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    かけはし2015.年11月23日号

新しいページがめくられる


ポルトガル

社会党、左翼ブロック、共産党が右翼政権を打倒へ

緊縮の反転めざす3党協定が
開いた可能性と残された課題

フランシスコ・ルカ

http://internationalviewpoint.org/spip.php?article4281


 一一月一〇日、ポルトガルの右翼政府は、議会での政策方針議決で一二三票対一〇七票で敗北を喫した。社会党は、共産党および左翼ブロックとの間で一つの協定を結んだ。それは、大統領が彼らにそうすることを求めた場合、社会党が政権を作ることを可能にしている。左翼ブロックの元全国スポークスパーソンであったフランシスコ・ルカが以下でここに賭けられているものを説明している。なおこの社会党政府を可能にする協定に関しては、ギリシャでのシリザ政権の経験を下敷きに、その危険性と可能性をめぐる論争が欧州の同志間で始まっている。それについては今後本紙でも機会を見て紹介したい。(「かけはし」編集部)

政府を打ち破る歴史的な合意


この終末を通して社会党と共産党は一つの協定に署名した。左翼ブロック(BE)と社会党はすでに同じようなことを行っていたからには、まさに今、ポルトガルの民主主義の歴史では最短の政府を打ち破り、パソス・コエロ(現首相、社会民主党党首)とパウロ・ポルタス(社会民主党と連立を組む民衆党党首)の年代記に終わりをもたらす議会多数派がある。その結果は歴史的であると同じく根本的だ。すなわち、緊縮の恐怖を経て新しいページがめくられようとしている。
これに先立つ数週間を通じて私は、一つの取引を閉じるに要した時間について、また大胆さの欠如についてまったく批判的だった。というのも、二つの別々の協定――基本的にそれらは同じものだとしても――、および政府を引きずり下ろすための不信任を求める三つの動議は、強力な言明を示さないように選択が行われた、ということを意味するからだ。しかし一つの合意が達成され、それが公開されている今は、その内容と持続性に焦点を当てる時だ。そして私はそれを、重大である(私から見て)ただ一つの観点から論じたい。その観点とは、苦痛の種である緊縮によって悪化させられた社会的危機にどう答えるか、ということだ。

BE3条件を出発点にした協定

 協定の内容から始めよう。
コスタ(社会党党首)とのテレビ討論でカタリナ(BEスポークスウーマン)が述べた三条件が、すでに選挙運動の前から、この週末の協定での出発点だった。つまり社会党は、雇用主が払い込む単一社会税並びにすでに年金の切り下げを受けている労働者向けの同税振り向けの削減を撤回しなければならない。また、いわゆる「痛みを小さくしたレイオフ」と年金凍結解除という主張を忘れなければならない。
右翼を完全な少数派として残した選挙結果を前に、社会党はこれらの条件を受け入れた。そして、交替に的を絞った社会党員たちが数多くいた。彼らは、彼ら自身の党が押し出したこれら三点の考えを支持しなかったからだ。
しかし今明らかにされた協定はそれよりも先まで――実際にそれよりはるか先まで――進んでいる。それらは緊急諸方策を具体化した一つの緊急対応を提案したのだが、そうする意志があるとして、それらのいくつかが緊縮に対する長続きするもう一つの回答になる可能性がある限り、そこにはさらに先まで至る広がりがある。

私有化の停止と種々の生活改善


協定は私有化の停止を明記している――これ以上の私有化はないだろう――。それはさらに、リスボンとオポルト(両者ともポルトガルの大都市、前者は首都:訳者)間の都市公共交通を民間企業に引き渡すというこの間の手続きを取り消してもいる。それらはまた水道を基本的な公共財産として守っている。
何百万人もの労働者に悪影響を与えている労働者の所得に関しては、公共部門の賃金は全面的に回復させられるだろう(二〇一六年に)。一方民間部門の賃金も利益を得るだろう(六〇〇ユーロを超える労働者は割り増し賦課の引き下げによって。そしてこの割り増しは二〇一七年に廃止されるだろう。また六〇〇ユーロ以下の労働者は、社会保障拠出の引き下げによって。そしてそこには、年金にも社会保障の持続可能性にも将来的波及が一切一体化されていない)。四日の公休日も元に戻されるだろう。それを失うことが労働者には同じ賃金を得るためにはより長い時間働かなければならないことを意味した、ということを考えた時、これによって全労働者――四五〇万人の労働者すべて――は肯定的な影響を受けるだろう。
年金受給者のすべても生活が改善されるだろう(六〇〇ユーロ以下の年金は凍結を解除され、少しの回復を見るだろう。一方六〇〇ユーロ以上の年金受給者は、国税割り増し賦課の支払いをもはや義務とされないだろう)。そしてそれは、二〇〇万人の生活が改善される、ということを意味する。
対照的に右翼は、社会保障の四〇億ユーロ切り詰め(ブリュッセルに対し約束したこととして、年金凍結による一六億ユーロ、それに加えて、年六億ユーロの給付カットとしての二四億ユーロ)を先に進めると誓約してきた。この違いには深いものがある。

公正な社会に進むための諸方策


新しい財政方式が適用されるだろう。すなわち、課税区分の細分化に基づく国税の累進性が回復されるだろう。富裕な家族に有利な家族指数は、子ども一人あたりの国税控除によって置き換えられるだろう。地方自治体の資産税引き上げに対しては制限条項があり(年当たり七五ユーロを超えてはならない)、法人税引き下げは停止するだろう。企業損失を遡って届け出ることのできる限度は、これまでの一二年に代えて五年に縮められるだろう。そしてこの新規則は配当からの税控除を抑制するだろう。最後として、レストランに対する付加価値税は一三%に戻されるだろう。
貧困と闘うために、最低賃金は二〇一七年一月に五五七ユーロに、さらにこの政権の任期末までには六〇〇ユーロへと、引き上げられるだろう。貧しい家族には低い電力料金で済む資格が与えられるだろう。そうした方策は一〇〇万人の人びとに利益となるだろう。
偽りの自律労働者に適切な契約を確実に保証するための諸方策が採用されるだろう。集団交渉が復活させられるだろう。レイオフに導く公務労働者の特別な流動制度は取り消されるだろう。
公的債務の結果として人びとの住宅に付加された付属的規則はもはや容認されないだろう。担保付き住宅ローンは今後、新しい返済期限と利率の条件に代わりとなるものがまったく提示されなければ、銀行がその住宅を確保している限り解決されるだろう。
医療と教育に関する方策リストには、国民医療サービス利用者負担の引き下げ、および一種の教科書交換の仕組みが含まれている。
社会党は、彼らの選挙法の提案を引っ込めた。そこには小選挙区制(英国で馴染みの「一位が議席をとる」制度)が含まれていたのだ。
最後として、諸政党間の多重的会合に基づく、そして対外債務の持続可能性と社会保障の将来に関するいくつかの委員会設立を含んだ、議会の協力手続きが合意された。これらの委員会は三カ月毎の報告を起草しなければならないだろう。
こうして達成されるものは、民衆生活の安定、年金生活者の安心、賃金の回復、雇用の保護、さらに財政の公正さだ。他方、合算された要求におけるこうした引き上げは、ある種直接的に肯定的な経済的反応を引き起こすだろう。

そこで落ちているものは何か?


協定には、投資に向けた、また対外勘定と所得勘定の双方をいかにして管理し改善するかに関する、体系的な解決策が欠けている。債務再編だけがそれを可能にするだろう。それ以外では、外からの圧力に抵抗し、雇用に乗り出すための余地はまったくないだろう。それは投資と生産能力の育成を必要とし、われわれが対処を続けてきた長期化した経済後退への対応で、国家が戦略的で軸となる役割を果たさなければならないだろう。
それと並んでわれわれはまだ、ブリュッセル、ECB(欧州中央銀行)、ベルリンが押しつける条件がどのようなものになるかを予測できない。われわれは、今選挙の僅か二日後にEU委員会が出した声明を心に留めなければならない。それは、社会保障に関する新たないくつかの方策を要求したのだ。このテーマは紛争事項としてとどまり続けるだろう。
そしてわれわれはまた、諸々の格付け機関がポルトガル共和国をいかに脅迫してきたかも心に留めなければならない。最後に、ノボ・ブランコ〔BES破綻後に創立され、政府が売却を試み続けてきたが、いまだ不首尾に終わっている銀行〕問題は夏前にも破裂し、財政収支に対する重大な損失か、資本再注入を求める要求か、新たな金融解決の取り組みか、そのどれかを引き起こすだろう。そしてこれらへの対処は、公衆の福祉を保護し、対外債務を量的に縮小する技術的諸要求にかなった形で遂行されなければならないのだ。
これらは、これからの年月にわたってわれわれの戸口をノックし続けることになる諸問題だ。新しい多数派はそのことを完全に自覚している。それゆえにこそ、財政上の予測できないできごとや情勢はどのようなことであれ、労働者への課税引き上げと賃金や年金の引き下げに導くことはない、と保証する保護条項がある。そのような予測できないできごとや情勢に対する解答の案出を始めなければならない時が、確実に到来した。新予算以前にも、そうした問題はここに現れることになるからだ。

▼筆者はエコノミストであると同時にBEのポルトガル国会議員。二〇〇五年一月の大統領選では同党候補者だった(得票率五・三%)。(「インターナショナルビューポイント」二〇一五年一一月号)   

ギリシャ

兵士たちが声明(2015年10月19日)

われわれは難民抑圧を拒否する

http://internationalviewpoint.org/spip.php?article4272


  以下の声明は軍の五〇の部隊に所属する召集兵(注)たちが発したものだ。この声明は、あらゆるところの労働者に単一の原因――資本主義システムの進行中の諸危機――にしたがって加えられている現在の脅しすべてを結び付けていることで、注目に値する。生活の破綻や荒廃という形で犠牲を要求しているこの危機の中で、全労働者は、その条件がどうあれ、共通の大義と共通の利害をもっている。以下の文書は「ディクチョ・スパルタコス(スパルタカスネット)」から出された。このネットワークは、ギリシャ軍内部の極左組織であり、主に「新左翼潮流(NAR)」から構成されているが、極左並びにアナーキスト内に幅広い影響力をもっている。OKDE―スパルタコス(第四インターナショナルギリシャ支部)の同志たちもそこに参加している。(IV編集部)

わが世界の窮状
を受け入れない
……有刺鉄線に引き裂かれた体、海岸で溺れ死んだ子どもたち、街頭の飢えた人びと、入国査証を請い求める群集……

 われわれの多くは、これらがトップニュースとなる前からエブロス川(トルコとギリシャの国境になっている大河、ブルガリアに源を発しエーゲ海に注ぐ:訳者)でこの破廉恥な情景を見、そして経験した。奴隷的労働者並びに兵士の双方としてわれわれの不条理に満ちた義務兵役を果たすために、われわれはそこに送られたのだ。これらの光景はわれわれにショックを与え、われわれの議論を支配した。しかしわれわれは、それらが「新しい正常」となることを望まない。
われわれは、これに慣れさせられることなく、さらにメモランダムと民衆に敵対する全政策、また帝国主義的介入とそれらの汚い戦争を受け入れることもしてこなかったが、これからも難民の窮状に慣れさせられないだろうし、それを受け入れることもないだろう。その窮状は、わが民衆自身の、われわれ自身の世界の、民族性―宗教―ジェンダーに関わりない労働者階級の世界の窮状でもあるのだ!

この苦難には
作成者がいる
いわゆる「難民流入の増大」は、実際には戦争と追い立てからの避難だ。それは自然現象ではない。それには誰かの責任がある。それこそ資本主義の危機だ。資本家はこれに打ち勝とうと、われわれの諸権利をなくし、貧困と失業の中で飢えるに任せ、移住を一つの必需策にしている。
その責任者は、米国、NATO、EU、中国、ロシアだ。彼らは、死とテロを利用し、新たな怒りと敵意を維持すると共にそれを復活させ、宗教的原理主義を餌としつつ、彼らの金融利得をわれわれの上に置いている。
その責任者はまた、地域におけるライバル関係を鋭いものにしている、この地域の帝国主義諸大国(トルコ、イスラエル、ギリシャ、アラブ諸政権)でもある。
そうした責任者は、破綻国家や程度の低い国民などといったことをしゃべりちらし、人びとをゴミのように扱い、ゴミ片付け作戦に参加し、残忍な搾取のために全域を人間のゴミ捨て場に変えている者どもだ!
ブルジョアジーとその政権が敵としている者はただ一つ、すなわち労働者だ。それは、労働者が彼らの権利のために闘っていようと、査証もないままあちらこちらを動き回っていようと、また追い立てに導いたものが資本家の軍事介入であるときであってさえ、同じだ。しかしその場合ですら、難民はどこに行くべきかを選ぶことができない。ブルジョアジーは移民の流れを近代の集団キャンプ、「ホットスポット」へと向けているのだ。そうでなければ、労働者が搾取される場を選ぶからだ! もちろん彼らは、もはや必要とされなくなれば、あるいはもっと良い条件のため自ら挑戦すれば、追い払われる可能性がある……。

ギリシャ国家
と軍も抑圧者
ギリシャ国家とその軍はこの問題の一部でありそれを解決するものではない。シリザ―ANEL政権はテロとの戦争を継続している。そして、戦争から生まれた「良い」難民と「悪い」経済的移民という偽りの区別を利用しながら、帝国主義の諸計画に参加し、「非対称の脅威」(移民、社会運動)を標的にしている。
軍隊はわれわれ召集兵に、たとえばつい先頃のパルメニオナス二〇一五演習のように、職業軍人や将校と一緒に「内部の敵」との戦争を行うよう訴えている! この中では、ギリシャの「敵たち」とトルコが作戦を調和させつつ、エーゲ海を共同でパトロールしているのだ! さらにEUの戦線は、決定的な役割を受け持つフロンテックス(欧州対外国境管理協力機関)を手段に、ジブラルタルから始まりエーゲ海まで到達している。
ギリシャの潜水艦は、リビア領海で作戦を行っているEU艦隊に参加している。われわれ、エブロスの第一六艦隊は、アドリアノープル(トルコ名、エディルネ、エブロス川沿岸にあるトルコの都市:訳者)からやって来る移民たちを見張っている。われわれは、飢えと渇きのまま投獄された移民に対して武器使用への軍の支援を知事が求めた際に起きたカリムノス島(エーゲ海南東部の島:訳者)での劇的な事件後のコス島(前記の島に近接した島:訳者)の場合と同様、大弾圧作戦に参加するよう命令を受けている。われわれは、エーゲ海での溺死すべてに対し真の原因である殺人的なフェンスを監視している。

難民抑圧阻止へ
軍内外の運動を
われわれは闘わない。われわれは弾圧しない。われわれは移民を追い詰めない。

 われわれ闘う兵士は、前述したすべて、彼らの過去と現在双方の犯罪に反対だ。われわれは軍内外の大衆的運動を訴える。すなわち、この虐殺が続いている以上は、できるあらゆる方法でフロンテックス、NATO、EU軍、武装部隊の諸行動を阻止する運動だ。われわれは、拘束のためのパトロールには参加しない。
また、フェンスを取り壊し、新たなものを作らせない運動だ。兵士は誰一人、移民に敵対する任務を負う艦船には乗船しない。
艦船、潜水艦、航空機は基地に戻らなければならない。それらへの補給行為があってはならない。
われわれは、移民に関してであれ社会運動に関してであれ、ギリシャ軍を抑圧機関に転換することを拒絶する。われわれは、「自発的労働」をもって社会構造内に存在する亀裂を覆い隠すことを受け入れないだろう。われわれにとって、「非対称な脅威」とは、諸政権によって、また彼らが支援する諸利害によってわれわれに敵対して行われている戦争にほかならない。
われわれはわが同僚たちに、同情を表すだけではなく、われわれ共通の階級的利益に心を砕くよう訴える。われわれの夢までも破壊しようとしているものは、ブルジョア諸制度、ブルジョア諸政策、ブルジョア諸政権そのものなのだ。
難民たちが今くぐり抜けつつあるもの、あらゆる種類の全体主義的機構による変わることのない迫害、生き残りと尊厳を求める闘いの中での話にならないほどひどい現在は、われわれの多くにとっては、不可避となってはならない現在と未来の悪夢だ。それこそが、ナチの黄金の夜明けと協力した議会に基づく全体主義国家、にほかならない。
われわれは自覚しているが、今後の反乱は、最下層の人々が団結しているかそれとも互いに対立状態になっているかを知ることになるだろう。
今日、われわれ自身に最大の助けを与える実践における連帯形態は、問題を根源において攻撃する以上に好適なものはない。
われわれは、労働者階級の、また反資本主義的かつ国際主義的展望の内部にのみ存在可能な、現代の反戦運動と労働者運動の一部だ。われわれは、政府、その帝国主義的機構、そしてブルジョアの抑圧的世界に抵抗し、反対し、それを全面的に拒絶する。(以下には、署名した兵士の所属する五〇の部隊名が記載されているが省略:訳者)〔原型文案にはギリシャ軍の三八の部隊に所属する兵士が署名〕

注)ギリシャでは、一九歳から四五歳の間の男性全員に九ヵ月の兵役義務がある。(「インターナショナルビューポイント」二〇一五年一一月号)    



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