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    かけはし2016.年9月26日号

TPPの国会批准を阻止しよう!


9.9ストップTPP緊急行動関西 発足集会

実態は秘密交渉で進められる投資協定だ

【大阪】ストップTPP緊急行動関西が三〇人の呼びかけ人により呼びかけられ、その準備会主催の集会が九月九日、学働館・関生で開かれた。
服部良一さんが呼びかけ人を代表してあいさつをし、田淵太一さん(同志社大学商学部教授)が、「TPP 今何が問題か」と題して講演をした。(要旨別掲)

批准阻止に向け
今やるべきこと
続いて、山田正彦さん(元農水大臣、TPP交渉差し止め・違憲訴訟の会幹事長)が「TPP批准阻止に向けて、今やるべきこと」と題して講演をした。
山田さんは、TPPによってどのような問題が出てくるのかを、具体的に説明した。
?外資製薬会社が価格決定に介入し、その意見を考慮することになる。政府は開発した製薬会社に通知し、認められないとジェネリック薬品もつくれない。
?日米の付属文書で、日本政府は公的医療保険の見直しを約束した。高度の先端医療は民間医療保険、安価な一般医療は公的医療保険で行うようになり、やがて、医療は金持ちでないと受けられなくなる。神奈川県の国家戦略特区では、株式会社の医療機関が認められた。
?現代のバイオテクノロジーによる生産品とは、このテクノロジーを用いてつくられた農産品、並びに魚及び魚製品をいい、薬剤及び医療用の生産品を含まない。遺伝子組み換え農産物貿易の中断を回避し、新規承認を促進する。遺伝子組み換え食品の輸入を阻止するため、人の身体・健康を害することを、証拠をもとに科学的に証明できれば、輸入を禁止できる。日本の食品安全委員会は、遺伝子組み換え食品は安全であると明言している。強制規格は、モンサントなどの利害関係者の意見を聴取し、それを考慮しなければならず、日本独自の表示を決めることができない。
?カナダ・メキシコの牛肉を米国に輸出しても売れず、期待した利益が上がらないのは、米国の国産表示が障壁になっているとして、WTO協定に基づき米国を訴え、米国は敗訴し国産表示を取り消した。ISDS条項の場合も、日本は訴えられる。
?日本では、各県で地産ブランドを一つは認めているが、TPPでは従来のようなブランド表示はできなくなる可能性が高い。米国は、新サービス貿易協定の例として、「パルメザンチーズ」と産地表示している包装は不当表示だと主張している。
?学校給食でも、国内産地業者と米国業者を差別できなくなり、地産地消をベースとした学校給食条例を制定できなくなる。
?日本のすべての農産物は、日本だけが七年後に米国・カナダ・オーストラリアなど五カ国と関税撤廃について再交渉することが義務付けられている。
ベトナム産コシヒカリ五kgが五〇円でネット販売されている。これが一般化すれば、水田は消えていくだろう。
?魚類の過剰漁獲国(日本はこれに該当)には、補助金制度は適用されない。持続した漁業経営ができなくなり、魚の自給率六二%が維持できなくなる。
漁業権の公開入札では、外資系水産会社も平等に入札できるようになる。
?国や自治体の公的サービスが民営化される? 愛媛県松山市では、フランス企業に水道事業を業務委託し、水道料金が上がり続けている。
国立病院(全国一四三カ所)は、五年後の再交渉で株式会社に衣替えし、外国企業に売却される。離島などの病院は、閉鎖される。
?国・自治体の建設・土木工事などは、原則として外資を含め公開入札になる。自治体は、英語と自国語で手続きをすすめなければならない。技術仕様が貿易に障害を与えるものであってはならない。
?著作権が親告罪から非親告罪になる。内部討議のためにコピーした資料も、著作権者の承諾がなければ、著作権法違反で逮捕。
中央政府が法律にもとづいてネットを管理する。政府の認める方法・命令に逆らえば、インターネットでの自由な情報発信、拡散行為ができなくなる可能性がある。
?雇用問題。時間の関係で省略。
最後に、山田さんは「この緊急行動は、国会での批准を阻止するためのものだ。米国での承認はおそらく不可能だろうが、その前に日本の衆議院の審議で、TPPを何としてもつぶさなければいけない。まだ期間はある。是非ともTPPの持つ危険性を周りの人に広めてほしい。 一〇月一五日一二時から東京芝公園で、全国集会を準備している。是非参加を」と訴えた。

全力を尽して
阻止しよう!
講演の後は、各団体あいさつを、飯田秀男さん(ほんまにええの?TPP大阪ネットワーク、全大阪消費者団体連絡会事務局長)、渡辺征二さん(大阪保険医協会事務局長)、木田克巳さん(全日本農民組合京都府連合会副会長)、西山直洋さん(ほんまやばいでTPP実行委員会、全日建連帯近畿地本書記長)が行った。
最後に、西井武司さん(全農林大阪分会委員長)がお礼と行動提起をした。具体的には、TPPテキスト分析チームが作成したパンフレットをそれぞれが周辺に配布し、TPPの危険性を訴えながら、秋の臨時国会でのTPP批准を阻止することに全力を尽くすことを確認した。   (T・T)

田淵太一さんの講演から

TPPは当初段階の
内容から大きく変質

政府は四月五日の衆議院TPP特別委員会で、TPP交渉文書を黒塗りで開示し、TPPの国会承認を先送りした。ところが今、秋の臨時国会の最優先課題とし、一一月八日の米大統領選の前に衆議院通過をめざし、米国内での早期承認を促し、再交渉の余地をなくすとしている。大統領候補の誰が選ばれるかにもよるが、クリントンがなれば、米国にとって都合のいい部分だけの再交渉を要求することはあり得る。その場合、日本は拒否できないだろう。

TPPは多国籍
企業の投資協定
民主党野田首相がTPP交渉参加の方針を表明した後の二〇一二年総選挙の時、自民党選挙ポスターには、『ウソつかない、TPP断固反対』とあった。ところが、安倍政権は政権を奪取した後、「『聖域なき関税撤廃』を前提とするTPPには参加しない」と言いつつ、TPP交渉に参加した。米国は二〇〇八年にTPPに協議参加し、投資と金融サービスの項目を追加した。これにより、TPPはつくられた当初の内容から大きく変質した。米国内ではTPPに対しては反対が強かった。一九九四年に発効したNAFTA(北米自由貿易協定)では、メキシコで三〇〇万人、米国で二〇〇万人の雇用が失われ、労働環境も悪化した。このときの経験から、二〇一〇年の世論調査では、六九%の米国人が「米国と他国の貿易協定では、米国の雇用を犠牲にしている」と考えている。しかし、二〇一五年六月米下院で大統領貿易促進権限関連法案が一〇票差で可決し、その後上院でも可決し、その年の一〇月アトランタでの閣僚会議で大筋合意し、一六年二月にニュージーランドでTPPは署名され、現在に至っている。
TPPは自由貿易協定といわれ、交渉過程は透明性を確保していると言われる。しかし、実際は投資協定であり、秘密交渉だ。日本は、国益を守ると言ってきたが、自由貿易協定の衣を着せた巨大企業による世界支配の道具だ(ロリ・ワラック)。換言すれば、投資家の新しい権利をつくり出すための協定だ。投資家とは、個人のことではなく、巨大多国籍企業のことだ。二四の作業部会があるが、重要部分は貿易ではなく、投資に関わっている。協定の全テキストは六三〇〇ページに及び、随所にグローバル企業のための罠が仕込まれている。しかも、TPP参加国の間では、「交渉が妥結または決裂しても、四年間は最終テキスト以外のいかなる文書も公開しない」という覚え書きが交わされた。しかも、交わされたこと自体も秘密にされている。米国連邦議員ですら、交渉文書の閲覧はできなかったが、六〇〇以上の米国企業顧問に対してはすべての交渉文書が公開されている。

最も危険な
ISDS条項
このTPP投資協定の中で最も危険なものが、ISDS(投資家対国家紛争処理)条項だ。紛争処理とは、世界銀行の下に置かれた裁判のようなもの。三人の法律家が参加し、一回の審議で結論を出す。政府には訴える権利がない。ISDS条項が盛り込まれたNAFTAにおいて、米企業が環境等の国民生活の重要な規制をめぐり、カナダ・メキシコに対して一六件の訴訟を起こし、九件で勝訴・和解し巨額の賠償金を得た。米国は、両国から一五件の訴訟を起こされたが、係争中の九件以外は全て勝訴し、賠償金はゼロだ。米韓のFTAでも、このISDS条項と知的財産権を巡って問題が出ている。ISDS条項を巡っては、世界で訴訟が急増していて、しばしば、ベネズエラ・エクアドル・ジンバブエなどの貧しい国がターゲットになっている。
TPPはMAI(多国間貿易協定)の再来と言われている。MAIは、徹底した秘密主義、多国籍企業への「内国民待遇」保障、投資の絶対的自由の保障、ISDS条項など、まさにTPPとそっくりだ。この協定のほぼ九割が確定し、米国議会でクリントン大統領にファスト・トラック権限を与える手続きがされようとした段階で、市民団体が抗議の声をあげ、一九九八年に撤回された。

真の対立は
1%対99%
日本では、「米国から日本の国益を守る」というあやまった構図がつくられているが、米国はTPPに対する最も強力な反対派だ。TPPにおける真の対立は、「1%対99%」である。日本でも、じつは経済学者がTPPに賛成だ。特に新古典派経済学者がそうだが、「政策変更や技術革新によって、市場に変化が生じるとき、得をする人が損をする人に補償することで、全体として得をすることができるなら、そのような補償が実際に行われなくても、その変化を認めるべきである」という理論(補償原理)がある。規制緩和・貿易自由化などにより、市場経済の効率が向上することにより、経済全体のパイが大きくなり、損をした人にも恩恵が及ぶということを暗黙裏に想定している。例えば、TPPで農業がダメージを受けても、それを上回る利益が別の部門で得られるなら、TPP賛成だということになる。(発言要旨、文責編集部)

コラム

「福岡より札幌がいい」

 七月二二日、新幹線で広島に向かった。酷暑の車外に出る合図でもある車内放送。目に飛び込んできたのは赤一色のマツダスタジアム。さらに駅からスタジアムに続くカープロードは、「赤い蟻の群」であふれている。プラットホームに降りると同じ車両にいた家族連れの四人が赤いTシャツに着替えて記念写真を撮り始めた。横切るのを遠慮して終わるのを待っていると「すいません。お願いします」とスマホを渡される。さらに後から「お願いします」の声が掛かる。振り返ると三人の「カープ女子」。
 その夜居酒屋で友人にこの話を持ち出すと「マツスタでゲームがある日は連日満員、外野席だけではなく対戦チームの三塁側まで赤で埋まる」と得意気。首位には立ったが、リーグ優勝までのマジックも出ていないのに「二五年振り」という言葉が広島中を揺らしているらしい。それも球場内にとどまらず、夜は夜で盛り上がるという。友人はさらに続ける。「明日は今日より大騒ぎになるよ。“男気”黒田が日米二〇〇勝をかけてマウンドに上がるから。それも相手は巨人」。この時確信した。彼は広島カープファンだ。山本浩二、衣笠祥雄、高橋慶彦らの“赤ヘル旋風”からすでに二五年、四半世紀にもなっているのだ。
 そして先日の九月一〇日の夜、あの広島の夜から五〇日しか経っていないのにカープはブッチ切りで優勝を決めた。午後の一〇時三〇分頃、都営三田線に乗っていると水道橋駅から興奮した赤いTシャツの一団が車内に入ってきた。若い女性たちの会話が実におもしろい。「福岡より札幌がいいよ。焼きトウモロコシにカニ、秋の北海道ツアーが断然よ」「往きは新幹線、帰りは飛行機というのがいいわ」。もうクライマックス・シリーズを飛び越して日本シリーズに向かっている。
 「スポーツ・ナショナリズム」という言葉が存在するようにオリンピックやサッカーのワールドカップを中心に、スポーツは昔から国威発揚や民族主義を煽る道具・手段として数多く利用されてきた。しかしカープファンを見ているとその雰囲気をあまり感じない。ほぼ全員が揃いの赤いTシャツというユニホームを着ているのにギスギスした感じや圧迫感を与えない。それは市民球団として形成されてきた歴史が背後にあるからだろうか。原爆から復興へのいばらの道、「酒樽」カンパで二度の球団危機を脱出してきた選手―球団―市民の一体感が底流にあるような気がする。
 かくいう私は横浜ベイスターズファン。今、ベイスターズは初めてクライマックス・シリーズへの進出をかけて闘っているのだが、広島のような盛り上がりはほとんどない。そしてベイスターズファン、横浜ファンとは言っても誰も時分をDeNA・ファンとは言わない。一体感がないのだ。九月一二日の記者会見で日本共産党の小池書記局長が「赤い色がスタジアムを覆うというのはいいものだ」と述べた。共通のシンボルカラーではあるが多少“びっくり”。 (武)




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