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    かけはし2016.年7月11日号

飛行制限時間緩和許すな


三里塚 6.26

三里塚空港に反対する連絡会

「第3滑走路」計画撤回せよ

東峰現地行動を闘う

 六月二六日、三里塚空港に反対する連絡会は、「飛行制限時間緩和を許さない! 成田空港『第3滑走路』計画を撤回せよ! 横堀現闘本部裁判最高裁で勝利判決を! 反原発―再稼働やめろ! 沖縄・辺野古新基地建設反対! TPP反対!」のスローガンを掲げ東峰現地行動を行い、四〇人が参加した。
前段集会を旧東峰共同出荷場跡で行い、山崎宏さん(横堀地区/労闘―労活評現闘)が現地状況について次のように報告した。
「国土交通省、成田国際空港会社は一体となって二〇三〇年までに第三滑走路を作るという計画案を出してきた。これまでの空港反対運動の歴史を無視して、空港拡大を推進する計画だ。成田市、芝山町は、地元住民有志という形で第三滑走路の誘致を進める組織ができ、運動を展開している。報道によれば芝山町北側に三五〇〇bクラスの滑走路を作ろうということが有力視されている。芝山町、多古町、横芝光町などはさらに騒音が拡大する。しかし芝山町は、自分たちの利害をかけて必死になって第三滑走路誘致活動を行っている」。
「二〇二〇年東京オリンピックを通して旅客増加が見込まれると称して夜間の飛行制限時間の緩和への動きが出ている。成田市などの推進派に要望を出させながら、政府・空港会社はこれを梃子に夜間飛行制限時間を緩和しようとしている。現在でも早朝六時から夜一一時までは飛行し、住民の生活はギリギリのところにある。それをさらに制限時間を緩和して、もっと早朝、深夜まで飛行させようと策動している。かつて平行滑走路が作られる時、サッカーワールドカップに向けて旅客増が見込まれるからと滑走路拡大計画を掲げ、平行滑走路運用を強行した。スポーツイベントを利用しながら空港拡大をねらう、同じ手口を繰り返している」。
「政府は事業認定を取り下げて土地の強制収用ができないが、裁判を通じて農民から土地を奪う、一坪共有地の解消を図ってきている。シンポ・円卓会議で『強制的手段を行わない。住民と話し合って解決する』と確認してきたにもかかわらず、みんな反古にして一方的に権力を行使し空港拡張を行ってきた。このような攻撃を許さず、地元住民と連帯してともに闘っていこう。今後も闘いの地平を譲らず、空港絶対反対、空港拡張を許さない闘いを進めていこう」。

反対同盟50年
新しい闘いへ
平野靖識さん(東峰地区/三里塚らっきょう工場)は、三里塚闘争五〇年を迎え、新たな闘いに向けて決意表明を行った
「らっきょう工場は、木々に囲まれ、騒音はうるさいが真夏でも涼しい。五〇年闘い続けると、若かった木々も育った。人が住み続け、土地を守ることがとても大切だ。私は三里塚に空港建設の閣議決定(一九六六年七月三日)後、支援として参加した。戸村一作委員長を訪問し、四〇〇〇b滑走路計画の北側にあった駒井野に入った。第一次代執行阻止を闘い、取香の小泉よねさん宅の代執行前に別件で逮捕され、拘置房内に連れていかれ、9・16東峰十字路事件を知った。警察の弾圧は現地の若い人たちに繰り返し強行された。この闘いは、長期戦になると実感していった」。
「彼らは、農業を見直し、一九七二年あたりから東峰で有機農業を取り組み始めた。国が進める化学肥料を使う大規模農業では土地が痩せ、機械化貧乏が膨らんでいったからだ。このような農業は間違いではないかと反省した。また、沖縄、水俣、三里塚が反権力の砦だったが、チッソが作る農薬で農業を行うことを拒否した。現在、反対同盟は三つに分裂しているが、空港反対闘争をしっかりと闘い続けているのは、近代化農法を拒絶し、有機農法を取り組んだ人たちが、今もなお空港に対して異議申し立てを続けている」。
「シンポジウム・円卓会議によって国は、力ずくで空港を作っていくやり方に対して民主主義的ではなかったと公に謝罪した。収用裁決申請をすべて取り下げた。三里塚物産の土地、島村家の土地、用地内の反対派の土地は強制収用の対象外となった。しかし、その後、ことごとく裏切り、現在、農地法の不当な解釈によって天神峰地区の市東孝雄さんの土地が奪われようとしている。闘いの拠点をしっかりと守りながら、これから先の闘いを続けていきたい。五〇周年ということで七月一七日に東京で集会が行われる。皆さんとともにお会いしたい」。

石井紀子さん
のメッセージ
田んぼくらぶの仲間から所用で参加できない石井紀子さん(成田市川上)からのメッセージが読み上げられた。
「七月一七日の反対同盟五〇周年の集会には、私も参加した八〇年代の若い嫁たちの運動を話したいと思います。八六年の東峰裁判判決の前後、青年行動隊の妻たちと支援の女性たちの裁判支援から始まった運動がありました。
三里塚の女性たちというと婦人行動隊のおばさんたちが浮かぶと思いますが、一時期若い女たちも頑張っていたものです。
辺田・浅川・中谷津・東・宿・岩山・東峰・三里塚と広範囲に渡る青行の妻たちが自分の夫にかかわることなので皆、立ち上がり、家族会を作って団結したのです。家族会ニュースを発行し、駅頭でビラを撒き、じゃがいもを配り、保釈金の足しにとキムチを漬け、田植えをし果ては日比谷公会堂で集団劇までやりました。この『家族会と支える女たち』の活動をずっと写真に撮ってくれた人がいます。今は映画監督になった島田恵さんです。石井家に住み込んで生活を共にする中で私や他のみんなの飾らない素顔を撮られました。
ずっと私が持っていましたが、一七日に公開しようと思います。みんな若くて一生懸命で輝いていたこの時期の写真をぜひ見に来て下さい。一七日に会場でお会いしましょう! 石井紀子」。

農民追い出し
許すな!とデモ
根本博さん(泉州沖に空港を作らせない住民連絡会)は、「空港問題は、国のウソとデマによって進めてきた共通なところがある」と指摘し、「関西空港も需要が伸び、経済も大きくなると言われてきた。結局、需要は伸びず、開港二〇年にしても一兆円以上の借金が残っている。関西空港ができる前提であった一四万回着陸さえカバーできていない。航空需要は、時の経済情勢によって左右され、うなぎ登りで伸びることはない。日本人の需要は、ここ三年で減っている。一兆円の借金を減らすために空港運営権を売却したりなどで覆い隠そうとしている。環境破壊、兵站のための空港の軍事化を許さず空港建設のねらいを暴き出しながら闘っていきたい」と発言した。
集会後、開拓道路に向けてデモに移った。開拓道路に到着後、B滑走路にむけて「三里塚空港粉砕!農民追い出しを許さないぞ!」のシュプレヒコールを響かせた。
デモ後、旧東峰共同出荷場跡で交流会を行い、参加者から今後の三里塚闘争の方向性の問題提起、論議などを深めていった。 (Y)

寄稿

燃費不正事件に観る株式会社の腐朽化

新しい社会的生産システムの構想へ

志馬田克也

 

三菱自動車、スズキなど自動車メーカーの燃費不正問題が大きな話題となっている。これは一企業の「不祥事」ではなく、「株式会社」という資本主義が作り出したシステムそのものの問題ではないか、ということが論じられる必要がある――そうした観点から本紙読者の志馬田さんに寄稿していただいた。(本紙編集部)

 三菱自動車工業に続きスズキでも公表燃費の不正が露見し、各社首脳が深々と頭を垂れて謝罪するいつもの風景が報じられている。しかしここで論じたいのは不正を防止できない企業統治の欠陥でも、ましてやデータ改ざんの手法でもない。筆者はこのところ頻発する「企業不祥事」に株式会社というシステムの腐朽化を見る思いがする。そもそも株式会社とは何か。その株式会社に何が起きているのかを知るために、いまいちど原点に立ち返って、資本主義と株式会社についての議論を振り返ってみたい。

マルクス主義の
分析に沿って


 マルクスは信用制度に関する分析(『資本論』第三巻二七章)の中で、株式会社について「資本主義的生産様式そのものの限界内における、私的所有としての資本の止揚である」「資本主義的生産の最高の発展のかような結果こそは……結合された生産者である彼らの所有として、直接の社会有として、再転化される途上の必然的な一通過点である」「信用制度に内在する……社会的富を搾取する収奪者の数をますます局限するという性格、しかし他面では、新たな一生産様式への過渡形態をなすという性格、――この二面性こそは……信用の主要宣伝者に、山師と予言者との愉快な混合性格を与えるものである」として、それが資本主義的生産様式の最高の、従ってまた最終の過渡的形態であると論じている。
 商業銀行が巨大金融資本としてたち現れ、企業の集中と独占が進行した二〇世紀段階では、ヒルファーディングが『金融資本論』の中で「金融資本は、株式会社の発展とともに発展し、産業の独占化をもってその頂点に達する」ことを示し、レーニンは『帝国主義論』において「帝国主義とは、独占体と金融資本の支配が成立していて、資本輸出が著しく重要性を増し、国際的なトラストによる世界の分割が始まり、最強の資本主義諸国による世界の全領土の分割が完了したという発達段階に達した資本主義のことである」とした。
 現代資本主義の分析に関しては「レーニンの帝国主義分析の確証として……資本主義的生産様式の構造的危機の諸条件下での独占資本主義時代の、帝国主義の新段階」を解明した、エルネスト・マンデルの『後期資本主義』をもって嚆矢とするところだが、後期資本主義(Der Spätkapitalismus)とは金融資本を中核として巨大コンツェルンを形成するに至った帝国主義期の資本がついに止揚されようとする段階と考えられる。

使命を終えつつ
ある株式会社


 これらの論考はいわば株式会社の弁証法であり、そのような存在として株式会社を捉えたとき、二一世紀に株式会社がその「過渡的使命」を終えつつあることは明らかであろう。思い起こせば二〇〇一年に米国のエンロンが破綻し、翌二〇〇二年にはワールドコムが空前の負債を抱えて倒産している。
 破綻した両社はそれぞれエネルギー産業と通信産業に属するが、その実態はいずれも金融トレーダーであり、破綻の要因は金融取引の失敗である。しかし訴追されたのは投機の失敗ではなく、その損失を隠蔽する粉飾決算、すなわち株主を欺く行為であったことに留意すべきであろう。日本でも今世紀初頭にライブドアや村上ファンドが証券取引法違反で訴追されたことは記憶に新しい。また昨年はついに東芝のような一部上場企業でも粉飾決算が摘発されて執行部九人が辞任に追い込まれた。
 本来であれば実体経済が生み出す付加価値に基礎を置かない、金融バブルの連鎖を終焉させるべきところだが、各国支配層はさらなる延命策として、金融工学という現代錬金術の洗練に活路を求めた。象徴的な事例は、サブプライム債のリスクを分散して、株式や公社債とは異次元の低リスク高リターンを誇る金融派生商品を、金融市場の規制緩和の下で合法的に作り出したことである。デフォルト確率一〇%の債券を一〇件束ねれば、すべてが同時に破綻する確率は一〇〇億分の一という触れ込みだったが、金融工学は、降水確率が一〇%であっても雨が降れば(不動産価格が下落すれば)全員が濡れるという見やすい道理に意図的に眼を瞑った。その結果、当然のように二〇〇六年後半以降の米国住宅価格の下落がリーマンショックを惹起させたのである。
 重要なのは、山師的金融工学自体は何ら付加価値を生み出すわけではなく、従来の約束では九九%に配分されるべき富を収奪し、一%の富裕層に移転させるための壮大なこけおどしの装置にすぎないということだ。そしてこのシステムの不具合は常に税金によって補修される。違法な収奪も合法的収奪も九九%の勤労者の生存を脅かす点において選ぶところはないという事実を見落としてはならない。

一刻も早くこの
ゲームを止めろ


 冒頭の燃費不正事件に立ち返れば、三菱もスズキも自動車メーカーであり、金融取引に深入りしていたわけではない。昨年発覚したVW社の排ガス不正事件とも共通するが、ことの本質は消費者に対する製品データの粉飾である。およそ資本家的企業の商品戦略に誇張や欺瞞などの粉飾はつきものなのであって、たまたま一部企業は一線を超えたが、違法な宣伝も合法的宣伝も消費者を欺く手段であることに変わりはない。
 とはいえ、これら決算あるいは商品データに関する法令や規制は各国の支配層が自分たちの都合に合わせて立案したものであり、その目的は搾取される勤労者が、進んで自らに責任のない債務返済を継続することで資本の自己増殖に協力するように仕向ける方便ないしは目眩ましである。この自分勝手な仕きたりを自ら守りえず、九九%の勤労者に対する粉飾を自己暴露するはめに陥っていることのうちに、株式会社の腐朽化ひいては資本主義の危機が顕在化しているというべきである。
 決算や製品データの粉飾が詳らかにしているのは、支配層が懐柔策として自ら定めたルールですら資本の自己増殖の障害になりつつあるということであり、いま求められるのは新しいルール作りやさらなる規制緩和ではなく、一刻も早く資本主義ゲームを止めることなのだ。
 ただ筆者は資本主義的企業の経営者が、押しなべて歴史の進歩に抗う反動分子だと主張するつもりはない。危機の時代にあっては特に中小企業において、株式会社の予言者的側面を認識し、資本主義に代わる新しい社会的生産組織の構築に労働者とともに取り組む経営者が必ず現れるはずである。



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