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    かけはし2016.年6月13日号

「アベノミクス」に断を下せ


7月参院選

消費税率引き上げ再延期の安倍

貧困・格差に立ち向かう共同戦線を

G7席上のかけ引き


 安倍首相は、国会会期末の六月一日、二〇一七年四月に予定していた消費税率の一〇%への引き上げを、二〇一九年一〇月まで二年半延期すると正式に表明した。この方針は六月二日「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)と「一億総活躍プラン」として閣議決定された。消費税率引き上げ再延期に抵抗のポーズを見せていた麻生財務相・副総理や谷垣自民党幹事長も、最終的には安倍の判断を受け入れざるを得なかった。
 安倍首相は二〇一四年一一月、消費税率一〇%への引き上げを二〇一七年四月まで延期するとして解散・総選挙を行った時、「再び延期することはない」と明言していた。二年半にわたる「引き上げ再延期」は、「アベノミクス」の袋小路を再び明確にしたものである。
 安倍は五月二六〜二七日のG7サミットにおいて、世界経済において「リーマンショック前と似た状況がある」かのように提起した。しかし「消費税率引き上げ延期」の口実に利用しようとした「リーマン危機と酷似した事態」という世界経済認識は、メルケル独首相をはじめとした各国首脳からの批判を受けることになった。
 その結果、G7伊勢志摩首脳宣言では「世界経済の回復は続いているが、成長は引き続き緩やかでばらつきがあり、また、前回の会合以降、世界経済の見通しに対する下方リスクが高まってきている。近年、世界的な貿易のパフォーマンスは、期待外れの状況にある。弱い需要及び未対応の構造的な問題が、実際の及び潜在的な成長に負荷を与えている要因である」とのきわめて一般的な表現にとどまることになってしまった。
 「リーマンショック並みの経済危機、あるいは東日本大震災に匹敵する大災害」を、消費税再引き上げ回避の条件として語っていた安倍は、G7の場を「引き上げ延期」の舞台にしていく筋書きを撤回せざるを得なかった。

「新しい判断」だって?
 
 安倍内閣は六月二日に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)と「一億総活躍プラン」、「日本再興戦略」を通じて、「希望出生率1・8」や「名目GDP六〇〇兆円達成」を図るのだという。「一億総活躍プラン」では「保育所落ちた 日本死ね」のブログが先鋭に浮き彫りにした保育行政の貧困に対する怒りへの共感に対処する、というポーズを取って「保育士や介護職員の賃金引き上げ、保育・介護施設の増設」などに加えて、学生時代からの借金地獄と低賃金・無権利の過酷なアルバイトが強制される状況を改善するための「無利子・給付型奨学金」の導入、「同一労働・同一賃金」の実現などがうたわれた。
 安倍首相は六月一日の記者会見で「アベノミクスのエンジンを最大限にふかす」と語った。しかし安倍政権が進めるこうしたキャッチフレーズとはうらはらに格差・貧困の拡大、定着はさらに進んでいる。厚労省の調査では、年収四〇〇万円以下の世帯数は一九九三年には三分の一程度だったが、二〇年後の二〇一三年には約半数に増大した。この傾向はさらに広がっている。「消費税率引き上げ延期」は、こうした格差・貧困の拡大を是正する施策が行われないことへの口実として利用されるだろう。現に安倍は社会保障に関して「(消費税率を)一〇%に引き上げた場合と同じことをすべて行うことはできない」と語って「公約違反」の追及からあらかじめ逃れる布石を打った。
 「消費税引き上げを再び延期することはない」という二〇一四年一一月の明言については「新しい判断」という一語で消し去られてしまった。

経済政策での対決


 六月三日に自民党が発表した参院選公約では、「デフレ脱却」を加速するため「あらゆる政策を総動員する」という閣議決定をなぞりながら、「一億総活躍社会」の施策を並べたが、そのための財源は、結局のところ「成長」に委ねられるという堂々巡りの論理に終始している。「総活躍」のためには「成長」が必要だから、すべては「成長」次第という話なのだ。
 また、五年間でリニア新幹線の大阪延長や整備新幹線の整備のために官民あわせて三〇兆円の資金を充てるなどのインフラ整備の必要性について強調している。こうした大型開発に対しては税金を投入して推進するという伝統的手法だ。
 他方、憲法改悪問題については公約の最後に「国民の合意形成に努め憲法改正を目指す」との一言が書かれているのみである。こうして安倍政権は二〇一六年七月参院選を、もっぱら「アベノミクスのエンジンをふかす」ことに集約して、戦争法廃止・九条改憲阻止を軸に据えた野党共闘による自公政権への挑戦をかわそうとしている。
 戦争法制廃止・憲法改悪阻止の二〇一五年の闘いを背景にした民進党から共産党にいたる野党共闘は、いま参院の三二選挙区すべてで統一候補を擁立することができた。この共闘の実現は、なによりも昨年以来の戦争法案反対闘争の高揚なくしてはありえなかった。それはまた、沖縄で島ぐるみの闘いとして不屈に繰り広げられてきた辺野古新基地反対闘争によって支えられている。
 われわれは野党共闘前進を歓迎し、安倍自公政権の改憲・戦争国家化との闘いのために当選をめざす。安倍政権が、七月一〇日の参院選で仮に勝利するようなことがあれば、「戦争法」を背景とした「対テロ」戦争への自衛隊派兵、米豪などと一体となった南シナ海などでの対中軍事作戦への踏み出し、ならびにそうした既成事実を背景とした九条改憲への道筋が引かれていくことは確実だからである。
 同時にわれわれは、この安倍自民党政権との闘いが、貧困・格差・失業・原発依存・環境破壊をもたらす今日のグローバル資本主義との闘いであることをも「アベノミクスとの闘い」として突き出し、そのための運動と政治的結集をも追求していくことが必要である。
 戦争法廃止・改憲阻止・脱原発・安倍政権打倒をめざす野党共闘と同時に、この運動の中からオルタナティブな反資本主義のための闘いをめざし挑戦することこそ、並行して進めなければならない課題である。そうした左派に課された任務を意識しつつ、七月参院選において安倍与党を敗北させるために全力を上げよう。   (六月六日 純)

5.29「マイナンバー」半年を検証する集会

見直し廃止を求めよう

個人番号カード発行停止へ


欠陥だらけで
トラブル続き
五月二九日、マイナンバー(共通番号)制度に反対する共通番号いらないネット、マイナンバー制度反対連絡会、マイナンバー違憲訴訟東京弁護団などによる集会実行委員会は、文京区民センターで「マイナンバー(共通番号)スタートから半年を検証する5・29集会」を行い、二二〇人が参加した。
グローバル派兵国家建設の一環である治安弾圧・民衆管理監視強化にむけたマイナンバー制度の一月運用強行から半年がたった。欠陥制度を証明する事態が次々と発生している。マイナンバーカードを発行する地方公共団体情報システム機構(J―LIS)の欠陥サーバーによってシステムトラブルが頻発し、カード交付の一時停止・遅延が発生。マイナンバー通知カードが二一八万件も届いていない。
約一〇〇三万枚の申請に対して六四〇万枚が市町村に滞留状態だ(四月二六日)。しかもJ―LISは、システムトラブルに対して場当たり的に対応し、欠陥サーバーであると知りながら運用を続け、トラブルが拡大するという悪循環に陥っている。企業ではマイナンバー提示の強要、書類紛失などの個人情報流出、プライバシー権の侵害が拡大している。
J―LISがマイナンバーシステムの欠陥に対する杜撰な対応を繰り返しいるにもかかわらず、安倍政権は二〇一九年末までに八七〇〇万枚の交付を計画している。「書かない!番号 持たない!カード」を合言葉に民衆管理監視のためのマイナンバー制度に反対していこう。

メディアの現場
への激励が大事
集会は、宮崎俊郎さん(共通番号いらないネット)の開催あいさつから始まり、「マイナンバー制度一月運用に対して延期すべきだ、開始の条件が整っていないと、再三、政府に対して要求してきた。通知カードでさえ届いていない人がたくさんいる。J―LISが様々な不具合を起こしてカード配布の遅延が起き、たった三〇〇万枚しか配布されてない。政府は、このような状態にもかかわらずマイナンバーカードを持ちましょうと宣伝している。企業・自治体ではマイナンバー提出が義務づけされていないにもかかわらず、提出を強要されている。この制度の廃止と今後の取り組みに向けて検証していきたい」と呼びかけた。
「“市民監視社会”をどう生きるか」をテーマに田島泰彦さん(上智大学教員、メディア法)と青木理さん(ジャーナリスト)が対談を行った。
対談では、@秘密保護法(二〇一三年)制定からマイナンバー制度、刑訴法改悪にいたるプロセスは民衆監視強化のためのワンセットであったA刑訴法改悪によって盗聴対象を拡大し、次は共謀罪を準備しているB「安心・安全」キャンペーンを強めながら、GPS捜査、顔認証システム、防犯カメラ設置を拡大し、個人の行動などを特定していく流れが強まっていることなどを明らかにした。
青木さんは、「安倍政権は、メディアに対する圧力を行い、メディア幹部は自主規制してしまっている。現場記者やテレビスタッフは、ぎりぎりで抵抗しているのが現状だ。この力関係を少しでも逆転させていくために現場記者、スタッフに対する激励は重要になつている」と呼びかけた。

監視社会強化
を許さないぞ
原田富弘さん(共通番号いらないネット)は、「マイナンバー制度運用開始半年の状況」をテーマに@番号通知、個人番号カード交付の状況AJ―LISのトラブルBマイナンバー提示要請の状況Cマイナンバー制度利用の状況D今後の動向と課題について報告。さらに「二〇二〇年オリンピックのテロ対策から監視社会を強化しようとしている。同時に『世界最先端IT国家創造宣言』し、IT利活用社会の実現と称して、金融・医療・福祉分野にわたってマイナンバーで個々人を掌握しようとしている。こんな野望を許してはならない」と強調した。
関口博さん(元システムエンジニア、前国立市長、国立市議)は、検証「続発するJ―LISのシステムトラブルを問う」をテーマに分析を掘り下げた。
続いてマイナンバー制度反対連絡会、マイナンバー違憲訴訟東京弁護団が発言した。
最後に、「個人番号カード発行の停止と、マイナンバー制度の見直し・中止を求める集会決議」を参加者全体で採択した。  (Y)


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