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    かけはし2015.年11月23日号

ISのテロ、フランスの戦争許すな


帝国主義の凶暴な戦争は凶暴な
テロリズムをもたらしている

2015年11月14日

フランス反資本主義新党(NPA)


 一一月一三日、週末のパリで同時テロが少なくとも六カ所で起こり、一三〇人近くの人々が死亡した。一月の「シャルリ・エブド」紙襲撃に続くこの大規模テロは「IS」の犯行だとされている。われわれはこの無差別テロを糾弾するとともに、オランド政権によるシリア爆撃の続行と、非常事態宣言による民主主義破壊とムスリムへの排外主義キャンペーンを批判する。以下仏NPAの声明を掲載する。(編集部)


 金曜日の夜、パリで起きた恐るべき襲撃で一二〇人が殺され、多くの負傷者を出した。この理不尽きわまる暴力は反感と憤怒を引き起こしている。NPAはこうした感情を共有し、被害者と密接な関係にあった人びとと共に、被害者への連帯を表明する。この悲劇は、なんの罪もない被害者に対して加えられたという点で、いっそう悪質なものだ。この殺人襲撃は、一般の住民をねらったものだった。
 パリの中心で起きたこの卑劣な暴挙は、フランソワ・オランドとその政府の決定によるフランス軍機のシリア爆撃という、テロと同様に無謀で、より致命的でさえある行為への返答である。
 シリアへの爆撃はイスラム国=テロリスト・ジハーディストとの闘いと見なされているが、本当のところはロシアによる介入・爆撃といっしょになって、シリア人民の苦難に責任のある体制=アサド独裁体制を守っているのだ。
 そして実際のところ、ここでも一般の市民こそ恐怖の下で生きることを強制され、あるいは生命の危険を賭けて脱出するところに追い込まれている、最初の犠牲者なのだ。
 帝国主義の凶暴さとイスラム主義者の凶暴さは相互に促進しあっている。原油供給を支配するためにそうしているのである。
 オランドは哀れを誘う発言の中で、共和国に関する幾つかの言葉を取りみだした調子で発し、口ごもった。戦争指導者の役割を演じ、この新たな悲劇に重大な責任を負っている彼は、「信任」を求めている。彼は、その回答が根本的自由を踏みにじるものであることを考慮しながら、フランス全土に非常事態を発令した。彼はただちにサルコジ(前大統領)からの支持を受けた。これから政治権力による大衆集会の禁止や出版物への統制が可能になる。
 再び、この文明破壊的暴力の荒波に責任のある主要な人物が、国民的統一を呼びかけている。かれらは憤怒と反感を抑え込み、この劇的な情勢を自分たちの利益に転じようとしている。彼らはムスリムというお仕着せのスケープゴートを持っている。ブルジョアジー、オランド、サルコジそしてルペンといった戦争の責任者とのいかなる国民的統一をもわれわれは拒絶する。実際には民主主義的権利が脅かされているのをテロリズムとの闘いと偽装し、「共和国の諸価値」なる名目でなされている国家的諸装置のレイシズムをわれわれは非難する。われわれは非常事態の撤回を求める。
 戦争とテロリズムへのただ一つの回答は、その出自、肌の色、宗教を越え、国境を越えて、人びとを黙らせ、支配しようとする連中に対して闘い、残虐を生み出す資本主義システムを片づけるために共に闘う労働者と民衆の団結なのである。
 テロリズムを終わらせるためには、多国籍企業の支配による民衆の富の収奪を永続化するための帝国主義戦争に終止符を打ち、フランス軍がいるすべての諸国、とりわけシリア、イラク、アフリカ諸国からフランス軍を撤退させることが必要である。

11.3

2015「秋の憲法集会」

2000万人署名運動達成を

戦争法の発動を許さない


民主主義と
アジアの平和
 一一月三日、東京・水道橋の韓国YMCAスペースYで「2015秋の憲法集会〜止めよう! 戦争法の発動」と呼びかける集会が開かれた。主催は「11・3集会実行委員会」。地下のホールを満員にする二五〇人が参加した。
 開会の午後二時。司会の菱山南帆子さんが、「安倍政治を許さないスタンディング行動」を紹介した。当日午後一時を期して、各地で一斉に実行。最寄りのJR水道橋駅でも有志が立ちあがった。
 吉岡達也さん(ピースボート共同代表)が開会挨拶。「憲法問題は日本だけの問題ではない。アメリカの世界戦略と密接に係わっている。そして闘いもつながっている」。「世界の市民の声が日本の市民を応援している。日中韓をどう結ぶか、アジアの平和をどう守るか。日本の民主化とアジアの人々とのつながり、この二つが大切だ」。「ナショナリズムは本当に怖い。ひとたび『敵』だと思い込めば、その相手に何でもする。これからも身体と頭を動かして頑張りましょう」と語った。

PKОの駆けつけ
警護の問題点
JVC事務局長の長谷部貴俊さんは、「南スーダンと駆けつけ警護―NGOの立場から」と題する講演をした。
九月の安保関連法の強行採決後、政府は国連PKO活動で南スーダンに派遣されている自衛隊の「駆けつけ警護」について、優先的に任務を追加する方針だ。安保法成立後、初の適用となる。
「駆けつけ警護」とは、離れた場所で武装勢力などに襲撃されている他国軍や民間人を、自衛隊が助ける任務。政府は任務遂行の基本的なルールとなる「部隊行動基準」(ROE)の改定作業を進めている。来年五月にスーダン派遣部隊が交代するが、早ければその新隊員の任務に加える。長谷部さんはスライドを上映しながら、以下のように提起した。
日本の自衛隊は、銃の取扱いがかなり厳しく統制されていた。しかしいざ衝突が起これば、上官下士官の指揮系統は混乱し、銃を乱射するようなパニックも起こる。アフガンでの誤爆による民間人の犠牲について、アメリカはいまだに謝罪していない」。
「私たちは徹底して中立的な活動をしている。しかし自衛隊は文民とのつながりを強めようとしている。NATO軍と米軍との役割は一体化している」。「NGOは現地に軍が来て欲しくない。各国のNGOは軍隊と距離を取り、近づかないものだ」。「今の戦争は、どこが前線か分かりにくくなっている。多くのNGOが安保法制に反対の声をあげていないことは残念だが、去る九月には『安保法制に対する国際共同声明』が発表された。国内外三三一団体、世界三六カ国から賛同が集まった」。
長谷部さんは、スーダンに派遣された国連軍の事例を挙げ、「駆けつけ警護は現実的ではなく、むしろ一般市民を危険にさらす。中立的な人道支援や和解の仲介役としてのNGOの働きこそ重要。今後も現場の視点で声を出していきたい」とまとめた。

「法の論理」を
かなぐり捨てて
一橋大学名誉教授の山内敏弘さんの演題は「強行採決された戦争法と憲法問題」。安保法=戦争法に反対する世論が盛り上がったのは、憲法の平和主義、立憲主義、民主主義に反することが明らかだからだとした。
大多数の憲法学者だけでなく、日弁連や元内閣法制局長官、元最高裁長官までもが違憲と断じている。たとえば弁護士(会)には自民党の議員もいるが、全国五二の弁護士会すべてが声明を出している。これら法律家がこぞって声をあげるのは稀有なことだ。六月四日の衆院憲法審査会参考人招致では、自民党推薦の三人の憲法学者が全員「違憲」と表明。これが世論の流れを変えた。
安倍政権は、これまでの政府解釈や砂川判決の悪用など、法の論理をかなぐり捨てた言説を繰り返してきた。今回の戦争法の審議および強行採決は、人間の理性、知性、品性を疑うような「反知性主義」とでもいうべき、現在の日本の風潮を象徴している。
そしてあいまいな「存立危機事態」を「政府が総合的に判断する」という主張こそ、今回の戦争法の核心をなしている。私たちは、そうはさせない運動を盛り上げていく。
「集団的自衛権」は過去、大国による小国への軍事介入の口実として使われてきた。安倍首相は九六条の改憲に失敗した。そこで今回、戦争法成立を強行した。中谷防衛大臣は「憲法を戦争法に合わせる」などと発言。憲法の最高法規性をないがしろにしている。この主張を法学部の学生がしたら、完全に落第だ。
山内さんは怒りと力のこもった丁寧な解説を続けた。参院選に向けたシールズの落選運動を評価しつつ、国会議員のリコール=罷免権の立法化にも言及した。時間の制約で準備したレジメの全内容に触れることはできなかったが、そこには来年の参院選についての課題もある。
「一二一議席のうち、比例四八議席、選挙区が七三議席。そして選挙区のうち三二の選挙区は一人区であり、ここで野党が協力して候補者を一人に絞るかどうかが、勝敗の鍵となる」。

派兵のための
口実さがしだ
休憩中に講演への質問用紙が回収され、第二部で質疑応答が行われた。
?アメリカのNGOの活動は、軍と距離を置いているのか→軍との協力は最終手段で、過去数例しかない。アフガンやイラクでは皆無であった。しかし他国はアメリカ軍とNGOを同一と見なすだろう。
?自民党改憲草案(二〇一
二年)にある「緊急事態法」について→政府の指示に従う国民の服従義務が明記されている。外国の事例を学んでおらず、明治憲法に戻っている。憲法学者の樋口陽一氏は「明治憲法よりひどい」と言っている。
?南スーダン派遣は、アフリカの天然資源確保が狙いなのか→自衛隊はとにかく実績を作りたいのだろう。インフラ整備は文民でもでき、代替手段がいくらでもある。自衛隊を出す必要はない。

負けられない
来年の参院選
お笑いタレントのオオタスセリさんは、持ち歌「ストーカーと呼ばないで」や、区議立候補を演じた一人コントを披露し、会場を笑いで包んだ。
集会の最後に、「行動提起」として高田健さん(市民連絡会)が発言した。
六〇年安保闘争の後には、大きな敗北感があった。しかし「二〇一五安保」にはそれがない。なぜか。私たちの前には安倍首相がいる。だから挫折や敗北を味わっている暇がないのだ。確信、怒り、決意。私たちにはエネルギーがある。
「二〇〇〇万人署名」(※)を開始する。参院選に間に合わせるために、半年間の急ぎの運動だ。これまでの成果を結集させる。このままでは負ける。野党共闘もそれほど簡単ではない。
考え方の違いから運動内でも批判が起きている。国会前での一連の行動では「なぜ国会に突っ込まないのか」といった主張も見られた。しかしその人たちは最後まで突っ込まなかった。他者のやり方を批判し文句を言うのは簡単だ。そうではなく、非暴力で手をつなぐことだ。あの小沢一郎までが手をつないだ。
来年の参院選は絶対に負けられない。今日から出発だ。
高田さんはこう訴えて集会を締めくくった。
さわやかな秋空の下、会場周辺には物々しい警察車両が並んでいた。通じる道路には警察官が立ち、裏手の高台へ上がる女坂や、線路沿いのかえで坂にまで警備陣が張りついていた。集会の妨害に、会場周辺には一七台もの右翼の街宣車が結集したと、高田健さんは報告した。   (佐藤隆)

※「戦争法の廃止を求める統一署名」(戦争させない・九条壊すな!総がかり行動実行委員会)



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