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    かけはし2016.年6月13日号

危機の再燃にどう対応すべきか


ギリシャ アンタルシア第3回大会

タソス・アナスタシアディス

 ギリシャがEUの今後に重大な影響を与える存在として再び浮上しようとしている。一つは難民をめぐる危機的情勢であり、もう一つはIMFとEUの対立をも含んだ債務危機の再燃だ。そして一方でチプラス政権は、緊縮をめぐる社会的抵抗の再活性化を前に重大な岐路にある(本紙四月四日号参照)。この中でアンタルシア第三回大会が行われた。シリザの左に立つ左翼が重大な役割を問われる中での大会だ。以下にその報告を紹介する。(「かけはし」編集部)
前回大会から三年を経て組織された、ギリシャの反資本主義左翼の第三回全国大会は、原理的、戦略的であると共に組織的な問題が同時に存在していたという理由から、一つの賭であると共に挑戦だった。
第一に組織人数。メンバー三人に一人を基礎に選出された代議員は九〇〇人となった。それは、アンタルシアがその隊列に三年前とほとんど同数のほぼ三〇〇〇人のメンバーを抱えているということを意味し、少なくともそのうちの二〇〇〇人は実際の活動メンバー、と言うことができる。
この数は重要だ。というのもわれわれは、昨年夏のシリザの敗北後、二つの構成組織(ARANとARAS)を含んでアンタルシアに分裂があったということを考慮しなければならないからだ。後者の二組織は、アンタルシアから離脱し、民衆連合(LAE)形成のためにシリザからの離脱組と合流した。こうしてわれわれは、シリザからの左翼分裂部分とそれを超えた部分を引きつけることがなかったという限りにおいて、現在の大会はまさに一つの危機と敗北を経て開催された。組織は自ら勢力を失った、と言うことができる!
この数字は、昨年夏の損失があるとはいえ、労働者運動や社会運動出身の活動家からなる相当な層はアンタルシア内に組織されている、ということを示している。これは、公表されている最新の世論調査結果でも明らかだ。つまり、元閣僚や有名な指導者たちがいる民衆連合の支持率は約二%だが、他方その指導者がほとんどかまったく知られてもいないアンタルシアは、支持率一・五%なのだ。しかしもっとも重要なことは、これらの活動家の連携と討論の枠組みが固く結束したものであり、多元的である、ということだ。それは大会論争にはっきり示された!
今回の討論の焦点は、綱領的な問題(EU、ユーロ、過渡的綱領などのような)ではなく、むしろ「連携」問題と呼び得るものに集中された。後者を言い換えれば、資本主義の残忍さを眼前にした「ソフトな」(改良主義の)道のみごとな敗北を経験した、しかしまた敵の側面を攻撃するような運動も、全領域的な敗北も経験していない。そうした労働者階級と労働者運動に、たとえば二月四日の最新の大きな決起――二〇一〇〜二〇一二年の決起に比較できる――、あるいは難民支持の実践的な連帯デモで公然と示されたような何ものか、これらにどのようにして介入するか、ということだ。
大会ではこの問題をめぐって具体性のある討論が行われた。とはいえそれは、いくつかの主題をめぐるさまざまな水路を通しても話題に上がった。後者は主に、組織された労働者運動、およびシリザから(ギリシャ共産党からも)分裂し続けていたさまざまな勢力への提携打診、加えて今日のシリザをどう特性付けるか、といった主題だ。提案された主要対応路線をまとめようとすれば、ニュアンスやその内部にあるさまざまな違いを別にして、大会中に三つのブロックが形成された、と言うことができよう。

労働運動の復活への挑戦


一つの路線は、NAR(ギリシャの主な革命派グループであり、KNE――ギリシャ青年共産主義者――からの古い分裂グループ)およびアンタルシアにとどまっているARAN少数派を軸に形成された。この部分が最終的に、代議員のほぼ圧倒的多数(六〇%以上)を確保した。
その情勢分析は、労働者運動の復活に向けた挑戦という任務を展望として一体化しつつ、労働者階級の相対的退却として情勢を表現している。そしてその任務には、裏切り的機構であり、大衆によってそのように認識されていると考えられた、労組官僚を直接側面から攻撃するという目標に基づく訴えや諸行動が含まれている。
その分析の中で諸々の戦線の問題は政治的なものを含んでいる。特にシリザから分裂した諸潮流、シリザの屈服を拒絶した部分に対して、鮮明な綱領的結論を引き出すことなく、妥当性があるという線を維持している。つまりこれは基本的に、シリザの綱領に単に通貨での絶縁を付け加えたにすぎない(その上に、通貨問題はむしろ交渉の対象である何ものかと見られる)民衆連合を含んでいる。しかし、これらの潮流に対して必要となる働きかけのあり方に関しては、なお混乱している。それは、これらの潮流が必ずしも鮮明なあるいは首尾一貫した反資本主義の立場に立っているわけではない限り必要となるとの考えの下に、はっきりそれを認めないまま、綱領的順応を前提としている点で言えることだ!
第二の路線はSEK(国際主義社会主義テンデンシーのギリシャ潮流)を軸に形成された。それは、「労働者統一戦線」の主張をもっておよそ代議員の四分の一を占めた。その主張とは、労組のさまざまな官僚に対する、また急進的活動家たちに向けた連携への体系的働きかけだ。一般論とすれば「古典的な」この対応は、労働者階級の継続的で変わることのない高まりに関するSEKの疑問の残る分析に触れないまでも、現在の情勢の中では実体的な問題をはらんでいる。つまり事実として、それが理論的な誤りではないとしても、労働者階級に対するもっとも暴力的な攻撃の一つを遂行中であるシリザのような政権党を「改良主義者」と今見なすことは、簡単なことではないのだ。
そして第二に、労働者運動に対するここ五年にわたる攻撃は、労組官僚機構の信用を完全に傷付け、それを不安定化し、混乱さえも引き起こすことになった。そしてその不安定化と混乱は、諸労組の実体的基盤に関してはむしろもっと大きい。その点に関する限り、労働者諸組織に対するまさに抽象的な働きかけは、それが単純に彼らを強く非難することに狙いをつけたものでないとしても、少なくとも幻想の種をまく危険を犯すものだ。いずれにしろこれは、その反対者たちによるこの分析に対する批判だ。

第三の傾向は「革命的退却」

 第三の傾向は、OKDE―スパルタコス(第四インターナショナルギリシャ支部)を中心に「革命的アンタルシアのためのイニシアチブ」によって形成された。それは、代議員のおよそ八%から承認された。「イニシアチブ」の対応路線は、はっきりさせれば、街頭における共存以外の一つにまとめられた政治的アプローチすべてを拒絶すること、そして反資本主義的回答を推し進めることだった。それ以上に、「イニシアチブ」の活動家のほとんど(OKDE―スパルタコスメンバーを除いて)は、まさしく過去三年の教訓の結果として、革命的退却というこの立場を軸に結集した。
この三年アンタルシアはそれ自体、多量のエネルギーを失ったのだ。それによれば、受動的な待機という労働者階級の相対的な位置取りはシリザ内の議会主義的な諸々の幻想によって汚染されている、それゆえ資本主義の打倒において、また緊縮政策の打倒においてさえ、特に全国的な段階としては過渡的な段階を必要とするという、悲観主義的分析(特にARANとARAS、しかしまたNARの一部からの)の圧力の下で、「急進的」(そして純粋な反資本主義派ではない)諸勢力との政治的「連携」に適応しようと試みることによって、だ。
「イニシアチブ」の同志たちは、アンタルシアによる綱領的な連携に対するこの探求に関する否定的なバランスシートから、誰かと協力することに対する全面的な拒絶という急進的な教訓を引き出すことで皮肉にも、特に労働組合活動に関する第一の傾向が示した分析の多くの側面に関し、足並みをそろえている。

政治決定を行う方法


「連携」あるいは働きかけという問題に加えて、大会を鋭く分けた(ここでは二つのブロック)、そして組織問題のように見えるかもしれないが実は極めて政治的な含みをもつ、もう一つの問題があった。つまりこれは、政治的決定を行う方法、そして指導部の選出方法という問題だ。
最初の点については、決定策定のシステムに変更はなかった。それゆえ、三分の二の多数を要する「重要」決定と単純多数に基づく他のものという異なったレベル、それに総意の追求をプラスするというあり方は維持されている。指導部選出方法に関しても、形式的変更はまったくなかったが、今回、代議員多数派による比例代表制の拒否は、故意ではなかったとはいえ、指導部からの第三傾向の排除を、つまり事後になって、アンタルシアが修正しようと努力を続けている……状況を作り出した。
この状況は、定式以上に、民主的手続きの必要性に対する簡単な実例を示している。加えてそれは、もう一つの問題、どのような潮流にも組織されていず、この決定策定システムによって組織された潮流との連携を余儀なくされるメンバー、という部分が存在しているという問題とつながっている。それは、アンタルシアの草の根諸組織レベルを含めて、決して魅力的ではない機能のあり方だ。この側面に関する自覚は、ギリシャ反資本主義左翼の今ある組織機能を修正する助けとなる可能性ももつと思われる。

労働者階級を前向きにする力


最も重大になる問題は、組織的な問題でも、反資本主義左翼の組織的機能でもない。重大なことは、労働者階級を真に前向きにさせるための、この組織された勢力の任務と重みだ。この全体関連の中でこそ、機能に関する問題と統一関連の問題がその具体的な意味を帯びる。
われわれは、反資本主義左翼の活動家たちがいくつかの決定的な事例で触媒の役割を果たしてきた、ということを経験から知っている。「小さな」戦闘(一つの工場、活動の一分野、あるいは一地域レベル)だけではなく、中央の戦闘でも、アンタルシアの役割が決定的となったことがあった。すなわち、ファシズムと対決する闘争の組織化に対し、移民や難民との連帯に対し、あるいは国民投票において「ノー」運動発動に際して、だ。
しかしわれわれは同時に、左翼の重みもその模範となる行動も、裏切りあるいは政治的失策を前にした士気阻喪を防ぐには十分でなかった、ということも見てきた。それゆえにこそわれわれの前には、資本主義という一つのシステムが、しかし、その不均質な危機が継続し、欧州においてはギリシャがそれに当たる弱い鎖の環につながれ、難民や戦争の危機を伴ったシステムがある。
周知のように敗北となった諸々の戦闘は今も志気をくじき続けているが、しかしそれらはまた、必要な挑戦や本当の困難に関するもっと良質な考えを得る役にも立っている。労働者運動の反資本主義的な翼は、鮮明な構想を保持する必要がある。しかしそれを言葉で説明するだけでは十分でない。つまりわれわれは何よりもそれを、この理解への最大限に可能な幅広い同調を勝ち取るために、統一的な階級的決起のためのテコへと移し替えなければならない。今われわれが難民問題でみているように、諸問題と諸攻撃が絡み合っている限り、それこそがこの国で、また他のところでも、行わなければならないことなのだ。(二〇一六年三月一五日、アテネ)

▼筆者は、反資本主義左翼の連合であるアンタルシアの一部を構成する第四インターナショナルギリシャ支部、OKDE―スパルタコスの指導部メンバー。(「インターナショナルビューポイント」二〇一六年三月号)


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