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    かけはし2016.年3月21日号

高浜原発の運転差し止め!


3.9

大津地裁で画期的な仮処分決定

関電・安倍政権に大打撃

再稼働ラッシュにストップかけよう

新規制基準に
きびしい判断


 三月九日、この一〜二月に再稼働が強行されたばかりの関西電力高浜原発3、4号機の運転を差し止めるという画期的な仮処分決定が行われた。現に稼働していた高浜3号機についても大津地裁の山本善彦裁判長が、高浜原発に近い滋賀県の住民二九人による再稼働停止の訴えをほぼ全面的に認めたのである。運転差し止めの決定要旨は以下のようなものだ。
 「原子炉施設の安全性に関する資料の多くは電力会社が保持し、関係法規に従って原発を運転している。それに照らせば高浜原発3、4号機が安全だと判断する根拠や資料などは関西電力が明らかにすべきだ」。
 「福島第一原発事故の原因究明は建屋内での調査が進んでおらず、同様の事故を起こさないという見地から対策を講じるには徹底した原因究明が不可欠。この点についての関電の主張と立証は不十分。こうした姿勢が原子力規制委員会の姿勢であるなら、そもそも新規制基準策定に向かう姿勢に非常に不安を覚える。新規制基準と各原発の設置変更許可が直ちに公共の安寧の基礎になると考えることをためらわざるを得ない。関電の緊急時対応策が新規制基準以降になって設置されたかどうかは不明だ」。
 「関電は海底をふくむ原発周辺を徹底的に調査したわけではない。『過去に若狭湾で大規模な津波が発生したとは考えられない』と関電は主張するが、一五八六年の天正地震に関する古文書に、若狭に大津波が押し寄せて多くの人が死亡したとする記載がある。海岸から五〇〇メートルほど内陸で、津波堆積物を発見したとする報告もある」。
 「原発で事故が起きれば、圧倒的な範囲に影響が広がり、その避難に大きな混乱が生じたことが福島の事故で確認された。国主導の具体的な避難計画が策定されることが必要で、避難計画を視野に入れた幅広い規制基準を策定すべき信義則上の義務が国にある」。
 「関電には『事故発生時の責任は誰が負うのか』について明瞭にするとともに、新規制基準を満たせば十分とするだけでなく、避難計画を含んだ対策にも意を払う必要がある。その点に不合理な点がないかを立証する必要があるが、関電は尽くしていない」。

安全立証責任は
関電側にある

 こうして今回の大津地裁判決は、「安全性」を語る関電の側の立証責任を具体的に求め、規制委員会の「新規制基準」策定の姿勢に強い疑問を投げかけている、という点で大きな意義を持っている。この意味で、二〇一四年五月の福井地裁樋口英明裁判長の大飯原発3、4号機運転差し止め決定に次いで、福島第一原発事故以後の再稼働推進路線に対する司法の場での大きな前進と見なされるべきだ。
とりわけ今回の判決を出した大津地裁山本裁判長が、二〇一四年一一月には住民が申し立てた大飯3、4号機、高浜3、4号機の再稼働禁止申し立てを「原子力規制委員会がいたずらに早急に、新規制基準に適合すると判断して再稼働を容認するとは、到底考えがたい」として却下したことを考えれば、この間の原発再稼働阻止の住民運動、市民運動の中で、規制委員会が事実上「再稼働」推進委員会となっていることへの説得力を持った批判が強まっていることが、山本裁判長の姿勢の変化の中に反映されていると見るべきだろう。

居直り許さず
全原発廃炉を


原子力規制委員会はさる二月二四日の定例会合で、運転開始から四〇年を超えた関電高浜1、2号機が新規制基準に適合しているとする審査書案を了承し、老朽原発としては初の「合格」とした。
さらに高浜原発4号機は二月二〇日に、二六日からの再稼働を前にして原子炉補助建屋で放射性物質を含む水漏れを事故を起こしていたが、二六日には予定通り再稼働を強行した。しかし再稼働から四日後の二月二九日には、発電・送電を始めた直後に変圧器周辺のトラブルによって緊急停止するという事態が発生した。豊松秀己関西電力副社長、原子力規制庁検査官、福井県、高浜町の担当者が現場で見守る中での緊急停止だった。
昨年以来、川内、高浜を皮切りに再稼働ラッシュが続いている。これは原発を戦略的輸出産業として「アベノミクス」の重要な柱に育て上げようとする安倍政権の国策であるとともに、電力産業の生き残りをかけて経営上の観点からも原発再稼働を早急に進めていくことが不可欠だからである。
その意味で、空前の事故から五年経った福島で「復興・帰還」をスローガンに、住民の健康被害を顧みず、被害の補償を打ち切る政策が進められていることと、原発再稼働・輸出の路線は一体のものである。
田中俊一原子力規制委員長は、この大津地裁判決に対して「新基準に瑕疵はない」と動揺を隠しつつ居直り、菅義緯官房長官は三月九日の記者会見で「世界最高水準の新規制基準に適合すると判断されたもので、再稼働を進める方針に変わりはない」と語っている。いまこそ福島の被災者たちとともに、安倍政権の原発再稼働・輸出拡大方針に正面から立ち向かい、伊方をはじめとして今後も続く再稼働ラッシュを止める行動を!        (K)

声明

大津地裁3、4号機運転禁止仮処分
申立事件申立人団、弁護団一同

2012年3月9日

 本日、大津地裁は、関西電力高浜原発3、4号機の運転を禁止する画期的な仮処分決定をした。高浜原発3,4号機は、既に原子力規制委員会の設置変更許可その他再稼働に必要な手続を済ませ、4号機はトラブルによって停止中であるが、3号機は、現に営業運転中である。現に運転中の原発に対して運転を禁止する仮処分決定が出されるのは史上初めてである。そして、関西電力株式会社は、この仮処分決定によって、4号機を起動させることができなくなっただけでなく、3号機の運転を停止しなければならなくなった。
 福島第一原発事故は膨大な人々に筆舌に尽くしがたい苦痛を与えたが、それでも事故の規模は奇跡的に小さくて済んだ。最悪の事態を辿れば、日本という国家は崩壊しかねなかったのである。大多数の市民が、電力需要が賄える限り、可能な限り原発依存をなくしたいと考えたのは当然であった。そして、その後の時間の経過は、原発が1ワットの電気を発電しなくても、この国の電力供給に何ら支障がないことを明らかにした。もはや、速やかに原発ゼロを実現することは市民の大多数の意思である。
 しかるに、政府は、着々と原発復帰路線を強めてきた。まだ、福島第一原発事故の原因すら判っておらず、一〇万人もの人が避難生活を続けているのにもかかわらずである。
 そして、原発復帰路線の象徴が高浜3、4号機である。ここでは、危険なプルサーマル発電が行われている。もし高浜原発で過酷事故が生じれば、近畿1400万人の水甕である琵琶湖が汚染され、日本人の誇りである千年の都京都を放棄しなければならない事態すら想定される。市民がこの政治の暴走を止めるためには、司法の力に依拠するしかなかった。そして、本日、大津地裁は、福島原発事故の原因を津波と決めつけ再稼働に邁進しようとする関西電力の姿勢に疑問を示し、避難計画を審査しない新規制基準の合理性を否定し、避難計画を基準に取り込むことは国家の「信義上の義務」であると明確に述べるなど、公平、冷静に賢明な判断を下した。市民は、今晩から、いつ大地震が高浜原発を襲うか、いつ高浜原発がテロの対象になるかと脅えなければならない生活から解放される。担当した裁判官3名(山本善彦裁判長、小川紀代子裁判官、平瀬弘子裁判官)に対し、深い敬意を表する次第である。
 関西電力に対しては、仮処分異議や執行停止の申立てをすることなく、直ちに高浜3号機の運転を停止させることを求める。関西電力をはじめとする原子力事業者に対しては、目先の利益にとらわれることなく、この美しい国土をこれ以上汚染することなく将来の世代に残していくために、もう一度、営業政策を見直すことを求める。私たちは、既に、将来の世代に対して、高レベル放射性廃棄物の一〇万年もの保管という負担を押し付けている。これ以上、負担を増やしてはならない。そして、原子力規制委員会は、今回の決定の趣旨を真摯に受け止め、新規制基準の見直し作業に着手すべきである。また、政府は、2030年に原発による発電を二〇〜二二%とする等という現行のエネルギー政策を根本から見直して、原発ゼロ政策に舵を切るべきである。
以上

3.13

さよなら原発関西アクション

高浜原発再稼働NO

もんじゅを廃炉に

 【大阪】さよなら原発関西アクション実行委員会主催の集会が三月一三日、大阪市中央公会堂で開かれ、プレ企画として、コンサート・女の広場・子どもひろば・チャリティーバザーと喫茶などが公会堂周辺で催された。一三〇〇人の市民が参加した。
 本集会では、池島芙紀子さん(ストップ・ザ・もんじゅ)が開会のあいさつをした。
 四人のゲストのはじめに登壇した武藤類子さんは、『原発事故は終わらない 六年目のフクシマ』と題してフクシマの現状を話した。

「放射能安全
神話」が横行
「一日七〇〇〇人の作業員が劣悪な環境のもとで原発周辺や除染のために働いている。第一原発の排気筒にはいくつかの箇所にひび割れが入っていて、倒壊の危険がある。汚染水は相変わらず垂れ流されている。東電が初期段階での工事費用一〇〇〇億円を惜しんだため、現在は凍土壁工事がされているが、これは国の予算で行われており、東電はカネを出していない。東電は最近になって、原発がメルトダウンしていたと認めているが、はじめから知った上で隠していたのではないか。フレコンバッグは、ドラム缶に入れられることなく野ざらしにされている。除染を受注している大手企業はそれで儲けている。一基五〇〇億円もする仮設焼却炉があちこちに建設されているが、これは三菱・石川島播磨・日立が受注している。焼却が終われば、焼却炉は放射性廃棄物となる。帰還政策が進められ、住宅の無償支援は打ち切られる。年間一ミリシーベルトの安全基準は二〇ミリシーベルトに上げられたままだ。一六六人に甲状腺癌かその疑いがある。福島県環境創造センターがつくられ、新たな安全神話がまき散らされ、国道六号線の清掃に高校生がボランティアとして狩り出されている。普通の裁判は東電や国の責任を問わなかったのに対し、検察審査会が勝俣元会長など東電元幹部を強制起訴し、ようやく市民の代表による裁判が始まる。公正な裁判を求める。この訴訟のために訴訟支援団をつくった、是非参加してほしい。今福島では、原発安全神話ではなく放射能安全神話がつくり出されている。原発という負の遺産を残させないために、あきらめない」。
続いて、広瀬隆さんが『日本の破滅を防ぐ』と題して講演した。

電力自由化に
どう対処する
「全国で、原発再稼働に反対する動きはとどまるところを知らない。川内原発一・二号機は鹿児島県民の圧倒的反対にもかかわらず再稼働された。伊方原発三号機でも愛媛県民の六九・三%が反対しているにもかかわらず、県議会と知事は再稼働にゴーサインを出した。高浜原発三・四号機の再稼働を巡る裁判では、運転差し止めの仮処分決定がされたにもかかわらず、御用裁判長により再稼働容認の判決が出た。この国は、首相を初めとしてとんでもない人間たちが動かしている。このような人間集団に対して打つ手はないのか。甘利大臣が五〇万円もらったとかが問題になったが、高浜原発再稼働が問題になっていたとき、マスコミは電力九社から甘利にわたったワイロが一〇〇〇万円に及んでいることをなぜ追及しなかったのか。
四月から一般家庭も含め電力完全自由化になる。日本に住む人間の七割以上が原発を拒否している。日本には西欧諸国と違い住民投票制度がない。しかし、電力完全自由化は、国民的な住民投票に変わりうる。二〇一五年一一月一日時点で、九州電力から新電力に切り替えた九州内の企業や自治体が七六二八件にのぼり、電力量は再稼働した川内原発の一・二基分に相当する。電気料再値上げで墓穴を掘った北海道電力も急速に得意先を失いつつある。強引に再稼働を進めてきた関電は、電気料金を三割も値上げし、そのため電力供給契約を打ち切った企業・自治体は五三七五件にのぼる(二〇一二年はわずか六一件だった)。この傾向は東電でも同じだ。電力会社の電力販売の四割が家庭用だが、利益の七割は家庭からのものだ。つまり、企業には安く売って家庭には高く売っていたわけだ。家庭の六四%が新電力に契約変更すれば、九電力会社はやっていけなくなる。
新電力とは、東京ガス、大阪ガス東邦ガス、JX日鉱日石などだ。電力ブローカーと契約してはいけない、この点は間違えないように。発電施設を持っている新電力を選ぶこと。完全に原発ゼロの時期が二年あった。その時の電力の八七・八%は火力だった。水力が九%、自然エネルギーは三・二%だった。ピーク時の電力も減った。それは自家発電が二四・五%も増えたからだ。これは原発八一基分に相当する。火力発電は、コンバインドサイクルという熱効率が非常にいいシステムでメタンガスを燃焼する。石炭火力でも、日本の場合はクリーンコヘルシステムを使っている。ただ、電力自由化とは、電源を選ぶ自由化ではないということを間違えないように。
川内原発は必ず事故を起こす。川内原発・玄海原発・伊方原発・高浜原発の過酷事故は、日本を全滅させる。なぜなら、台風の進路にそって放射能雲が移動するからだ。また、海の汚染水は、日本海では対馬海流、太平洋側では黒潮で運ばれる。福島原発事故時の米空母の被曝を見ればよくわかる。二〇一一年と二〇一三年を比べると、急性白血病や骨髄異形成症候群の患者数は二・二倍になっている(順天堂大学病院の資料)。首都圏の病院でも、同様の傾向が出ている。とにかく、電力九社から新電力に契約を変更して、九電力会社を潰そう!」。
講演につづいて、福島から和歌山に避難している蛯名さん親子による三味線・三線のよる民謡のライブがあった。蛯名さんたちは、福島の子を和歌山に毎年招いているという。
ゲストの最後は、中嶌哲演さんの代わりにアピールをした宮下正一さん(原子力発電に反対する福井県民会議)だった。

御堂筋デモで
「原発なくせ!」
宮下さんは、若狭に次々と原発が建設されて原発銀座になっていく頃、もんじゅだけは止めたいと思った。あの原子力規制委員会ですら日本原子力研究開発機構では話にならないと、もんじゅの運営主体変更勧告を出した。県民会議は、この件で昨年末に告訴団を結成し、規制委員会を訴えて(規制委員会は文科省や経産省が逃げるようなことをさせるなという意味もある)東京地裁に提訴した。三月二三日に第一回口頭弁論が行われる。この訴訟を支えるため、もんじゅに関する市民対策委員会をつくった(文科省の対策委員会に対抗したもので、小林圭二さんが科学者代表)。とにかくがんばるしかない。三月大津地裁での高浜原発三、四号機運転差し止め仮処分決定はうれしかった。この判決を守らせる闘いをしなければいけない。
このあと集会決議。子どもによる御輿と歌(手のひらを太陽に)の演技、登壇した関係者全員と参加者全員でウイ・シャル・オーバーカムの合唱をして閉会した。集会後、参加者はなんばまで御堂筋をデモ行進した。     (T・T)



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