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    かけはし2015.年12月21日号

「解雇自由」?とんでもない!


12.4日本労働弁護団が主催し総決起集会

「岩盤規制改革」は資本のため

カウンター立法で政府のもくろみ打ち砕け



「金銭解決」
制度のねらい
 「解雇金銭解決制度」なるものの具体化が進められようとしている。正当な理由のない「不当な」解雇でも一定のカネさえ払えばそのまままかり通らせよう、との悪辣な制度だが、岩盤規制などと悪罵を投げつけ労働への規制を目の敵にしている安倍政権が、その発足以来執拗に画策してきた。派遣法改悪、労働時間規制の解体に道を開く労働基準法改悪(いわゆる高度プロフェッショナル制度の創設や裁量労働制の一層の拡張など)と合わせた三点セットの攻撃だ。
 しかしこの「解雇金銭解決制度」については、経営者内部にも疑問視する意見があり、前二者ほどにはすんなり進んでいなかった。しかし安倍政権は、六月一九日の衆院における派遣法改悪案強行採決を受けて、すでに国会に上程済の労働基準法改悪案の早期成立をもにらみつつ、「日本再興戦略改訂2015」および「規制改革実施計画」を六月三〇日に閣議決定、この第三の攻撃についても具体化に入った。
 とはいえ、すでに明らかなように、戦争法案への巨大な民衆的抵抗に加えて、派遣法改革案にも当事者である派遣労働者の決起を含んだ国会内外の頑強な抵抗が続き、派遣法改悪案自体廃案寸前のところまで追い込まれた。結果として労働基準法改悪案は審議すらできず、来年の通常国会に先送りされている。
 こうして、「解雇金銭解決制度」具体化も即座に動き出せるものとはなっていなかったが、ここに来てついに制度創出に向けた最初の手続きが始まった。具体的には「透明かつ公正な労働紛争解決システム等の在り方に関する検討会」という長々しい名前の検討会(座長、荒木尚志東京大学大学院法学政治学研究科教授、前東京地労委座長)であり、一〇月二九日を第一回としてこれまで二回行われた。この検討会には、規制解体推進派として悪名高い八代尚宏や鶴光太郎といった委員だけではなく、日本労働弁護団の弁護士、連合の委員も加わり、初回から意見のぶつかり合いが始まっているが、検討会のまとめは来年の参院選後になると見られている。

「労働者救済」
を口実にして
「解雇金銭解決制度」の悪辣さについては今さらくどくど言うまでもないが(別掲資料参照)、経営者にとって都合の悪い労働者を職場から簡単に排除できるものであり、労働者の権利が根こそぎに奪われ、かつ職場における労働組合破壊の有力な武器となることも、あまりに明らかだ。そればかりではなく、労働者の尊厳否認をカネで容認するものであり、今横行している労働者の尊厳など歯牙にもかけない悪徳経営を一層励ますものになるだろう。
さらに今回は、推進側が「労働者救済」を口実にしているという悪辣さまで加わっている。中小企業では低水準の補償金で泣き寝入りさせられている労働者が多い、などと言うのだが、「泣き寝入り」の根拠が制度の不在などではなく、もっぱら使用者側の姿勢にあることはだれにも分かることだ。まさにこじつけであり、同じやり方で派遣法改悪でも、派遣労働者救済などと黒を白と言いくるめる嘘が恥ずかしげもなく繰り返された。このような真っ赤な嘘を通すような政治をこれ以上まかり通らせるわけには行かない。
まさに絶対許すことのできない制度であり、それゆえこれまで二回導入が策されたがいずれも挫折している。安倍政権が執念を燃やす三度目を絶対につぶさなければならない。

解雇と闘う労働
者が次々に発言
来年に向けて、労働基準法改悪阻止に加えてこの「解雇金銭解決制度」阻止が重大な課題になっている。ここに向けあらためて大きく広げた闘いをめざして、一二月四日午後六時三〇分から中央大学駿河記念館を会場に「解雇自由の暗黒社会にNO! 解雇自由法制に反対する働く者の総決起集会」が開かれた。主催は日本労働弁護団。会場は四〜五〇〇人は入ろうかという広い講堂だったが、それをほぼ埋める多くの労働者が、ナショナルセンターを横断する労働組合を含めてかけつけた。
集会ではまず棗一郎日本労働弁護団幹事長がこの間の経過と今回策されている制度の問題点、さらに同弁護団の基本方針を報告。そこでは特に、不当解雇の認定があっても職場復帰を妨げている法の不備、つまり復帰請求権に保護がない実情を変えることが先決、カウンター立法運動で政府の策動を打ち返そうと力説し、労働基準法を許さない闘い、派遣法を派遣労働者のもとに取り戻す闘いと共に、世論を結集できる幅広い運動を作り上げよう、と訴えた。
また前述の「検討会」で委員になっている高村豊さん(連合東京アドバイザー)と水口洋介弁護士(日本労働弁護団常任幹事)からは、同検討会での議論が報告された。いずれも、経営法曹の有力者が制度不要論を唱えていることも挙げながら、現にある紛争解決システムの実情から見て立法事実がないことを強調、制度不要論で闘うと決意を語った。ここでは同検討会での八代委員の発言を例にとり、結局彼らの固執点がもっぱらリストラコストを見通せるものにすること、そのことで外資呼び込みを図りたい、という点にあることが明らかにされた。「労働者救済」は端からまさに猫だましだ。
管理職ユニオンリコー支部の解雇争議労働者、マタハラと闘う女性労働者、全港湾東京支部で解雇をはね返して現職復帰を果たした労働者、JMIUIBM支部のロックアウト解雇と闘っている労働者、連合東京、全港湾、全日建、ポッセ、全労協、全労連と、運動の現場からも、こんなもくろみは絶対にたたきつぶす、との多くの発言が続いた。
その中で、マタハラ(妊娠差別)と闘っている労働者は、こんな制度が導入されたら子どもをもつ者の職場復帰を認めない経営者が免罪される、労働者の存在意義をカネで処理して良いことになる、と怒りを込めた。また労働組合の代表は、この制度が労組破壊の有力な手段になることに加えて、解雇争議の封殺を通して、争議が労働者の人間性回復に果たしている役割、さらに悪質な経営を正すことに果たしている役割まで消し去ってしまうことにも強い危機感が表明された。
見てきたようにこの制度の非道性は明らかであり、紛争解決という観点からも必要性に乏しいとして、経営側にも今もって異論が続いている。しかし安倍政権はこの問題でも強硬姿勢一本槍、すでに厚労省に法案作成指示が出ているという。
集会のまとめに立った高木太郎日本労働弁護団闘争本部長は、それだけに力ある徹底した反対の運動が必要だ、安倍政権の虚偽プロパガンダに対抗する広範な世論を巻き起こし、安倍政治を許さない国民的闘いと一体になって闘おうと呼びかけ、会場はともに闘う意思を込めて大きな拍手でこの呼びかけに応えた。
通常国会終了後臨時国会からも逃げてワンマンショーで支持率回復にいそしむ安倍だが、客観的な現実としては、世界的な経済情勢を含め、安倍の行く手には大きな不確実性が立ちのぼらざるを得ない。労働者民衆の側からその不確実性をさらに深めることが求められている。労働法制をめぐる安倍の攻撃への反撃をその一翼としよう。(神谷)

資料

「解雇の金銭解決制度」の
法制化に断固反対する決議

 安倍政権は、派遣法大改悪、労働時間規制緩和に続けて、解雇の金銭解決制度を導入しようとしている。昨年に引き続き、2015年6月30日に閣議決定された「『日本再興戦略』改訂2015」においても、「雇用終了を巡る紛争処理の時間的・金銭的な予見可能性を高め、結果として、人材の有効活用や個人の能力発揮に資するとともに、中小企業労働者の保護を図り、対日投資の促進に資するよう、透明かつ公正・客観的でグローバルにも通用する紛争解決システム等の在り方について具体化に向けた検討を進め、制度構築を図る」ことを挙げている。そして、2015年中に有識者会議の設置による論点整理・検討を開始し、2018年度をめどに法制化を含む制度的措置を実施するものとしている。
 既に、日本労働弁護団は、2014年11月8日「『解雇の金銭解決制度』の導入を許さない決議」において、解雇規制を根底から覆す解雇の金銭解決制度の導入へ反対を表明し、企業にとって都合の悪い労働者を排除することなどその問題点を指摘している。
 現在規制改革会議から提起されている金銭解決制度は、解雇無効判決が確定した場合に、労働者からのみ申し立てを認めるとしている。判決確定後であれば、政府が掲げる時間的・金銭的なコストの軽減、早期の紛争解決という目的に何ら資するものではない。また、解雇無効の判決が出た場合であれば、労働者は現職復帰を望むことがほとんどであろうから、その時点であえて金銭解決を選択するケースはほとんど想定されない。このように、解雇の金銭解決制度を法制化すべき立法事実は全く存在しない。また、当初の法制化段階で労働者のみの申出を認めたとしても、使用者側の申出を認める制度が、将来的に導入されてしまうおそれは否定できない。
 この間JILPTによる労働局のあっせん、労働審判、訴訟における解決水準に関する事例研究が実施されてきたところであるが、最終的な考察においては、『ある一定の要件を満たす場合にはほぼこの水準で解決する形にはなっていない』と結論づけられており、現状において、合理的かつ画一的な基準を設定すること自体が不可能であるといえる。この点、学者や使用者側の弁護士からも、解雇の金銭解決制度の導入には否定的な意見が相次いでいるところである。
 JILPT菅野和夫理事長が、「現状わが国の雇用終了に関する紛争解決制度は、十分に整備され良く機能しており、解雇の金銭解決の制度は実際的必要性に乏しく、制度化する場合の金銭解決の額の画一的基準は、当事者の納得を得難く、かつ紛争解決制度の良好な機能を疎外しかねない」と指摘しているとおり、金銭解決制度は、極めて弊害が大きいものである。
 日本労働弁護団は、解雇規制を根底から覆し、現状の紛争解決制度の機能をも疎外しかねない解雇の金銭解決制度の法制化に断固反対し、導入阻止のために、多方面と連携して積極的な闘いを実践していくことをここに決意するものである。
2015年11月7日
日本労働弁護団第58回総会   

12.6

強行採決から2年、施行から1年

まだまだあきらめないぞ

秘密保護法廃止へ、500人がデモ


 【愛知】一二月六日、名古屋市、栄の久屋大通公園エンゼル広場で「秘密保護法なんて許さない12・6集会&デモ」が秘密保全法に反対する愛知の会の主催で行われ、五〇〇人の労働者、学生、市民が結集した。この日は、秘密保護法の強行採決から二年、施行から一年を迎えた日であり、廃案にするまで絶対に忘れない、あきらめない、との思いと強い決意をこめて行われた集会とデモであった。

戦争のための
法律許さない
最初に事務局長代行の矢崎暁子弁護士が司会者あいさつを行って集会が始まった。矢崎さんは二年前の悔しさを絶対に忘れず、私たちがあきらめると思ったら大間違いだという声を示していこう、必ず廃案に追い込もうと元気よく発言した。アピールでは、NPO法人情報公開市民センターの内田隆さんが特定秘密指定管理簿の拡大したパネルを見せながら概要も肩書きもすべて非公開にされるという欺瞞性について語った。
若者を代表してDemos
Kratia(デモスクラティア)の村田峻一さんは、「秘密保護法は日本が戦争をできるようにするためのパーツの一つだ。新安保法と一体のものだ」と述べ「秘密保護法は国民全体の口をふさぐというより国家公務員に対して強く統制、管理しようとしている。だが公務員や役所は本来なら国民に情報を公開する責任がある。だからたとえ逮捕されるようなことがあっても逮捕がなんだ!という気持ちであるべきだ」と発言した。
命どぅ宝あいちの喜久山アコさんは沖縄の立場から発言し、元共同通信社記者の山本邦晴さんはかつてマスコミが情報統制され戦争に協力した過去にふれて秘密保護法廃案の決意を述べた。
最後にまとめのあいさつを共同代表の中谷雄二弁護士が行った。中谷さんは、「今あらたに盗聴法の改悪や共謀罪が新設されようとしている。二年前私たちは何に怒っていたのか、それは戦争のできる国に日本が変えられようとしていることに対してだ。私たちはあきらめない、廃案に追い込むまで闘おう」と決意を述べ、参加者全員の拍手を受けて集会を終了した。その後、参加者は栄の街を元気よくコールをあげてデモ行進をおこない、沿道の労働者、市民から大きな注目を受けた。

自衛隊幹部の
逮捕は何を示す
集会の前日には反戦自衛官の小西誠さんがフェイスブックで秘密保護法発動の先取りをともいうべき事件を紹介した。一二月五日付けの朝日新聞報道によると、元東部方面総監四人が、「自衛隊内の教範をロシアに渡した」として自衛隊法の「守秘義務違反」で書類送検されたという。だがこの「教範」は自衛隊内の売店でも売られており、秘密指定もされていない。この出来事は集会の発言でもあったように、国家公務員を統制し管理するためのものであり、そこから表現の自由や知る権利が破壊されていくものなのだということが示されている。闘いのさらなる拡大が求められている。名古屋では一二月一九日に安倍内閣の暴走を止めよう集会・デモが準備されている。定例街宣も連続で行われている。闘いのさらなる飛躍をめざし、戦争、改憲を許さない闘いを名古屋の地から構築していこう。      (越中)


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