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    かけはし2015.年12月14日号

被災原発を再稼働して大丈夫?


11.23女川原発の安全性を問うシンポジウム

500人を超える市民が参加 仙台


 【宮城】一一月二三日、仙台市情報・産業プラザ多目的ホールで、「市民による女川原発の安全性を問うシンポジウが行われた。雨が降りしきる寒いなか「市民シンポジウム」会場には県内各地から多くの人が集まった。一二時三〇分の開会時には用意したパンフ五〇〇部がすでになく、会場も立錐の余地のない状況であった。
 呼びかけ人を代表して佐々木功悦宮城県議があいさつ(佐々木氏は、元美里町長時代に唯一「脱原発宣言」(2012年)を行い、女川原発再稼働に反対しUPZ区域町村と共に「東北電力との安全協定」を訴えてきた。先月行われた宮城県議選に遠田選挙区から立候補し初当選)。
 「皆さんこんにちは。今回の県議選の結果、県議五九人中、再稼働賛成二一人、将来的に脱原発の方向一四人、再稼働反対一六人、どちらとも言えない八人であり拮抗している。今日の話をしっかり受け止め県政に活かす。たくさんの参加に心から感謝します」とあいさつした。
 実行委員会から篠原弘典さんが「女川原発再稼働の問題の経過報告」を行い、震災翌月の女川の状況を、パネルを使って説明。津波で破壊された宮城県原子力センターとオフサイトセンターには県内の放射線測定器などが集中管理されていた結果、福島原発爆発時には風で宮城県内に流れてくる放射能の測定ができず何も対応できなかったことや女川原発は「紙一重」で重大事故を免れたことなど、震災時女川原発で何が起きていたのかを時系列的に説明した。
 現地女川からは、「女川原発の三・一一被災状況報告」として高野博女川町議から町議として視察した被災後の女川原発の状況が説明され「原発そのものの被害も相当深刻な状況である」と話された。

脱原発の道しか
ない! 廃炉へ
今回のシンポジウムにはパネラーとして、後藤政志さん(原子力格納容器設計者、元東芝)、小倉志郎さん(原子力プラント技術者、元東芝)、井野博満さん(東大名誉教授、金属材料学)の三人の方が参加、コーディネーターは菅波完氏さん(高木仁三郎基金事務局)が担った。
後藤さんは「格納容器の意味を考える」として女川原発は「被災原発」であるとし、沸騰水型マークT型の技術的・構造的問題を解き明かし「現在の設計と新規制基準の問題点」として「炉心溶融した後は、格納容器は全く事故の進展を抑えられない」し「過酷事故対策は有効性・信頼性に欠ける」等を明らかにし「原発等要らない。再生エネルギーに全力でシフトすべし」と結んだ。
小倉志郎さんは、尺八で「米節」(宮城県の民謡)を奏で場内の手拍子と唄という驚きの始まり。「ちいさなせかいのおはなし」という放射線の影響が子どもにもわかる紙芝居を創作・上演。だがその上演から六日後に福島原発事故が起きたそうだ。「四〜五コマ」の紙芝居は「お母さんのおなかの中でたった一つの細胞がいくつにも分かれ、オギャーと生まれたら目や耳や口やあらゆるものになっている。それはお父さん・お母さんから貰った「設計図(DNA)」。ところが放射線によって穴があいてしまう。この放射能は毎日、毎日原発から出ています。どうしたらいいでしょう」と子ども達に放射能とDNAの関係を訴える紙芝居だ。
小倉さんは、三五年間現場で携わってきたが原発のすべてのシステムや機器をこなせるのは全世界でも誰一人としていないと語り、「現場では仕事がマニュアル化されているが、マニュアル化されていないこと(今回の過酷事故等含め)は、現場労働者は全く対応できないこと。電力会社は、より安全を求めるといってハード面の安全だけを考えており、そうしたなかで市民が求める『安全』を主張し要求することが大事である」と提起した。 

 

事故は「めった
に起こらない」?
もう一人のパネラー井野さんは専門的立場から、「原発は異次元の技術であること」、「技術はどう実現できるのか」「再稼働をめぐる状況」「運転差止め裁判の争点」「誰も安全に責任をもたない」「安全性をめぐる専門家の役割」について話した。
「原発の制御の困難性」をチェルノブイリ事故から解き、暴走したら止めることができないこと、事故被害が空間的・時間的に「巨大」であること、労働者・公衆の日常的被ばくが避けられないことなど、「異次元の技術」であるにもかかわらず「ふつうの技術」で原発のパーツなどは作られていることを指摘し、「異次元の技術」を「ふつうの技術」でやろうとしているミスマッチが危険の根源だと語った。
被災した女川原発は、地震の後遺症である塑性ひずみやひび割れなどの「設備健全性評価」が必要であるとし、宮城県の「女川原発2号機の安全性に関する検討会」は規制庁の審査を待つのではなく、検討を始めるべきだと訴えた。必要な「安全代」をも削りに削ったのが「耐震設計審査指針」であり、誰も安全に責任を持たないし「事故が滅多に起こらないよう安全対策に万全を期している」と電力会社は言う。だが「滅多に起こらない」とはどの位の確率か? 誰もわからない。井野さんは、現実にどのくらい事故が起こったかを計算値で示した。「今までの総運転時間は、一万六〇〇〇炉年(2013年末/炉年:原発数と稼働年数をかけたもの)でTMI、チェルノブイリ、福島と五基が過酷事故を起こしているので、三二〇〇炉年に一回起きている。現在、世界で四八〇基運転しているので今後八年の間で大事故が起こってもおかしくない」と指摘した。
最後に安全性をめぐる専門家の役割として、水俣病と闘った原田正純医師の言葉「医者が中立であるとはどういうことか、患者の立場に起つこと、力のない弱者に寄り添うこと」を示し、「原発再稼働の是非は、市民社会が判断することであり、専門家は客観的な事実を市民に示し、判断は市民がする」とまとめた。

最終処分場反対
運動と共鳴して
多岐にわたる内容のシンポジウムで会場一杯の参加者も真剣に聞き入っていた。パネラーの三人は「原子力市民委員会」の第四部会「プラント技術者の会」のメンバーでもあり女川原発とは切っても切れない縁がある方である。
女川原発再稼働反対と加美町をあげて闘われている「最終処分場建設反対」の住民運動が共鳴し合いながら宮城での闘いは進んでいる。宮城県議選でUPZ地域の町村や加美町などの選挙区では現職の自民党議員を落選させ、脱原発、処分場建設反対を訴えた候補者が当選している。
環境省は、二年越しの「処分場候補地の現地調査」を住民に阻止され断念した。宮城県知事村井は、「反対住民がいるから調査が進まないとはどういうことか! 沖縄では反対していても工事が進められている。政府のやり方は矛盾している」と沖縄のように強行せよ! と言わんばかりの言葉を井上副大臣にぶつけ、怒ってみせた。年内中に市町村長会議を開催して今後について検討するとしているが、白紙撤回しかなく、汚染者負担責任を明確にすることだ
現地女川では、一〇月末の町議選では、無投票ではあったが脱原発の三議員は議席を維持した。二〇一七年四月以降の再稼働を狙って大規模な「安全対策」工事が進められている。
今日のシンポジウムはその意味で大きな勇気を与える内容と結集だった。脱原発社会実現に向け手を携えて前進しよう。   (H)

11.28

COP21へ東京でも市民アクション

1000人が銀座パレード

クライメート・ジャスティス実現へ



国家の利害では
なく人々の未来
 一一月二八日、翌々日からパリで開催される国連気候変動枠組条約第二一回締約国会議(COP21)を前に、各国政府に対して実効性のある取り決めを求める市民レベルでのアクションの一環として、東京・日比谷野外音楽堂でアースパレード2015が行われた。冒頭にジンタらムータによる演奏が行われ、沖縄や福島など日本のたたかう民衆へのエールと音楽が披露された。
 主催のClimate Action Now!キャンペーン実行委員会を代表してFOE Japanの吉田明子さんが司会を務めた。吉田さんは、各国の利害を優先させるのではなく、未来をまもるために前向きで意義のある対策を市民の力で実現しようと呼び掛けた。そしてテロの被害を受けたパリ市民に追悼の意を示しながら、非常事態宣言によって大規模なアクションが中止に追い込まれる中で、気候変動は一国一地域だけの問題ではなく、とくにアフリカ、アジア、中東や太平洋諸国など国境を越えた深刻な被害をもたらしており、東京、京都をはじめ世界各地で行われるアクションが重要であると訴えた。
 ナマケモノ倶楽部の辻信一さんは、ある問題を引き起こしたマインドセット(考え方)でその問題を解決することはできない、というアインシュタインの言葉を引き合いに出し、気候変動を引き起こしたマインドセットが「経済」であり、それは人間の貪欲さや闘争性という負の側面にフォーカスをあてるが、気候変動の解決には人間の良い一面としての「愛」や「助け合い」というマインドセットで問題を解決すべき、「原発、TPP、戦争をなまけよう!」と訴えた。

世界の青年
が語る危機
つづいて登壇したのはConference of Youth 11-Tokyo 2015の若者たちで、毎年COP開催地域で世界各国の若者が集まってフォーラムを開催してきたが、気候変動は各国各地域で発生していることから、今年は六大陸九カ国での分散開催となり、東アジアは東京で一〇カ国の若者が集まって三日間にわたって議論を行ったことを報告した。
ミャンマーからは日本企業が建設をすすめる石炭火力発電所の予定地の地域住民が登壇した。日本の国際協力機構や国際協力銀行、三菱、Jパワー、東洋エンジニアリング、丸紅などがこの事業を進めているが、中止を要請したことが報告された。化石燃料の大規模な使用による気候変動はミャンマーにも大洪水などの被害をもたらしており、必要なのはクリーンなエネルギーであることを力強く訴えた。
ツバル出身のシンキャン・タレスさんは、子ども時代に遊んだ浜や親が育てた芋を食べて育ったが、いまでは海面上昇によって浜がなくなり、畑にも海水が浸水して作物に大きな影響をあたえていることを報告。子どもたちの未来に気候変動は大きな影響をあたえており、早急な対策が必要だと訴えた。

資本主義シス
テムの変革へ
太陽光エネルギーだけで大規模なライブフェス開催が可能であることを実践してきたミュージシャンの佐藤タイジさんのライブをはさんで、会場全体をつかって「2℃」の文字をつくるフォトアクションが取り組まれた。2℃とは、気候変動による危機を回避するために地球の平均気温の上昇を産業革命前から比べて2℃未満にとどめるという目標であり、現在各国が自主的に提出している温室効果ガス削減目標を合わせても2℃という目標の達成は難しく、市民サイドからの決意を示すアクションとなった。
制服向上委員会による気候変動の歌「シロクマ日記」とアースパレード2015のテーマをBGMに、気候変動による危機の回避のために今すぐ行動を!というさまざまなパフォーマンスと国際色豊かな創意工夫に満ちた参加者一〇〇〇人が元気に銀座をパレードした。気候変動をもたらした資本主義システムを世界の人々とともにチェンジしよう。        (H)


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