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    かけはし2016.年2月8日号

強まる攻撃はねかえせ


沖縄報告

宜野湾市長選挙とその後の1週間

「普天間基地即時撤去」と争点はずし

沖縄 K・S


 投票率の上昇は宜野湾市長選挙に対する宜野湾市民の関心の高さを示す。投票の五日前に実施された宜野湾市民に対する琉球新報系メディアのアンケート(以下同じ)によると、もっとも重視する分野として普天間基地の問題をあげたのは五五・四%にのぼった。今回の選挙での宜野湾市民の最大関心事は、市のど真ん中に位置し市の発展を妨げ市民の生活をおびやかしている普天間基地をなくしてしまうことだった。市民は政治的無関心に陥っているのではない。政治的に活性化していることを示した。
 普天間基地の閉鎖・撤去の方法としては、無条件の閉鎖、国外・県外を合わせて七四・四%、辺野古と県内を合わせて一四・三%であった。翁長知事の姿勢に対する評価は、支持・どちらかと言えば支持を合わせて六一・八%、不支持・どちらかと言えば不支持が二〇%だった。すなわち、宜野湾市民の圧倒的多数の意思は普天間基地の閉鎖・撤去、辺野古新基地反対、翁長知事支持なのである。
 ではどうして、政府自民党の後押しを受けた現職が当選したのか?佐喜真陣営の選挙キャンペーンは辺野古の争点はずしで徹底しており、辺野古新基地への態度を一切明らかにしなかった。「普天間の危険性除去」の一点張り、「フェンスを取っ払う」「固定化阻止のために日本政府と闘う」とまで言った。そのため「辺野古移設」に反対する志村候補の「普天間基地の無条件の閉鎖・撤去」との違いがあいまいな印象を与えることになってしまった。
 すると強みを発揮するのは現職である。佐喜真に投票した市民が期待したのは佐喜真が叫び続けたこの言葉、このキャンペーンであり、決して「辺野古移設」を容認したものではないし、ましてや日本政府の辺野古新基地建設強行に支持を与えたものでもない。朝日新聞の出口調査で、佐喜真に投票した人の中で「市民としては普天間固定化阻止、県民としては辺野古移設反対」と答えた人がいたというが、今回の選挙の性格をよく表わしている。
 しかし結局、佐喜真は普天間基地の固定化阻止のために何もできない、何もしない、日本政府とも闘わないことは明らかだ。佐喜真に対する期待は幻想であり、幻滅に終わるだろう。
 島尻は「普天間の一日も早い危険性の除去と全面返還を求める声が、辺野古移設に反対する声に勝った」と言っているが、そうではないことが七月参議院選挙で明らかになるだろう。

矢継ぎ早に進められる
米軍基地と自衛隊の強化

 現職の再選という結果に終わった宜野湾市長選挙ののち、日米両政府はあからさまに沖縄に対する攻撃を仕掛けてきている。
選挙前「安全保障問題は一地域の選挙で左右されるものではない」(安倍首相)と言っていた日本政府は、選挙結果を捻じ曲げて、オール沖縄という言葉が「実態とはかけ離れている」(菅官房長官)、「知事が民意を大切にするなら、現実的な解決方法として辺野古移設も選択肢に加えてほしい」(島尻沖縄担当相)などと、辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議や翁長知事を露骨に批判しはじめた。
日本政府は一月二六日の閣議で、防衛省組織令を改正し、辺野古新基地建設作業を加速させるために、防衛省に辺野古専属の三つの幹部ポストを新設し、人員も九人増やすことを決定した。二月上旬にも人事を発令するという。
また、防衛省は一月二六日、一月三一日付けで第八三航空隊が駐屯する航空自衛隊那覇基地に、築城基地(福岡県)からF15戦闘機二〇機を移動し、第九航空団としてF15戦闘機四〇機体制にすると発表した。人員は三〇〇人増える。「南西諸島の防空体制の強化」のためだと言う。
滑走路一本で軍民共用の那覇空港は現在すでにパンク寸前である。二〇一三年度の離着陸回数は全国四位の一四万八〇〇〇回、一日当たりの離着陸は四〇〇回以上。F15戦闘機二〇機から四〇機への増強でさらに軍事の比重が強まり、危険性も高まる。日本政府は沖縄を軍事的利用価値の観点からしか見ていない。基地の負担軽減どころか、逆にいっそうの軍事負担の押し付けを進めている。
一月二六日、米軍揚陸艇LCU二〇〇〇が二隻、はじめて伊江島の民間港・伊江港に入港した。伊江島補助飛行場での訓練のための人員・物資の輸送だ。以前は民間の運搬船をチャーターしており、米軍艦船が伊江島に入港するのは初めてだという。海兵隊基地キャンプ・ハンセンからの米海兵隊員は軍服に大型リュック姿で民間フェリーに乗船し、島に上陸したあと道路を行軍し訓練場に入った。伊江島に上陸した米兵は二六、二七日の二日間で一六〇人にのぼる。
嘉手納基地には外来機の飛来が相次いでいる。一月二五、二六日には米本国のステルス戦闘機F22ラプター一四機が事前通告なしに飛来、二七日には米アラスカ州から迷彩を施したF16戦闘機一二機も飛来した。嘉手納基地にはそのほか、FA18ホーネット戦闘攻撃機、AV8Bハリアー垂直離着陸機が飛来してきており、外来機の合計は約四〇機にのぼる。  
また米軍は一月二八日、沖縄防衛局がボーリング調査中の辺野古沖の海上で、強襲揚陸艦ボノムリシャールとオスプレイおよび水陸両用車の実戦訓練を実施した。こうして、軍事基地の島・沖縄の日米安保体制下の米軍・自衛隊の強化再編が急速に進行している。

コンクリートブロックと
共に座り込む新戦術

 宜野湾市長選挙の結果に辺野古の現場は意気消沈していない。キャンプ・シュワーブの旧ゲート、通称資材搬入ゲート前では、一月二二日からコンクリートブロックをゲート前に積み上げ、共に座り込む新戦術が始まった。はじめは二〇〇個だったが、だんだんと数が増えて行き、一月二八日(木)の段階で一四〇〇個になった。ゲート前に積み上げると壮観だ。山のようなコンクリートブロックは辺野古NO! の闘う民意である。
工事は絶対に止める!
一台の工事車両も一人の作業員も基地内に入れない!
防衛局の職員数人が「ブロックを積まないで下さい」と基地の中からマイクで叫ぶのを無視して、われわれは整然とブロックを積み上げる。警察機動隊は第1ゲートの装甲車両の中で待機している。工事車両を通すため、座り込みが手薄になった頃合を見計らって、機動隊がゲート前に移動してきて座り込みの排除を始める。人々を排除したあと、ブロックの排除にかかる。ブロックの数が増えれば増えるほど、排除に時間がかかる。
ブロックを完全に別の場所に移してから、工事車両を入れ、機動隊はまた基地内の装甲車両に戻る。われわれはまた、ブロックをゲート前に積み上げる。そしてブロックの前と上に座り込む。
一月二七、二八日の水木集中行動日は、それぞれ三〇〇人、四五〇人が結集した。両日ともに午後一度だけ、機動隊が投入され、それぞれ砂利を積んだトラック二台を基地内に進入させたのみだ。実質的に工事はできていない。
このコンクリートブロック戦術は大きな反響を呼んでいる。日本各地から、絵を描いたり「PEACE」「大浦湾を守ろう」などと書いたブロックがゲート前に宅配されてくる。先日辺野古現場を訪れた韓国の子供たちは小遣いを出し合ってブロック一五個をカンパした。こうして、人々の共感を得て、ゲート前のブロックはますます増え、二〇〇〇個、三〇〇〇個となり、闘う人々と共に、キャンプ・シュワーブのゲートを完全に埋め尽くすに違いない。(1月29日)

 

宜野湾市長選挙の結果

今回<2016.1.24投票>   前回<2012.2.12投票>
志村恵一郎 21,811     伊波洋一 21,712
(オール沖縄候補)      (社大、社民、共産支持)
佐喜真淳  27,668     佐喜真淳 22,612
有権者数  72,526人    有権者数 69,926人  
投票総数  49,839人    投票総数 44,686人
投票率   68.72%     投票率  63.90%


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