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    かけはし2015.年11月2日号

大阪府知事・大阪市長ダブル選挙をどう闘うか?


維新候補を落選させ、「都構想」の息の根を止めよう

安倍政権の同盟者=橋下・維新の敗北を

日本革命的共産主義者同盟(JRCL)関西地方委員会 

2015年10月26日



 一一月二二日に大阪府知事・大阪市長ダブル選挙が予定されている。現在のところ、大阪府知事選には、大阪維新の会公認の松井一郎現知事、自民党籍を離脱して無所属となった栗原貴子大阪府議の二人が立候補を予定している。また、大阪市長選には、同じく維新公認の吉村洋文前衆院議員、自民党籍を離れ無所属で立つ柳本顕大阪市議などが立候補する予定である。維新は、五月の住民投票で一旦決着がついたはずの「都構想」を「バージョンアップして再度民意に問う」としている。一方、栗原・柳本両候補は「都構想は決着済み」として、維新政治の是非を問う選挙にしようとしている。

「都構想」住民投票
が明らかにしたこと


今回のダブル選挙は、橋下・維新による「大阪都構想」をめぐる闘いとして、五月一七日の住民投票の継続というべき性格を持っている。
住民投票の闘いでは、保守が維新と自民に分裂している中、唯一「大阪市をなくすことに反対」だけを共通の目標にして、自民党・業界団体・地域振興会などから、民主党、社民党、共産党、労働組合、市民運動に至るまでの広範囲な共闘が成立した。公明党も最終段階でこれに加わった。反対運動の中では、「民意の声」「大阪市分割解体を考える市民の会」や「大阪市がなくなるで!えらいこっちゃの会」「大阪市なくさんといてよ!市民ネットワーク」など、さまざまな市民団体が結成され、それぞれ独自の活動を進めるとともに、各政党や政党系列の運動の隙間を埋める役割も果たした。
保守をも含めたこの共闘は運動の拡がりを示すものではあったが、その反面、われわれも含めた左翼の弱さ、特に維新が進めてきた一連の新自由主義的改革に対する労働組合からの抵抗の弱さの表現でもあったことも指摘しておかねばならない。われわれは保守を含む共闘を否定するものではないが、左翼の弱さによって余儀なくされた選択でもあることを意識しておくべきであり、これを一般化・固定化するべきではない。
とはいえ、この闘いでは、従来見られなかった草の根からの闘いが盛り上がったのも特徴的だった。運動圏の違いを超えた若者たちを中心としたグループ「民主主義と平和を守る有志(SADL=Small Axe for Democracy and Life)」が結成され、サウンドデモなどを主催して大きな注目を集めた。そして、いろんな地域で、市民が自ら手作りのビラを配布する例も多く見られた。
この闘いが僅差とはいえ勝利を収めたことは、その後の安保法制反対闘争の高揚を準備したという点でも重要な意味を持っていた。安倍首相・菅官房長官が改憲のパートナーとして橋下を擁護したことを考えるならば、もし逆の結果になっていれば、それはすなわち安倍政権の勝利となり、一気呵成に改憲へと突き進む勢いが生まれたであろう。橋下・維新を敗北に追い込んだことで、国政政党としての「日本維新の党」も安保法制反対を言わざるをえなくなったし、国会内での野党共闘の条件を作りだした。また、沖縄での辺野古新基地建設反対の闘いとともに、安保法制反対闘争の高揚を鼓舞したことも間違いない。

ダブル選挙
をめぐる状況


今回のダブル選挙の争点は、橋下・維新による「都構想」復活策動を許すのかどうか、八年間にわたる維新府政・市政をこれ以上続けさせるのかどうか、にある。
そもそも住民投票にあたって、橋下は「住民投票は一回限り」「最初で最後のチャンス」と何回も言明していた。ところが、このダブル選挙に向けて再び「都構想のバージョンアップ」などと称して、「都構想」復活を意図している。これは「二重行政の解消」を一枚看板にしてきた彼らにとって、そこでしか争点を作れないことを意味する。
橋下・松井は、ダブル選挙に向けて「日本維新の党」を離党し、自らの手兵だけで「おおさか維新の会」を旗揚げした。政党助成金のぶんどり合戦を含めて、「日本維新の党」は解体へと向かっている。これにより、橋下・維新は、新自由主義的都市成長政策と歴史修正主義を基軸にして、安倍政権の別動隊となることを明確にした。そして、ダブル選挙では、松井現知事・吉村前衆院議員を立候補させ、あくまで「都構想」に固執しようとしている。
一方、反維新の立場をとる政党では、民主党、共産党などは独自候補の擁立を見送り、自民党からの立候補を待つ姿勢に終始した。そして、自民党が栗原府議、柳本市議を擁立すると、府知事選立候補に意欲を見せていた平松元大阪市長も、一〇月一六日に立候補断念を表明し、栗原・柳本両候補の支援を表明した。
共産党大阪府委員会は、栗原・柳本両候補の自主支援を決定し、共産党系の「明るい革新府政をつくる会」「大阪市をよくする会」は、それぞれ栗原・柳本両候補への投票を呼びかけるビラをすでに各戸配布している。民主党、社民党、新社会党も栗原・柳本支援を決定している。
住民投票で「都構想」反対の共同戦線を張った市民運動団体も栗原・柳本支援で動いている。各団体の集会や「大阪市なくさんといてよ!市民ネットワーク」などによる独自の街頭宣伝のほか、一〇月三〇日にはさまざまな市民運動団体が実行委員会を作り、両候補を招いて事実上の支援集会を開く予定である。

何が問われ
ているのか


二〇〇八年の橋下知事誕生以降、大阪はまさに新自由主義的規制緩和、公務員労働組合破壊、そして議会を無視した独裁的な権力行使が欲しいままにおこなわれてきた。住民投票での勝利は、その流れを食い止め、反撃する第一歩であった。その住民投票の勝利を受けて、われわれは当面の闘争課題について次のように指摘した。「橋下・維新の支持者や議員たちが半ば士気喪失しており、反「都構想」共闘が成立している間に、橋下が成立させた諸条例、とりわけ労組敵視・職員弾圧の条例や「国旗・国歌」条例などの廃止、労組と係争中の中労委・裁判事案の取り下げ、地下鉄などの民営化完全撤回などを要求して闘いを進める必要がある。『橋下・維新を追撃する闘いを!』、これが住民投票に勝利したあとのわれわれの課題である」(「かけはし」二三七三号)。入れ墨調査拒否裁判での逆転敗訴判決など司法における「揺り戻し」が顕著な中で、これらは今日ますます重要な課題となっている。
両陣営の政策を見ると、リニア新幹線・北陸新幹線の大阪延伸を筆頭にした成長戦略は共通しており、顕著な違いがある訳ではない。大阪市営地下鉄についても、当面大阪市が一〇〇%出資する株式会社化する点では一致しており、将来の民営化について推進、慎重という違いがあるくらいである。その一方で、「都構想」をめぐる論争の中で問題となったものについては、反対運動の主張を反映している部分があることも事実である(橋下・維新の強権的な政治手法に対する修正や「WTCからの府庁舎撤退」「公募区長・公募校長の見直し」「カジノについて慎重に見極め」など)。
また、ダブル選挙にあたって、安保法制反対闘争との「ねじれ」ともいうべき現象にも留意する必要がある。維新の吉村候補は、たとえ分党に備えての行動という側面があるにせよ、安保法制の採決では反対票を投じている。一方、栗原・柳本両候補は自民党出身であり、自民党は安保法制の推進者に他ならない。この事実から「安保法制推進の自民党出身候補者を支持するのか」という疑問が、とりわけ安保法制反対闘争を主体的に担った人々の中から生まれている。これは当然の疑問である。
この疑問に対しては、二つの側面から答える必要がある。一つには、安倍政権の明文改憲、安保法制具体化との闘いにとっての意味である。安倍=橋下、菅=松井の親密な同盟関係から考えても、従来の橋下の言動からしても、結党された「おおさか維新の会」が安倍政権の明文改憲、安保法制具体化の強力な援軍となることは確実である。ダブル選挙での維新の敗北は、安倍政権への直接の打撃となるだろう。
もう一つは、このダブル選挙が住民投票の闘いの継続であるという点である。新自由主義的な都市成長戦略という点では維新と自民に大きな違いはない。われわれにとって重要な点は、選挙がすべてではないという点である。選挙で選ばれたら何をしてよいと公言する橋下・維新による強権的、独裁的府政・市政に終止符を打ち、住民自治のための民主主義的空間を継続的に拡大していくことが重要なのである。

維新候補を落選させる
ために全力を尽くそう


今回のダブル選挙において、われわれは、労働者の闘いを基礎として、労働者民衆の要求実現のために闘う候補者を持っていない。その状況を前提として、われわれは維新候補を落選させるために全力を尽くすことを呼びかける。それは、この選挙が住民投票をめぐる闘いの継続であり、安倍政権の明文改憲、安保法制具体化との闘いにとって大きな意味を持つからである。
しかし、このことは栗原・柳沢両候補の政策を無批判に受け入れることを意味しない。経済成長を前提とした都市政策(リニア新幹線の推進など)、維新政治からの転換を掲げながら組合敵視・公務員労働者弾圧を撤回するかどうか不明確な点など、原則的な批判をおこないつつ、大衆運動を構築していく立場を堅持する。
維新候補の落選をめざして、具体的な諸行動にとりくもう。投票日には、維新候補落選のために投票しよう。


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