もどる

    かけはし2015.年12月7日号

支援打ち切り・住民分断はねかえそう


11.15福島県議選が示したもの

原発推進勢力との対決へ、連携を

あきらめず共同の闘いを


県議選では
最低の投票率


 原発事故から二回目の福島県議選(定数五八)は一一月一五日、無投票八選挙区を除く一一選挙区で投票が行われ、自民二減の二六議席、民主一二議席から三増、公明三議席維持、社民党は二人立てたが、前回と同じ一議席。共産党は戦争法案やTPP、原発政策批判で全体的に得票数を伸ばし、六人中五人が当選。分裂渦中の維新の党は議席を失った。無所属当選者を加え三〇議席の自民が第一会派、民主・社民・無所属で構成する「民主・県民連合」が第二会派という構図は改選前と変わらない。改選前、民主一、無所属一で構成された会派「みどりの風」は県外原発の再稼働反対や子育て支援などで共産党と共同歩調を取っていたが無所属前職の不出馬によって消滅した。社民党は与党会派の一部であり、なんら独自判断をしないので、野党は共産党のみとなった。
なお、女性候補当選は前回と同じ八人で一四%にとどまった。投票率は四六・六七と福島県議選史上、過去最低の投票率であった。

残念!佐藤
和良さん惜敗


定数一〇に一六人と県内最大の激戦区となったいわき市選挙区には、三〇年間反原発運動の先頭に立って電力・国・県当局と対峙し福島原発告訴団副団長などを務める佐藤和良さんが市議を辞して立候補した。「放射能から県民のいのちとくらしをまもる」「だれもが安心して暮らせる地域医療の再生」「子育て環境整備し未来を担う人づくり」「地域を生かした産業の再生と振興」「議会と県政への県民参加」「戦争に反対し平和憲法を守る」を掲げて奮戦、六四九七票を獲得したが三四五票差で次点、議席に達しなかった。「内堀県政オール与党体制」に切り込んでいける県議実現の期待が高まっていただけに極めて残念な結果であった。 なお、佐藤さんは「県民の生存権を守るため、これからも歩み続けます。いっしょに、手をつないで前へ進みましょう」と今後の決意をブログで表明している。

木幡ますみさん
町議選で当選


同日投開票となった原発立地で全町避難の大熊町町議選では、放射能汚染地への帰還ではなく、移住地での生活再建を訴えて活動してきた木幡ますみさんが五一六票第二位で当選した。県内各地に分散した仮設・復興住宅の立地を回り住民と対話し「情報開示」「利権追放」「子どもを守ろう」と訴えた成果が表れた。木幡さんの活躍に期待する声は全国から寄せられている。なお、投票率は前回の六八・三四%から五一・四四%へと、ここでも大幅に低下した。

利益代表で維持
された自民党


未曾有の原発事故と苦難の生活に多くの県民が直面し、脱原発、再稼働反対の声が高まったにもかかわらず、投票率は半分に満たず、議会の構図は、共産党の若干の前進を除いて県も市町村もほぼ変わっていない。
それはなぜなのか?
今年度の福島県の予算は、過去最大の約一兆九千
億円。そのうち、原発事故と大震災対策費は一兆円を超え、震災前の県予算約九千億円を上回った。各市町村の財政も大幅に膨らみ、双葉郡の全住民避難の六自治体の予算は事故前の四倍になっている。原発の廃炉作業の拠点となり関連企業の売り上げが増えたいわき市は市税の納入が大幅に伸びた。最近では、原発事故の放射性物質を含む指定廃棄物(一キロ・グラムあたり一〇万ベクレル以下)を富岡町の民間処分場「フクシマエコテッククリーンセンター」に埋める計画を巡り、県は搬入路がある楢葉町を含めた地域振興のために一〇〇億円を交付する方針を公表した。中間貯蔵施設の受け入れと引き換えに国から引き出した資金が原資だ。復興、除染、廃炉事業は最大の公共事業となり、雇用創出と景気回復をもたらしている。しかし、福島県の工業製品出荷額も農林漁業も「三・一一」以前の水準に回復しておらず、国費・県費投入で経済、県民生活が支えられている状況が続く。自民系は、この状況も活用して「財政支出決定に関与できる政党、利益代表団体の利害を表現する政治勢力」として住民の四分の一程度を投票箱に向かわせる影響力を保持していること、半分にも満たぬ低投票率で無所属・無党派の票は潮が引くように下がり、岩盤が浮かび上がるように当選していく構造になっていると考えられる。

開沼博氏の
主張について

 安倍政権は、六月一二日に「福島復興加速化指針」の改定を閣議決定した。それは「帰還困難区域を除く、居住制限区域、避難指示解除準備区域の避難指示を二〇一七年三月までに解除する」ということであり、これに連動して精神的賠償、営業損害賠償、避難者支援打ち切りが組み立てられている。また、復興庁の二〇一六〜二〇二〇年度における福島県を含む追加的な復興事業費は全体で六・五兆円程度と見込んでおり、それまでの復興集中期間の五年間二五・五兆円から四分の一に減らされる。福島県は一六年度以降の一〇年間で三・九兆円の復興予算を必要としているが、復興庁の方針はその財源を約束しないということを示すものだ。ここ一、二年で被害者支援打ち切り、切り捨ての新たな局面が始まることになる。その布陣としてすでに、「放射能の影響は少ない」「避難住民の早期帰還」「避難者は自立せよ」のキャンペーンが強められている。
一〇月に「国道六号清掃ボランティア」が地元の中高生などに呼びかけて実施された。(実行委員会「みんなでやっぺ!きれいな六国」が主催しNPO法人ハッピーロードネットや双相・いわきの青年会議所が共催、国土交通省等が後援)。国道六号は道路の両端に雑草が繁茂している地点が数多く、周辺は除染作業中であり、除染廃棄物の運搬車も頻繁に通過することで放射能汚染物質が浮遊することが否定出来ない状況にあることから子どもたちの被曝を心配して多くの市民団体が県当局等に申し入れ活動を行い、当日に放射線を測定し公表する活動も行われた。
これに対して、開沼博福島大学「うつくしまふくしま未来支援センター」地域復興支援担当・センター特任研究員は「電気新聞」で「復興への力、それを妨げるもの」と題し、「市民運動の暴力」「反論できない立場に追いやられた被災者への罵声は時間の経過とともに先鋭化しているように見える。復興が進み、想定した極端な放射線による被害が起こらないことが彼らのイデオロギーの根拠を奪いつつある故だ」と非難、この主張を共同通信が全国に配信、福島民友新聞にも寄稿文が掲載された。実施反対を申し入れた市民団体に現場でも取材していないにもかかわらず『被災者への罵声』などと感情露わに叫ぶ開沼氏の姿勢には問題がある。またその検証、確認もなしに新聞社が掲載したことは、「放射能影響少なし、早期帰還」の立場に大きく舵を切っていることを示すものだ。こうした市民運動への逆襲ともいえる攻撃の矛先は、原発事故被災者・避難当事者にも向けられ、「支援慣れ」「自立心の低下」を指弾する特集記事の連載(民友新聞)も始まっている。

「ひだんれん」
告訴団の闘い


こうした流れに抗して、原発被害糾弾飯舘村民救済申立団など一〇団体(プラスオブザーバー三団体)二万人余が結集して五月に結成された「原発事故被害者団体連絡会(ひだんれん)」は「被害者への謝罪」「被害の完全賠償、暮らしと生業の回復」「被害者の詳細な健康診断と医療保障、被ばく低減策の実施」「事故の責任追及」を目標に掲げ、県当局との交渉を開始した。また、二〇一三年に法人としての東京電力と東電役員・元役員三二人を公害罪で福島県警に告発した汚染水放出事件が書類送検され、福島地検に起訴することを求める取り組みが一二月に始まり、福島原発告訴団の粘り強い闘いで強制起訴を実現した東京電力幹部三人の責任を問う裁判は来年から始まろうとしている。そして裁判を支える「福島原発刑事訴訟支援団」の結成が準備され来年一月三〇日には発足の集いが東京で開かれる。また、福島原発告訴団の第二次告訴(保安院の一部職員が対象)に対する検察審査会への激励行動も継続している。三月には「原発のない福島を!県民大集会」が開かれる。これらのとりくみを住民の分断支配を乗り越える闘いとして、脱原発、再稼働阻止の全国的闘いとして広げていかなければならない。

参院選での
共同候補実現へ

 原発再稼働、戦争法強行など安倍政権の暴走に終止符を打つためには、来夏の参議院選挙で自公を敗北させることが必要であることは言うまでもない。地方選挙区での野党統一候補の実現のとりくみとともに、比例区での候補擁立に挑戦しよう。県議選の結果にめげず、原発推進勢力との闘いと同様に「あきれはててもあきらめない」活動が選挙においても求められている。(浜中&世田)

資料

大阪ダブル選挙に取りんだ青年たちのコメント

大阪府知事選挙と大阪
市長選挙の結果について

SADL

 大阪府知事選挙と大阪市長選挙の投開票が一一月二二日に行われ、現職知事と現職後継の市長候補が当選を確実にし、オール大阪の知事候補・栗原貴子氏と市長候補・柳本顕氏は立候補表明から短期間で追い上げましたが、及びませんでした。
 SADLは一〇月一二日に「大阪ダブル選挙のための緊急談義」を開催し、政治への関心を高めるように努めてきました。また、維新政治の問題点を明らかにしたリーフレットを作成し、三五〇〇〇枚を配布して「大阪に衰退と混乱をもたらした今の政治を変えよう」と呼びかけてきました。
 住民投票と異なり、様々な制約がある中でしたが、一一月一五日には「民主主義と生活を守る大阪デモ」を開催し、一一月二〇日には候補者とともに「大阪を守る街頭アピール」を行いました。ネットでも、SADLTVを放送するなど、選挙中の新しい活動に挑戦してきました。これらが結果につながらなかったことは今後の課題として受け止めます。
 しかし、こうしたとりくみやオール大阪勢力によって大阪維新の会のウソが暴かれる中で、街の雰囲気は四年前の選挙時と大きく変わりました。橋下氏は、自身の政治が「破壊的な改革」であったと認めざるをえなくなりました。
 また、住民投票をたたかった多様な住民の応援を受けて、栗原氏と柳本氏が住民との対話や民主主義を守る政治への転換を表明したことは、一人ひとりが政治にコミットすることの大切さを実感する経験でした。
 これから再び大阪維新の会による大阪府政・大阪市政がはじまります。私たちはこれからも主権者として、大阪に住む住民として、民主主義と生活を守ることを政治に求めていきます。そして、住民の間につくられた対立と分断を克服し、立場を超えて新しい大阪の未来をひらいていくために尽力することを表明します。
二〇一五年一一月二二日
民主主義と生活を守る有志/SADL

大阪W選挙を終えて

SEALDs KANSAI

 この一カ月近く、私たちは大阪W選に向け、「これまでの大阪維新の会による政治からの転換」を求めて活動して来ました。しかし、昨日行われた大阪W選挙の結果は大阪維新の会の候補者がどちらも勝利するという結果となりました。
 もちろん、この選挙の結果はしっかりと受け止める必要があります。その上で私たちはこれからの市政、府政及び国政について思考し行動し続けます。
 選挙は政治のあり方や政策を決定していくプロセスの中で非常に重要なものの一つですが、全てではありません。
 「民主主義社会」に生きる私達はこれからどのような政治が行われていくのか、監視し行動し続ける必要があります。
 この選挙で結果的に少数の側となったものの確かに存在した意思を、議会や住民の政治参加によってどのように政策に反映させていくのか。この選挙で可視化されなかったイシューに対しどのように向き合っていくのか。課題や出来ることは多くあります。
 そして、結果はどうあれ、今回の選挙戦を通して様々な収穫もありました。
 イデオロギーや政党を越えて、対抗軸となる「共闘」の形を示せたこと。そして、SEALDs KANSAIとして、"REAL"や"VOICE"など意見を可視化させるための様々な「装置」を残せたこと等です。
 これらの収穫は今後、民主主義政治を育てるための大きな糧となるはずです。そして来夏の参院選で必ず生きていくと確信しています。
 最悪を回避するための選択はこれからも続いていきます。今後も一人ひとりが思考し、疑問やおかしいと思うことには声を上げ、より良い結果になるよう努力し続けましょう。
 今回の選挙に関わったみなさんお疲れ様でした。またこれから始まっていきます。やることは初めから変わりません。できることをやり続けましょう。




もどる

Back