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    かけはし2016.年4月11日号

「宮城方式を全国へ」(民主党現職議員)


五野党共闘が成立/宮城

 【宮城】参議院宮城選挙区で「五野党共闘」が成立した。共産党の予定候補者は民主党との政策協定を受けて立候補を取り下げ、比例区への転進を表明した。全国初の「五野党共闘」は三月四日、国会内の五野党会議で確認された。

「市民が後押し」

 民主党と共産党の政策協定が三月二日、宮城の両党と民主党現職の桜井充参議院議員の間で結ばれた。民主党と社民党は昨年末から協議を進めており、政策協定がこれに先立って実現していた。
安保法制反対の運動に参加した人々が昨年秋以降、「野党は共闘」を訴えてきた。「九条の会」をはじめとして、憲法改悪に反対する運動団体のアピールも広がった。それらは連動して政治の流れをつくった。
二月には高校生が「安保法制反対」を訴えて仙台街頭をデモ行進した。「選挙に行こう」「野党は共闘」の声があがった。
こうして成立した「野党共闘」は街頭に立った。三月一三日、仙台市内で桜井議員、社民、共産、維新の代表が共同演説会に登壇した。生活も支持した。
三月一九日、安保法制廃止仙台市民集会が開催された。桜井議員は憲法改悪に断固反対すると表明した。共産党と社民党はそれぞれ、自民党の「野合」発言を批判して「五野党共闘こそが国民の声」などと訴えた。宮城全労協の各組合はこの集会に参加した。
三月二八日には市民団体が呼びかけた仙台での街頭演説会に桜井議員がかけつけ、「宮城方式を全国へ」などと訴えた。

民主党と社民党、
共産党の政策協定

 民主と共産両党による六項目の政策協定は、事実上、民主と社民による五項目協定を引き継ぐものとなった。
@立憲主義に基づき、憲法違反の安保関連法廃止と集団的自衛権行為容認の7・1閣議決定の撤回を目指す。
Aアベノミクスによる国民生活の破壊を許さず、広がった格差を是正する。
B原発に依存しない社会の早期実現、再生可能エネルギーの促進を図る。
C不公正税制の抜本是正を進める。
D民意を踏みにじって進められる米軍沖縄辺野古新基地建設に反対する。
E安倍政権の打倒を目指す。

 社民党との間では@からDの政策協定が合意されており、Eが付け加わったと言われている。
三月四日に開催された国会内の五党会談では、社民党幹事長が格差是正、消費税増税、原発再稼動、沖縄の米軍基地問題を「共通政策に盛り込むよう提案し、強い反対は出なかった」という(毎日新聞三月五日)。仙台での集会で共産党の比例区予定候補者は、六項目協定を歓迎し、TPP反対などの政策をさらに訴えていきたいと述べた。

市民運動が大き
な鍵をにぎる

 「自・公」と「民・共」を「単純合算」して比較する報道が昨秋来、繰り返されてきたが、それでは意味はない。宮城は「一人区」となったという事情もある。 
六年前、民主は二人を立候補させ、自民も事実上二人(公認と前議員)を立て、自民と民主が議席を分けあった。三年前(二人区)、事態は一変した。自民党は圧勝した。民主党は強い逆風にさらされ「懲罰選挙」とまでいわれたが、結党以来の重要な議席を僅差で失った。みんなの党が六年前の票を倍増させ、二〇万票を得て当選した。
民主党票は半減し、かなりがみんなの党に流れたといわれる。みんなの党は、その後、解党。その議員は「次世代の党」をへて「日本のこころを大切にする党」に所属している。この党は参院宮城選挙区で自民党候補への支持を明らかにしている。三年前の参議院地方区を参考にするなら、与党系の圧勝となる。
五野党共闘成立後、前回衆議院との比較がとりざたされている。「二〇一四年衆院選の比例代表に基づく試算では、四党に生活の党を加えた県内得票は四七万で、自民、公明両党と次世代の党(当時)の四四万票を上回る」(河北新報三月一四日)。
地元新聞は「ただ、共産の熱烈な支援には民主サイドから懸念の声も漏れる」と報じた。「原発」への言及など、政策協定に対して反発が出ることが想定される。しかし、民主党とその支持者たちにとっては、三年前に失った票を取り戻すことは自分たちの問題であるだろう。
投票率も大きな焦点だ。宮城での各種選挙は最低を更新し続けており、とくに大震災以降、顕著だ。市民運動、住民運動が重要な鍵をにぎっている。
(三月三一日、仙台・八木)

読書案内

新崎盛暉著/岩波新書(780円+税)

『日本にとって沖縄とは何か』

新しい「島ぐるみ」を問う


現在から捉える
沖縄の戦後史
新崎盛暉さんの戦後沖縄論の簡潔なまとめとも言うべき『日本にとって沖縄とは何か』が岩波新書で刊行された。新崎さんの著書は、岩波新書では中野好夫さんとの共著の『沖縄問題二十年』(一九六五年)、『沖縄・70年前後』(一九七〇年)、『沖縄戦後史』(一九七六年)が、そして単著として『沖縄現代史』(一九九六年)が刊行されている。いずれの著書も、それぞれの時代において「沖縄問題」と言われるものがまさに沖縄の人びとの闘いから照らし出される「日本問題」であり「日米問題」であることを自覚させる内容であり、それゆえ多くの読者を獲得した。
「本土復帰」を前後して、沖縄をテーマにする運動に関わるようになった私にとっても新崎さんの著書は、まずは必読のものだった。『沖縄問題二十年』から五〇年の歳月を経て新たに刊行された本著は、沖縄戦から米軍の直接支配、そして「本土復帰」から四〇年以上を経た今日の「島ぐるみ」闘争に至る沖縄の人びとの闘いを簡潔・明快に描き出している。改めて「日本にとって沖縄とは」、そしてまた「沖縄にとって日本とは」という問いを投げかける必読の著作というべきだろう。
二月一日号の本紙に、翁長雄志沖縄県知事の『戦う民意』(角川書店)の読書案内を書いたが、新崎さんの本著もまた、辺野古新基地建設阻止を軸にした沖縄の闘いに呼応するために何が問われているかを探っていくうえで欠かせないものだ。ぜひ読んでほしい。

「構造的差別」
の立体的把握へ
新崎さんは、日本・沖縄・米国をめぐる沖縄戦から「戦後」に至る関係史を「構造的沖縄差別」という言葉で集約的に表現している。今では多くの人びとに受け入れられている「構造的沖縄差別」という概念はどのように捉えるべきか。
本書の冒頭「はじめに」の項で、著者はそれを次のように述べている。
「辺野古新基地建設は、単に米軍基地の建設をめぐる問題ではなく、戦後七〇年の日米沖関係史の到達点として存在する」「連合国、実質的には米国の占領政策は、天皇制の利用、日本の非武装化、沖縄の分離軍事支配という三点セットを基本として出発した。その後の、国際情勢の変化の中で、『日本の非武装化』は『目下(めした)の同盟国化』へと変化したが、基本的枠組みは変わらなかった」。
「そしてこの基本的枠組みは、『対米従属的日米関係の矛盾を沖縄にしわ寄せすることによって、日米関係(日米同盟)を安定させる仕組み』として、日本政府に利用されることになった。六〇年安保条約改定に至る本土米軍基地の沖縄へのしわ寄せは、その具体的一例といっていいだろう。この仕組みは、『構造的沖縄差別』と呼ぶことができる」。
「構造的沖縄差別」という捉え方は、沖縄の頭越しに辺野古新基地の現行案が、日米両政府によって押しつけられることで、沖縄の保守的政治家、地元財界の人びとにも広がりはじめた。それが今日の翁長知事を支える「オール沖縄」という構造の背景にあるものだと新崎さんは、述べている。
本書は、前半部での沖縄の戦後史全体のまとめの上に、後半では一九九五年の米兵による「少女暴行事件」をきっかけにした一九九六年のSACO報告による普天間基地の「県内移設」と、辺野古案決定、そして大浦湾から辺野古沿岸を埋め立てる現行案への変更の過程を詳細に分析している。それはまさに「米軍再編」という戦略的転換の中で「構造的沖縄差別」への認識を沖縄の人びとが実際の経験を通して獲得していく過程でもあった。
しかし新崎さんは、同時にこの「オール沖縄」へのプロセスが、沖縄革新勢力の「リーダーシップの欠如や主体的構想能力の衰退をも意味していた」と批判的に指摘することも忘れない。この点は、「本土」で闘う私たちにとっても、ないがしろにすべきではないテーマだろう。

自己決定権と
「自決・独立」
最後に、「沖縄独立」論についての新崎さんの見解についても触れておく必要がある。新崎さんは一九九五年以後の過程で再度噴出した「沖縄独立」論に対して、「居酒屋独立論」(居酒屋で「こうなったら独立だ!」として盛り上がるだけの主張)として批判した。
いま新崎さんは「辺野古新基地建設阻止の闘いは、戦後七〇年、軍事的な意味での『太平洋の要石』としての役割を押しつけられてきた沖縄が、構造的沖縄差別を打ち破り、自らを、平和な文化的経済的交流の要石に転換させるための『自己決定権』の行使にほかならない」と述べる。
その一方で、彼は「沖縄独立論」については批判的である。新崎さんは本書の最後で目取間俊の主張を引用しつつ述べている。
「独立論に関しては、沖縄よりもヤマトのジャーナリズムの方が関心が高いようにも見える。だが構造的沖縄差別は、日本の対米従属が生み出した結果でもある。日本の論者は、沖縄独立論に傍観者的関心を示す前に、日本が惰性的対米従属の仕組みから離脱することに主体的責任を感じ、行動すべきではないのか。まさに、『日本にとって沖縄とは何か』が問われているのである」。
新崎さんの言っていることはその通りだろう。しかしやはり「自己決定権」の制度的形態とはどのようなものか、が問われる。旧来「自決権」(独立を含む概念である)と規定してきたことと「自己決定権」には、どのような区別と関連があるのか。それは決して机上の観念的な論議ではない。この問題については、決して日本・沖縄・米国の三角関係だけではない、東アジア・太平洋レベルでの構想も提示されるべきであり、運動の中で相互に深めていくべき論点だろう。(河村恵)

3.6

ロックアクション学習講演会

日本の外交、これでええの

孫崎享さんに聞いてみよう

 【大阪】三月六日、完成して間もない学労館・関生で、戦争あかん!ロックアクション主催の学習講演会が開かれ二三〇人が参加した。東アジア青年交流プロジェクトが共催した。
代表の服部良一さんのあいさつに続いて、孫崎享さん(東アジア共同体研究所【理事長は鳩山由紀夫元首相】所長、元外務省国際情報局長)が講演した(別掲)。講演に続いて、ゲストのエマニュエル・パストリッチさん(慶煕大学校国際大学教授)が短いスピーチをした。
 この後、五月はじめ頃までに予定されている活動のお知らせ、参議院選の取り組みについての報告があり、終了した。 (T・T)

孫崎享さんの講演から

誰の何を守るのかが問題

 学生がいない

 昨年、早稲田大で小林節さん・山口二郎さんと私の三人が講演したが、学生がいない。福島瑞穂さんのツイッターでオスプレイではなく国公立大の無償化を! というアピールを見た。オスプレイ一七機を購入すれば三六〇〇億円かかる、国公立大の無償化は三三〇〇億円で実現する。集団的自衛権などは自分には遠い問題だと思っている学生も、これなら注目してくれるかもしれない。国家が軍事化すれば確実に生活は悪化する。今の米大統領選では、サンダース候補に注目している。彼は、勉強したい学生に大学生活を! 必要なときに医者にかかれる社会を! と訴えている。

冷戦終焉から
集団的自衛権へ
鳩山さんは個人で毎年、ベトナム戦争時の枯れ葉剤のせいで障害を持って生まれた子に車椅子を送っている。これを国家の金でできないかと経済協力関係の人(官僚?)に打診してみたが、ダメだった。
日本は、昔はその国の生活を向上させるために経済協力をしてきた。しかし、今は米国の軍事戦略を助けるための経済協力をしている。生活がおかしくなると過激な発言が出てくる。トランプがそうだ。大阪もある意味ではそうだ。日本は今、中東に二〇〇〇億円、ウクライナにも二〇〇〇億円出しているが、その国の人からは何にも感謝されていない。 
北朝鮮のミサイルは、止める手段がない。秒速二〜三キロの速さの物を撃ち落とすことはできない。北朝鮮は、今日本を攻撃していない。なぜなら、メリットがない、核を使ったら、国がつぶれることを知っているからだ。
相手が攻撃していないのに、日本は攻撃するのか。米国は、軍事的に潰すことはしないと、北朝鮮に伝えることが必要だ。米国は軍事戦略を転換した。以前はソ連相手に戦略を立てていた。ところが冷戦が終焉した。そこで、イラン・イラク・北朝鮮を新たな敵と決め、相手が攻撃しなくてもこちらから出て行く。そして日本・ドイツを米国の戦略に組み込んだ。そのようにして、集団的自衛権行使が始まった。

米国依存と
日本の国益
日本の米国依存は、必要なのか。細川政権の時の樋口レポートでは、まず国際協調、そして日米協力とあった。いまは、二〇〇五年の二プラス二により合意された「未来のための変革と再編」をもとに、自衛隊を海外に出して慣れさせ、機密を守るために法整備をすることが決められた。
安倍首相は、岸信介の考えに沿って安保政策をやると言っているが、彼は岸のことを知らない。岸は、六〇年安保を締結したが、いくつかの障壁(国連憲章に違反しない・日本の施政権の範囲内)を設けて安保によって自衛隊が米軍に使われないようにした。それが国益だと考えた。米国は、太平洋地域を適用範囲にしたかったが、できなかった。
後藤さんがテロリストに拉致されたとき、日本は救出しようとしなかった。菅官房長官は、金は一〇〇%出すつもりはないと言った。そのようにして、日本が米国の側についていることを示そうとした。日本人の命より米国を大切にするということだ。

米軍は決して
出てこない!
日米ガイドライン(一五年四月)によって、抑止力が高まったという人がいるが、それは違う。読んでみたらわかる。日本の防衛は日本の主体的な任務だと書いてある。尖閣列島で何かあっても、米軍は出てこない。オバマは訪日したときに明言した。?尖閣は安保条約の適用範囲?米国の軍事行動は米国憲法に従い、議会が承認して初めて交戦権が行使される?尖閣の領有権問題では、米国は中立の立場だ?尖閣では、レッドライン(この線を越えたら戦闘に踏み切るという境界)はない、と。台湾当たりで戦争があった場合、一九九三年頃は米国が絶対的に優位だった。その後米国の力は低下し、二〇一七年には中国が優位だと分析されている。なぜか? 出撃基地は唯一嘉手納空軍基地だけだから、ここを壊されたら米国は終わりだ。
尖閣問題棚上げは田中・周会談で合意され、その後も継承されてきた。今日本の政治家で、日中共同声明の遵守を言える政治家がいない。安倍と日本人が中国に対して抱く不安は、米国がやりたいことができるチャンスになっている。
フランスとドイツは昔長期にわたって戦争してきた(普仏戦争・第一次大戦・第二次大戦)。今フランスとドイツが戦争するなど考えられるか? 戦後、フランスとドイツは戦争の原因となった石炭と鉄鋼について石炭鉄鋼連盟をつくり、そしていくつかの段階を経てEUができた。購買力平価によりGDPを求めると、日中韓台の地域を一とすれば、EUは〇・七。つまりこの東アジアはそのような発展性のある地域なのだ。(講演要旨、文責編集部)



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