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    かけはし2016.年9月12日号

「対テロ」口実の弾圧法規だ!


「共謀罪」新法案上程阻止へ

人権破壊の「テロ等組織犯罪準備罪」

やりたい放題
の弾圧が可能

 安倍政権は、八月二六日、グローバル派兵国家建設の一環である対テロ治安弾圧体制にむけ、2020年東京五輪に向けたテロ対策と称して組織犯罪処罰法の中にあった共謀罪の名称を「テロ等組織犯罪準備罪」に変えた法案を九月二六日に召集される臨時国会に提出することを検討していると明らかにした。刑訴法改悪の制定のうえで共謀罪の制定の政治的タイミングをねらっていたが、本格的な着手に入った。
「共謀罪」は、これまで四回にわたって国会に提出されてきたが、言論の自由、結社の自由、通信の秘密、基本的人権の破壊、サイバー弾圧など日常生活まで処罰対象(刑事法、商法、消費税法、道路交通法など六一五種類)を広げようとする現代版・治安維持法としての超反動法案であるがゆえに民衆の反対によって廃案に追い込まれてきた。
たとえ法案の名称を変えたとしても近代法の既遂処罰が原則という法体系を踏みにじり、国家権力の恣意的判断を前提とし、未遂でも罰することをねらっているのであり、従来の「共謀罪」の基本性格を踏襲している。犯罪の「構成要件を厳しくした」などと言っているが、まったくのウソだ。
法務省は、これまでの「共謀罪」では適用対象を「団体」としていたが、法案では「組織的犯罪集団」に変えると言っている。だが「組織的犯罪集団」の定義はあいまいであり、具体的にどんな「集団」なのかを明記していないところにとんでもないトリックが隠されている。つまり、権力のデッチ上げストーリーに基づいて二人以上のグループを、例えば、市民団体、労働組合、サークルなどに適用すれば弾圧対象となってしまうのだ。
極論ではない! 労働組合を「組織的犯罪集団」と規定したうえで団体交渉を逮捕監禁罪、金融機関への要請行動が強要罪、ビラ撒き・街頭宣伝が信用毀損や業務妨害罪として適用する危険性もありうる。現実として公安政治警察は、過去・現在において強引に「構成要件が成立」しているとして「犯罪」をデッチ上げ、不当な家宅捜索、逮捕を行ってきた。法案には、権力の恣意的判断を制限する規定もないから、従来通りやりたい放題の弾圧が可能なのである。

盗聴法の対象
も拡大される


「共謀」の定義も明らかにしていない。自民党は、二〇〇六年、「共謀罪」修正試案において「『共謀』の定義をさらに明確にするために『具体的な謀議を行い共謀した者』と改める。『目配せ』だけでは、条文上も共謀にあたらないことを明確にする」などと言っていた。だが法案は、さらに悪質化させ、「犯罪実行のための『資金や物品の取得、その他』を『準備行為』として構成要件に加える」としている。公安政治警察は、不当な家宅捜索によって押収した現金・貯金通帳、日曜大工道具を「組織犯罪準備」のための証拠とし、構成要件の成立として作り上げる。冗談ではなく「日曜大工」のための電動工具、大工道具、修繕のための工具類のたぐいも「爆弾製造」関連機材としてこじつけようとすることも可能となってしまう。
この「謀議」の中身を立証するために「活躍」するのが、盗聴法(通信傍受法)だ。盗聴の対象犯罪が@銃器犯罪A薬物犯罪B集団密航C組織的殺人の四類型から傷害、詐欺、恐喝、窃盗などを含む一般犯罪にまで大幅に拡大してしまった。さらに通信事業者の常時立会制度を撤廃し、傍受対象通信を通信事業者等の施設において暗号化したデータを警察施設に送信し自動記録ができることになっている。
盗聴の全データを記録するからプライバシー侵害が成立しているにもかかわず、しかも権力の犯罪内容はすべて秘密だ。盗聴法の改悪として住居不法侵入を合法化させる室内会話盗聴法の制定もねらっている。やりたい放題の盗聴の犯罪を暴き出し、セットである「テロ等組織犯罪準備罪」制定を許してはならない。

「国際基準」と
いうゴマカシ


菅義偉官房長官は、テロ等組織犯罪準備罪」法案の提出について「国民の安全、安心を確保することは政府の重要な責務だ。国際犯罪防止条約の締結に伴う法整備についてはこれを進めていく必要がある」と強調した(八月二六日)。金田勝年法相も「国際社会と協調し組織犯罪と戦うことは重要な問題。必要な法整備を進めていきたい。国会審議の場などで示された不安や懸念があり、慎重に検討していく必要がある」と成立を押し進めていくことを宣言した(八月三一日)。推進派(産経新聞など)は、「四年後に迫った東京五輪に向けたテロ対策の要の法案となる」、「犯罪防止条約は、昨年一一月現在で約一八〇カ国・地域が締結。主要七カ国(G7)で未締結は日本だけだが、これの締結には共謀罪の整備が不可欠だ」と煽っている。
「共謀罪」は、二〇〇〇年の国連総会で採択された「国連国際組織犯罪防止条約」に日本政府が一二月に署名し、○三年五月、国会で批准を承認したことにより、国内法整備のためとして組織犯罪処罰法の中に共謀罪新設を打ち出した。しかし共謀罪法案は〇三年、〇四年、〇五年、〇六年に国会提出したが、いずれも廃案に追い込まれてきた。今回は、従来の「共謀罪」の性格を引き継ぎながら「テロ等組織犯罪準備罪」として提出する。政府の法案制定の根拠も従来通り薄弱であり、詭弁の繰り返しだ。
政府は、「条約に必要な法整備が必要」などと言うが、ならばなぜ自由権規約、女性差別撤廃条約、子どもの権利条約、社会権規約を批准しているにもかかわらず国内法制定をサボタージュし続けているのか。「共謀罪」制定は国際条約で承認しているから急ぐというのは、典型的なダブルスタンダードだ。そもそも法律の解釈・運用の指針となる国連立法ガイドや条約の「第五 目的」では、共謀罪の創設を求めているわけではない。しかも条約の意味と精神を生かし、その国の法的伝統を生かしていけばいいと明記しているほどだ。
法務省、外務省官僚たちは、この文言を十分に知っているから人権条約関連法整備のサボタージュを平気で続けていることができるのだ。この怠慢を隠ぺいしながら、対テロ治安弾圧体制強化を押し出し、与党多数派を背景にして一挙に法案の制定を強行しようとしている。
民衆に真っ向から敵対する「テロ等組織犯罪準備罪」法案を阻止していこう。
(遠山裕樹)

8.28

STOP 辺野古新基地建設

国による沖縄への総攻撃だ

2周年集会に200人

 【大阪】辺野古に基地を絶対つくらせない大阪行動、沖縄とともに基地撤去をめざす関西連絡会、しないさせない戦争協力関西ネットワーク、沖縄意見広告運動・関西事務所、ジュゴン保護キャンペーンセンターなど一八団体で構成されるStop!辺野古新基地建設大阪アクションの呼びかけた集会が八月二八日エルおおさかで開かれ、二〇〇人の市民が参加した。

機動隊派遣費用
の監査請求を!
陣内さん(共同代表)が、大阪アクション二年目の活動を報告。数度にわたる第五管区海上保安本部(神戸)・海上保安庁への要請行動。中央開発・大成建設への抗議行動。伊波洋一さんを講師に緊急集会。山城博治さんを迎えた講演会。稲嶺進名護市長をゲストに戦争法廃止・辺野古新基地建設反対の関西集会。高江に動員され住民を弾圧している大阪府警に対する緊急行動など。
続いて、牧志徳さんの三線によるライブ(「辺野古崎」など)、そして、アクションメンバーによる高江・辺野古現地報告があった。
その後、北上田毅さん(沖縄平和市民連絡会・辺野古抗議船船長)による「国の沖縄への総攻撃が始まった」と題する講演があり、現地の人々のたたかいと多くの対抗策で、辺野古新基地建設を止める展望が、わかりやすくリアルに語られた(別掲)。
他府県警察の派遣期限についての質問に答えて、是非取り組んでほしいと北上田さんが述べたことが一つあった。
沖縄県警が六都府県警に機動隊派遣を要請したのは七月一一日のことだが、警察庁はそれより以前から動いて、警察法を逸脱する違法行為を働いている。警察は、各都府県の公安委員会の指示でしか動けないはずだ。六都府県から派遣された警察車両のガソリン代、高速代、フェリー代等は沖縄県警が負担することになっているらしいが、他府県警察の派遣に沖縄の税金を使うのはおかしい。この件について是非情報公開請求、監査請求をやってほしい。
北上田さんは、最後に再び高江のたたかいにふれ、最近高江では若い人がたくさん増えていると述べ、是非このたたかいに少しでも身を置いてほしいと語った。
集会後は大阪市役所までデモ行進を行った。(T・T)

北上田毅さんの講演

高江の工事強行、背
景は米軍からの圧力

工事を完成させ
ない闘いへ!
現在、「戒厳令」的状況の中で、高江のヘリパッド工事が強行されている。六月中旬から真夜中でもオスプレイの演習が始まり、参議院選の直後の七月一一日に作業が開始され、地元警察五〇〇人と全国六都府県の警察五〇〇人を動員して道路を完全に制圧し、N1ゲート前のテントが撤去された。これは米軍からの圧力によるものだ。
マケイン上院軍事委員長「土地返還のためにはヘリパッド建設の完了が重要」(四月二九日)。ニコルソン中将・在沖四軍調整官「北部訓練場の一部を来年初めに返還する用意がある。今年下半期に動きがあると期待している」(六月一八日)。オバマ大統領に報告文書「辺野古の再提訴。高江の工事再開」(七月二二日)。

法的権限行使し
ストップ辺野古を
北部訓練場の過半の返還(一九九六年SACO合意)は、実際には基地機能の強化だ。ヘリパッド六基を南部に移設する(うち二基は完成)。これは、使用不可能な土地を返還する代わりに利用可能な訓練場を新たに開発し米軍に提供するということだ。
(現地の地図を示しながら)、海兵隊は提供されている東部の水域から上陸して、米軍の歩行ルートである尾根を通りG地区のヘリパッドに着き、そこからオスプレイで飛び立つ。今後、陸・海・空一体の訓練が始まるということだ。ヘリパッド建設予定のG地区、H地区への進入路は農道と村道で、地元はこの道を使うことに反対している。
そこで、まず重機を入れるために防衛局が考えているのは、N1ゲートの方から入って、H地区に至る工事用道路をつくる、モノレールをつくる、自衛隊の大型ヘリを使い重機を運び入れる、などのやり方のようだ。N1裏の方から入ってくるのではと心配したが、この道は防衛局が完全に閉鎖したので、その可能性はなくなった。翁長知事は、強引で暴力的なやり方に抗議をしているが、ヘリパット工事それ自体には反対していない。おそらく、SACO合意のことがあるからだろう。 
海への出入り口を確保し、新たな機能を持った北部訓練場をつくることが必要であって、現在のヘリパッド六基は米軍は使っていないのだから、早く返還すべきだ。以前は、一つの地区の工事を終えてから次の地区というようにしていたが、N1地区、G地区、H地区の工事を同時に行い、来年二月末日までに完成させることを考えている。だから地元としては、ダンプの前にのろのろ運転をしてとにかく工事を遅らせる、N1ゲートより内側にはダンプを入れないなど、工事が完成できないようさまざまな戦術を行使している。

法的手続きの
争いは今後も
次に辺野古のことについて。県と国の和解条項(二〇一六年三月四日)はどういうものだったのか。
国は審査請求と代執行訴訟を取り下げ、埋め立て工事を中止する。それにより、翁長知事の埋め立て承認の取り消しが復活。国は「是正指示」を行う。県は、国地方係争処理委員会に審査を申し出る。係争委員会が是正指示を違法でないと判断した場合、県が不服であれば、是正指示の取り消し訴訟を提起する。取り消し訴訟の判決が出るまで、県と国は円満解決に向け協議。県と国は、取り消し訴訟の判決が確定したら、その判決に従い、その後も同趣旨に従って誠実に対応することを確約する。
和解後、国が是正指示(三月七日)。県が係争処理委員会に審査申し出(三月一四日)。係争処理委員会の判断「普天間飛行場の返還という共通の目的の実現に向けて真摯に協議し双方が納得できる結論を出す努力をすることが最善の道・是正指示の適否判断せず」(六月二一日)。国が「不作為の違法確認訴訟(国の是正指示に従わないのは違法)」を提訴(七月二二日)。
八月五日、第一回弁論。第二回弁論(八月一九日)で結審。県の証人申請は翁長知事のみが認められる。知事が意見陳述をした。
「自国の政府にここまで一方的に虐げられる地域が沖縄県以外にあるのか?四七都道府県の一つに過ぎない沖縄県を政府が総力をあげてねじ伏せようとしている。……これ以上沖縄県民に犠牲を強いることはできない」。
この裁判について、国からの訴訟指揮があった。県の答弁書が提出される前に、訴状のみで争点整理案が作られた。裁判長は、裁判とは何の関係もない質問「県は判決に従うのか?」を繰り返したという。地裁判決は九月一六日にでる。
「不作為の違法確認訴訟」に県が敗訴をした場合、県は高裁に控訴する。控訴審で敗訴したら最高裁に上告するが、年度内に決着、年内の決着の可能性もある。
敗訴が確定し、県が埋め立て承認取り消しを取り消さない場合は、国は代執行訴訟を提訴する。県が取り消した場合は、国は工事を再開する。知事が埋め立て承認を撤回した場合、国は再度、法的手続きを繰り返さざるを得ない。
翁長知事は、第二回弁論の後「裁判所の確定判決に従うのは行政の長として当然だ……承認取り消しを取り消すかと言えば取り消すが」と述べている。
承認取り消しにより、工事は再開されるのか。辺野古埋め立てに関わる知事の権限はたくさんある(北上田さんがあげた項目は八点にわたっていた)。判決の如何に関わらず、これらの権限が行使される限り、国は埋め立て工事に着手することはできない。(発言要旨、文責編集部)


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