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    かけはし2015.年11月23日号

戦争法をロック”・廃止するために


 

11.5井筒高雄さん、小林節さんが講演

私たちにいま、何ができるか



 【大阪】戦争あかん!ロックアクション、戦争をさせない1000人委員会・大阪、しないさせない戦争協力関西ネットワーク、集団的自衛権違憲訴訟の会の四団体の主催で、戦争法の廃案をめざす集会が一一月五日、クレオ大阪西で開かれ、四〇〇人の市民が参加した。
 集会は、鮫島慎治さん(大阪市水道労組)と中西智子さん(ふぇみん大阪、箕面市議会議員)の司会で進行した。
 主催団体を代表して中北龍太郎さん(しないさせない戦争協力関西ネットワーク共同代表)が開会のあいさつをし、「安倍政権は立憲主義を無視し戦争法をつくり、戦争に向けひた走っている。日本は近いうちに戦争に踏み切ろうとするだろうが、民主主義を取り戻す新しい運動も始まっている。これを大きなうねりにしていくことが私たちの課題だ」と述べた。
 続いて、井筒高雄さん(元自衛隊レンジャー部隊員)と小林節さん(慶応大名誉教授、立憲デモクラシーの会呼びかけ人)二人の講演があった。

闘い続ける限り
希望は生まれる
ここで、Swing Masaさん演奏による軽快なジャズ音楽が流れる中、「闘い続ける限り希望がある。秘密保護法ロックアクションとして二三回目を迎えるが、今日、戦争あかん!ロックアクションとして再出発する」とのアピールが響いた。
続いて、服部良一さん(戦争あかん!ロックアクション代表)のコーディネートで、小林節さん、井筒高雄さん、座間宮ガレイさん(放送作家、「選挙ジョッキー」MC)、米本明子さん(安保法制に反対している創価学会員)の四人のパネルディスカッションがあった。主な発言は、次のような内容だった。

戦争法廃止へ
運動は鈍角で
小林:(衆議院特別委員会で違憲発言をしたことを聞かれ)三人の憲法学者がそろって同じ見解を表明したことが衝撃だったのだろう、自民党の責任者船田さんなんかは、ゾンビのような顔をしていた。このことで、死にかけていたメディアが息を吹き返した。
米本:この間、大阪での反対集会には一〇人ぐらいの創価学会員が三色旗を持って参加した。あれは偽学会員だという情報がネットで流れていたが、全員学会員だった。
小林:池田大作さんとは以前三時間ぐらい話したことがある。そのとき、学会と公明党の両立は政教分離の原則に照らして問題だと言った。(平和の党でなくなったことで)創価学会員は公明党をバカにしている。一部では、彼らは裏でつながっているという人もいるが、違うのではないか。私は、自民党にも共産党にも知り合いはいる。紳士的に論争すればいい。
座間宮:(この間運動に登場した若者について聞かれ)シールズなどは今急に運動しだしたのではなく、三・一一以降ずーと動いてきて、ここに来てどっと表に現れたということだ。公明党のことについて一言。公明党を批判すると、創価学会員たちは公明党の力が足りないと考えて、さらに候補者を立てる方向に動く。だから、言い方には注意をしてほしい。共産党、労働組合には頑張ってほしい。野党共闘したところは、全国どこでも投票率が上がっている。若者はメッセージを伝えるのに紙は使わない。若者を頼りにするのはダメ。シールズは今たたかれている。ここにいる人が周りをさらに掘り起こしてほしい。沖縄の言葉で、『運動は鈍角で』と言う言葉がある。
小林:私は、経験のないシールズが国会前デモで、警官たちから不当な扱いをされるのではないか心配で、国会前に行った。案の定、歩道で立ち止まらないでと言う警官によって、植え込みの中に追いやられていた。それで警官に怒鳴った。翌日、樋口陽一先生が「あんた良いことしたんだって。私も行くよ」と声をかけてくれた。

自衛隊員はどう
考えているのか
井筒:(自衛隊員はどう思っているかを聞かれて)今の自衛隊員の九割は、意識はサラリーマンだと思う。一方、制服組の幹部はちがう。彼らは一般隊員より勇ましい。しかし、彼らは前線の戦場には行かない。これから自衛隊に入る人はいるのか?。厳しい基準を作ったら集まらない。例えば、レンジャー部隊の場合、昔は視力が悪い者は失格だった。眼鏡をかけて戦闘はできない。今は、視力が悪くても入れている。
幹部でも、一番勇ましいのは海上自衛隊、その次が航空自衛隊、最後が陸上自衛隊だ。陸上が一番リスクが高いからだ。一般隊員は若いし、死んでもコストが低い。これからコストの低いところを増やす準備をするだろう。シビリアンコントロールをしなければいけない安倍さんが一番暴走している。
日本は交戦権を認めていないのに戦争法で派兵する。自衛隊は軍隊ではないから、ジュネーブ条約などの国際条約は適用されない。命令がないのに敵を殺したら、自衛隊員個人の責任となる。外国で捕まれば、当事国の法律で罰せられる。日本に帰国すれば刑法で処罰される。自衛隊が抵抗勢力になるかも? そうなってくれれば良いが。
小林:戦争法が施行される来年四月以降は、戦争の危険のある社会に暮らすことになる。心は命そのものだから、人格権の侵害で訴えることは可能だ。最大最高裁まで行けば、統治行為論を持ち出すだろう。今はそのことにエネルギーを使うより毎月憲政記念館で集会をする方が効果がある。小選挙区で二〇人当選させたい。エネルギーはここに使いたい。
井筒:自衛隊家族が原告になる可能性どうだろうか? 意図して危険な任務について原告になるという考え方はあるが、階級にもよるけれど五三歳で退職するが、子どもも小さかったりすると危ないことにかけてみることはできない。
米本:創価学会員は共産党が嫌いな人が多い。維新が嫌いな人も増えている。何が嫌いか。具体的に考えると理由はあいまいだ。安倍自民党については悪いことばっかりだ。私は、前回の衆議院選では共産党候補に入れたが。
座間宮:参議院選の勉強会をしている。選挙は闘いだから、白票には意味がない。政治の失敗は(小林先生が言うように)政治で決着させるべきだ。橋下さんが野党共闘を割ってくれたら自民党は大喜びする。松野さんがお金を渡すのを止めているその心意気を無にしないようにしよう。民主に勝たせたい。W戦に勝てば、戦争法廃止にもつながる。

しがらみを越え
幅広い戦線を!
最後に、冠木克彦さん(集団的自衛権違憲訴訟の会共同代表)から、「広範な層の人々と被害を受けた人たちの両方で、違憲訴訟を準備している。時期としては、南スーダンPKO派遣に合わせて行いたい」との提起があった。また、山元一英さん(戦争をさせない一〇〇〇人委員会事務局)からは、「来年は、武器を持って戦場に行く時代に入っていく。戦争法廃止に向け、安倍・維新の政治を断ち切らねばならない。固定観念を捨て幅広い戦線をつくっていこう」とのまとめがあった。  (T・T)

井筒高雄さんのお話

自衛隊員には契約違反

 自衛隊体育学校に入り、レンジャー部隊に配属になった。お前は本当にレンジャー部隊だったのかと言う人がいるので、訓練課程を修了したとき同僚が書いてくれた国旗の寄せ書きを見せる。これは、死んだときにはこれで棺の上を巻く。自衛隊に入隊するときは憲法を遵守すること、事に臨んでは危険を顧みず任務を全うするという服務の宣誓をする。
今年九月一九日のことは、自衛隊員にとっては契約違反だ。自衛隊は、直接侵略及び間接侵略に対し、我が国を防衛することを主任務としている(自衛隊法三条)。ところが戦争法成立で、この条文から【直接侵略及び間接侵略に対し】が削除され、我が国を防衛することが主任務であると変更された。自衛隊の出動には、防衛出動・治安出動・災害派遣しかなかったが、一九九二年PKO法により、PKOへの派遣が加わり、さらにこのたび、米軍の負託に応えるべく派遣されることになる。
私は、PKO法の成立により、自衛隊を依願退職した。いくらPKOでも、武器を持って他国に入れば戦争になる。安倍さんは、PKO法を改正したかった。戦争法によりPKO参加五原則は崩れる。住民保護が治安維持活動へ、他国のPKO部隊を駆けつけ警護、これは戦争になる。さらに、国連の関与しない国際連携平和維持活動が加わる。紛争当事者の合意が義務づけられているといっても、米軍や多国籍軍の主導する侵攻・占領の中で行動することになる。
海外派兵は中央即応集団・離島奪還部隊が担う。中央即応集団は海外派兵専門の四五〇〇名の集団で、司令部と司令部付隊は約四〇〇名。海外派兵の目的は米軍の後方支援だ。後方支援は戦争時には最も攻撃対象になる。米軍は現在、後方支援は民間軍事会社に委託している。軍事会社の犠牲者に対しては国が責任を負わなくてもいいから安上がりだ。戦争法の成立で、これを日本自衛隊が担うことになる。自衛隊は実戦に備えていない状態で、戦地に行くことになる。
戦争となると、自衛隊員の増員と防衛予算の増額が不可欠だ。憲法九条こそが平和国家日本のブランドをつくる。テロや戦争の対応は米国と一線を画し、自衛隊は専守防衛、必要最小限の実力にとどめ、海外派兵は現行の国際緊急援助隊とDDR(武装解除、動員解除、社会再統合)に限定すべきだ。社会復興支援活動に従事することを明確にする。(講演要旨、文責編集部)

小林節さんのお話

参院選は野党共闘で


戦争法は、海外派兵はしないという方針をひっくり返した。違憲訴訟はするが裁判所には期待できない。戦後ほぼ五〇年間も政権を取ってきた自民党は、政権をなかなか手放さない。民主党政権の時代を見ればわかるが、長期政権を維持していた自民党と官僚の結束は強かったということだ。しかし、彼らは雇われ社長だ。政治の過失は政治で取り返さなければいけない。共産党は信じていい。第三極には期待できない。民主党はもう許してやってもいいではないか。民主党と共産党が手をつないだら、政権交代できる。公明党山口代表は、連立協議の中に憲法の項目はないというが、戦争法成立の責任は免れない。民主党幹部は、政策が違うから共産党とは一緒にできないというが、政策が違うから別の党をつくっているのであり、公開で論議し、互いの妥協と調整をするのが政党ではないか。連合系労組は、共産党と一緒に選挙やったら組織を取られてしまうというが、そんな組織なら取られたらいい。安倍よりも、共産党の方がいい、そうではないのか。私の教え子の長嶋昭久衆議院議員は、共産党と共闘すると保守が離れて行くというが、民主党に第二自民党を期待した人はすでに離れている。
安倍政権は軍国主義だ。民主党が共産党と手を組んだら、創価学会と対抗でき、中間浮動票が戻ってくる。協議にはいるべきだ。いま、安倍政権に対抗する風が吹いている。野党共闘したら、政権が変わる。安倍政権が閣議決定したことを閣議決定で廃止する。戦争法を一本の法案で廃止することも可能だ。共産党の政策である「自衛隊なくせ・安保なくせ」は、共産党が政権内少数派になれば、その政策にこだわって政権を壊すことはしないだろう。その他の点では、共産党はまじめだ。三二ある一人区をきちんとやり、二〇区で野党が取れば、参議院は逆転する。安倍政権はいままでタブーであった事柄に手をつけた。NHK・日銀人事は政権がやってはいけないことだった。全国を歩いてみて、訴えることが響いていると感じている。国民の皆さんが憲法を自分のものとして考えてくれるようになったことが、憲法学者としてはうれしい。
(講演要旨、文責編集部)



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