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    かけはし2016.年7月25日号

右翼政権との戦闘再開が迫る


ベルギー

爆発力秘めた自然発生的ストライキの波

ダニエル・タヌロ

  日本での報道は極めて少ないが、労働法をめぐる労働者民衆の大闘争が、フランスと同時進行的にベルギーでも発展中だ。六月と七月は、フランス、ベルギーが一体的に熱い夏を迎えるかもしれない。現地が伝える闘争の現状を以下に紹介する。(「かけはし」編集部)

国民全体の不満
の中で闘争開始


 右翼政権と労働組合運動間の新たな力の試し合いがベルギーで始まった。五月二四日、FGTB―CSC―CGSLB(注一)から構成された共同労組戦線の呼びかけにしたがって、八万人の民衆がブリュッセルをデモ行進した。五月三一日、公共サービスは全国に広がるストライキによって麻痺させられた。FGTBは六月二四日に二四時間ストライキを呼びかけ、それは被雇用者全国連合(この国のフランス語圏における、CSCキリスト教組合の主要組織)から支持を受けた。夏季休暇後に向けては、新たな大衆的デモとさらなる一日ストライキ日が計画されている。
 この決起は主に、雇用労働相がもち出そうとしている、「フレキシキュリティ」(フレキシビリティとセキュリティを組み合わせた造語、雇用の柔軟化と生活の安定の両立を囃し立てる新概念:訳者)を推し進める法律提出に反対するために指令されている。フランスでのヴァルス並びにオランドと同じく、キリスト教民主党のクリス・ペーテルスは、労働者の組織に戦闘をもち込みたいと思っている。つまり、労働時間の年間通算化(最大週四五時間まで)(注二)、期間制限のない臨時契約、長期病欠者の雇用契約やり直し……だ。しかし国民内の不満は全体的だ。それはまた、年金受給資格に必要な年限の延長、失業手当請求権からの諸々の排除、また金持ちたちと経営者に対する諸々の贈り物と対照をなす他の退行的な諸方策にも関係している。

労働者の無力化
狙った正面攻撃


 新自由主義的なスチームローラーを前にした二〇一四年秋の闘争の高波は、ベルギー労働組合運動の例外的な強さ、および一定のオルタナティブ提出能力を際立たせるものだった。それにもかかわらずこの三カ月にわたる決起は、「対話の機会を与えるために」すべてを止めると一方的に決定した労組指導者たちによって、道を外されたまま終わることになった。これはまったく何ものも達成しなかった。われわれは同じシナリオを体験することになるのだろうか? それは多くの労組活動家たちの前にある疑問だ。
 諸労組の機構は主に、打撃の限定によって緊縮との協調に余地を与え、労働者階級に対する彼らの支配を維持するものとして、国家および雇用主との対話を守るために動員されることに留まっている。しかし政権はそれ以上のものを欲している。政権は、対話の成功にのぼせ上がり、またテロ攻撃が生み出した空気を恵みとしつつ、労働組合のトップたちを緊縮に向けた伝動ベルトに転換したいと思うだけではなく、労働の臨時化と柔軟化に異議を突き付ける職場代表の権利を取り上げ、ピケットを禁止することにより、企業における労組戦線の代表権を窮地に追い込みたいとも思っているのだ。これは、サッチャリズムから鼓舞を受けた正面攻撃だ。

ベルギー独特の
闘争駆動力始動


 これに応じて労組の対話戦略は危機にあり、これは組になる二つの側面で示されている。一方には自然発生的な業務放棄の復活があり、他方には、労組諸組織のすべてのレベルにおける、大きく違いが広がる交渉の立場がある。
 航空管制官たちは攻撃の後自然発生的に、彼らの労働条件を強く非難しつつ、数日間彼らの労働から引き上げた。フランス語圏の刑務所看守たちは、要員不足に抗議して、すでに五週間ストライキを続けてきた。フランス語圏鉄道機関士は、賃金削減と一体化された労働時間延長を求める管理指令に反対して、五月二五日以後看守たちに合流した。自然発生的な諸行動は一つの共同戦線の形成にいたり、今度はそれがワルーンCGSP(公務部門のFGTB支部)を、五月三一日以後の全行動に対し公的支持を与える決議採択に導いた(注三)。結着までのストライキが話されている。ベルギー労働運動に典型的な、そしてそれによって基盤における急進化が映し出される、その駆動力が始動したのだ。

南北分裂に賭け
非妥協貫く政権


 今のところこの駆動力は、ほとんどもっぱら国の南部における公務部門で展開中だ。そこでは、ミシェル政権(注四)放逐のための即刻のゼネストという空気がある。結果として、労組内の左右間分極化が鋭さを増しつつあり、共同体間のねじれを発展させつつある(フランス語圏とフレミッシュ語圏の間では、特に近年分離をめぐる対立が高まっている:訳者)。
 フランドルにおけるより右翼的な労組機構が先の動きに次々に引き込まれないとすれば、いくつかの労働組合部門が共同体の分割線に沿って引き離されるかもしれない、という怖れがある。これは、全労働者にとっては深刻な重大性をもつと思われる。特にそのような分裂は、支配階級を彼らの戦略的な目的に近寄せるだろう。それは、社会保障の解体――おそらくは共同体分割線上で分けられているそれと組にされ――という目標だ。そしてそのような解体はすでに、新自由主義的ナショナリストのNVAが要求してきたことだ。
 政権は今、攻撃を貫徹し労働者階級に大敗北を負わせるために、南北分裂に賭けている。この政権は、いくつかの節度を求めるブルジョア報道の訴えに一切応じないままだ。金融日刊紙「ル・エコ」が以下の実行を近頃力説したように、「その間違いを認め」「労働者(および全ベルギー人)にほほえみを送る」よう追求し妥協を行うどころか、権力にある者たちは、彼らの銃に固執し続け、ストライキ労働者たちを解雇するとまで脅している。

活動家の主導
性が鍵を握る

 これは危険なゲームだ。なぜならば、労組機構による下部組合員大衆に対する統制が国の北部でより強いとしても、二〇一四年の運動と五月二四日の大デモ(注五)は、労働者の怒りは南部におけるものに劣らない、ということを示しているからだ。
二〇一四年一二月の喜劇(注六)から二年近く経て、諸々の地域で闘争している労働者各層の戦闘精神は、労働者に対し賃金払い戻しの可能性を広げている。このチャンスはつかまれるのだろうか? これは、すでに闘いに入っている労組活動家のイニシアチブに大きくかかっている。労組組織内にある諸々の障害は数多い(そして公的組織の尻尾に留まるという路線をもつPTB〈ベルギー労働者党、毛沢東主義に起源をもつ最大の極左組織:訳者〉は、その障害を克服するための試みを一切行おうとはしていない)。
しかし圧力は上昇中だ。たとえばCGSPのフランドル鉄道労働者の代表は、五月三一日のストライキ行動呼びかけに今し方合流したばかりだ。仮にこのようにドミノ倒しが倒れ続けるとすれば、社会的天候は完全に、かつ極めて急速にも変わり得るのだ。

注一)FGTBは社会党系労組連合、CSCはカソリック労組連合、CGSLBは自由主義的労組連合。
注二)年間労働時間を定める契約、それによってどの週労働時間も四五時間まで延ばすことが可能になる。
注三)公共部門での一日ゼネスト。
注四)ルイ・ミシェルの連邦政権は、フレミッシュ語圏の中道と右翼の政党(右翼フレミッシュ民族主義のNVA、新フランドル同盟、自由主義のVLD、フランドル自由党)、フランス語圏の彼自身の党である中道右派政党(MR、ワロン自由党)の三つから構成されている。
注五)諸労組とキャンペーン諸組織によってどちらかと言えば急ごしらえで組織された五月の全国デモは、組織主体による四万人との予想に反して、六万人から八万人を引き出した。
注六)いくつかの全国デモは、パリでのテロ攻撃を口実に使いながら、諸労組によって中止を指令された。(「インターナショナルビューポイント」二〇一六年六月号)

スペイン

六月二六日総選挙結果について

草の根から運動の建設へ

アンティカピタリスタス

 

 今選挙結果は、社会的変革の皮切りとなる政治変革、に没頭してきた者たちが期待したようにはならなかった。貧困化諸政策に責任がある腐敗した政党であるマリアノ・ラホイの国民党(PP)が今回の選挙に勝利を収めた。社会労働党(PSOE)とシウダダノスは、票と議席を減らしたが、少なくとも短期的には、PPに統治能力を保証するに十分な勢力は維持した。われわれがそこに精力的に関わってきた選挙構想であるウニドス・ポデモスは、高められた諸々の期待を満たすにいたらず、第三党となった。

歴史的成果足場
に次の局面開け
われわれが光を当てたいと思っているものとして、重要な問題が二つある。一点目として、歴史的な意味でこの結果がもつ重要性を過小評価してはならない。何百万人もが変革を求めて(変革にはただ一つの意味しかないわけではないが)、新しい政治勢力を求めて投票を行った。そしてこれこそエリートたちからの強力な攻撃の目標となった。これは、われわれの支えの中に大きな部分が欠けていたにも関わらず、支配的諸階級の諸政党と対決することができる選挙ブロックを何とか建設できた、ということを確証している。
他方でこれは、短期的な諸々の期待にまだ見合っていない、という失望を隠すものではない。ポデモスとIU(統一左翼)の連合は、20D〔昨年一二月一二月二〇日総選挙〕比で一〇〇万票以上減らした。そしてその潜在的可能性に達することに失敗した。
一時的に選挙サイクルは閉じた。そして、われわれは、選挙がすべての目標をまだ満たしてはいないとはいえ、そこには前進に向けた重要な歩みがある、ということを認めなければならない。15Mの決起のサイクルと社会的衝突と自己組織化が、選挙の側面でわれわれがエリートに対決することを可能にした社会的諸層を生み出した基礎だったとすれば、今やわれわれはこの動きを逆に向け、われわれが強化され、次期の議会任期に影響力を発揮し、来るべき戦闘に準備を整えることを可能にするために、中期的に草の根における民衆的建設の運動を始めなければならない。

緊縮政権と対決
する民衆連合へ
体制は絶対的多数がないまま、しかしトロイカと緊縮に忠誠を誓う一つの政権をつくり出すだろう。アンティカピタリスタスにとっては、統治や一政権の支持は、民衆諸階級にとっての具体的な改善の達成を意味しなければならず、さらに抜本的に民主的でエコフェミニズム的、また社会主義の社会に向かう開かれた道に余地を与えなければならない。
政治的な陣営をはっきりと確定すべき時だ。つまり、今あり得るどのような政権もわれわれの政府ではなく、われわれは野党となるだろう。そして、諸々の社会的対立を確固として支援し鼓舞し、議会を一つの足場として利用し、強力な諸提案を行い、単なる諸政党の連合ではなく、形成される政権がブリュッセルからの指令の下に遂行するはずの様々な切り下げに反対する、貧しくされた中産階級と労働者階級の社会的連合である凝集のために努力する、ということだ。勤労民衆と共にあり続け、忍耐をもって共同体と対抗権力を生み出すこと、組織し、闘い、民衆的力を生み出すことがそれだ。

変革求める統一
と同志的論争を
この選挙サイクルが終わった後では、正直で同志的な論争が、変革を求めるブロックの中で始まらなければならない。われわれはアンティカピタリスタスとして、現場に根付き、諸闘争と民衆諸階級に結びつき、社会諸運動に役に立つ、決裂という展望およびもちろん多元主義を備えた、幅広い党―運動というわれわれの提案を防衛するだろう。われわれは、提唱されるさまざまな提案間の対話とそれに対する敬意に基づき、統一したやり方を取り入れなければならない。そして、エリートたちの団結と対決する下からの民衆的統一を構築し続けなければならない。われわれはそれゆえ今、選挙で達成された統一を社会的反攻の中で利用しなければならない。
国際的な全体諸関係は困難だ。欧州では右翼的転回がある。権威主義の台頭と闘うことが急を要するものとなっている。つまりわれわれは、この迫り来る時期において、自身を欧州における民主主義運動と反ファシズム運動の一部として理解しなければならない。われわれはこれらの連携を大まかに確認した上で、欧州レベルで一つの運動を生み出す凝集点を探し求めなければならない。この戦闘は、国際的な勝負として行われている。
われわれは戦闘と建設を続けるだろう。われわれは何百万人としてあり、イエス・ウィー・キャンを示してきた。今やわれわれは、あらゆる居住区で、あらゆる職場や教育施設で組織しなければならない。われわれには、体制とエリートたちに、体制の安定化は容易だと分からせるつもりはない。われわれすべては、溝をさらに広げ、変革を求めるブロックを拡張し強化する、そうした闘争を予見できる。われわれは一歩も後退せず、とどまっている。われわれはさらにこの道を続けるだろう。(二〇一六年六月二八日)(「インターナショナルビューポイント」二〇一六年六月号)


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