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    かけはし2015.年8月31日号

人間使い捨て社会にNO!


8.11雇用アクション国会前行動

派遣法改悪案、三度目の廃案へ



 八月一一日、参院厚労委で三回目の派遣法改悪案審議が予定されていたこの日、雇用共同アクションも正午から、廃案を要求する参院審議に向けた三度目の国会前行動を行った。
 この日まで二回行われた参院審議においても、法案の問題点が次々に追及され、塩崎厚労相が答弁につまる場面が何度も出ている。たとえば、安倍首相自ら正社員化推進法などと強弁するものの、法案自体にはそのような規定はおろか担保すらないこと、そればかりか彼らの言う「正社員」の定義すらまるであやふやなこと。あるいは、派遣元に雇用安定化措置を義務づけたなどと言うものの、派遣元にはそれを一切実施しなくても済む抜け道があり、厚労省にはそれに対処する構えがないこと、などだ。厚労省自身業務に派遣労働を導入し雇用破壊を自ら進めていること、さらに派遣業界との癒着すら暴露された。
 この法案がただ派遣労働を野放しにし、派遣先大企業を雇用責任から解放するものにすぎないことは一層明白になっている。このような状況に対して、派遣で働く当事者たちも自らの結集体を作って廃案を求め立ち上がった。そして日本労働弁護団は、このような動きをあらためて社会に突き出し必ず廃案につなげようと、八月二五日に院内集会を準備している。
 野村幸裕全労連副議長、中岡基明全労協事務局長を皮切りに次々に行われたこの日発言では、傍聴報告として明らかにされた前述のような問題点を共有した上で、当事者の闘いを含め訴えをより広げつつ三度目の廃案を本当に実現する決意が表明され、前述の八月二五日の日本労働弁護団集会への結集に加え、八月二〇日、八月二七日の国会前行動をさらにレベルアップしたものにしようと訴えられた。
 国会からは、審議の合間を縫って日本共産党の辰巳孝太郎参院議員、社民党の福島みずほ参院議員がかけつけ、法案の非道性を示す審議の現状を明らかにしつつ、参院審議で全力で廃案に追い込むと決意を語った。
 この日は九州電力が国民多数の反対に背を向け川内原発の再稼働を強行するとされた日。すぐ隣では、さようなら原発一〇〇〇万人アクションを中心に再稼働反対の抗議行動が展開され、雇用共同アクションの集会で日本消費者連盟の富山洋子さんが発言するなど、二つの行動の間ではエールが交換され連帯が表明された。この中で富山さんは、原発が差別と騙しの上に築かれていると指摘しつつ、働いている人の人格権が大事であり、人間を使い捨てする社会にしないためにも、派遣労働野放しをゆるすわけにはいかない、連帯を広げ安倍を退陣させ、原発と共に派遣法改悪も葬り去ろう、と訴えた。
 総掛かり行動で安倍を追い詰め、その中で派遣法改悪案の三度目の廃案を必ず勝ち取ろう。   (神谷)

投書

「軍師官兵衛」と
「花燃ゆ」に思う

S・M

 去年、NHK大河ドラマの「軍師官兵衛」を見た。秀吉の朝鮮侵略を批判的に描いていた。キリシタン弾圧も批判的に描いていた。秀吉は、まるで安倍晋三のようだ。自民党のようだ。公明党のようだ。そう思った。「軍師官兵衛」では、「足の悪い」官兵衛が描かれていた。作者は、「障害者」が活躍したことを訴えたいのかな。そう思った。
 そして今年は、NHK大河ドラマの「花燃ゆ」を見ている。吉田松陰とその妹らを中心としたドラマだ。興味を持って、フォー・ビギナーズ・シリーズの『吉田松陰[増補新装版]』(三浦実 文、貝原浩 イラストレーション、鈴木邦男 解説、現代書館)を読んだ。鈴木邦男氏は、解説で述べている。「松陰の関連本は多分一〇〇冊近く読んでいる。でも他の本はいい。これだけを是非読んでほしい」。「この本が最も新しい。最も考えさせる本だ」(「一粒の麦、吉田松陰」)。
 だが、半藤一利(はんどう・かずとし)氏は、述べる。「明治政府が松陰を評価したのは、自分たちの行動を正当化するためだった。ただ、私はかなり危険な思想家だと思う。松陰の記した『幽囚録』には、急いで軍備を整え、カムチャツカや琉球、朝鮮、満州、台湾、ルソン諸島を支配下におさめるべきだ、とある。これはものすごい膨張主義・侵略主義ですよ」。「この松陰の思想は、松下村塾出身の山形有朋ら長州閥の陸軍を通じ、近代日本の形成にかなりの影響力を与えたと思う」(『朝日新聞』二〇一五年六月九日・朝刊4面、「長州の思想家 松陰に危うさ 半藤一利さんに聞く」)。
 知らなかった。無知は、おそろしい。吉田松陰は、膨張主義者・侵略主義者であったのだ。「フォー・ビギナーズ」には、『幽囚録』のことなど書いてなかった。私が忘れているのだろうか。ついでにいえば、二〇一五年三月一九日の『朝日新聞』朝刊一五面には、「松陰の「行動」への賛美 実は危うい 通じない相手を敵とみなし、テロにつながる。相手の正義も想像しよう」という「儒教思想を研究する 小島 毅(こじまつよし)さん(五二)」のオピニオンが載っている。こっちの方も「花燃ゆ」の視聴者には、おすすめだ。ただし、吉田松陰と安重根(アン・ジュングン)を同列視するのは、安重根に失礼ではないかと思う。
 NHKは、これでいいのか。「フォー・ビギナーズ」は、これでいいのか。
(二〇一五年八月四日)
 追伸。@二〇一五年八月二日の『朝日新聞』朝刊一〇面「声」欄には、「なぜ松下村塾が産業遺産なのか」という投書が載っている。こっちも歴史の勉強になる。A二〇一五年八月八日の『東京新聞』朝刊二面に『明治維新という過ち 〜 日本を滅ぼした吉田松陰と長州テロリスト 〜 改訂増補版』という本(原田伊織著、毎日ワンズ)の広告が載っていた。こっちも面白そうだ。B『週刊金曜日』二〇一五年七月三一日号(二二ページ 〜 二三ページ)に「世界遺産になった「松下村塾」とアジア侵略 吉田松陰は「偉人」なのか」という纐纈 厚(こうけつ・あつし)氏の論文が載っている。こっちも面白い。(二〇一五年八月二三日)



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