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    かけはし2015.年12月14日号

軍事国家への道を断ち切ろう


11.28憲法集会で水島朝穂さん講演

戦争法廃止への展望は

これから何が始まるのか?


 【大阪】とめよう改憲!おおさかネットワーク主催の憲法集会が一一月二八日、大阪市立中央会館で開かれ、一八〇人の市民が参加した。
司会の松岡幹夫さん(ネットワーク事務局)が講師のプロフィールを紹介し、水島朝穂さん(早稲田大学法学学術院教授)の講演に移った。
水島さんの講演は、いつも「モノ語り」から始まる。今回は、ミャンマー国憲法(軍事政権がつくったもの)の日本語訳とスーチーさんが圧勝した国政選挙で使われたうちわとシンボルの旗を披露した。それは、かつて水島さんのゼミの学生で現在は弁護士をしているミャンマーの青年からもらった。ミャンマー憲法は彼が危険を覚悟で持ち出した物だ。この青年はその後猛烈に日本語を勉強し、水島さんのゼミに来た。水島さんは、この教え子が日本国憲法を模範にミャンマーの新しい憲法をつくるのだと言っていることを熱く語り、本論に入った(要旨別掲)。

5団体からの
活動報告・提言
引き続いて、五人から発言があった。@憲法違反の安保法制に反対する大阪大学人の会、「国連の持続可能な開発目標を手がかりとして、周りと対話しよう」A集団的自衛権違憲訴訟の会、「存立危機事態、重要影響事態、PKO駆け付け警護など具体的な動きに対して差し止め訴訟を検討する、参議院選後の闘いも展望しながら具体的被害に対して違憲訴訟を提起したい」B教育合同労組、「教育の現場は、教科書問題、一八歳選挙権と関係して政治的中立性という名の締め付けや弾圧が始まっている。九州のある大学で、国会デモの映像を使って授業したことを学生が抗議し、教師が三カ月の停職処分を受けた。処分撤回の交渉をしている」Cピースアクション、「賛同者の名前を載せ市民に訴えるビラをつくり配布している。地域で一〇〇〇人委員会をつくって活動している」Dシールズ関西、「立憲主義を守る、戦争法では安全は守れない、維新政治からの転換を訴えてきた。我々はまだ負けてはいない。選挙は重要だが、民主主義社会ではそれがすべてではない。長いスパンで見ながら、選挙に当選した議員を監視し続ける。怒りを持続し、自分の言葉で言う。一二月二〇日、京都・円山公園で安保関連法の廃案を求めて集会をする」。
最後に、中北龍太郎さん(とめよう改憲!おおさかネットワーク代表)が閉会のあいさつを行い、終了した。 (T・T)

水島朝穂さんの講演から

トータルな像を提起し討論しよう

七・一閣議決定から始まる憲法「介錯」
安保関連法は成立したが、まだ施行されていない。勝っていないが、負けてもいない。一括法として廃止法案を出すべきだと提案している。憲法第五三条では、いずれかの議院の議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は臨時国会を召集しなければいけない。安倍内閣は、この規定にも違反している。招集しない理由は首相の外遊だが、これは理由にならない。集団的自衛権の閣議決定、戦争法、そして臨時国会と違憲の連鎖だ。何が起きるかわからないという気分だ。
安倍晋三という人物は、普通の市民が経験するような受験勉強も就活も婚活もしたことがない。人の痛みを感じることができない人間だ。いわば独裁者のタイプだ。彼は、法案が通ったらすぐ山梨のゴルフに行った。普通は、他党にあいさつ回りをするものだが、義理人情が全くない。ゴルフから帰ってきたら、GDP六〇〇兆円、介護離職ゼロ、一億総活躍社会をぶち上げた。
成立した安保関連法は弱点だらけで、このままでは使えない。安倍は、集団的自衛権という言葉にこだわった。自民党高村と公明党北側と法制局の横畠裕介で相談して、集団的自衛権という言葉は入れるが、個別的自衛権と見えるような限定的行使にした。これについては、二つの見方がある。個別的自衛権の枠内だ(公明党や木村草太)という見解と、広く行使できるという見解。米国は後者の見解だ。安保関連法では、周辺事態(放置すれば我が国への攻撃になる事態)をとって重要影響事態とし、後方地域という限定を削除した。これにより、米軍の捜索救助はグローバル化する。実施区域は、海域ばかりでなく、他国領土内の地上も含むことになる。国際平和支援法の中にある捜索救助活動との区別もあいまいだ。捜索救助は非常に危ない。こんな活動をする準備は自衛隊にはない。
武器輸出についても、ひとつ一つの部品や装備では、何に使うかわからないが、組み立てたりつないだりしたら、必要最小限の実力を超える武器がつくれる。九条がなければ堂々と専守防衛の範囲を簡単に越える武器をつくれる。この点について、議員やジャーナリストの知識が追いついていないので、危険をチェックできていない。細かく分けて見ているだけではトータルな像はわからない。このトータルな像を人々に知らせることが必要だ。そうしないと、いつの間にか軍事国家になっている。安倍は、九条を変えるムードづくりに、橋下総務相人事を考えているのでは?
警察予備隊・保安隊・自衛隊その続きに、当時の鳩山内閣は五六年の参議院選で三分の二以上をとり、自衛隊を軍隊にするはずだった。ところが、野党の議席が三分の一を超えたので、自民党は、違憲の自衛隊を専守防衛で合憲というように解釈改憲し、以後この立場を堅持した。この法的安定性が崩れると、自衛隊は違憲になる。今、九条二項削除論や九条に集団的自衛権は行使しないという内容を追加する護憲的改憲論が言われているが、緩めた瞬間に憲法は決壊する。今の力関係を見ると、天皇制を含めすべて変えてはいけない。

安全保障関連法
審議の論点その後
安全保障環境が変わった論は怪しい。存立危機事態とは何だったのか。尖閣問題は、南沙諸島での軍事的冒険主義への協力につながっていく。なぜ、辺野古に異様にこだわるのか。黄昏の海兵隊に新基地を差し出す愚行だ。河野統合幕僚長の言動は、安倍政権がこの六月に防衛省設置法一二条の改正でシビリアンコントロール(文官スタッフ優位制度)を葬り去った効果の現れだ。河野は米陸軍参謀総長との会談で、米アフリカ軍には連絡官を常駐させると述べ、「政治的軍人」ぶりを見せた。その後そのように決定している。
九・一一が起きたとき私はテロとの戦いはやるべきではないといった。そもそもテロが誰によってもたらされたのかわからない。この度のフランスのテロも、事実関係がよくわからない。これに対処するのにNATO条約の武力攻撃条項を適用せず、EU条約四二条七項(集団的自衛権)を適用した。なぜなら、EU条約にはトルコと米国が含まれないからだ。国連常任理事国の関係がねじれている。このような中で、イスラム国相手の「対テロ戦争」から、カナダは撤退した。エアカナダに乗るのは安心だ、安倍日本は危ない。シリアや中東・アフリカは軍需産業の草刈り場になっている。ここに日本も参入しようとしている。

立憲主義を復
元するために
立憲主義って何だ? 主権者を無視して勝手に決めるなよということだ。二〇一五年の夏、日本人は初めて憲法の立憲主義と出合った。表現の自由を使い、三つの点を結びつけ面にし小さな3Dを使っていこう。次期参議院選での一票、地方選挙での一票(大阪は使った)、改憲国民投票での一票を使おう。「あの人」に入れた人と対話しよう。選挙の闘い方は、太いところで一致する。特に大阪では、市民も政党もみんな一緒になって勝てる候補者を選ぼう。七月は、ひっくり返そう。 

【訂正】前号2面大阪選挙論文最下段12行目「「体化」と「新」の間に、「、」を。

コラム

さて時刻表を片手に、また旅だ。亀時間のススメ

 二○一六年春、北海道新幹線が開業する。何でも東京から函館間を、青函トンネルを使って四時間二分という速さで結ぶらしいが、「呑み鉄乗り鉄」のボクにとっては「正に愚の骨頂」、まったく興味もなければうれしくもない。真逆な心境である。「狭いニッポン、そんなに急いでどこに行く」という天の邪鬼的な思考回路が、むくむくと頭を持ち上げてしまうのだ。
 スピードが経済の活性化を促すというが、果たしてどれだけの人がその恩恵に授かるのか。よく北陸新幹線開業で観光客が引けも取らない加賀前田家百万石の城下町金沢の活況ぶりが報道されるが、その陰で北陸本線は第三セクター化され分断、運賃も値上げ。富山から大阪方面を連絡していた特急列車も廃止された。よく政治屋や自称経済人どもが使う方便「地元のため」という詐術に翻弄されるのは、これまた地元民である。新幹線は、面としてあった地方都市を単なる点に変えてしまったと言い切れる。
 閑話休題。ボクはここで「新幹線論」を論ずるつもりは、まるでない。優柔不断なボクが、初めから「股旅もの」で稿を起こすことに躊躇した、ただそれだけのことである。ここからが本題。この夏の苦行、「青春18切符」で行った「呑み鉄乗り鉄 恐山居酒屋紀行」(其の四まで書きましたが、連載は恐れ多いので止めました)をおさらいしよう。青森までおおよそ一六時間の行程。乗り鉄とすれば、ほれぼれするダイヤである。興味がある乗り鉄候補もいるだろうから、以下、東京からの連絡鈍行列車を記すことにする。
 東京発5時1分→上野5時10分/上野5時13分→高崎6時55分/高崎7時10分→水上8時14分/水上8時24分→長岡10時21分/長岡10時27分→新潟11時27分/新潟11時43分→村上12時57分/村上13時35分→酒田15時56分/酒田16時31分→秋田18時19分/秋田18時41分→大館20時35分/大館21時19分→青森着22時48分。
 まさに芸術としか言いようがない美しさだ。
 青森から下北半島突端の佐井までは船便を使い転進。佐井から半島の中心、田名部の街までは一日数本という長距離路線バスに乗車し、波打つ太平洋沿いをひたすら南下した。目的の「むつターミナル」まで停留所の数はなんと七五カ所。しかも、バスの運賃は、青春18切符一枚分に相当する二三三〇円也。いやはや「乗り鉄」に違わぬ「乗りバス」だった。
 ここで訂正とお詫び。冒頭で「狭いニッポン」と書いたが、日本は実に広い。新幹線で行けば「あっという間」に到着する場所でも、交通手段によっては地球の裏側へ行くと同じ時間がかかるのだ。一昨年、新宿から夜行高速バスで、高知県の宿毛まで旅したことがあったが、この時も一五時間は優にかかった。そのことを居酒屋の親父に話したら、「そんならアメリカまで行ける」と笑われた。
 「アマゾン」に代表されるスピードが美徳とされるなら、亀時間はそれに勝る贅沢ではなかろうか。あくせく働く毎日だからこそ、旅の時くらい自由時間を無駄遣いしたいものである。     (雨)

 


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