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    かけはし2015.年9月14日号

マイナンバー法成立糾弾!


治安弾圧・住民管理の強化に抵抗しよう

制度そのものの廃止を求め続ける


情報流出事件の収束狙う

 治安弾圧・民衆管理監視強化のための共通番号法(マイナンバー)と個人情報保護法の改悪修正法案が八月二八日の参院本会議で採決が強行され可決となった。自民党、民主党、公明党、維新の党などが賛成。日本共産党、社民党、生活の党は反対した。改悪修正法案は、九月三日、衆院本会議で再度、採決強行した。
参議院内閣委員会は、六月四日以降、日本年金機構の情報流出事件(六月一日/一〇〇万人を超える年金データの流出)によって法案審議が中断していたが、マイナンバー推進である民主党が年金データとの連結を延期する修正案(年金情報とマイナンバーの連携を「一六年一月から最大で一年五カ月」で行うとしていたが「一七年一月から最大で一一カ月遅らせる」)を提出し、二七日の参議院内閣委員会で採択してしまった(自公民、民主、日本を元気、次世代が賛成、共産、生活が反対)。
委員会でIT政策を担当する山口沖縄・北方担当相は、「サイバー攻撃への対応策が不十分な地方自治体も制度の運用に加えるのか」の質問に対して「出来ていない自治体は制度に入れない」と答えた。つまり、一〇月に世帯ごとにマイナンバーの番号が入った通知書とカードの申請書(任意)を郵送し、一六年一月運用開始ありきで強引に押し進めていくことを前提にしている。改悪修正法案もセキュリティー対策が不可能であるにもかかわらず、いいかげんに延期日程をデッチ上げたにすぎない。
「日本年金機構における個人情報流出事案に関する原因究明調査結果」(八月二〇日)の報告は、年金機構と厚生労働省のセキュリティー対策の希薄、対応不能を温存し続けてきた組織的な欠陥を批判しているのみだ。報告は「標的型攻撃対策としてシステム上の有益な対応策が示されているにもかかわらず、必要な機関において、その実施がなされないことがある」「システムの維持運用を確実にする監査を強化せよ」と決意表明のみで情報流出事件を収束させたいのが本音だ。
標的型攻撃メールは年金機構だけでなくすべての官庁機構、企業に対して行われており、従来のウィルス対策では防御が不可能だからこそネットワーク分離や技術的分析が優先されなければならないはずだ。運用開始を強引にすすめる姿勢には民衆の人権を守ることなど投げ棄ててしまっている。

国家の統治機能を強化

 マイナンバー制度(二〇一三年五月成立・公布)は、税務署や自治体などが別々に把握している所得や納税、社会保障サービスなどの状況を管理し、年金、医療、介護保険、生活保護、労働保険、税務の六分野で活用するとしている。さらにIC(登録証)カード(氏名、生年月日、性別、住所を記載し、ICチップに番号を記録する)を持たせ、住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)の住民票コードによって住民登録・戸籍・収入・税・健康保険・医療・福祉給付・介護保険・年金・免許・旅券・犯歴などの個人情報の一元化をめざしている。
いまだに政府は、「今まで各機関で管理していた個人情報は引き続き当該機関で管理してもらい、必要な情報を必要な時だけやりとりする『分散管理』の仕組みを採用しています。マイナンバー(個人番号)をもとに特定の機関に共通のデータベースを構築することはなく、そこから個人情報がまとめて漏れるようなこともありません」(内閣官房のマイナンバーHP)とデマキャンペーンを居なおり的に繰り返し維持しているところに国家的意志が現れている。
民衆一人一人の個人情報を掴みきるシステム構築の野望は、個人情報の統合的なデータベース化によって国家権力の統治力を強化していく装置となるからだ。だが個人情報漏洩事件、秘密データ漏洩事件、犯罪歴・病歴漏洩事件、ハッカーによる不正アクセスやサイバー犯罪が多発し、人災漏洩事件もなくならず、現在のセキュリティーレベルの脆弱性が明白な状態にもかかわらず、その危険性を覆い隠そうと策動を繰り返している。
しかもマイナンバー制度の中間サーバー(自治体などが保有する個人情報と国などが持つ情報と連携させる)の拠点は、東日本・西日本の全国二カ所に設置し、中央集約的システムに個人情報の一元的管理を行う。このシステムに対してサイバー攻撃がかけられたら、日本年金機構における個人情報流出事件よりも巨大な個人情報流出が発生してしまうのだ。だから個人情報を国家が一元的に集中するのではく、分散型によってできるかぎり情報漏洩を防止していく前提条件の整備が必要なのだ。
それにもかかわらず日本年金機構の情報流出事件のシステムとウィルス対策の技術的分析の棚上げは、悪質な犯罪だ。
すでに欠陥システムのために「情報提供ネットワークシステム」の設計・開発を共同事業体(NTTデータ、富士通、NEC、日立製作所)に一二三億一二〇〇万円、「番号生成システム」に六八億九五八〇万円(一四年三月)の巨額財政を支出している。ITゼネコンは、立て続けの大儲けで大喜びだ。新たな利権がマイナンバー制度の運用によって発生することに厳しく監視していかなければならない。

個人情報保護法改悪の意図

 個人情報保護法改悪は、「ビッグデータ」と称して商品価値が高い個人情報を特定できないように加工すれば本人の同意なしで企業の金儲けのために活用できることを目的にしている。内閣府の外局として個?情報の取扱いの監視監督権限を有する第三者機関(個?情報保護委員会)を特定個?情報保護委員会を改組して設置して個人情報の目的外利用ができないように監視を強化すると宣伝しているが、プライバシー保護のための情報主体の「事前の同意」による「自己の個人情報をコントロールする権利」と「個人情報の開示請求権」、「違法な情報利用の中止請求権」、「不服申し立て制度」を排除した人権侵害に満ちたシステムなのである。共通番号法とセットの個人情報保護法の改悪は、強引に法案を一本化してしまったように治安弾圧・民衆管理監視強化を最大の目的にしている。人権侵害の拡大を促進する個人情報保護法改悪を糾弾する。
共通番号・カードの廃止をめざす市民連絡会は、九月三日に「声明・共通番号(マイナンバー)利用拡大法案の成立に抗議する!」を発表し、一〇月三日に抗議デモを行う。さらに具体的な反対行動として「通知カードの受領拒否、個人番号カードの申請拒否、番号記入・本人確認書類提示の拒否、番号の変更要求、国・自治体への抗議や延期・中止要求などさまざまなバリエーションの中からできる抵抗運動をチョイスしてもらいたい。さらに新たに行われようとしている法人や学校を単位とした個人番号カードの取りまとめ申請について反対運動を強めてきたい。個人番号カードの申請はあくまで個人の任意な行為であり、団体が取りまとめるべき筋合いのものではなく、任意性を侵害する危険性が高いからである。
私たちは政府に警告する。市民の理解がないまま共通番号(マイナンバー)制度を強行すれば、市民の抵抗を受けて頓挫した住基ネットの二の舞いになることを。私たちは利用拡大法案の成立にひるむことなく、共通番号制度の中止をめざして反対運動を継続していく」と呼びかけている。全国各地で反撃の闘いを準備し、治安弾圧・民衆管理監視社会を打ち壊していこう。
(遠山裕樹)

9.1 
総合防災訓練に抗議

児童・生徒の強制動員反対


戦争法案と一体のキャンペーン


 九月一日、自衛隊・米軍参加の東京都・立川市総合防災訓練―九都県市防災訓練に反対する実行委員会2015は、東京都と立川市の合同の総合防災訓練に抗議して、会場の一つである昭和記念公園にむけて「安倍来るな!防災訓練反対デモ」を行い、四〇人が参加した。
 都と立川市は、九月一日午前、多摩直下地震(マグニチュード七・三)発生を想定し、国営昭和記念公園周辺、多摩都市モノレール高松駅付近、都立木場公園、東京木材埠頭などの会場で防災訓練を行った。
 安倍晋三首相は、東京都立川市の九都県市合同防災訓練会場である昭和記念公園に政府調査団として会場入りし、閉会式の挨拶で「地元立川市や周辺の住民の皆様を始め、警察、消防、海上保安庁、自衛隊、TEC―FORCE(緊急災害対策派遣隊)、DMAT(災害派遣医療チーム)、民間事業者など、一〇〇を超える機関、約一万人の参加を得て、このような大規模な防災訓練が実施されたことは、大変意義深い」と讃え、戦争法案の強行採決も射程にしつつ、防災訓練を政治利用していくことを押し出した。さらに「我が国の未来を担う小・中・高校生が約一二〇〇人参加いただくなど、多くの住民の方々が自主的に、そして熱心に訓練に参加していただきました」などとデマ宣伝の放言も行なった。
 立川市教育委員会は、「防災教育」と称して生徒を強制動員しようとしていたが、突然、「学校行事」に変更し、安倍首相の視察に合わせて参加者を増やすために動員した。実行委の教委交渉(六・二三)では「授業として強制的に訓練に参加させることは、思想・良心の自由に反する。本人の同意の有無、拒否の自由があるのか」という追及に対して、教委は「本人に確認などはとらない。保護者には学校だよりなどで知らせている」と居直ってきたほどだ。いったいどこが「自主的」参加なのだ。子どもの人権を否定する防災訓練に抗議していこう。

オスプレイを
押し出し宣伝
各会場の訓練は、以下のように行なわれた。
昭和記念公園―劇場型体験ショーとして初期消火活動、住民避難誘導、救出救助活動、消防資機材の使用体験を演出した。
都立木場公園―ヘリコプターや医療ユニットを活用した負傷者搬送や現地連絡調整所の設置による防災機関相互の連携と情報共有を目的にした消防・警察・自衛隊の連携訓練。自衛隊は軍事作戦として一個中隊一〇〇人が参加し、「身近な」自衛隊として登場させた。軍隊の軍事行動を巧妙に覆い隠す部隊訓練でもある。
東京木材埠頭―海上自衛隊護衛艦「いずも」(ヘリコプターの発着スポット五カ所を持つ)を拠点にして負傷者の受入れ及び負傷者のトリアージ(傷病者の治療優先順位を付ける)等の戦時医療措置の訓練だ。
横田基地―米空軍と海兵隊の連携訓練。米軍普天間飛行場のMV22オスプレイ一機が参加。自衛隊と米軍が合同で東京臨海広域防災公園(昭島、福生、立川市)と横田基地などを結ぶ訓練を予定していたが、雨天のため中止となった。その後、米軍と海兵隊は、独自でオスプレイが横田空域を飛行し、緊急物資搬送訓練を行なった。
なお戦争法案を先取りし、二〇二一年までにオスプレイ一〇機を配備していくための日米共同軍事体制キャンペーン作戦の一環として米軍は、八月、オスプレイへの搭乗を横田基地周辺五市一町の首長や政府関係者に打診していたほどだ(搭乗者不明)。日米共同訓練中止に対してダグラス・デラマター大佐(横田基地司令官)は、「日米の連携を確認できず残念だが、訓練をする準備ができたことは将来役に立つはずだ」と述べ、自衛隊などと八月以前から用意周到に訓練作戦を練り上げてきたことを明らかにした。オスプレイ横田配備を阻止し、自衛隊・米軍の共同実戦体制の強化に反対していこう。
自衛隊のDMAT(災害派遣医療チーム)搬送訓練―千歳基地、入間基地、厚木基地、羽田空港、大阪空港、福岡空港を拠点にして自衛隊、消防ヘリなどを使って医師、看護師、業務調整員などのチームを被災現場に派遣する。自衛隊は、各基地を拠点にしながら各部隊と連携して軍事搬送任務を強化していくことをねらっている。

学校現場が
「国防」最前線
このように自衛隊、米軍は、軍事行動として防災訓練を位置づけていることは明白だ。さらに防災訓練への生徒たちの強制動員の拡大にみられるように「自衛隊は子どもたちを狙っているのです。防災訓練や職場体験を使って、学校教育をいわば『国防』の最前線にしようとしているのです」(実行委ビラ)。だからこそ「防災訓練を戦争法案に利用するな!軍隊が参加する訓練への子どもの動員やめろ!」を掲げ、自衛隊・米軍参加の防災訓練の実態を暴露し、粘り強く反対していこう。(Y)


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