

左翼ブロック

欧州資本主義諸勢力の勝利


 以下は、ポルトガル左翼ブロック全国委員会の決議であり、二〇一五年七月二六日に採択された。この間のギリシャとEUとの攻防から欧州の急進左翼がどのような教訓を引き出し、路線化しようとしているかを示すものとして、八月三日号に掲載したベルギー支部の提起に続くものとして紹介する。(「かけはし」編集部)
1.七月一二日の欧州首脳会議において、ギリシャの民主的な国民投票は、ギリシャの金融的占領によって応じられた。民衆の意志に反して押しつけられた国民的侮辱、三年以上の社会的処罰は、良好な結末を迎えることなどあり得ない。EUは、何百万人という市民に対して、いかなるものを引き換えにしようとも、民主主義を超えるとしても、緊縮計画を押しつける準備ができていることを明らかにした。それゆえギリシャにおいて、また全欧州で、それへの回答はこの連合と対決するものとして打ち立てられるであろう。

2.ここ数カ月は二つの基本的結論を引き出した。第一に今、ドイツ政府が率いる保守派―社会主義者大連立があるということ。そしてこの連合がEUを支配し、市場の独裁、並びに緊縮、失業、貧困、不平等という政策を押しつけている。第二にこの連合は、代わりとなる政策を保持するどのような政府の存在も許すつもりがなく、左翼政府を前にすれば、あらゆる手段によってそれを破壊しようと試みることをためらわないだろう。

3.EUは、ハンガリーの極右政府による新たな恥知らずな壁の建設(移民流入阻止を掲げて同政府が公言している:訳者)を易々と受け入れる一方で、シリザ政府を打ち砕く動きの中で通貨同盟を危険にさらすこともいとわなかった。ショイブレ(ドイツ財務相)は、ユーロ圏からの敵対的ギリシャ排除を提案し、数ヵ国の共通通貨としての、ユーロの安定性という神話をぶちこわした。ECB(欧州中央銀行)は、ギリシャ国債に対する現金供給を政治目的によって遮断することで、銀行システムに対する、ECBからは独立した国民的統制メカニズムの差し迫った必要性をはっきり示した。

4.その諸条約によって定義されたEUは二五年間ずっと、新自由主義的秩序、つまり規制解体、資本の集中、社会的保護の縮小、賃金への圧迫、これらを制度化する反民主的な装置であり続けてきた。単一通貨はこの構想の打ち固めにおいては決定的な一歩だった。
第一に、為替レートリスクの除去は、金融の権力、並びに資本の自由な流通にとっては基本条件だ。第二に、単一通貨が、経済調整の独占的メカニズムとして、緊縮と労働力の価格破壊の基本輪郭を定めている。
つまりそれは、国民的為替政策、通貨政策を終わらせ、それらを単一の機構――ECB――に預けているのだ。そしてこの機構は、民主的な統制から除かれ、ドイツ政府と世界の大金融機関によって支配されている。この単一通貨は、国家財政の独立性を縮小し、進歩的な産業政策を妨げている。
押しつけられた目標はそれを満たすことなどあり得ないものだが、しかしその満たさないことが今度は、EU諸機構の国民財政決定を正統なものにするのだ。中でもこの官僚制は、意味のある決定権すべてを保持し、直接的な民衆的圧力にも、各国内部の社会的、政治的諸勢力の相互的関係にも、動じないようにされていると明らかになった。ギリシャに対する残虐さは民主主義に対するこの責任免除の証明だ。

5.われわれ左翼はこうした欧州統合、並びに単一通貨創出に変わることなく反対してきた。しかしながらわれわれはその完成にいたる中で、より良好な力関係の下ではその再創出もあり得るだろうと認め、国民レベルと欧州レベルでそのための闘いを決して放棄しなかった。一〇年前、オルタグローバリゼーション運動は、そうした仮説に信頼性を与えたように見えた。
しかしながらその時以来左翼は、欧州の民主的再設立に向けた諸提案や現存のマクロ経済不均衡に対する矯正メカニズムに焦点を絞った。つまり、諸国家間の平等性を備えた欧州上院、ECB諸規則の改革、欧州財政の強化、ユーロ債といったものだ。そしてこれらすべては、金融の諸利益に立ち向かうことができず、最後はギリシャ懲罰の猛々しいパートナーとなるにいたった、連邦主義的権威主義にはまり込んだ社会民主主義によって、無効にされるか、放棄された。

6.ベルリンとブリュッセルによって押しつけられた緊縮綱領は、一つの嘘を基礎としていた。危機の理由は、可能性以上の生活を続けている民衆、とされているのだ。ポルトガルの右翼政権が繰り返しているこの嘘は、諸々の危機の真実の大元、つまり金融投機と米国住宅バブルの崩壊、を消し去るたくらみだった。リーマン・ブラザースの崩壊によって増幅された二〇〇七―二〇〇八年の危機には、銀行システムの財政投入による救出と銀行の損失の社会化が続いた。次いで投機は、周辺欧州諸国の公的債務に向かった。ECBは、はるかに利率の高い国債を買い入れる商業銀行に一%の利率で融資した。このリスクのない資本所得が、公的債務を最大の世界的金融市場に変えた。労働者の収入は、酷い緊縮諸方策を通じて、債務返済に直接移された。

7.マーストリヒト条約とリスボン条約、また二〇一二年の財務協定の中で欧州にはすでに、労働者の権利や社会福祉拡張に向けた政策の禁止および緊縮の憲法化があった。初めての反緊縮政府の選出に対して、この欧州諸条約の論理全体が、実効化された。ドイツの「大連立」はその法を一八ヵ国に押しつけ、ドイツ―フランス人名録はドイツ首相という一人物に還元された。今日ドイツ政府が政治決定と財政統制の全能の中心だ。

8.左翼は、鮮明な立場を定めるためにこの近年の歴史の教訓を学ばなければならない。この六ヵ月の紛争の間ギリシャ政府は、平等な国家間の実行可能な合意というものに対して自身を無防備にした。結果的にそれは、債権者に顔を向けた「欧州のパートナー」の過激さと復讐心の強さに衝突した。
緊縮と財政協定の拒絶を約束する左翼は、力を与えられなければならず、国民の民主主義を尊重するためには、基本的な選択肢に関し主権に依拠する用意ができていなければならない。

9.左翼ブロックはユーロのためのこれ以上の犠牲を拒否する。このオルタナティブを表現することはかつて以上に民主主義のための闘争となっている。つまり、財政協定を国民投票に付すこと、公的債務の再編を始めることはその道における基本的な数歩だ。この鮮明な権限付与――前党大会でわれわれがはっきり示したことだが、それは通貨同盟との決裂となるかもしれない――に基づいて、左翼ブロックの被選出代表は、欧州権威主義体制の代わりとなるもののために闘う。

10.国際主義左翼は、新たな欧州連合を設立する。それは、反ファシズムと反軍国主義の闘い、戦後期の社会的達成を含んだ諸闘争を引き継ぐものだ。その民主的かつ協同的構想は、今日の権威主義者の攻撃が教える教訓を、さらに社会の、環境の、文化の、人権の諸基準における新しい共有された目標に向けた意志を体現する。外国人嫌悪諸政党や民族主義諸政党が機能不全化したEUに対するオルタナティブとして台頭している現在、抵抗と不服従の運動は待機することなどできない。左翼ブロックは、この現実と巨大な諸困難を認めつつ、もっとも幅広い可能なオルタナティブに対するその誓約をあらためて繰り返し、緊縮に反対し、民主主義を求めて闘っている諸勢力すべてを結集する。

▼左翼ブロックは、元毛派のUDP、共産党を離れた一潮流であるポリティカ二一、そして第四インターナショナルポルトガル支部であったPSRの連合として、二〇〇〇年に創立された急進左翼政党。今日この勢力は国会とEU議会に被選出代表を確保している、いわば公認政党である。(「インターナショナルビューポイント」二〇一五年七月号)

ギリシャ

シリザ青年組織のコミュニケ

合意反対、路線再考特別大会を

シリザ・ユース

 チプラス政権のトロイカに対する屈服にシリザ内部からの造反が続き、トロイカが強要する緊縮実行に向けた国内法令承認に関する最新の議会投票では、シリザ議員の三分の一近くが賛成しなかった。一部からは、早期の議会選という見方も出されている。このシリザ内造反を示す一つとして、シリザ青年組織からコミュニケが発表されている。以下に紹介する。(「かけはし」編集部)

クーデターには
シリザにも責任

 シリザ―ANEL(独立ギリシャ人)政権が指揮し、数ヵ月間続いてきた交渉を経て到達した七月一三日の合意は疑いなく、ギリシャの急進左翼諸勢力の大敗北だ。債権者団によって遂行された前例のないクーデターは、ギリシャ政府を絞め殺す政治的袋小路に追い込んだ、一連のむき出しとなった脅迫行為の中では、単に最新のエピソードにすぎなかった。
 しかしながら、この結果を債権者団の諸選択のみによる決定と解釈することは、むしろ余りに省略がすぎると思われる。われわれに義務があることは、ユーロ圏内部での力関係の過小評価、さらに理詰めの議論は「相互に利益となる」合意を支持するよう「諸機構」を説得できるだろうとの確固とした確信、しかしまたユーロ離脱という脅威がわれわれの提案が最後に勝ちを収めることに向け触媒の役割を果たす可能性があるとの揺るぎない確信、これらを否定的に評価することだ。
 これらすべての問題点は、交渉の一部として、並びに政府の選択としての双方で機能した可能性のある、決裂という代わりとなる計画の不在に決定的に寄与した。つまりこのすべては、われわれが政治的に人質にされる点で決定的な要素だった。
 この点と平行して、確実であろうと考えられた「名誉ある妥協」に向け待機しつつ、交渉の技術的な側面に長い間浸りきったことは、テクノラートの優越性と変化にたじろがずに遂行される政治的権限行使と対決して社会の参加が生み出したと思われる、躍動と熱中に対しては何の空間も残さなかった。その上にわれわれは、対立の領域を内部に移し、われわれが代表する民衆とのわれわれの関係を打ち固め、新たな闘争に号砲を与え、われわれの綱領の実行を確かなものにする諸手段を保証する、そうしたことを可能にしたと思われる「一方的な」諸行動を抑制した。
 こうした全状況を前に、党の機構の(そして青年組織の)不十分性は決定的だった。合意に必要とされた前提条件に関する議会での投票に先立つ中央委員会招集が行われたなかったことは、決定策定の重心を役立たずの機関、たとえば議員団に、そして選出された各メンバーの個人的良心に移行させた。党の指導機関の政治的栄養不良、並びに集団的手続きの外部での決定確定は、同じ関係における二つの補い合う側面だ。
 署名された協定は、ユーロ圏内部の圧倒的な力関係およびギリシャの民衆と政府に対して犯された恐喝の痕跡を残している。この政治的誘拐と行き詰まりは、そしてわれわれはそれに対して犠牲を払うことになったのだが、この計画の方向と基軸を再考するようわれわれに迫っている。

EUは改革不能
を再考の基礎に


われわれに課された義務は、EUとユーロ圏は結局は制度的に鋳型化された新自由主義のシステムとして機能し、その変革に向けた余地は極限まで制限されている、と考えることだ。われわれの国際主義的戦略には、これらの組織からの引き上げが含まれなければならない。そしてそれこそ、民主主義と人民主権のための要求であり、しかしまた新自由主義に挑むための必要条件でもある。
第三次メモランダムの議会投票による採択は、われわれのイデオロギー的参照点とわれわれの集団的決定に反するものだ。すなわちそれは、シリザの長い歩みに逆行し、左翼が歴史的勝利を達成するにいたった唯一のEU国において、希望を打ち砕く危険を犯している。これらの理由からわれわれは、自身をこの協定に反対する位置に置く。
この段階では、シリザ中央委員会の即時召集が、また党の最高決定機関である特別大会の即時呼びかけが不可欠の必要だ。そしてそれらは、ここに至る段階に対しての総括を行い、来る段階に対する戦略を計画する全体責任を負わなければならないだろう。シリザもまた責任を負わなければならないのだ。シリザは、左翼の諸価値と諸原則と方法論において相容れない、そうした個人攻撃から全メンバーを守らなければならない。
こうした背景の中では、国民投票結果の大きな重要性を脇に置くことはまったく考えられない。この件では政府は短期的に、度外れたゆすり、金融的空気遮断、銀行閉鎖、メディアの逆上といったものに対決して、民衆に発言権を与えることを選択することにより、民衆を主人公にすることに成功した。この国民投票は、社会的運動としてかつ民衆的票決として、民主主義や社会生活のあらゆる領域における連帯と相乗効果を拡張することを可能とする社会的連合の確立に向けた闘争がこれまで以上に適切であることを、それだけではなくその中で勝利をもたらす勢いを生み出すということもまた、はっきりと示している。
われわれに関する限り、公正な世界を求める闘争は、一つの道義的な正当性をもつものであるにとどまらず、われわれの日々のあり方、われわれの生活、社会を変革する道でもある。われわれは、この道にしたがい続ける。そして歴史は決定されたものではなく可能性からなる場であること、その中でわれわれは、今日考えられないように見えるすべてのことを実行可能にするために闘うのだ、ということを変わることなく心に留める。
二〇一五年七月二一日
(「インターナショナルビューポイント」二〇一五年七月号)



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