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    かけはし2015.年9月14日号

派遣法改悪強行を糾弾する


8.27〜9.3

雇用共同アクション国会前で奮闘

法案の破綻次々に露呈

採決強行を絶対許すな



戦争法案反対と
共鳴し合う行動
強行採決への動きもちらつき出し緊張した局面に入っている参院厚労委での派遣法改悪案審議に対し、院内での野党の攻勢と呼応して何としても廃案に持ち込むべく、雇用共同アクション(安倍政権の雇用破壊に反対する共同アクション)の国会前行動が審議傍聴行動とも組み合わせて精力的に重ねられている。
八月二七日、九月一日、同三日にも多くの労働者が結集し、絶対廃案の声を参院議員会館前に響かせた。九月一日には正午から同四時までの座り込み行動も行われた。そしてこれらの行動の中では、委員会傍聴も、懸念を深める派遣当事者も含んでさまざまな労働組合の労働者、社会層がつめかけ、立ち見で審議を見守り攻勢的な空気を作り出している、と報告されている。
折しも国会前は、戦争法案廃案を求める様々なグループが自発的に思い思いのアピールを続ける場となっているが、雇用共同アクションの行動も、そのある種渾然一体となった「安倍政治を許さない」行動の一部となり、派遣法改悪案廃案の訴えはより大きな輪で包まれている。

修正のサイン
も出始めたが
このような攻勢の根底にはもちろん、派遣法改悪の悪辣さが今や広く知れ渡っていることがある。たとえば派遣法改悪推進の急先鋒であったあの日本経済新聞でさえ、派遣社員の七割近くが派遣法改悪に反対、とのアンケート調査結果をかなりのスペースで伝えたほどだ(九月一日付)。
参院審議の場でも、法案の問題点追及に塩崎厚労相は度々立ち往生。政府の「労働者のための法案」とする強弁はそのメッキをほとんどはぎ取られ、この法案が丸ごと企業を利するためのもの、という真の姿が一層むき出しにされている。
社会的不信を背にしたこうした闘いの中で法案は形式的にも完全に破綻。九月一日施行、という規定は物理的に維持できなくなった。そのため与党は今になって施行日の九月三〇日への修正を打診するという泥縄ぶり。実際、労政審審議を経た関連政省令改訂、一定の周知期間など、施行には法案成立から一定期間が物理的に不可欠であり、九月一日施行が不可能であることは早くから分かっていたのだ。
今となっては、与党の狙う九月三〇日施行さえ常識的にはほとんど無理筋だ。その上与党が打診した前記の修正は、一〇月一日発効の「みなし雇用申込制度」を無効にするため、という企業救済の目的があからさまにされた提案であり、とうてい容認できるものではない。
そのためもあるのか与党は、抱き合わせで法案の根幹部分での修正も打診してきている。派遣受け入れ延長にあたっての過半数労組からの意見聴取、派遣労働者の雇用安定措置、違法派遣に対する「みなし制度」、これらについて、「実効性を高める」という。要するにこの法案が労働者を守るものたり得ない、ということを与党自らが認めたに等しい。ところが今にいたっても修正案は提示されてもいないのだ。法案の破綻は誰が見ても明らか、もはや廃案しかない、というのがごく当たり前の判断だろう。

追い詰められた
悪あがき粉砕!
しかしこのような状況の中一方で、与党は九月八日採決強行、とも報じられている。まさに常軌を逸した無茶苦茶さだが、それは逆に政権が追い詰められていることの如実な現れだ。廃案をつかみ取るチャンスは閉じられていない。まさにこの最後の胸突き八丁を闘い抜き、「二度あることは三度ある」を総がかりの力で現実のものにしよう。雇用共同アクションは、九月八日にも国会前行動(正午、参院議員会館前)への大挙した結集を呼びかけている。全力で応えよう。(神谷)

8.25 
緊急の院内集会を開催

派遣法・労基法改悪とめよう

政府・議会は労働現場の声を聞け!



常用代替防止
原則の解体だ
 八月二五日午後六時半から、「派遣法・労基法改悪をみんなの力で止めよう! 真夏の緊急院内集会」が衆院第二議員会館多目的会議室で開催された。主催は日本労働弁護団、派遣労働ネットワーク、ブラック企業対策プロジェクト、かえせ★生活時間プロジェクト、過労死弁護団全国連絡会議の五団体。
 労働者派遣法はさる六月一九日に衆院本会議において自民党・公明党の賛成で強行採決され、七月からは参院で審議されている。現行法は、専門二六業務以外の一般業務について、派遣受け入れ期間を最長三年とし、受け入れ機関のない業務を専門二六業務に限っていた。今回の派遣法改悪案は、骨抜きではあれ維持されていた「常用代替防止原則」を実質的に解体するものだ。

派遣法改悪の
問題点は何か
日本労働弁護団の鵜飼良昭会長は八月五日付の「労働者派遣法『改正』案の廃案を求める意見書」において@「派遣期間制限の撤廃」A「雇用安定措置の実効性の欠如」B「『均等待遇』ではなく『均衡』待遇」C「専門二六業務に従事する派遣労働者の雇用不安定」D「労働契約申し込みみなし制度及び施行日の問題」の五点にわたって批判している。
同意見書は「日本の労働者派遣法は一九八五年に制定されて以来、労働者の保護を無視した規制緩和の一辺倒で来た結果、派遣労働者は増大し、偽装請負や違法派遣も多発し、ワーキングプアやネットカフェ難民の問題も社会問題化し、二〇〇八年のリーマンショックの際の大量派遣切りにより、その問題が一気に吹き出した。このような社会情勢を受けて不十分ながら派遣労働者の保護を目的とすることを明記した改正派遣法が二〇一二年に成立して、ようやく派遣労働の規制強化に向けて歩を進み始めたところであったにもかかわらず、本法案は、その時代に逆行し、雇用が不安定で低処遇のままの派遣労働者を激増させ、日本の雇用、ひいては社会全体を破壊する悪法である」と述べている。
戦争法制廃案の闘いとならんで、この派遣法改悪との闘いは、今国会での安倍内閣との対決の焦点になっている。

労基法改悪は人
間・社会の破綻
最初に、日本労働弁護団の棗(なつめ)一郎弁護士が情勢報告。「派遣法の成立を阻止できれば労基法の改悪をストップできる。さらに八月三〇日の国会包囲一〇万人行動が成功すれば、戦争法案などとみんなまとめてつぶせる」と最初に強調した。棗さんは「派遣法改悪案は、使う側にとってはあらゆる業務に関して永久に派遣で使うことができるもの」だと指摘し、さらに労働時間規制を破壊して「残業代ゼロ」の「超長時間労働」を強制する労基法改悪との闘いに全力をつくそう、と訴えた。
次に民主党の津田弥太郎参院議員、共産党の小池晃参院議員、社民党の福島みずほ参院議員があいさつ。「戦争法も派遣法もつぶそう」と訴え、「生涯派遣」を強制する悪法、とりわけ派遣労働者の七五%が女性である現実を指摘し、女性労働者の権利を奪う悪法との徹底的対決を強調した。
集会の後半は、派遣労働者からの派遣法改悪案の廃案を求めるアピール、過労死家族からの労基法改悪案廃案を求める声。
派遣労働者の女性からは「正社員になれるというニンジンを鼻先につるされて働いてきたが、正社員になることを希望した途端に、一方的に雇い止めとなった。出勤しようとしたらロックアウトとなった」「遠方からの通勤なのに交通費も払われなかった。拘束時間が長くても、その時間分が支払われない。要求をすれば嫌がらせで、仕事が貰えなくなった」という訴えが寄せられた。
過労死家族の会からは「全日空とスカイマークで整備士の労働に従事していた夫が二〇〇八年六月二八日に亡くなった。交替勤務で生体リズムに反する勤務形態、航空法にも違反する過密労働だった」と遺族の方は涙ながらに語った。
過労死弁護団連絡会からは「過労死等防止対策推進法」が制定されたが、それを免罪符として過労死を作り出すような状況が続いていることを指摘。「過労による精神疾患が増えており、とりわけ二〇代〜三〇代の自殺が増加している」と述べた。民主党の山井(やまのい)和則衆院議員は、「過労死防止法」を成立させた一年後に労基法改悪という「過労死促進法」を作ることなど許せない、と訴えた。
雇い止めになった派遣労働者当該と過労死遺族から、国会議員に要望書などが手渡された後、連合の安永貴夫副事務局長、全労連の井上久事務局長、全労協の柚木康子常任幹事から共に闘う決意の表明が行われた。        (K)

コラム

「マイナンバー」はいらない

 「いよいよ来たか」と身構えた。職場の朝礼で総務担当者が「マイナンバー」の提出を要請してきた。参院で審議中の安保法案への批判が歴史的大運動に発展するなかで、マイナンバー制度の始動もこの一〇月、目前に迫っている。
 まさに「百害あって一利なし」である。民主党政権時代の「社会保障・税番号大綱」での目的が、第二次安倍政権の登場で変質した。いずれも「まず番号ありき」である。付加される個人情報とその利用範囲は、官から民へと際限なく拡大する危険性がある。政府の喧伝する「利便性」とは比較にならない不利益。すなわちプライバシー侵害や犯罪被害が指摘されているのだ。
 初期投資に四〇〇〇億円、運営費用に年間数百億円かかる。この人民の血税で、「見えなかった住基ネット」から「見えるマイナンバー」が生まれる。老若男女を問わず、在留外国人まで、住民票があるものにはすべて一二桁の個人番号が付与される。唯一無二であり、住基ネットも廃止されない。
 年金や住民票の交付が、いったいどれほどの頻度であるのか。カードに埋め込まれるICチップには、ありとあらゆる個人情報が蓄積されるだろう。「年金・福祉給付」とはいかにも「官的」だが、それが図書館利用カード、さらには銀行口座、買い物のポイントなどとリンクすれば、もう止まらない。使い道が広がれば広がるほど付加価値も増大。不正使用の標的となる。
 すでにアメリカや韓国では「なりすまし」が多発。大規模な情報流出事件も起きている。日本も例外ではない。信販会社の顧客情報、年金機構情報漏えいは記憶に新しい。身近な事例を想定すれば、企業のズサンな労務管理で、労働者の個人情報がとんでもないところに送信されことも十分あり得るのだ。
 問題点のすべては書ききれないが、極めつけは番号利用範囲の「例外規定」である。裁判の執行や警察による事件捜査、政令で公益上の必要があるとされれば、自由に使えるのである。キャッシュカード、クレジットカード、健康保険証や運転免許証、パスモなどと合体すれば、個人の資産、借金、病歴、交通違反歴、逮捕歴、思想信条、行動範囲まで瞬時に丸裸になる。
 昨今の残忍な殺人事件を解決に導くのは、今や刑事警察の捜査能力ではなく、街中に設置された監視カメラの数と性能である。これをハードの国民監視とすれば、マイナンバーはソフト面での監視・管理システムと言える。それでも美辞麗句を信じて進んで交付を求める者もいるだろう。しかしこのシステムも、戦争に向かう支配者による人民支配と、資本のあくなき市場拡大の手段に過ぎない。
 カードの交付を拒否し、制度撤廃への運動を盛り上げていこう。 (隆)
 



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