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    かけはし2016.年4月4日号

欧州にはプランB不可欠!


スペイン

EUの創立神話と現実 

ミゲル・ウルバン・クレスポ

欧州統合を飾
り立てた物語

 以下は、三月一四日号で紹介したマドリードでの「プランB欧州」会合を受けて、EUの現状を厳しく批判し、その抜本的な見直し、再構築が差し迫って必要になっていると力説している。(「かけはし」編集部)
歴史的に神話は、複雑な諸概念を説明することに、あるいは現実の装飾された諸変形を合体させるために役立てられてきた。EUはたくさんの神話の上に構築されてきた。それらのうちの一つはわれわれに、欧州は六〇年前に一つの計画を見つけるにいたった、と語っている。つまり欧州諸国は、この地域の排除、排外主義、さらに戦争という歴史を繰り返さないことを確かなものとするために結集するだろう、というものだ。メンバー諸国の数は六から現在の二八まで徐々に増大した。その間に諸境界は、商品、諸サービス、人びと、そして資本の流れに向け解放された。
この神話はわれわれに、民主主義、連帯、また諸々の人権という健全な諸原理を基礎に「創立の父たち(もちろん、「創立の母たち」は一人もいない、つまり欧州構想は一本の肋骨から誕生したわけではなかった)」がこの構想を作り上げた、と語っている。
われわれのほとんどは、モネ(ジャン・モネ、フランスの実業家、政治家であり、欧州統合の父の一人と言われている:訳者)、シューマン(ロベール・シューマン、ルクセンブルク生まれドイツ育ちのフランス首相、外相を歴任した政治家、独仏和解、欧州和解を象徴する人物と言われている:訳者)、チャーチル、あるいはアデナウアー(コンラート・アデナウアー、一九四九年から一九六三年までの初代西ドイツ首相であると共にCDU初代党首:訳者)のことを聞かされている。しかしながらわれわれのうちのある者たちは、アルティエロ・スピネッリ(元イタリア共産党の活動家:訳者)を思い起こす方が好ましいと思うのだ。彼は、第二次世界大戦中ムッソリーニによって投獄されていた反ファシズム活動家であり、帝国主義戦争によって生み出された恐怖と破壊に対する一つの解毒剤となる可能性のあった、欧州連邦主義運動を推進した。

退治するはず
の幽霊が復活


しかし今日これらの創立神話は、刻々と流れる時と共に、より紛らわしいものとなりつつあるように見える。欧州の諸境界がどれほど血を流しつつあるか、またどれほどのフェンスが毎日出現しつつあるか、それを直視しよう!
事実としてあるものは、いくつもの壁を築き上げ、大量の収容所を設立し、元々の住民と移民双方の諸権利と諸々の自由を傷付けることで、欧州がその歴史上最大の難民危機――そしておそらくはこの何十年かで最大の試練――に策を講じつつある、ということなのだ。
今日われわれは、よそ者たちへの怖れやよくわからない者たちへの怖れと一体的に、同じく有刺鉄線を備えて築き上げられたいくつもの壁を見ている。それは、われわれと彼らの間の溝を広げる壁であり、ふるいにかけられたアイデンティティと排他的な民族主義を強化する壁であり、古い幽霊を、何十年も前に欧州に出没した、そして想定では欧州人が夢見るものの元になったと思われたその同じ幽霊を、生き返らせている壁なのだ。
今日欧州は、タックスヘイブンを歓迎し、それ自身のメンバー諸国に敵対する金融クーデターの保証人になり、閉じられたドアの背後で、それ自身の市民の利益に背を向けつつ、TiSA(新サービス貿易協定)やTTIP(環大西洋パートナーシップ)といった自由貿易協定を交渉している。そしてEUは、気候変動や資源欠乏の高まりや他の途上国からの競争という数々の試練に直面する中で、世界市場で競争するために労働者の諸権利や社会諸政策を引き下げている。EUは同時に、攻撃的な対外貿易政策を強化し、安全保障とテロとの戦闘を目的に、テロが破壊しようとしているその同じ諸権利と自由を抑圧する。
われわれが欧州を最高度に必要としている一時代にわれわれは、内部的なまた対外的な諸々の境界をさらに多く見出そうとしている。われわれは、われわれが平和や繁栄や民主主義に込められた諸価値を具体的な諸政策に移し替えることを差し迫って必要としている一時代に、この大陸を貫いて、より多くの戦争、より多くの切り下げ、そして高まる排外主義を見出そうとしている。貧困化、どう猛な資本主義、不寛容そして民族主義のこの組み合わせから生まれる結果を、われわれはとうに予測できる。

急を要し必須で
ある道へ今こそ


進路の変更は可能、あるいは望ましいというだけにはとどまらない。つまりそれは急を要する必要なのだ。われわれは、民主的な徹底した見直しを必要としている。欧州はその神話によって生き続けることはできない。欧州にはプランBが必要なのだ。
EUは自身を、その過去を悩ませてきた諸々の幽霊の出現を妨げるために練り上げられた構想だと主張している。それは一つの夢に基づいて始まったと主張している。しかし、この夢は悪夢へと変じた、というのが真実だ。
このEUは、緊縮が唯一の政治的、経済的選択肢となるとき、社会的多数にとっては一つの問題となる。それゆえ、異なった欧州の建設が、われわれが現在生きている最中の不安定な条件に対するただ一つの回答として現れる。
EUの現在の計画は、その創立に関わる様々な夢に思い描かれた事態からははるかに離れている。それは、怪物を生み出し、古い幽霊を生み出す計画だ。われわれは、その物語がどのようにして終わりを迎えたのかを知っている。それこそが、進路の変更が可能であり望ましいだけにとどまらず、急を要し必須である理由だ。
われわれはつい先頃マドリードで、商売人たちと戦争の欧州から民主主義と人権の欧州へと変革するために、最初の数歩を踏み出した。(二〇一六年二月二七日)

▼筆者はスペインのアンティカピタリスタスの指導的メンバーであると共に、ポデモスリストで選出されたEU議会議員。(「インターナショナルビューポイント」二〇一六年三月号)

メキシコ

電力労組の勝利に敬意を表す

闘争こそが最良の選択肢

第四インターナショナル国際委員会声明

 メキシコ電力労組(SME)は、不当な解雇を受けて――軍隊の使用を通じて、また彼らのもっとも基本的な雇用の諸権利に対するあからさまな侵犯の中で――から六年半後、抵抗中の労働者一万六五九九人の雇用復活の保証、および退職した二万二〇〇〇人に対する年金支払い継続への保証という交渉を成功裏に仕上げた。
 彼らの抵抗が展開した諸条件は、その成果がもっとやりがいのあるものになることを可能とはしなかった。すなわち彼らの前には、言われるところの彼らが享受した「特権」を悪魔のように描くメディアの猛々しいキャンペーン、政府の指示に従う司法体制や立法体制、そしてもっと深刻なことに、支援を与える社会運動や市民運動の極度の弱さがあったのだ。
 しかしSMEは、義務としての雇用責任の存在を認めることを、新自由主義の政府に強制した。そしてその雇用責任は、抵抗中の全労働者に対し、団体協約に沿って、雇用清算を認める一方、一つの発電企業の創出、およびエネルギー部門に対する生産品とサービスの共同提供、によって保証されることになった。これは、メキシコ労働運動のこの歴史的組織に対し、生き残りを確かなものにした。
 その勝利は、ここ何十年かでメキシコの労働者階級が行ったもっともヒロイックな戦闘の一つが残した成果だ。永続的な動員、法的な戦闘、数々のハンガーストライキ、電力エネルギー消費者の組織化(電力エネルギー消費者全国会議)、階級意識ある労働運動統一に向けた主導性(新労働者連合)、そして階級に基礎をもつ政党の形成(人民と労働者の政治組織)、こうしたものが、この闘争を通じて電力労働者が発展させた戦闘性と創造性の例だ。
 SMEにとっては新たな時期が幕を開けた。それは、メキシコの体制の経済的かつ政治的危機の過酷な悪化という時代において、その組合員全員に対し安全できちんとした仕事を確保する新たな試練に満ちている。
 労働者階級に対する資本の残忍な攻勢は、数多くの組合にとって、世界的レベルで深刻な敗北を意味してきた。しかし今回の勝利は、立派な首尾一貫した闘争は、多くの犠牲を伴うものだとしても、われわれの旗を降ろすよりもむしろ最良の選択肢であることを示している。再度、闘争だけが骨折りがいがある、ということが証明されている。
 万国のプロレタリアート団結せよ!
(インターナショナル国際委員会、二〇一六年二月二九日、オランダ、アムステルダム)
注)本紙二月二九日号六面参照。

【訂正】本紙前号(3月28日付)1面上から4段目右から2行目「そのものの」を「そのものを」に、4面集会決議2段目の右から4行目の「軍隊といういう」を「軍隊という」に、5面辺野古への土砂搬入学習会の写真の日付を「3・21」から「3・17」に、5面の2段目右から19行目の「外国軍隊が徹底」を「外国軍隊が撤退」に、6面8段目右から26行目の「ムスリミ同胞団」を「ムスリム同胞団」に、7面3段目左から16行目の「シリザ北部」を「シリア北部」に、8面4段目左から27行目の「要求に」を「要求を基本にした」に、前前号(3月21日付)の4面8段目右から3行目の「新崎盛輝」を「新崎盛暉」に訂正します。



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