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    かけはし2016.年2月1日号

係争委の決定に不服


沖縄報告

沖縄県が国を提訴する方針

沖縄 K・S


 二〇一六年一月一九日、翁長県知事は、県庁で記者会見を開き、昨年一二月の国地方係争処理委員会決定を不服として、国を相手取って福岡高裁那覇支部に裁判を起こすことを明らかにした。埋め立て承認を取り消した沖縄県を国が訴えた「代執行裁判」、国の執行停止決定は違法だと県が国を訴えた「抗告訴訟」に続き、三番目の裁判となる。一部メディアは第三者を気取って「国と県の裁判合戦」と報じているが、国家権力と沖縄地方行政権力との妥協のないギリギリの闘いの反映なのであり、沖縄の闘う民意の強固さの証明なのである。
 翁長知事はかねてから「あらゆる手段を使って辺野古新基地を阻止する」と述べてきた。辺野古NO!の闘いは、現地での非暴力抵抗闘争の大衆的貫徹を基軸にすえて、県行政、県議会と各市町村議会、島ぐるみをはじめ地域の運動、法曹界・環境問題の専門家など各界各層の取り組み、辺野古基金、本土の土砂を辺野古へ運ばせない運動をはじめ日本本土との連携、アメリカおよび国際社会への訴えなど、闘いに勝利するためのあらゆる可能性を追求してきた。
 われわれは裁判闘争を軽視しない。裁判は大きな政治的焦点となり、全国・全世界から注目を浴びる場となる。沖縄の主張と国の主張が並んで白日の下にさらされ、沖縄の正当性が広がっていくきっかけになる。そして裁判ははじめから敗訴が決まっているわけでもない。
 今「三権分立」は絵に描いた餅で、司法は最高裁をはじめ人事権などを通じて行政に従属しているが、判決は力関係を反映したものになりうる。辺野古新基地反対の闘う民意の闘争戦線と日米両政府の力関係がすべてを決める。あきらめない。屈しない。
 攻防の始まりは昨年一〇月一三日の翁長知事による埋め立て承認取り消しだった。これによって、日本政府による辺野古新基地建設のための工事は法的な根拠がなくなり、違法工事となった。つまり工事を強行することは犯罪となったのだ。三つの裁判についてまとめてみよう。

 代執行訴訟

 日本政府は一〇月二八日、国交相が翁長知事の埋め立て承認取り消しの効力を無効にする執行停止を行ない、翌日ボーリング調査を再開すると共に、一一月一七日福岡高裁那覇支部に翁長知事の権限を奪う「代執行訴訟」を提訴した。この裁判は一二月二日の第一回口頭弁論、一月八日の第二回口頭弁論を経て、一月二九日に第三回口頭弁論が開かれる。国が原告、県が被告である。
過去二回の裁判を通じて沖縄県は埋め立て承認取り消しの正当性を全面的かつ詳細に述べた。翁長知事は第一回口頭弁論で次のように意見陳述した。
「沖縄が米軍に自ら土地を提供したことは一度もありません。そして戦後七〇年、あろうことか、今度は日本政府によって、海上での銃剣とブルドーザーをほうふつとさせる行為で美しい海を埋め立て、私たちの自己決定権の及ばない国有地となり、そして普天間基地にはない軍港機能や弾薬庫が加わり、機能強化され、耐用年数二〇〇年ともいわれる基地が造られようとしています。今沖縄には日本国憲法が適用され、昨年のすべての選挙で辺野古新基地反対の民意が出たにもかかわらず、政府は建設を強行しようとしています。米軍基地に関してだけは、米施政権下と何ら変わりありません」。
「沖縄の将来あるべき姿は、万国津梁の精神を発揮し、日本とアジアの架橋となること、ゆくゆくはアジア太平洋地域の平和の緩衝地帯となること。そのことこそ、私の願いであります」。

 抗告訴訟

 日本政府は昨年一〇月二八日、個人や民間に対する不利益な行政処分からの救済を目的とした行政不服審査制度を悪用し、同じ穴の二匹のムジナ、沖縄防衛局の提起を国交相が認めて、翁長知事の埋め立て承認取消しの効力を無効にする執行停止を行った。
この国交相の執行停止は違法だとして、沖縄県は昨年一二月二五日、国交相の執行停止の取り消しを求める「抗告訴訟」を那覇地裁に提訴すると共に、執行停止決定の執行停止を求める申立をした。県が原告、国が被告である。
翁長知事は記者会見で次のように述べた。
「本件の訴えは、国土交通大臣による執行停止決定の効力を失わせることにより、沖縄防衛局が行う埋め立て工事を止める上で有効な方法だと考えている」。
「あらゆる手法を尽くして新辺野古基地は造らせないという意味では、可能性のあるものは全部やっていくということに抗告訴訟の提起をした」。
「継続していく裁判の法廷闘争は裁判のあるべき結論も大切だが、それをやることによって多くの国民や県民がこのことについて理解して頂く、それを共有して頂く中に、この問題は必ず私たちの思いと一緒になって解決していくものだと思っている」。

係争委員会
決定不服訴訟
国地方係争処理委員会は昨年一二月二四日、沖縄県が申し立てた国交相の執行停止の違法性に関する審査に対し、委員の多数決で「国交相の判断は一見不合理であるとはいえず」「審査対象に該当せず」として、却下した。それに対し翁長知事は、「執行停止の違法性について実質的な審査を一切行なうことなく却下した。国地方係争処理委員会の存在意義を自ら否定しかねずまことに遺憾」と述べていた。地方自治法は、係争委の審査結果に不服があれば高裁に提訴できると定めている。
今回の提訴方針の記者会見で翁長知事は次のように述べ、日本政府と闘う不退転の決意を明らかにした。
「私たちからすると菅官房長官は法治国家というが、今はすれすれの法治国家」
「国と地方のあり方をしっかり捉えないと将来に禍根を残すし、けじめをつけるのが正しいと思っている」
「県民に寄り添って進めていくということをずっと政府は言っているが、そういうものが見えてこない」
訴状の提出は、期限とされる二月三日直前になるとのことだ。

1.8

代執行裁判提訴を取り下げろ

辺野古埋め立てを認めない

衆院議員会館前で抗議の声

 一月八日午後六時半から衆議院第二議員会館前で「安倍政権は即刻代執行裁判の提訴を取り下げろ、国の代執行を許すな、埋め立て反対」行動が、沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックの呼びかけで行われ、二五〇人が集った。
 安倍政権は辺野古埋め立て承認を沖縄県が取り消したのは「違法」として県を提訴、代執行判決を求める裁判を起こした。一月八日には代執行裁判の第二回公判が行われた。

基地の過重負担と
自然破壊が論点
一坪反戦地主会関東ブロックの吉田さんが経過と沖縄の人々と闘うと主催者あいさつを行った後、閉廷後の福岡高裁那覇支部前から加藤裕さん(沖縄県の弁護団)が第二回公判の模様を電話で報告した。
「県側の弁護団は六人だが、国は一〇〇人だ。公判前の集会には八〇〇人が集り知事も参加し、『ぶれることなく闘う。必ず勝利する』と決意表明した。承認取り消しについて、二つの点が争点だ。一つ目は基地の過重負担が認められるのかどうか。二つ目は辺野古・大浦湾の自然環境の破壊問題。@について。抑止力は他の海兵隊と一体でなければならない。沖縄の基地は地政学的に重要だ、と国は主張する。日本の周辺にも海兵隊基地はあるがなぜ沖縄でなければならないのか、この点について明確な答弁ができていない。もし、沖縄でなければならないのなら、未来永劫に基地は続くことになってしまう。Aについて。やれることはやると国は言うが、基地建設がどのような影響があるのか具体的に示さない」。
「裁判長は代執行の条件を充足しているのか国に聞いている。国と地方自治体は対等の原則になっている。それからすると国は自治体と十分な協議をすることが必要だ。どうしても違法であると十分に協議をやりきったのか。しかし、今回協議することはなく訴訟を起こしている。それも代執行という最終手段を求めている。国は次回に釈明するとしている。国は証人調べも必要がなく、すぐに審理を打ち切り終結すべきという立場だ。弁護団は今後証人尋問を求めていく。次回は一月二九日午後二時から。証人尋問の判断をする」。

これは沖縄だけ
の問題ではない
「知事、弁護団、県民と共に闘おう。これは沖縄だけの問題ではない。人権・民主主義・地方自治の問題だ。共にがんばろう」。
続いて、赤嶺政賢さん(沖縄選出衆院議員、共産党)が「翁長知事は@法廷闘争Aゲート前の闘いB一月宜野湾市長選、六月県議選、七月参院選のすべてで勝利し沖縄の民意を示す、と方針を立てている」ことを明らかにし、連帯のアピールを行った。次に高田健さん(総がかり行動)は、市民連合を結成したことを報告し、「市民連合は来る参院選で野党統一候補を応援するにあたって、辺野古新基地建設に反対することを推薦の条件としている。三二の一人区のうち統一候補が決まっているのは熊本だけ。決して容易ではないが戦争法廃止・憲法改悪阻止のためにがんばる。二月二一日辺野古基地建設反対で国会大包囲行動を行う」と語った。

救急車を呼ぶ
回数が増える
辺野古現地報告を二つの団体が行った。東京東部集会実行委の仲間は「一二月一一日〜一四日まで九人でゲート前行動に参加したこと」を報告した。辺野古リレーの仲間は「年末年始に辺野古に行ったがゲート前行動は工事が休止なのでやってはいなかったがテントに通っていた仲間が名護署に勾留されていたので激励行動を行った。その後釈放された。機動隊の暴力がひどく、肋骨を折ったり、首を絞められたりしている。救急車を呼ぶ回数が増えている。元日には辺野古の浜に七〇〇人が集り、手を繋いでつながり団結を強める感動的な出会いがあった」と熱く語った。
その他、花輪さん(環境アセス)と島袋さん(沖縄出身者)がそれぞれ辺野古新基地建設のでたらめさを暴き、米軍基地のひどさを糾弾した。最後に中村さん(辺野古実)が「一昨年の八月にはボーリング調査は終わっているハズなのにまだ終わっていないし、本体工事も始まっていない。追いつめられているのは安倍政権だ。辺野古の海を埋め立てるな!緊急デモ、一月二四日午後二時新宿アルタ前集合・三時デモ出発」への参加を訴えた。(M)


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