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    かけはし2016.年7月25日号

第3政党建設に踏み出す時だ


米国

サンダースのクリントン支持を前に

民主党からの進歩派大量離脱
は行き先があってこそ可能に

ホーウィー・ホーキンス

 今年の米民主党大統領予備選は、本命と目されたヒラリー・クリントンを最後まで苦しめたサンダース現象で注目された。現在サンダースはクリントン支持を正式に明らかにしているが、これにより、サンダースを支持した特に若者たちがどう行動するかが注目されている。以下は、今回の経験を第三政党建設のために好機として活かすべき、と力説している。強大な二大政党の壁を打ち破る闘いに対しいくつかの具体的な展望も示され、示唆に富む論考だと思われる。(「かけはし」編集部)

 民主党進歩派の第三政党に向けた大量離脱という、左翼が抱く永久的夢は、ユージン・デブス(IWW〈世界産業労組〉、及び米社会党創設者)の日々以後死産となってきた。彼は一九〇四年、以下のアピールを民主党進歩派に行ったのだった。
すなわち「社会党に向かう以外にこれらの進歩的な人びとはどこに転じることができるのだろうか? 彼らは今、一つの政党を欠いているが、戦場にある唯一の真正な民主党は社会党なのだ。そして真の民主党員すべては、名前だけが民主である政党から事実において民主的である政党へと彼らを追い立てていることに対し、ウォール街に感謝しなければならない」と。
これは、二〇一六年に緑の党のジル・ステインが今、ヒラリー・クリントンへの投票という見通しに失望しているバーニー・サンダース支持者に向けて行っている訴えに連なるものだ。ほとんどの大統領選の場合以上に、二〇一六年には大量離脱を期待する理由がある。サンダースキャンペーンは、左翼独立政党に向けた大衆的基盤が今そこにある、と明らかにしてきたのだ。

独立左翼のための基盤今そこに

 何十年もの間世論調査は、公的な国民皆健康保険、フェアトレード、より高い最低賃金、有給家族休暇、社会福祉給付の拡張、ウォール街規制、再生可能エネルギー、インフラ支出、公的資金による選挙キャンペーン、累進課税といった政策への支持が多数派であることを示してきた。サンダースキャンペーンは今、何百万という人々は進歩的な経済政策政綱を提唱する候補者に投票するだろう、ということを明確に示してきたのだ。
このキャンペーンは、特により若い仲間たちの中で、この完全な多数派がその声を選挙の領域の中に見つけ出すことを助け続けている。そしてそのことは、将来に向けた十分な前兆だ。サンダースキャンペーンはまた、九九%は一%の巨額寄付と対抗するに十分な規模で、何百万人という民衆から小口寄付をもってキャンペーンに資金を提供する、能力と意志をもっている、ということも見える形にした。
サンダースは、スーパーPAC(二〇一〇年の最高裁判決によって、一般的政治活動資金と区別された選挙資金を無制限に管理できることになった特別政治活動委員会:訳者)の「汚いマネー」が算入されている時代にあって、企業から資金を提供されている候補者たちと同じ程度の額を集めてはいない。しかしサンダースの額は、組織化という地上戦の戦場で有権者に声を届け、適切な規模のキャンペーン広告という空中戦を行うには十分なのだ。
民衆とマネーはある。独立左翼にとっての問題は、この基盤を民主党からいかにして引き離すかだ。
左翼のあまりに多くの者たちが、民主党内外で同時に活動することに挑む過渡的な組織に対するあらゆる種類の提案と一体的にこの問題を考えすぎている。それらは多くの形態で何度も挑戦されてきた。そして今数多くのサンダース支援者は、再び試すつもりになっている。
以前の民主党改革運動すべては、民主党内変革の代理人として中立化されることで終わりを迎えた。諸々の党委員会、キャンペーン諸組織、また予備選投票とその論争に参入する対価は、党外部という選択肢を捨てる誓いだ。それこそが、民主党の論争舞台に登り、投票で成功するために、サンダースが支払った対価だ。
私の考えでは、独立左翼政党へ進歩派民主党員を引き入れるもっと単純で直接的なやり方がある。つまり、それを建設せよ、そうすれば彼らは来るだろう、ということだ。民主党からの大量離脱には、見える形で強力な向かうべきどこか、がなければならないのだ。
有効に機能している地方や州の独立左翼諸政党が確保している批判的な大衆が存在しているならば、民主党内の進歩派は、独立した諸政策を実際的な選択肢と理解するだろう。われわれがそこに進まない限り、ほとんどの進歩派は、社会的にはリベラルだが親企業派であり軍国主義者の民主党を、共和党のもっと悪質ですらある社会的に反動的な親企業軍国主義者を止めるために、防衛的に投票を続けるつもりになる。

好機をつかみ地域から独立政党へ

 サンダース支持者の四人に一人はクリントンに投票する意志はない、ということを見出した四月のある世論調査に基づけば、独立左翼は二〇一六年に、左翼の独立した諸政策を支持する重要な新しい勢力を引き入れる大きな好機を前にしている。
すぐ必要な歩みは、これらのサンダース支持者をジル・ステインに対する緑の党のキャンペーンに引き込むために力づけることだ。程度はさまざまだとしてもステインキャンペーンは、今回の総選挙(大統領選挙以外に、下院全員、および上院定員の三分の一の選挙があり、州によっては知事選などもある:訳者)でサンダースの諸要求――そしてもっと多く――を掲げ続けるだろう。
二〇一六年の政治論争の中でこのキャンペーンがどの程度の影響力に達する可能性をもつかに関わりなく、そこにはまた、より多くの州で立候補資格を得るという、より長く残り極めて実際的な目標もある。それは、地方自治体議会、郡議会、州議会という将来の地方選、さらに下院選に向けて基礎を据えるだろう。そこでは、論争に形を与え、全くあり得ることとして公職を勝ち取るために緑の党が勝ち取っている候補者登録(投票用紙上に候補者名が記載される)資格を利用する、無所属の進歩派候補者に基づいて、「政治革命」が継続する可能性がある。
緑の党は二一の州で、候補者登録資格を使ってキャンペーンを始めた。党は、有権者の八五%以上を意味する四〇を超える州で、投票用紙の上に現れることを期待している。ジョージア、オクラホマ、ペンシルバニアで緑の党が参加した訴訟の成功は、今年重要となっているこれらの州で、申請要件を引き下げることになった。
緑の党の候補者登録資格にジョージアが加われば、それは左翼の政治にとって南部での重要な前進となるだろう。ノースカロライナには今、州民八万九三六六人の署名という、最も高い申請要件がある。そこで緑の党は、少なくとも不公正な選挙参加要件に反対する訴訟に向け基礎を強化するために、懸命に署名活動を行っている。
緑の党の大統領選得票は、一%から五%の間の得票率で、二五の州で被選出資格を確保するか再獲得する可能性がある。
大統領選において全国得票の五%を占めれば、緑の党は二〇二〇年大統領選に対し、一〇〇〇万ドルの公的資金を受け取る資格を得ると思われる。民主党支持者が大雑把に全国の有権者の半分を占め、サンダースが大雑把に民主党有権者の半分をつかんでいるとすれば、次いでサンダース支持者の二〇%がヒラリーではなくジルに投票するとすれば、緑の党は全国の有権者の五%となるだろう。緑の党の候補者登録資格を増やすことに加えて、公的資金供与の資格を得ることは、到達範囲にあると同時にめざす価値のある実際的な目標だ。
二〇一六年の先にある次の歩みは、緑の党諸組織に基礎を置いていないステインキャンペーン委員会を、地方の諸問題に関し活動し、無所属候補者で選挙に乗り出す地方の諸政党に転換することだ。
左翼の大衆的政党は、大きな全国創立大会から始まることはないだろう。そうした大会は、町毎に、市毎に、郡毎に、さらに州毎に建設されている第三政党運動を結集する最後の歩みとなるだろう。
今年以前の緑の党、他の左翼第三政党、そしてまさにバーニー・サンダースの経歴すべては、これが行われ得ること、また国中の草の根で複製可能であることを示している。

政治的真空埋めることは可能

 成功裏に進んできたほとんどの第三政党は、十分に教育を受けた「人の助けとなれる専門家」を基礎とした多数の進歩的な中産階級がいる地域に存在してきた。それらの専門家は、大学町(マジソン)、リベラルな都市(シアトルのクシャマ・サワント)、進歩的な州(バーモント進歩党)、そして国中の一〇〇を超える緑の党が事務所を確保している都市や町の、教員や、ソーシャルワーカーや看護士たちだ。
この統計的要素が欧州における緑の党に対する支持の核心となってきた。そしてそれらの部分が平和と環境の問題を軸に、社会民主主義左翼がこれらの問題で過ちを犯し、新自由主義の時代に経済政策で右へと移行し続けてきたことを条件に、決起してきたのだ。
米国の緑もまた、米国における労働者政党の不在の中で残された赤の真空を、加えて反環境的かつ軍国主義の民主党と共和党が残した緑の真空を彼らが埋めることができる、ということを示してきた。カリフォルニアのリッチモンドでは、二〇〇四年以後ゲイル・マクローリンがリッチモンド進歩連合の下で、八〇%以上が白人ではない労働者階級の都市で、この町に大きな精油所を保持しているシェブロンから圧倒的に資金提供を受けている親企業派の民主党を打ち破り、緑の市議会議員、そして市長として務めてきた。
筆者のふるさとであるシラキューズ(オンタリオ湖南岸にあるニューヨーク州の都市:訳者)は、労働者階級の都市だが、赤さびベルト地帯(かつては主力産業であった製造業が衰退し、工場群がいわば廃墟となって残されている地域を指す:訳者)の町だ。そこではほとんどの都市同様、「ビジネスフレンドリー」の民主党機構を通じて、住宅開発業者の利害が支配している。毒気を含んだ人種と階級の分離のおかげでシラキューズには、全米の大都市地域では、貧しい黒人とラティーノの最も高い集中があり、貧しい白人の五番目に高い集中がある。
ここに緑の党は一人の公職者もまだ得ていないが、二〇一一年には市議会選で筆者が四八%を得票し、二〇一五年には、五人の候補者が二五%から三五%を得票した。緑の党は今この市で第二党であり、民主党に対する最強の対抗政党だ。
第三政党に対する構造的な障害――勝者総取り制、無党派を条件とする地方選挙、制限的な選挙参加、私的な資金提供、企業メディア、大政党への忠誠の引き継ぎ――は、実体のあるものだ。しかしそれらは、活動家の相対的に小さな中核が克服できないものではまったくない。うまく進んでいる国中の第三政党の努力がそれを証明している。
実際われわれは、これらの障害のいくつかをわれわれの利点へと変えることができる。無党派を条件とする選挙は、二〇世紀初めの進歩の時代に企業主義的改革派によって、社会党の前進を切り取るために、同時に腐敗した大政党機構を切り落とすために進められた。彼らは、ビジネスの利益を「近代化する」ために、統治の専門技術的効率性を高める観点で、地方政治の非政治化を欲したのだ。
今日の無党派選挙では、伝統的な大政党への忠誠はほとんど障害にはならなくなっている。クシャマ・サワント、ゲイル・マクローリン、さらに国中の緑の党候補者ほとんどが公職を勝ち取ったのは、無党派選挙においてだ。今日二七の州に無党派地方選がある。さらに八つでは、郡毎に違いがある。
党派別地方選を備えた二三の州とワシントンDCでは、ほとんどの選挙区は実質的に、安泰議席を保証する党派別ゲリマンダー化のおかげで、一政党の選挙区だ。これらの選挙区のほとんどでは、少数派となっている大政党は、真剣には競争していない。それが左翼の第三政党に対し、これらの選挙区ですぐに第二政党になる、そして第一党になることを追求する大野党のために、空の戦場を残している。

社会主義者こそ新党運動の中へ

 社会主義者はしばしば、労働運動、共同体運動、平和や環境の運動に中心的な指導部を提供している。彼らは今や、これらの運動の諸要求に選挙で確固とした表現を与える地方の独立した諸政党建設で、同じことを行わなければならない。
何人かの社会主義者は、緑の党、あるいはバーモント進歩党や「その他の政党運動」には、明瞭な社会主義とは異なる、進歩的ポピュリズムの課題設定しかない、と異議を表明している。私としては彼らに以下のことを思い起こさせたい。つまりマルクスとエンゲルスが米国の社会主義的追随者に、当時の時代の農民―労働者ポピュリズム諸政党内部で活動するよう助言した、ということをだ。その理由は、それらが鍵を握る歩み出し――資本家諸政党からの階級的自立――を行ったということだった。即時的改革を求めて資本家と闘うその経験が彼らに、適した時期に十分に社会主義的な展望に向け道を開くだろう、とされた。
個々の課題に則して、そして資本家に対抗して自立した候補者を担いで選挙に乗り出すまさに彼らの権利のために、資本家諸政党と闘っている第三政党の活動家たち内部以上に、今日社会主義的思想に受容性のある聴衆はまったくいない。
第三政党建設運動内で特に有望と思われる、社会主義者が力説できる一つの展望は、地方政党支部へと組織された党費納入メンバーを基礎とする大衆的党員制の党組織だ。一九世紀における労働者党と社会主義の党の創案は、富裕層によって彼らを代表するために資金を提供されたトップダウン型の資本家政党と対抗する、組織と資金をもつ勤労民衆の政党を生み出した。
緑の党は、一九九〇年代後半に候補者登録資格を確保し始めるにつれ、この組織構造から離れ、民主党や共和党と同じ組織構造を採用した。しかしそれは、候補者が企業の拠金者たちによってあらかじめ選抜され、その後原子化された有権者に差し出される、そのような予備選方式に合わされたものなのだ。ちなみにここでの一般有権者は、諸課題を議論でき、指導者を選抜し候補者を指名できる地方組織をまったくもっていない。
この大衆的党員制を基礎に建設される地方諸政党のネットワークは、最初から大衆的な政党となることはないだろう。しかしそれは、サンダースキャンペーンのある今年のように、堅固に身を固めた親企業派と進歩的な挑戦者の違いが民主党内で、進歩派が大目に見続けるにはあまりに鋭くなる場合にはいつでも、進歩的な民主党支持者に対する現実的な避難所を提供する、資金と組織と地方的に選出された公職者をもつことになるだろう。

▼筆者は、米国の緑の党の一九八四年における共同創設者。彼は二〇一四年、緑の党ニューヨーク州知事候補者として、得票率五%を達成した。ソリダリティメンバーでもある。(「インターナショナルビューポイント」二〇一六年七月号) 

米国

ダラス後こそ
闘争を継続しよう

ソリダリティ運営委員会

 昨晩、アルトン・ステアリングとフィランドロ・カスティルの殺害への対応として呼びかけられたダラスでの「黒人の命も大事だ」(BLM)抗議行動の中で、一人あるいはそれ以上の狙撃者が、少なくとも一二人の警官を撃った。今までのところ、射撃を行った容疑者は少なくとも一人だが、五人が死亡した。この容疑者は警察により孤立させられて死亡する前に、警察の射撃とBLMに逆上したこと、そして白人を殺したいと思ったことを簡単に告げた。彼は、一人で活動している、BLMや他の組織的グループのどれともつながりがない、と語った。ダラスのわれわれの同志たちは、抗議活動参加者は射撃が始まった時、警官とまさに同じほど、驚かされ、恐ろしい思いをさせられた、その上少なくとも参加者一人は弾を受けた、と報告している。
この自警団員風射撃者と組織的抗議活動とのつながりに関するますますはっきりとしている欠落にもかかわらず、この悲劇はほとんど確実に、BLM、およびダラスおよび国中の他の黒人政治組織に対する抑圧の強化に、また民衆的なレイシズムの反動に導くだろう。右翼の識者たちはすでに、薄い被いの下に報復の呼びかけを発しつつある。同様にダラスは、抗議活動の停止を求めるいわば受けの良い口実となるだろう。
われわれはある種難しい時期を前にしている。そして今やかつて以上に、油断を怠らず闘争に力を尽くし続けなければならない。われわれは街頭にあり続け、正義を求め続けなければならない。黒人解放は、すべての解放にとって中心であり続けている。そして一つの組織としての、また一つの運動としてのBLMは、より良い世界を求める闘いに献身しているすべての人の支援を必要としている。われわれは、この闘いへのわれわれの取り組みを維持し強化するよう、また反動と抑圧が標的とする人びとの防衛に準備を整えるよう、あらゆる活動家と革命的勢力に強く訴える。
二〇一六年七月八日

▼ソリダリティ運営委員会(二〇一五年以前は政治委員会)は、米国ソリダリティの日常指導機関。(「インターナショナルビューポイント」二〇一六年七月号) 

 


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