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    かけはし2016.年5月2日号

辺野古新基地建設は「壮大な愚行」


沖縄報告4月24日

係争委で翁長知事が意見陳述

沖縄 K・S


 四月二二日午後、総務省(東京)で国地方係争処理委員会の第三回審理が行われ、国交相の代理人と翁長知事が出席し意見を述べた。県側弁護団と共に出席した翁長知事は「沖縄県民は自由・平等・人権・自己決定権をないがしろにされてきた。私はこのことを『魂の飢餓感』と表現している」と、要旨次のように述べた。

「埋立承認」の
法的な瑕疵とは
@仲井真前知事の埋立承認には法的な瑕疵がある。公有水面埋立法第四条第一項第一号の「国土利用上適正且合理的ナルコト」との要件を満たしていない。国防・外交上の政策判断とは別に、法律に基づく、埋立による利益・不利益を比較し判断する権限が知事にはある。ごく当たり前のことを述べている。
A同じく、埋立承認は公有水面埋立法第四条第一項第二号の環境保全の視点が欠落している。辺野古・大浦湾は沖縄防衛局による調査でも絶滅危惧種二六二種を含む五八〇〇種以上の生物が確認されている。世界遺産の知床、白神、小笠原、屋久島の三〇〇〇から五〇〇〇という数を上回る。万全の環境保全措置のないまま大規模な開発行為をしてはならない。米軍の運用に対する騒音など環境保全策も不十分だ。
B沖縄の戦後の歴史をふり返ってみると、一九七二年の沖縄の本土復帰を契機に、本土の基地は縮小され、沖縄に四分の三の米軍基地が集中するという構造が完成した。沖縄が米軍に自ら土地を提供したことは一度もない。あろうことか今度は自国の政府によって銃剣とブルドーザーを彷彿とさせる方法で耐用年数二〇〇年の、沖縄ではじめての国有地の新基地がつくられようとしている。この沖縄の現実をぜひ知っていただきたい。
C米軍基地関連収入は最近約五%で推移している。沖縄が基地経済で成り立っているというのは完全な誤解だ。返還跡地の利用から生まれた経済効果は、那覇新都心の場合、経済効果が五二億円から一六三四億円、雇用が一七〇人から約一万六〇〇〇人、税収が六億円から一九九億円に増えた。米軍基地は沖縄経済発展の最大の阻害要因だ。沖縄は莫大な予算を政府からもらっている、だから基地も我慢しろという話もよく言われる。マスコミ報道で沖縄振興予算三〇〇〇億円などと言われるため、沖縄だけ特別に三〇〇〇億円上乗せして予算を得ているかのような誤解をしている。
D仮に、日米両政府が「辺野古が唯一」との固定観念のもと、奇跡の海とも言える辺野古・大浦湾海域の埋立を強行するならば、人類共通の財産を地球上から消失させた壮大な愚行として、後世の人々に語り継がれることになりはしないかと、私は危惧している。国土交通相の是正の指示は、かけがえのない自然と生態系への破壊指示であり、地方自治の破壊そのものではないか。

間違った決定も
覆せないのか?
それに対し国交相の代理人は、@仲井真前知事の埋立承認には違法の瑕疵はない、A自庁が行なった行政処分の取り消しは制約される。すでに工事は七五社、六四五億円が契約をし進行中であるにかかわらず、二〇年かけてつくられた辺野古新基地計画が白紙になれば、この間の関係者の努力が無に帰すことになり、また米国との信頼関係が損なわれ、日米同盟に亀裂が入る、と主張した。
政府の主張はせんじ詰めれば、たとえ間違った政策決定であっても一度決定され既成事実が積み重なれば、政策決定を覆すことにより積み重なった既成事実を元に戻すのに多大の損失を生むので、政策の取り消しはあってはならない、という風に読める。何かおかしくないか。大東亜戦争に突き進んで敗北を重ね、戦争を継続すれば犠牲が拡大し続けることがハッキリしているのに、いくつもの全滅と沖縄戦、広島・長崎の悲劇を経ても戦争をやめることができず、ソ連の参戦にいたってはじめて戦争をやめた歴史と重なる。
辺野古新基地はできない。撤回するまでに時間をかければかけるほど損失と犠牲は膨らむ。すべて無駄なことであり、政府の責任だ。政府は一刻も早く白紙撤回し、本来投入しなければならない社会福祉の現場にむかえ!

4.18

辺野古土砂搬出反対全国協議会

沖縄学習交流会に300人

ふるさとの土砂を戦争に使わせない!

 辺野古への土砂搬出に反対する全国各地の活動団体のメンバー三八人が四月一七〜一九日のツアーを組んで辺野古を訪れ、一八日午後、名護市で学習交流会を開催した。地元名護市や本部町を含め沖縄各地からの参加者を合わせ約三〇〇人が参加した。会場の名護市役所屋部支所二階ホールは満席。辺野古に基地は造らせない、ふるさとの土砂を使わせない、との熱気があふれた。会場後方では、辺野古周辺でのバキューム船による海砂採取と嘉陽海岸での砂浜の消失、道路の被害の展示が行なわれ、名護市議の大城敬人(よしたみ)議員が説明した。
 第一部は学習会。三人の講師が報告した。
 向井宏北大名誉教授(海の生き物を守る会代表)「土砂採取と海の汚染―小豆島と奄美大島での潜水調査と砂浜消失」。湯浅一郎環瀬戸内海会議副代表(ピースデポ)「海砂採取と漁業資源・瀬戸内海での教訓―自然は縫い目のない織物、どこも壊してはならない」。北上田毅(沖縄平和市民連絡会)「辺野古新基地建設事業、『埋立土砂』についての問題点」。

向井宏教授の
報告まとめ
日本政府は二〇一〇年名古屋で、生物多様性条約COP10を開催し、絶滅危惧種を守るために二〇二〇年までに海洋の一〇%を保護区にすることを国際的に約束した。そして、三年間の審議を経て、海洋保護区の設定のための重要海域の選定が行なわれたが、その中に辺野古・大浦湾を含む沖縄のほとんどの海域が含まれている。二〇一四年度中には閣議決定を経て公表されるはずだったが、未だに閣議決定に至っていない。なぜか?尖閣列島・北方4島など外交的懸念のある海域と辺野古・大浦湾が含まれているためであろう。外務省・防衛省の反対が考えられる。日本政府は国際的な約束を守るために辺野古・大浦湾に戦争のための基地ではなくジュゴン保護区こそ設定すべきである。沿岸の環境破壊が進んでいる沖縄で、辺野古・大浦湾は貴重な沿岸環境と生物多様性が残されている大切な海だ。
奄美と沖縄はともに世界自然遺産をめざして取り組んでいるが、採石と埋め立てによる自然破壊はこの動きに矛盾している。山を削る採石は森林の減少と生態系の劣化につながり、騒音、汚水、山崩れなどで住民の生活を壊す。もうひとつ、環境に大きな影響を与える海砂採取の問題がある。瀬戸内では住民の要求でほぼすべての地域で海砂採取が禁止された。ところが、九州・沖縄では、まだ海砂採取が行なわれている。奄美では、国定公園の大浜などの砂浜が消失し、人工的に砂を入れなければ砂浜を維持できない事態になっている。沖縄県も海砂採取を止めるべきだ。

湯浅一郎副代表
の報告まとめ
海砂採取による環境への影響は、砂浜の消失による周辺環境の破壊にとどまらず、藻場の消失や海底地形の変化を通して、漁業にも大きな影響を与える。瀬戸内における「イカナゴ」という魚の漁獲量と海砂採取の関係を調査したところ、海砂採取のすすんだ岡山県、香川県、愛媛県、広島県の場合、軒並みイカナゴの生息数・漁獲量が激減した。イカナゴの減少はクラゲの増加とタイ、サワラその他の魚の減少を招いた。イカナゴは低次生態系の主要魚である。イカナゴの動きは生態系全体に影響を与え、崩す。
ところが、海砂採取禁止区域を設定した兵庫県の場合、イカナゴ漁獲量を維持することができた。ほかの地域も海砂採取を禁止したところ、アマモ場が増え、タイラギという貝も増え、瀬戸内の海洋生態系の頂点にいるスナメリクジラも目視では増加した。しかし全体の回復はまだだ。自然というのは縫い目のない織物である。むやみに手を加えて自然のバランスを壊してはならない。
かつて広島の三原瀬戸の海砂で関西新空港を埋め立てた。その結果、ともに海の破壊がすすんだ。バキューム船で海底の砂泥を根こそぎポンプアップして、砂だけを取り出し、小石や泥を高濃度の濁水として放出する海砂採取は、砂浜の消失、浅瀬の消失など海底地形の変化、海水の透明度の悪化による海藻・海草場の減少をもたらした。
沖縄での海砂採取と辺野古・大浦湾の埋め立てはダブルパンチで、海底地形の変化、濁水の拡散、海草の減少、ジュゴンの生息への悪影響が予想される。

北上田毅さん
がまとめ報告
防衛局による埋め立て工事計画の今後の工程はまず、@大浦湾に三〇〇mの汚濁防止膜の設置。最大五七トン、合計二三六個のコンクリートブロックの投下、A海上作業ヤードの設置のための大量の捨石の海中投下、となっている。その前に、サンゴ礁移植のための特別採捕許可や岩礁破砕許可の手続きが必要である。
そして美謝川の問題、これを解決しない限り工事に入れない。当初の埋立承認願書では、キャンプ・シュワブ第二ゲート付近から埋立予定区域の北側に新しい水路を造成するとされていた。しかし辺野古ダムの管理者・稲嶺名護市長の反対で頓挫したので、二〇一四年九月の変更申請では長さ一kmの暗渠を造成する計画としたが、沖縄県の承認を得ることができそうになかったので、二ヵ月後に取り下げたという経緯がある。美謝川の河口付近は最初に埋立工事を行なう場所であるので、この流路が決まらないと埋立工事に入れない。防衛局の設計概要変更申請を県知事が拒否すれば工事はできない。
埋立に必要とされる土砂は全部で二一〇〇万?(岩ズリ一六四〇万?、山土四〇〇万?、海砂六〇万?)だが、辺野古ダム周辺、キャンプ・シュワブ既存陸上部の残土が最初に埋立に使用される予定になっている。ところが、「キャンプ・シュワブで枯葉剤を見た」という証言があり、汚染の危険がある。また陸砂は液状化の可能性がある。外来生物侵入の恐れのある県外からの土砂搬入に、現在の土砂条例では対応できないので、改正が必要だ。(北上田さんは毎日ブログで発信している。http://blog.goo.ne.jp/chuy )

稲嶺名護市長
が連帯あいさつ
第1部の報告の合間に、稲嶺名護市長が連帯のあいさつを述べた。稲嶺市長は訪問に対する礼を述べると共に、勝つ方法は「勝つまでずっとあきらめないこと」だと訴えた。

第 部―各地
からの報告続く
奄美大島の大津幸夫さん(自然と文化を守る奄美会議共同代表)は、「採石により奄美の海は死の海になっている。現在の採石法では駄目だ。法を改正して自然と環境を保護できるようにしなければならない。そのために国会闘争をもっと強化し、採石に対する闘いで奄美の闘いがモデルとなるようにしていく。」と述べた。
北九州市門司区の八記久美子さん(辺野古埋立土砂搬出反対北九州連絡協議会事務局長)は「門司は山口県のふたつの島を合わせて全体の三五%の土砂が搬出される。はじめは辺野古というと、ジュゴンくらいしか思い浮かばなかったが、この間の交流と学習を通して、琉球・沖縄の歴史が分かった。辺野古の問題は日本の民主主義の問題だ。先日は三上監督に来てもらったが、今度は山城博治さんに来てほしい。」と訴えた。
五島列島の歌野礼さん(五島列島自然と文化の会)は、「人口五万人の過疎の島で、知らないうちに戦争に加担させられているのではないか、ということを島の人々に強く訴えたい。沈黙は権力の犯罪を支持することになる。島での運動は、関心を持ってほしいというところから始めて行きたい。」
熊本県天草からは、生駒研二さん(辺野古土砂搬出反対熊本県連絡協議会事務局長)が、「天草の御所浦採石場は化石の島だ。一億年前の恐竜の化石やアンモナイトの化石が出る。天草ジオパークの顔ともいえる、ここの土砂三〇〇万?が辺野古に搬出されるという。辺野古の埋立に使ってほしくない。」とアピール。
鹿児島県南大隅の大坪満寿子さんは「三年前の町長選挙の後、核の最終処分場の候補地として名前が上がり、また辺野古への土砂搬出の動きが出ている。この町は一体どうなってしまうのかという危機感でいっぱいだ。目先のことだけにとらわれず、自然を守り子や孫が安心して暮らせる環境を残していくのが私たちの務めだと思う。」
山口県の大谷正穂さん(辺野古に土砂を送らせない!山口の声代表)は、「みなさんに迷惑をかけている安倍晋三の地元です。先日車の中に飲みかけの缶コーヒーを置いておいたら、アルゼンチアリの群が集まっていた。アルゼンチンアリはものすごい繁殖力だ。こんなものを搬出してはいけない。県の行政も含んだ取り組みを進めたい。」
三重県の高橋さん(辺野古のケーソンをつくらせない三重県民の会)は、「ケーソンをつくるJEFンジニアリング(旧日本鋼管)へのチラシまき、署名運動や抗議行動に取り組んでいる。しかし地元のマスコミは報道しない。ケーソンのことが知られていない。帰ったら、切迫感を持って取り組む。」
本部町の平良さん(本部町島ぐるみ会議)は、「本部町は人口一三〇〇〇人の保守的な町だが、今回の辺野古だけは違う。みんな関心を持っている。町内のカルスト地区に一三年前、採石場の話が出た。我われは自然公園にしたいと二年間阻止し、その後、カルストの国定公園になった。この時のエネルギーが島ぐるみ結成につながった。全国の皆さんが来てくれて、また頑張る力になる。」
最後に山城博治さんが、「辺野古埋立の土砂の九〇%は日本本土から来る。これが運んで来れなければ辺野古に基地はできない。さらに連帯を強化し闘いぬこう。全港湾は土砂を運ばせない、船を使わせないという闘いをしている。大阪で二五〇台のコンクリートミキサー車を連ねて辺野古NNO!をアピールした。日本中から辺野古に集まり団結すれば、戦争への道を止めることができる。」と呼びかけた。
「埋め立て土砂搬出反対、新基地建設ストップの声を日本全国に響かせよう」との決議文を採択し、閉会した。

〈辺野古土砂搬出反対全国連絡協議会参加団体(50音順)2016・4・10現在18団体〉
奄美市住用町市環境対策委員会(鹿児島)
海の生き物を守る会(京都)
沖縄・辺野古に新基地をつくらせない広島実行委員会(広島)
環瀬戸内海会議(一一府県+東京)
五島列島自然と文化の会(長崎)
自然と文化を守る奄美会議(鹿児島)
島ぐるみ会議名護(沖縄)
小豆島環境と健康を考える会(香川)
手広海岸を守る会(兵庫)
故郷の土で辺野古に基地をつくらせない香川県連絡会(香川)
辺野古埋め立て土砂搬出反対北九州連絡協議会(福岡)
辺野古埋め立て土砂搬出反対熊本県連絡協議会(熊本)
辺野古に土砂を送らせない!山口のこえ(山口)
辺野古のケーソンをつくらせない三重県民の会(三重)
南大隈を愛する会(鹿児島)
門司の環境を考える会(福岡)
本部町島ぐるみ会議(沖縄)

決議

辺野古土砂搬出反対全国連絡協沖縄学習交流会

埋め立て土砂搬出反対!新基地建設
ストップの声を日本全国に響かせよう

 二〇一五年五月、辺野古新基地建設の埋立て土砂を、西日本各地から採取する計画を知った土砂採 取予定地の七つの環境団体が、「一粒たりとも故郷の土を戦争に使わせない」を合言葉に、奄美 で辺野古土砂搬出反対全国連絡協議会(以下、辺野古土砂全協)を結成しました。そして、その わずか半年後の一〇月一五日には、全国から寄せられた「西日本各地からの辺野古埋立て用土砂採取 計画の撤回を求める署名J五二・四二九筆を、強い怒りの声と共に、首相•安倍晋三に提出しまし た。
また、署名の取り組みと並行しながら、土砂採取予定地とされる全ての県で、搬出に反対する 住民•市民団体が結成されました。さらに三重県では、辺野古埋立て用ケーソン製造に反対する 市民団体が立ち上がるなど、現在、辺野古土砂全協は一八団体が参加し、個人会員も増えつつあ ります。
大量の土砂採取は、持ち出される側にとって地域の山•川•海などふるさとの環境や景観の破 壊をもたらします。しかもその大半が、国立公園の隣接地や世界自然遣産登録を目指す地域にあ るのです。
辺野古と大浦湾の海は、豊かな生態系を有している海域として世界的にも評価され、まさに「国 民共有の財産」となっています。この宝の海への大量の土砂搬入は、辺野古と大浦湾を回復不可能 なまでに破壊することであり、しかも外来種が混入すれば、生態系、そして農業•漁業などへの 影響も避けられません。
そして何よりも、辺野古新基地建設は単なる普天間基地の代替施設ではなく、海空両用の最先 端の軍事機能を有する基地の新設増強であり、耐用年数200年ともいわれる基地を半永久的に固 定化することであり、決して沖縄の基地負担軽減にはなりえない計画です。
以上の点から、私たちは、圧倒的な沖縄県民の「基地反対」の声を無視した辺野古新基地建設 計画工事強行に強く反対するとともに、反対する市民に対する理不尽かつ暴力的な人権蹂躪に心 底から強く抗議します。
今回の沖縄学習交流会では、沖縄の皆さんの思いを直接感じるとともに、現地に足を運ばなけ れば決して見えてこない辺野古基地内の土砂採掘、高江のへリポート、伊江島の新基地、オスプ レイ全国配備との関連など多くのことを学ばせて頂きました。
私たちは今日あらためて、辺野古新基地建設計画が日本全体の問題であることを肝に銘じたいと思います。そして、今回ともに学んだ沖縄の皆様に心から感謝するとともに、沖縄と全国が連 帯•連携し、「埋め立て用土砂搬出、辺野古新基地建設Jストップの声を日本全土に響かせてい くために、さらに力を合わせて活動していくことを表明します。
二〇一六年四月一八日

辺野古土砂搬出反対全国連絡協議会
二〇一六・四・一七〜 一九沖縄学習交流集会参加者一同


 


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