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    かけはし2016.年3月21日号

政府は「是正の指示」を撤回し
誠意をもって協議の場につけ!



沖縄報告 3月12日

沖縄 K・S

3.7

政府が県に対し「是正の指示」
協議も始まっていないのに、「粛々と」手続き

 翁長知事と安倍が会談し国と県との「和解」を発表したのは三月四日の金曜日だった。週明けの月曜日の七日、国は、国土交通相が沖縄県に対し埋め立て承認取り消しを取り消すよう「是正の指示」を出した。「和解条項」にある「是正の指示」「国地方係争処理委員会への提訴」「是正の指示をめぐる裁判」「判決の確定」というのは問題解決の法的手続き上のプロセスを述べたに過ぎない。「和解条項」はあくまで「円満解決に向けた協議」をうたっていたはずである。政府は沖縄県との協議を始めもしないうちに、辺野古新基地建設の手続きを早く進めるための強行策にうって出たのだ。
翁長知事は記者団に「こういうやり方はたいへん残念だ」と述べた。
安倍のやり方は卑劣だ。三日前に「話し合いを進める」と言って翁長知事と握手していたその手を拳にして振り下ろしてきたわけだ。われわれは驚きも落胆もしない。予期されたことだから。われわれが相手にしている国家権力の中枢にいる人々の誠実さのなさ、徹底的に沖縄の声を無視する強権性に対する認識を再確認するのみである。
国交省の「是正の指示」は八日午後県庁に届いた。翁長知事は、国地方係争処理委員会に審査を申し出ると述べた。係争委への審査申し出の期限について、地方自治法では三〇日以内とされているが、和解条項では一週間以内とされた。したがって三月一五日以降には係争委での議論に移ることになる。係争委は九〇日以内に審査結果を出す規定になっているので、遅くても六月一五日までに係争委の結論が出ると予想される。

翁長知事が県議会で表明
「県敗訴でも権限行使し基地建設阻止」


五人の審査委員による係争委の結論がどういうものになるかはまだ分からない。国の言い分を認めるか、県の言い分を認めるか、どちらの結論が出ても、その後の裁判での争いは避けられない。高裁での裁判は、沖縄県が国交相の「是正の指示」の取り消しと翁長知事の承認取り消しの正当性を求めるものとなるだろう。
まず高裁判決が下り、高裁判決に不服で上告の場合、最高裁での判決で確定判決となる。翁長知事は、県議会定例本会議で、和解条項のおよぶ範囲について「裁判所の判決には行政として従うと話したが、埋め立て承認取り消しに伴なう二件の訴訟」だと明言した。二件の訴訟とは、国が知事の埋め立て承認取り消しの取り消しを求めた代執行裁判と係争委の却下決定に県が不服を申し立てた裁判である。
和解条項に基づく手続きに示された確定判決がたとえ「国勝訴」「県敗訴」となった場合でも、翁長知事は、「今後、設計変更などいろいろあるが、法令に従い適正に判断する。今日までの(新基地反対の)姿勢を持ちつつ対処していきたい」と述べ、今後も知事権限を行使して新基地を造らせない姿勢を明確にした。
知事が言及した「設計変更」は埋め立て工事には不可避だ。岩国基地の場合は八回あったという。設計変更に知事の承認がなければ工事をすすめることができない。美謝川の水路切り替えや辺野古漁港周辺の埋め立てで名護市の許可を得る見込みは立たず、県知事の承認も得られないとすると工事は頓挫する。埋め立てはできない。政府は辺野古埋め立てのために二〇一四年度までに約九〇〇億円をすでに契約、二〇一五年度予算で約一七三六億円を計上しているが、新基地が頓挫しこれまでに投入した金がすべて無駄になるとすれば、それは全面的に沖縄の強い反対を押し切って新基地建設を強行してきた安倍政権の責任である。

和解により海上工事は止まった!

 和解により海上ボーリング調査は止まった。資材搬入用ゲートからのトラックや作業員の出入もない。中谷防衛相は「現場での作業はすべて止めた」と述べた。本当にそうか。現場では、困難な闘いの末に勝ち取った「工事中止」の成果を喜ぶと共に、本当に工事が完全に止まっているかを確認しながら、「完全な工事中止」に向けた取り組みを進めようとしている。
海上の工事現場はどうなっているか。三月九日、工事現場の様子を確認するため、われわれは抗議船に乗って大浦湾の現場に向かった。臨時制限区域の付近にカヌー隊や抗議船の立ち入りを阻止するために設置された二重のフロートをやすやすと乗り越え、制限区域の中に入っていく。いつもなら海上保安庁の乱暴な阻止行動があるところ、海保の姿はない。工事が止まっていることを実感する。沖縄防衛局に雇われた警備員であるマリン・セキュリティの船が近づき、「臨時制限区域に入らないで下さい、出て行って下さい」とマイクで叫び続け、ビデオを回し写真を撮るだけだ。作業員の姿も見えず、機械類も作動していないところを見れば、海上工事は本当に行なわれていないようだ。海上保安庁のボートを泊めていた浮桟橋も片付けられている。
大型の工事台船とコンクリートブロックを積んだ台船が合わせて三台、海域に停泊している。長島付近には、最後の二三番目のボーリング調査が途中であることを示すガイド棒が差し込まれたままである。フロートの中外に防衛局の警戒船がいるが、以前に比べて船の数は目に見えて減った。

フロートも工事台船も撤退せよ!
コンクリートプラントの建設をやめろ!

 中谷防衛相が「現場での作業はすべて止めた」と言う以上、政府は海域内の工事台船を大浦湾から移動し、フロートとブイをすべて撤去し、防衛局の警戒船・警備員、海上保安庁の職員も撤退させなければならない。工事を始める前の状態に原状復帰することが協議の出発点のはずだ。
キャンプ・シュワブ基地内の陸上工事はどうなっているか。和解後今までのところ、資材搬入ゲートからの工事関係車両・作業員の出入はない。沖縄防衛局はこれまで陸上工事として、新基地の飛行場部分に当たる約六〇棟の米軍兵舎の解体と新設、衛生厚生施設、電気空調設備、機械通信、道路整備、保管庫新設など多岐にわたる工事を行ってきた。ゲート前での座り込みにより、コンクリートミキサー車の基地内進入が度々阻止されたり、遅延する事態に直面して、当初の契約にはないコンクリートプラントの設置計画を国場組との変更契約にもぐりこませて着工しようとした。高さ二一・六mという巨大なプラントの建設工期は今年三月七日から五月一五日となっていた。コンクリートプラントを造らせてはならない。
また、工事が中止した以上、資材搬入ゲート前で工事のための警備についているアルソックの警備員たちも直ちに現場から立ち退くべきだ。
埋め立てと新基地に関連するあらゆる工事をストップさせるために、現場では引き続き、ゲート前での監視活動を強化していく。

戦後71年続く構造的沖縄差別の不当性

 他方、国地方係争処理委員会と「協議」の場を舞台とした県と国との今後の攻防は、国交省の是正の指示は正当か、翁長知事の埋め立て承認取り消しは正当かどうかをめぐって正面から争われる。沖縄戦と基地建設の歴史、軍事基地の島・沖縄の現実、普天間基地の形成と現状、辺野古新基地の機能と役割、大浦湾の生物多様性と自然の保護、沖縄の将来など。論点は軍事外交、地方自治と民主主義、沖縄の歴史と差別および自己決定権など多岐にわたる。沖縄の現実を変えるための一大政治戦となるだろう。
われわれは一丸となって、代執行訴訟の第五回口頭弁論で稲嶺進名護市長が述べたように、沖縄戦後七一年経ってなお日米両政府により軍事基地として縛りつけられていることの不当性と新しい基地は絶対に認められないということを県内外に、全国・全世界に訴え続けなければならない。
新崎盛暉さんは新刊『日本にとって沖縄とは何か』(岩波新書)で、「戦後日本の政治、とりわけその根幹をなす対米従属的日米関係を支えてきたのは、構造的沖縄差別であった。その仕組は戦勝者=占領者であるアメリカによって作り出され、日本の独立後も引き継がれた」と指摘している。根本的に問われていることは、戦争によってつくられた戦後日本の体制とその軍事的要塞・沖縄を民主主義と自治をテコに変革することだ。辺野古の闘いはその突破口となっている。
「辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議」は現在、全国各地での講演会などを通したキャンペーンを計画している。辺野古基金は五億四〇〇〇万円を越えた。翁長知事は今年もまた訪米し各方面に訴えることを明らかにし、そのための県予算も計上済だ。「新しい大統領、政策に対して影響を与えられる訪米」をめざしている。二月上旬には、沖縄県のワシントン事務所が米国内でロビーイングを行うに当たっての「外国代理人登録法」への登録を完了した。平安山所長をはじめスタッフは、上下両院の軍事・外交両委員会の議員・補佐官との面談を行い、アメリカの世論を動かしていく取り組みを懸命に進めている。
和解協議中も闘いは止まらない。工事の一時中止から完全な断念、白紙撤回を勝ち取るために、さらに辺野古現場に結集しよう!

参院選統一候補に伊波洋一さん決定


参議院選挙沖縄選挙区のオール沖縄統一候補を伊波洋一元宜野湾市長とすることは昨年九月に決定していた。しかし、一月宜野湾市長選挙の敗北のあと、選対本部長代行を務めた伊波候補の見直し論が提起され、五回にわたり議論が重ねられてきた。その結果、三月九日の候補者選定委員会(座長・新里米吉県議)で、全会一致であらためて伊波さんを統一候補とすることを決めた。
オール沖縄の枠組みは、辺野古新基地反対を中心課題として、社民、社大、共産、生活の四政党に、自民党から除名された那覇市議会会派新風会や県民ネットなど県議会各会派、市民団体、労働組合、金秀・かりゆし・沖ハムの三グループを中心とした経済界によってつくられている。一昨年の名護市長選挙、県知事選挙、衆議院選挙に勝利した同じ枠組みで、七月に予定される参議院選挙を闘うことになる。
相手は、安倍の沖縄に対する強行策の尖兵のひとりとなっている沖縄北方担当相・島尻。安倍は、選挙対策として、島尻を沖縄担当相に据え、沖縄関係予算の若干の増額やこども貧困緊急対策事業費の追加を島尻の実績として宣伝するなど、選挙を念頭に置いた対策を行ってきた。和解で工事が止まっている状態で、参議院選挙は、辺野古新基地に反対か賛成かを正面から問う熾烈な政治戦となる。負けてはならない選挙だ。
六月には県議会選挙がある。引き続き翁長知事を支える県議会与党多数派をゆるぎなく確立し、七月参議選の伊波当選を勝ち取らなければならない。

2.28

安倍関連法の廃止を!

ふくしま県市民連合発足

野党共闘で自民党候補を落とせ

 【福島】二月二八日、安保関連法の廃止を求めるふくしま県市民連合が発足した。二本松市の県男女共生センターで開かれた「野党三党に問う共闘の決意」と題してのキックオフイベントには、民主党県連の亀岡義尚幹事長、共産党久保田仁委員長、社民党県連小川右善代表が出席した。
 第一部の「ふくしま県市民連合」結成式では「安保関連法廃止」「集団的自衛権閣議決定撤回(立憲主義回復)」「個人の尊厳を擁護する政治の実現(福島では全原発廃炉)」の三点を基本方針とすること、この方針での野党三党に合意と統一候補擁立、協議の開始を求めていくことを確認した。
 第二部の「野党三党に問う共闘の決意」では、三党からの発言、各地域でのとりくみ紹介、フロアからの質疑が行われた。「市民連合提案に全面賛成、中央での五野党合意を福島で実現しよう」(共産)、「市民の期待に応える」(社民)、との二党の積極的姿勢に対し、民主党は「維新との合流話のさ中で先行き不透明、市民連合のうねりで党を動かしてほしい」というものであった。会場からは「ぐずぐずしていては選挙に負けてしまう」と野党共闘の早期実現を望む声が相次いだ。
 本集会には二五二人が参加、一四万円余りのカンパが寄せられた、市民連合では、三月二一日に「県民公開討論会―市民の声をどう実現するのか」を、民主党の増子輝彦参院議員、共産党の熊谷智参院予定候補、社民党小川右善県連代表などの出席のもと五〇〇人規模で開く方針だ。(世)

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