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    かけはし2015.年10月19日号

4大河川事業後 水は流れず


今からでも水門を開けよう、民主主義を流れるようにしよう

前大統領の責任と真実を明らかにせよ

見てきた川は変ってしまった

 「広くて長く流れる大きな水の流れ」。川だ。ところが流れることができない。工事を始めた前大統領は自分の家で過ごしている。塞がずに流れるようにしようという人は、いなかった。キム・ジョンスル記者(49)の話だ。「錦江の妖精」または「怪物記者」という別名がある。4大河川事業の着工時から今日まで6年、彼の職場は錦江だった。この間、一杯の酒も口にしなかった。4大河川は16個の?(ポ、と呼ばれるが結局はダムと変わらないコンクリートの壁)によって遮られている。緑藻が毎年、川を覆い、湖などで体を育てるクンビシッキボルレ(藻にかかわる虫のようだが、不詳)が激増している。マイクロシスティン―LRという、人間の肝臓へ致命的な損傷を与えかねない毒素がぷかぷかと漂っている。水道水に混ざりかねないにもかかわらず、政府は問題ないという言葉を繰り返すばかりだ。
川が死ねば人間も生きられない。水が腐っているのに、どこで水を求めるのだろうか。4大河川事業を批判し、川を蘇らせるために自らの一切を捧げたキム・ジョンスル記者の生き方、今年に入ってマイクロシスティン―LRのはびこりが半端でない洛東江・錦江、4大河川を流れるようにすることは、すなわち民主主義を滑らかに流れさせることだというイ・チョルジェ環境運動連合政策委員の文章も掲載した。
川岸の砂浜の水泳場で子どもらが跳びはねる日を待っている。(「ハンギョレ21」編集部)
本紙ではイ・チョルジェ環境運動連合政策委員の報告文を紹介する。(「かけはし」編集部)

 「『緑藻ラテ』を国会に送ってしまいましょう」。
数年前の夏、慶北・高霊で農業を営んでいるある農民は、濃い緑藻で覆われた洛東江について、国会はこの現状を知るべきだと声を荒げた。500?のペットボトル300本に緑藻をそれぞれ詰めて国会議員すべてに送り届けようという提案だ。彼がこれほどに激昂したのは、4大河川事業によって農業(西瓜栽培)が台無しになった被害当事者であり、自身が生まれ育ち、ずっと見てきた川とはあまりにも変わってしまったからだ。
「以前ならば緑藻が生じても、すぐに消えてなくなった」「4大河川事業が始まって以降は、それが長引き一層ひどくなった」と語った。慶南・咸安?付近では緑藻が腐り白いカビまで浮かび上がるという場面も確認された。川の周辺ではがまんできないほどの悪臭が漂った。「これを誰が川だと言えるだろうか」という嘆息は、訳もなく出てきたわけではなかった。

渡り鳥は来ず 魚の死骸が溢れる

 毎年、春から秋まで繁茂している緑藻には毒性物質を含有している藻類が大量に含まれている。川を源水として使用している水道水の安全に赤ランプが灯らざるをえない状況だ。2013年、4大河川事業の一端を担った韓国水資源公社(水公)が錦江の4大河川事業区間に対する水質を調査した結果、1年のうち5カ月間、アンモニア性窒素が基準値を超え、発がん性物質および青色症(先天性心臓疾患のうち、顔やそれ以外の所が青く見える重症の病を総称して言う)発生のおそれがあり、上水源としては使用が難しいという資料を発表したりもした。さらに、以前には見られなかったクンビシッキボルレという袋形動物が川で異常繁殖している。この虫は1990年代までは主としてダムの上流または加工堤付近で発見されていたが、4大河川事業以降は川の本流で大量に確認されている。このような現象は韓(朝鮮)半島と歴史を共にしたわが国の河川の状態が極めて深刻になったということを示している。
2011年10月、公営放送KBSが生中継した「4大河川、新たな流れを迎える催し」で、イ・ミョンバク大統領(当時)は「大韓民国の4大河川は生態系をより補強し、環境を再生する、そのような川として生まれた」と宣言した。それに先立ち、自転車に乗る行事では「4大河川に天地開闢(かいびゃく)が起きた」とし4大河川事業が成功のうちに締め括られたことを宣言した。MB(ミョンバクを指す)の言葉が事実であるためには、「緑藻ラテ」などはもちろんのこと、数十万匹の魚の大量死事件などは起きてはならなかったのだ。
だが4大河川事業以降、魚の大量死などは頻繁に発生したし、なお残っている魚種にも変化が生じた。専門家の分析によれば、栄山江の場合、2011年の外来種の比重は9・7%だったが、「?(ポ)」と呼ばれているコンクリートの固まりが河川を塞いで以降の2012年には22%に急増した。溜まった水を好む魚種を中心に変化しているというもので、外来種急増に伴った在来魚種の絶滅も憂慮される状況だ。4大河川事業によって生物たちの生息場所である湿地が減少し、それによって渡り鳥が急激に減少したという研究結果も出てきている。このような現象は4大河川事業がMBの発言とは違って、生態系が災央をひき起こしたということを物語っている。
4大河川事業の目的の中には旱ばつおよび洪水予防もあった。MB政府は4大河川で4億2千万?を浚渫し、16個の?を作り農業用の貯水池の増強および新規ダムを通して13億tの水を確保できると広報した。毎年3月22日の「水の日」に際しては政治家、官僚、専門家を通じて「わが国は水不足国家」との論理を押し出し、MB本人も今年初めに「大統領の時間」という自叙伝で、水の器を大きくして旱ばつを解決することができると主張した。けれども現実にあっては無用の長物だった。わが国の治水分野の最高上位計画である「2011年水資源長期総合計画」では4大河川事業によって確保した13億tの水を、ただ「非常用」と規定した。つまり、当面は使うあてがない、ということだ。

事業効果はゼロからマイナス

 旱ばつは主として4大河川の本流とは離れた中山間地帯や島嶼地域で発生する。これは4大河川本流の水を供給したくとも供給する施設がなく、作ってみようにも余りにも遠くて経済性が合わないということを意味する。実際に政府部署の報告書を通じて、このような内容が確認された。今年6月、農林畜産食品部(省)が作成した「河川水活用農村用水居級事業マスタープラン(案)」がメディアに公開された。内容を見ると、4大河川本流の水を旱ばつ地域に供給するために1兆ウォン以上が投入されなければならないが、その効果は全農地の2・9%にすぎなかった。
洪水も同じだ。4大河川事業によって洪水防御効果が立証されたというのが4大河川事業に賛同した専門家や一部メディアの主張だけれども、証明されたものは何もない。MB政権は4大河川事業を通じて根源的な洪水防御が実現され得ると主張した。洪水は主に支流や支川で発生するが、本流の水の許容量を大きくすれば支流・支川での被害が発生しないという論理だった。重ねて言うが、根源的洪水防御はダメだった、ということだ。
また極端なほどの浚渫によって本流と支流・支川が出合う地点では逆行浸食が進行し、本流の堤防がえぐられるという現象が確認されている。4大河川の工事中には本流の倭舘鉄橋や支流の橋梁などが壊れるということも起きた。このために土木工学の専門家たちは、4大河川事業によって本流の安全性が一層脆弱になったとの評価を下している。
MB政府は4大河川事業の効果によって34万個の働き口の創出と40兆ウォンの生産誘発効果がある、と宣伝した。けれども、これまた事実とは異なるとの指摘だ。野党などが分析した資料によれば、働き口はせいぜい2000〜4000個だとの分析だ。働き口の創出が虚構である状況にあって、生産誘発効果も単純計算による荒唐無稽な宣伝にすぎなかった。
ソウル大環境大学院ホン・ジョンホ教授は、ある放送番組で、4大河川事業の費用便益(B/C)は0・2水準、つまり100ウォンを投資すれば20ウォン以上は出てこない事業だと評価した。22兆ウォンという天文学的血税が浪費された、ということだ。それに加え、4大河川事業の維持・管理費用や水公が負担した8兆ウォンについての利子費用など毎年、数億ウォンについての利子費用など毎年、数億ウォンの国民の血税が現在進行形で浪費されている。
最近、水公のある高位職員が私席で筆者に「どうしたものか。こんな状況なら、そのまま手をつけずにおくのがいいのではないですか」と語った。MBが政権の命運をかけて4大河川事業を押しつけているのに、国土交通部(省)傘下の公企業としては拒否できなかったということを言っているのだ。当時、水公の4大河川事業への参加は関連法令に合致しないとの指摘があったにもかかわらず無視された。結果的に国民の税金が浪費されることになった上、それによって市民団体からは「水公解体論」まで提起されている。

事業は民主主義も後退させた


水公高位職者の言葉を最近はやりの「翻訳機」を回せば、「水公は上から命じられてやった罪しかないのに、なぜ水公に向かって何だかだと言うのか」というのが、おそらく率直な腹の内だろう。実際に環境運動連合などが2014年に「4大河川事業への賛同人士人名辞典」を作成する際、水公労組の関係者も似たような発言をした。命じられてやったにすぎないことなので、賛同者名簿から水公関係者をすべてはずすこと、そうしなければただではすまない式の脅迫ならざる脅迫をしながら、だ。歴史のデジャビュ(既視感)とでも言おうか。一身の栄華のために日帝強占期(植民地時代)に積極的に日帝に加勢していた人々も、このような仕方で自身の責任を回避しようとする言い訳をやりはしなかったかと思う。
4大河川事業の最大の責任はMBにある。また4大河川事業の強行のために真実を歪曲した人々もまた、責任を回避することはできない。失敗が明らかに予見されていたにもかかわらず、私益のために真実を隠ぺいしつつ4大河川事業を押しつけ、わが国の河川を深刻に破壊したからだ。問題は、この過程で大韓民国の民主主義が深刻に損なわれたという点だ。
MBが当選した後に構成された大統領職継承委員会には「韓半島大運河タスク・フォース・チーム」が含まれたが、このチームの最大の関心事のうちの1つは環境影響評価の無力化だった。少なくとも四季の評価を原則としなければならない環境影響評価を、たったの6カ月以内にすべての手続きを終えるように関連機関を圧迫したとの証言がある。
4大河川事業に批判的な民間陣営ならびに専門家の参加を批判的な民間陣営ならびに専門家の参加を徹底して排除しつつ、自身の好みに合う人だけでまとめた。そのような過程を通じて実際に4大河川事業の事前の環境性検討、環境影響評価は6カ月余で終わり、文化財の地表調査、中央河川審議委員会の審議も要式行為で終えてしまった。また500億ウォン超の事業に対して実施する国家財政法上の予備妥当性調査を避けるために国務会議(閣議)が施行令を改正し、4大河川事業の90%を例外事業に仕立ててしまうという実にせこい手を使いもした。
さらに4大河川事業のために警察・検察などの機関を動員し公安政局を作りつつ国民の絶対多数の反対世論を抑圧した。MBが4大河川事業に執着している時、これを下支えした機関のうちの1つが、先の大統領選挙の過程で不法に介入した国家情報院だ。釜山地域で4大河川事業反対運動を展開していたある団体の関係者は、「当時、国情院の職員が直接やってきた」「スパイの取り締まりならぬ4大河川事業反対運動への監視が国情院の主要な基調だった」と語った。
2013年に野党が公開したウォン・セフン前国情院長の指示文書を見ると、4大河川事業反対運動陣営を監視し、また同事業推進のために積極的な広報活動を繰り広げた。監視院、公正取引委員会、検察、警察などすべてが4大河川事業のために政権の「走狗」を自ら任じた。ここでは官僚集団、知識人集団メディアも一緒だった。これによってわが社会の公論の場がマヒした。カトリック関東大パク・チャングン教授は「22兆ウォンをかけてわが社会が確認したのは『溜まった水は腐る』という常識」だと指摘しているほどだ。

 「溜まった水は腐る」

4大河川事業は民主主義を後退させることなしには行うことのできなかった事業だ。従って4大河川をキチンと流れるようにすることが、イコール傷つけられた民主主義を立て直すこととなる。不法と不正の伏魔殿であり、国民の血税を浪費せしめたという点において、4大河川事業の真実を明らかにすることのできる国政調査、聴聞会などは依然として必要だ。責任を取らなければならない人々に歴史的、法的責任を問うことも当然になされなければならない。また河川が元通りに流れるようにしなければならない。今からでも水門を開き、流れるようにしよう。それが4大河川事業の副作用を最小化し、血税の浪費を防止するためのスタートとなるだろう。(「ハンギョレ21」第1078号、15年9月14日付、イ・チョルジェ/エコキュレイター・環境運動連合政策委員)

【訂正】本紙前号(10月12日付)1面10・3記事上から1段目右から5行目の「直前に対して」を「を前に」、5面上から7段目右から7行目の「からめとようとする」を「からめとろうとする」に訂正します。



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