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    かけはし2016.年4月25日号

権利を守る連帯の蓄積を


3.28

反核世界社会フォーラムが成功(下)

被ばく労働国際シンポジウム

国際的交流と問題の共有へ第一歩

 
どこでも共通
被ばくの隠蔽
 核と被ばくをなくす世界社会フォーラム公式イベントの最後として、「被ばく労働者の権利を求める国際連帯シンポジウム」が三月二八日午後六時半から在日本韓国YMCA国際ホールで開かれ、ウクライナ、フランス、韓国、日本の被ばく労働者がパネラーとなり、各々が置かれている実情を報告、各方面から会場を一杯につめかけた参加者に、まったく顧みられていない被ばく労働者の権利の回復を強く訴えた。主催は被ばく労働を考えるネットワーク。
 このシンポジウムは前日に開かれた分科会「被曝労働問題の現状」(本紙四月一一日号別掲記事)とひとつながりの企画。したがってこの日司会を務めた同ネットワークのなすびさんは開会に当たって、今回の催しは被ばく労働者に焦点を当てたものとしておそらく世界ではじめてとした上で、前日の報告に踏まえて今後を模索する議論に踏み込めれば、と期待を述べた。ただこの日と前日で参加者が同じとは限らないため、各パネラーとも各国の実情報告を中心とせざるを得ず、議論の時間はほとんど残らなかった。その中で何人かのパネラーが、前日に出た質問を念頭に置いた若干の問題提起を織り込んだ。

何を要求すべ
きだろうか?
以下では、実情報告部分は別掲記事に譲り、パネラーが触れた問題意識をいくつか紹介したい。
まずウクライナのヴァレンティンさんは、被ばく労働者の病気と放射線被ばくとの関係を否認する保健省指令があると明かし、各国に共通する「否認」の問題を指摘した。そしてこれからの人のために、過去をほじくり返すことは絶対に必要だと訴えた。
フランスのビヤールさんは、原発の現場を担う労働、したがって被ばくを不可避に伴う労働の担い手がフランスでも高齢化し、非正規化を含め権利抑圧と低処遇の中、なり手がいなくなっているという問題をまず指摘した。日本でも顕著になっている問題だが、これに対しフランス電力は高校生勧誘という安易な方向に走り、安全の空洞化に一層拍車がかかる危険がある、と警鐘を鳴らした。
そして今後の闘いの要求として次の四点を提案した。@下請け労働の禁止A終生的健康管理を受ける権利B業務上の内部被ばくの労災認知C作業での高線量被ばくが避けられない以上、原子炉解体作業の即時停止、だ。
最後の点は、たとえば東京電力福島第一原発をはじめ、日本での廃炉イコール解体・更地化という公的方針に真っ向から異議を突き付けるものだ。ただ筆者はビヤールさんに賛同する。解体作業は必ず被ばくを拡散させ、放射能汚染物質(したがって放射性廃棄物)をも大きく膨らませるからだ。いずれにしろ真剣な議論が必要と思われる。
韓国のキム・ズチョンさんは、最初に前日の質問に答えるとして、原発での女性労働者を取り上げ、それが極度に少なく(たとえば七〇〇人中三〇人程度)、放射線管理区域ではゼロだと説明した。その上で韓国での原発労働者のイメージは、テクノロジー賛美と相俟って極めて高く、夢の職場と見られていると明かした。但しそれはあくまで元請けの韓国水力原子力を念頭に置いたものであり、下請け労働者の存在を知らされないままに作られたものと指摘した。これも被ばく労働の隠蔽として、東京電力福島第一原発の事故以前の日本を彷彿とさせた。
その上でキムさんは、労働組合を組織して権利回復をめざす闘いに当たって、八時間労働制が世界標準になる契機となったメーデーの歴史に触れながら、韓国の格言「卵で岩を砕く」(崇高な理念こそが勝利を導くとの説明)観点での闘いを呼びかけた。
日本の池田実さんも原発での女性労働者の少なさ(但し除染作業ではそうでもない)を紹介、その理由としてコストの問題がありそうだ、と推測を述べた。その上で、避難地区解消で触れられていない問題があるとして、インフラ作業や日常業務に付随する低線量被ばく労働の拡散とその無チェックが懸念されると指摘した。

原発労働者の
権利保護こそ
シンポジウムは、原発が、被ばく労働を不安定で低処遇、かつ権利を尊重されない非正規の労働者に押しつけ、そのことで被ばく労働それ自体を隠蔽し放置している、まさに正義を欠いた現実が世界共通であることを明らかにした。その世界的共通性は同時に、これなしには原発が存在できないことを明かすものでもある。その構造をビヤールさんは「産業犯罪」と厳しく断罪したが、その点でも原発には存続の余地はない。
しかし同時にわれわれは、原発を稼動させ、大量の放射性廃棄物を抱えてしまっている以上、その安全な管理のために、原発すべてを廃炉したとしても、いやでも被ばく労働を引き受けそれに向き合うことを覚悟せざるを得ない。そしてそうであればなおのこと、被ばく労働者の権利保護は重大な社会課題とされなければならない。そこに向けて世界的な問題共有を強めつつ、強力な運動創出をめざさなければならない。そしてそれは、労働者の権利に敵対する新自由主義者の脱原発論のいかさまさを暴き出す闘いともなるだろう。        (谷)

4.15

ファストフード・グローバルアクション

一五〇〇円めざし、今すぐ一〇〇〇円へ

最低賃金大幅引き上げを!


ファストフード
労働者同時行動
四月一五日は、ファストフード・グローバルアクションと銘打って、低賃金に抑えられてきたファストフード労働者の時給を大幅に引き上げろ、と求めて行われる世界同時行動の日。米国で始まり、今年は世界四〇カ国、三〇〇都市以上に広がる予定だ。
日本でもこの日、この呼びかけに連帯し、合わせて世界的に見てひどく低く抑えられてきた最低賃金の即時大幅引き上げを訴える行動として、東京では、渋谷センター街、JR渋谷駅ハチ公前広場でキャンペーン行動が展開された。主催は「最低賃金大幅引き上げキャンペーン委員会」。
同委員会は、最低賃金引き上げを求める運動の中で労働組合が主体となる行動をつくり出そうと、下町ユニオン、首都圏青年ユニオン、全国一般労働組合東京南部を連絡先として、「最低賃金時給一五〇〇円をめざして、今すぐどこでも一〇〇〇円に」を共通スローガンに、ナショナルセンターにこだわらない単位労組の参加を呼びかけて結成された。この日は、三月二七日の新宿アルタ前でのキャンペーン行動に続く二回目の行動。

東京・渋谷で
キャンペーン
行動は午後三時から。まず同委員会連絡先の三組合に加えさまざまな労働組合から参加した約一〇〇人の労働者が渋谷センター街入り口に結集、その後扮装に身を固めた仲間を先頭にカラフルなプラカードをかざし、通りに溢れる若者たちに最賃引き上げを訴えながらセンター街奥にあるマクドナルド店前まで移動、そこで一回目の集会が行われた。集会では、北海道から参加した労働者、ニコンから派遣切りを受けた労働者が発言、時給一五〇〇円は年収にして三〇〇万円に届かない、少しも高くはないが、それでも夢のような金額に見えるほど自分たちの条件はひどい、何としても引き上げが必要、労働組合に団結して一緒に声を上げよう、と強く訴えた。
周辺ではこの日のために用意された、紙幣をかたどり三つ折りにされた目を引くチラシが配られ、行動には行き交う若者たちから多くの視線が注がれた。立ち止まり遠巻きに話を聞いたり次々にカメラが向けられただけではなく、行動参加者とのツーショット写真を撮影する若者、リーフレットを配る仲間と話し込む人、などの光景も見られた。

行きぬくために
闘わなければ
キャンペーンは次にハチ公前広場に移動、広場に集まる多くの人々の中であらためて集会が行われ、最低賃金近辺の時給に縛り付けられている若い労働者が次々に発言に立ち、自分たちは生きるためにどうしても必要なことを要求しているだけ、このままでは若者に希望が残らない、最低賃金低ランク地域から若者が消える、コンビニでは売るモノも働き方も同じなのに地域によって時給が違うのはおかしい、全国一律の大幅引き上げが絶対必要、などと痛切に訴えた。ロスアンジェルス、ニュージーランド、英国からは、団結して闘うことで希望が生み出されようとしていると、連帯のメッセージが届けられ、読み上げて紹介された。
この場でも周辺でキャンペーン参加者と話し込む人を含め遠巻きの人垣ができ、集会は大きな注目の中、元気一杯のコールで締めくくられた。なおこの行動には警察が、違法デモだとの口実で、執拗に抑え込みを図った。しかし主催者は、平和的なキャンペーン行動にすぎず、市民の権利の抑え込みには抗議すると根気強く主張、行動は基本的に予定通り貫徹された。
同委員会は今後、院内集会やコンビニ本社への要請行動などを含めさらにキャンペーンを重ね、一〇月以後は新最賃が守られているかのチェック行動も行う予定だ。最低賃金の低さは、政権ですら問題にせざるを得ないほどの問題となっている。エキタスなど、政権には任せられないと市民運動として一五〇〇円キャンペーンに乗り出す新しい運動も始まっている。労働組合としての最低賃金にたいする主体的で真剣な取り組みが必須の課題となる中、同委員会の挑戦は貴重であり、この運動を大きく押し上げることが求められる。(神谷)

4.13

雇用共同アクション国会前行動

権利保護する労働法制を

残業代セロ法案をつぶせ!

 四月一三日、雇用共同アクションが衆院第二議員会館前で月例国会前行動を行った。いわゆる残業代ゼロや解雇金銭解決制導入などをはね返し、労働者の権利保護を抜本的に強化する労働法制を求める行動。昼の行動だが、今回も多数の労働組合から八〇人以上が参加、法案審議を待たずに上記攻撃への反攻を攻勢的に盛り上げる決意をこもごも表明した。
 主催者からは、中岡基明全労協事務局長と野村幸裕全労連副議長があいさつ。中岡さんは、労働時間を青天井にする労働基準法改悪案を上程しておきながら、残業時間規制をぬけぬけとぶち上げる安倍首相の不誠実さを厳しく批判、残業代ゼロ法案を白紙にし、人間らしく生きられる労働法制に出し直せ、と怒りを表明した。
 野村さんは、与党内に法案整理の話が出ていることに触れつつ、その背後に安倍政権の悪政に対する民衆的運動の全国的広がりがあると指摘、労働者からもさらに運動を強め、共に安倍政権を追い詰めよう、と力説した。
 職場で進む職の不安定化と多層的下請け化を指摘、不安定細切れ労働と超長時間労働化の二極化をはね返す闘いの必要を強調した出版労連高鶴淳二副委員長、今も続く偽装請負の横行などを告発しあらためての派遣法抜本改正を強く求めたJMITUいすゞ自動車支部の五戸豊弘さん、夢と希望のない低劣な条件を強要されている中小職場の状況を訴えつつ、このような現実を顧みることのない安倍政権の政策を総力をあげて潰そうと訴えた全国一般なんぶの中島由美子書記長など、労働組合の代表からも怒りの訴えが続いた。
 国会議員からも日本共産党の辰巳孝太郎参院議員が発言、一日三回発注などの緻密な経営を誇りながら、一五分以内の労働時間を切り捨て賃金不払いを続けるなど、労働時間管理はどんぶり勘定で済ませていたセブンイレブンなどの例をあげつつ、職場のブラック化を後押しする安倍政権を打倒するためにさらに共闘を広げようと呼びかけた。
 アベノミクスの破綻が明らかになる中で、安倍政権の反民衆性も次第に人びとに実感される局面が始まろうとしている。労働者の主体的な決起が一層問われる局面であり、雇用共同アクションは今後とも、より積極的に連携を求めつつ行動を重ねる決意を怒りのコールで確認、この日の行動を集結した。五月の行動は、五月一一日に予定されている日本労働弁護団主催の労働法制改悪反対集会(日比谷野外音楽堂、午後六時)への全力結集として呼びかけられている。  (神谷)


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