もどる

    かけはし2016.年7月18日号

改憲に舵を切る安倍との闘いへ


参院選の結果とこれからの課題

共同の闘いで政権退陣に追い込もう

「アベノミクス」では生きていけない!

野党共闘と沖縄・福島の勝利

 七月一〇日投票の参院選の結果は、今後の日本の政治にとってきわめて重大な影響を及ぼすことになるだろう。
安倍首相は、選挙において「憲法改正」について全くといっていいほど語ることなく、論点をもっぱら「強い経済再生」「アベノミクスの成果」についてしぼったキャンペーンに終始した。投票率は全国のトータルで前回二〇一三年の五二・六一%を上回る五四・七〇%に達したが、民主党政権下の二〇一〇年の五七・八二%には達しなかった。
自民党は改選議席五〇を上回る五六議席を獲得したが、前回の二〇一三年参院選で獲得した六五議席との関係で言えば九議席の減である。自民党は二〇一三年には選挙区で四七議席獲得したものの、今回は野党共闘の成果もあって三七議席にとどまった。二〇一三年参院選では、一人区での勝敗は自民党の二九勝二敗だったが、今回は二一勝一一敗と野党共闘の側が大きく盛り返した。とりわけ東北地方では、秋田県を除く青森、岩手、宮城、山形、福島で野党共闘の側が接戦を勝ち抜き、さらに新潟、長野、山梨でも勝利したことも大きな成果だった。
全国三二の一人区のすべてで野党共闘が成立し、さまざまなしこりや矛盾を抱えながらも、かなりの成果を得たことの意義を過小に評価すべきではない。この成果は何よりも昨年の戦争法に対する闘いのうねりを作り出した労働者・市民、若者たち、女性たちの運動が発した「野党は共闘!」の声なしには決して実現されなかった。もちろん野党共闘の結果は全国的に一様ではなかったことを忘れてはならない。とりわけ西日本では、議席に結実した例はほとんどなかった。
他方、辺野古への米軍新基地建設を強行し続ける安倍政権に対して「島ぐるみ」の抵抗を蓄積した沖縄で、米軍属の元海兵隊員が二〇歳の女性を暴行・殺害し、死体を遺棄したおぞましい犯罪への怒りを胸に、現職閣僚の島尻安伊子候補に対して伊波洋一さんが一〇万票以上という大差での圧勝をかちとったこと、さらに深刻な原発事故被害に苦しみ、「復興・帰還」の名の下に被害補償の打ち切りが進められている福島で、これまた現職閣僚の岩城光英候補を打ち破って野党共闘で増子照彦候補が勝利したことも、特筆すべき出来事である。
民衆の犠牲を顧みない支配者どもの悪政を象徴する沖縄と福島で、それぞれ現職閣僚を落選させ、安倍政権に明確なノーの意思を発したことは、きわめて大きな意味を持っている。

3分の2を取った改憲勢力

 他方、比例区の得票で見れば、自民党は「小泉ブーム」に沸いた二〇〇一年以来となる二〇〇〇万票を獲得した。自民党の比例区得票率は二〇一三年の三四・七%を一・二%上回る三五・九%に達した。そして自民・公明両党で参院の過半数を獲得しただけではなく、「おおさか維新」、「日本のこころを大切にする党」を含めた改憲勢力は、ギリギリで参院の三分の二を獲得し、衆参両院で改憲発議に可能な数を占めることになったのである。
参院選の演説では、安倍は「改憲」は選挙の争点ではない、として「改憲」の本音を語ろうとしなかった。ところが参院選の勝利が確実なものになるに及んで、七月一〇日夜のTV番組では「いよいよ憲法審査会に議論の場が移ってしっかりと議論し、どの条文をどのように変えていくかということに集約されていく」と語り、国会が始まったなら「憲法審査会の改憲議論を詰めて、仕上げていく」宣言を発したのである。
多くの人びとが予測していたように。選挙運動中は「改憲は今回の選挙の争点ではない」として口をつぐみ、投票が終わって、「三分の二」のメドがついたら、「国民の信任を得た」として「憲法九条明文改憲」の旗を掲げる、これが彼らのやり口だ。
昨年の戦争法国会反対の闘いを引き継ぎ、辺野古をはじめとする沖縄の反基地「島ぐるみ」闘争とともに闘うことをはっきりと打ち出した民衆運動と野党との連携の意義をあらためて確認し、われわれは憲法改悪阻止の共同闘争の陣形を、さらに強化していく必要がある。
「戦争をさせない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」は参院選挙を受けた七月一一日の声明で次のように述べている。
「改憲勢力が、戦後初めて衆参で三分の二の議席を獲得したことにより、今後、自公政権は『自民党の改憲草案』を基本としながら、憲法改悪へ踏み出すことは確実です。戦争法の具体化、沖縄名護市辺野古への基地建設、原発再稼働・推進政策などを加速させ、アベノミクス政策も強引に進めてきます。これらの政策は、世論・市民の支持を得ておらず、立憲主義・憲法を破壊するものです。私たちが直面しているのは戦後最大の平和と民主主義の危機にほかなりません。そのことから総がかり行動実行委員会は、引き続き、憲法改悪と戦争法の発動に反対し、暮らし、人権、平和を守るため、安倍政権の暴走に対抗する連帯の輪を拡大して、全力で闘い続けることを宣言します」。
われわれはこの立場を支持し、連日連夜、戦争法の成立を阻止するために国会を包囲した労働者・学生・市民、独自の結集と表現の形態を作りだしながら自分たちの行動を作り出したSEALDsの若者や「ママ」たちと、政党との連携のあり方をさらに構想していく必要があるだろう。
同時に、われわれは「改憲阻止」「戦争法廃止」の運動と、今日のグローバルな資本主義の危機が生み出す、格差・貧困・差別・排外主義との闘いをどのように連携させるべきなのか、そのための運動と組織をどう作りだしていくのかを改めて集中的に論議すべきであろう。

国際的展望の重要性


イギリスの「EU離脱」問題は、あらためて今日のグローバル資本主義の危機を根源にした難民問題、テロリズム、排外主義・レイシズムとどう闘うのかという課題を避けて通れないものにしている。今回の参院選で初めて選挙権を行使した一八歳〜一九歳の若者たちの約四〇%が比例区投票で自民党に入れたと報じられている。とりわけ欧州の運動が直面している貧困・失業とレイシズムとの深刻な関連に注目しつつ、あらためて問題を国際的に提起する必要がある。
中国の拡張主義、北朝鮮の独裁体制による核ミサイル発射という挑発は、貧困・不平等の中で「己の敵」を「外」に求めていく気運を増殖させることになる。そうした中で、問題をどのように考えていくのか、われわれは世代を超えてこのテーマに直面している。課題は国際的な民衆連帯の中でしか解決されない。
われわれは今回の選挙結果から何を引き出すか、そのための討論をさまざまな角度から積み上げていこう。安倍政権が繰り出す「アベノミクス」という改憲・戦争国家化とセットになった政策が、若者・現役世代・高齢者にとってどのような悲惨な結果をもたらすのかは、さらに明白になっていくだろう。
改憲阻止・戦争法廃止・安倍政権打倒へ!辺野古新基地建設阻止、沖縄の全基地撤去、原発再稼働を阻止しよう。 貧困・格差を拡大する「アベノミクス」と闘う労働者・民衆の共同を!  (七月一二日 純)


もどる

Back