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    かけはし2015.年9月14日号

国情院に統制される国会情報委


国家機密を口実に報告せず

予算も決算も会計監査も有名無実


「国家情報院は『信じてくれ』と言う。今あの中は、まるで教会です」。  最近メディアに数多く引用されたキム・グワンジン新政治民主連合議員の発言だ。7月27日、国会情報委員会全体会議の途中で出てきて記者たちに話した言葉だ。国情院が、盗・監聴ハッキング・プログラムの購入・運営の実務者だったイム某氏が亡くなる前に削除した記録を復元したとしつつ、「民間人査察はなかった」と、いわゆるセルフ(self)調査」の結果を情報委に報告したことに対する反駁だ。この発言は「キリスト教を侮辱した」という一部キリスト教団体の反発を招いたものの、他方では国情院への統制に対する情報委の限界をさらけ出した言葉でもあった。

「信じてくれ」とだけ言う国情院


「今、国会情報委では国情院が何かを報告しても、それが事実なのか、そうでないのかを再検証する方法がないのが問題だ」。
名を明かすのをためらった国会情報委の実務関係者O氏の説明だ。
「政府機関に関する国会の監視は、資料提供を要求した後、その資料を検討することによって始まる。国情院は、国家機密だとしてその資料を与えない。国情院は自らが準備した内容を、非公開の情報委会議に持ってきて説明する。事前に検討する資料さえ与えないので、この報告の真偽を検証することができない」。
ハッキング・プログラムを活用した国情院の不法な逸脱や「イム氏の死」の真相を明らかにしようとして各種の資料を要請していた新政治連合も、O氏が説明した過程をそのまま踏襲して壁にぶちあたった。国情院は、むしろ情報委を「メディア・プレー」の窓口として活用しているとの指摘も少なくない。
国会のさまざまな常任委の中の1つである情報委は1994年の国会法改正によって新設された。それ以前は国会国防委で国防部(省)に加え情報機関まで統合担当していたが、1994年からは大統領直属の国情院(かつての国家安全企画部)を強力に監視しようとする目的で情報委が別個に作られた。
現在与野6人ずつ計12人の議員によって情報委が構成される。現19代国会で委員長は与党セヌリ党が専担している。情報委は国情院関連の法案処理、国情院にかかわる予算・決算の審議、国情院長の人事聴聞会、国政監査・懸案の報告を通じた国情院監視などの活動を行う。
けれども情報委のこのような権限は国情院の資料提出拒否によって事実上、うわべだけにすぎない場合が多い。情報委を経験したある議員室関係者は「国防部の統一部が公開した対北関連の資料でさえ、国情院に確認を要請すると与えない時もある」と語った。別の情報委所属議員室関係者は最近、資料提出の要求を拒否された別のケースを説明した。
「裁判所が弁護士をキャリア判事として採用する過程で国情院が(身元調査のために)これらの人々を面接したという事実がメディアを通じて最近公開された後、国情委に『いつから面接調査をしたのか』の資料を請求した。キャリア判事の志願者と会い、身元調査をいつどのようにやったのかを問う資料を要求した。ところが国情院は『面接調査をしたことはない』と回答してきた。『面接』は採用を決定する行為を意味するが、国情院はキャリア判事を採用する権限のない機関なので、国情院が行ったのは面接(調査)ではない、という具合に説明しつつ、(面接調査についての)資料提出を拒否したのだ」。
国情院の資料(あるいは情報)公開に対する過敏反応をかいま見せるケースもある。今19代国会で、ある議員が情報委全体会議に出席した国情院局長にその名前を聞いたけれども、その局長は非公開会議だったにもかかわらず自分の名前を明らかにしなかったと言う。
しかし政治的論難に対する積極的防御が必要であれば、国情院は資料を持参して情報委の委員の所に直接やってくる。国情院が20人を同時に盗・監聴できるハッキング・プログラムを買ったという最近の報道が出てきた後、ある国情院関係者が監聴した20個の「携帯電話のIP住所」を紙に書いて情報委員の議員室を訪問した。だが疑惑の究明には何の役にも立たなかった。「(数字でできたIP住所だけ書いて来たのだから)我々が見たところで分からない。(国情院職員も)紙に書かれたものだけ見せた後、すぐ持ち帰った」と、ある情報委員は語った。

自ら必要な時だけ出す情報


国情院長らが出席する情報委全体会議は非公開で進められる。野党の別の元情報委員は「何らかの事案について国情院が『知っている、知らない』という事実も重要な情報であるがゆえに、会議を非公開とするのは避けられない側面がある」と語った。会議の内容は国会情報委の与野党幹事と情報委員長が協議した後、メディアに公開する手順を定め、幹事らが説明する。
けれども非公開の会議や幹事のブリーフィングは国情院が自らの立場を強弁するのに有用な通路となりもする。今回の「盗・監聴ハッキング疑惑の事態」においても国情院は情報委員らが要請した資料をキチンと与えないまま、民間への査察はなかったとの主張を繰り返し、これがメディアで主要に報道された。国情院は北韓(北朝鮮)の高位級人士の粛清など北韓にかかわる微妙な情報を情報委に報告し、これがメディアに知らされる過程を通じて一時的な局面転換の効果を収める時もある。
情報委の非公開会議で解明した後でも野党の攻勢を軟化させられない場合、国情院は与党の情報委員らを通じてメディア向けの追加的対応に乗り出したりもする。情報委の他の人士は「ハッキング・プログラムによって北韓の武器取り引きを摘発したという国情院の最近の報告内容が与党側から流れてきてメディアに報道された。国情院がハッキング・プログラムを対北と関連して活用したという点を印象づけることができたかも知れないが、特定情報(武器の取り引き)を得た出所(ハッキング・プログラム)が公開されたことから、このような情報をメディアに知らせたことは正しいのか問いただしてみるべきところだ」と指摘した。
特に情報委の与党幹事であるイ・チョル・セヌリ党議員は国情院の個別報告を受けなければ分からない国情院のイム氏(自殺)の真相情報などを記者たちに説明し、野党の疑惑提起に対抗したりもした。イ議員は国情院の局長出身だ。
国情院の予算に対する審議や統制に制約が大きいことも、情報委の大きな問題として挙げられる。国情院の予算は「総額規模」で提出される本予算のほかに、企画財政部(省)の予備費にない混ぜになって隠れている予算、使用内訳を追跡することのできない特殊活動費とによって大きく構成される。国情院が、情報委員らが要求した本予算の細部内訳資料を不誠実に提出するために緻密な予算審議が困難だとの指摘が多い。このような資料も、議員を支援している補佐陣は見ることができないまま情報委員たちだけが閲覧するがゆえに、国情院の予算を細心の注意を払って審議するのは難しい。
国情院の予算は情報委の審議だけを経る。他の常任委所管の予算のように国会の予算決算特別委員会での追加審査は行われることなく、省略される。予算に対する会計監査も、他の政府機関は監査院が行うが、国情院は自ら会計監査を実施するだけだ。情報委の野党幹事であるシン・ギョンミン新政治連合議員は「(ハッキング・プログラムの購入費用などに使った可能性のある)情報技術向上推進費などの国情院予算項目の資料も確認できずにいる」と語った。
何よりも情報委員らが補佐陣の助力を得がたいことも情報委の国情院統制を弱めさせている問題のうちの1つだ。補佐陣は議員の立法・政策活動を手助けする「頭脳」だけれども、情報委所属の補佐陣は会議への参席も、情報委の会議録や国情院予算の閲覧も行うことができない。「(職業の維持が不安定な)補佐陣に国情院情報に接近させたなら情報が漏れかねない」という国情院の憂慮が働いたからだ。これは国防委所属の補佐陣が会議に参席し、秘密取り扱い認可証を得て国防関連資料に接していることも対照的だ。

米国とは違う統制システム


反面、韓国が情報機関のモデルとみなした米国は我々よりも情報機関に対する議会の統制システムがよく整えられている方だ。17人で構成される上院情報特別委員会では、30人の専門委員と行政要員が議員らを支援する。下院の情報特別委員会(20人)でも26人の専門委員と行政要員が議員らを補佐する。
上・下院の情報委専門委員らは多数与党が全体の3分の2を、野党が3分の1を任命される。これらの専門委員は政党の党員なので上・下院の情報委員たちを所属政党の立場から支援することができる。韓国よりも情報委員(国会議員)を補佐する専門の人力が豊富だという意味だ。
米国は政府予算の編成権を議会が実質的に保有しているので政府機関に対する議会の予算統制力も強い。大方は情報機関が要請した予算を反映してやるが、予算の審議自体は詳細に進められる。1990年から米国の情報諸機関は秘密作戦の内容を「適切な時期」に議会情報委に通知するように規定が強化された。
ドイツは「議会統制委員会」が情報機関を監督しているが、情報機関の職員が上部に陳情を出した後、それが受けいれられなければ議会統制委員会に陳情することができるようにした点が目につくところだ。
韓国国会の情報委員らが補佐陣の積極的助力を受けられないほど、国情院を監督する専門性が劣っている点を克服する対案は野党などが何度も提起してきた。情報委の傘下に情報・会計関連の民間専門家などが参与する「情報監督委員会」を置き、今から国情院を専門的に監視よう、という意見がその中の一つだ。
国情院の法制官を務めたイ・ソッポム弁護士は「情報機関に対する国会の民主的統制と情報委の専門性確保のために民間人などが参与する情報監督委員会を情報委の下に設置し活動の権限を与えるが、機密を漏らせば厳罰に処すようにすれば良いだろう」と語った。シン・ギョンミン議員は「与野が推薦する情報専門委員を追加で置き、これらの人々が持続的に国情院をモニターし、情報委員を支援することができるようにすることも方案」だと語った。

効率的統制には「情報委員」が必要


与党側は民間が参与する情報監督委員会の設置や国情院に対する議会による統制強化に難色を示す。イ・チョル・セヌリ党議員は「政府機関を信じるべきだ。隠れて仕事をしているのに、どうして内容を1つ1つ明らかにすることができるのか。明らかにすれば国家安保に不安要素となり危険があるがゆえに、情報機関を信じてやるしかない」と語った。
国会は情報委を設置した目的を「国家情報の業務に対する国会の効率的統制と国家機密の保護の相互調和」だと明らかにしている。けれども「盗・監聴ハッキング疑惑の事態」に見られるように、国家機密の保護ほどに国情院に対する情報委の効率的統制がなされているのかということについての疑問は拭いさられてはいない。(「ハンギョレ21」第1074号、15年8月17日付、ソン・ホジン記者)

特別決議文

財閥は内部留保を
労働者に返還せよ!

 世界資本主義は、その構造的危機がますます深刻化する中で突破口を見出せずにいる。世界資本主義は、自らが招いた危機を、労働者・民衆に転嫁している。資本による危機転嫁を強要されている労働者・民衆は、失業、非正規化、低賃金、長時間労働、福祉縮小などに苦しんでいる。これに対してヨーロッパ、南米、アジアなど世界各国の労働者・民衆は、資本主義に対抗する闘争を展開している。

労働者に対する
犠牲の転化許すな
韓国の資本主義も同じような状況である。パク·クネ政権は、危機に直面している韓国資本を救うために公安弾圧の剣を抜いて、公共部門の民営化、非正規職の拡大、賃金カット、労組破壊などを画策している。これに対して、韓国の労働者・民衆の要求や抵抗も強まっている。しかし韓国の労働者・民衆の闘争は、資本の本体を狙った闘争に発展するまでに時間がかかりすぎている。1000兆ウォンを超えた個人負債、時給5580ウォンに代表される殺人的な低賃金、年間200人が自らの意志に反して職場から追い出される雇用危機、死を招く福祉不在..労働者・民衆を苦しめているこれらの原因はまさに資本主義である。韓国の資本主義の大本である財閥は、労働者・民衆が苦しみ抜いているのをよそに毎年数百億ウォンの収益を生み出して、自らの懐に数百兆ウォンの内部留保を積み上げている。
われわれは、わずか5%にも満たない資金で財閥傘下の大企業を意のままに操る財閥から資本を労働者・民衆の側に取り戻し、それを社会化していかなければならない。しかし財閥の国有化は、学者たちの研究書、討論会の主張、諸団体の事業計画書の文字で埋められているだけである。いまこそ、大衆運動によって財閥の返還を推し進めていく必要がある。
労働者階級政党推進委員会(以下、推進委員会)は、反資本の社会化を大衆闘争に発展させるための財閥の返還運動の第一歩として、財閥資本の内部留保の返還運動を開始する。現在、韓国の労働者・民衆の切迫した要求である最低賃金一万ウォン争奪、非正規職の正規職化、青年の失業問題の解決などは、資本と政権が企んでいる労働者の蓄えの巻き上げではなく、財閥からの収奪によって行うべきである。推進委員会は、労働者・民衆の血と汗の結晶である財閥の内部留保の返還運動を、下からの大衆運動として推進していく。そしてこの運動の成果を土台にして2016年に党結成をはかり、反資本社会化運動をさらに高い次元に発展させていく。そのために、現場、地域、部門内のすべての会員が先頭に立って、財閥資本の内部留保の返還運動を力強く展開することを決意する。

 2015年7月18日

労働者階級政党推進委員会


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